甲種4類/乙種4類

【甲4/乙4】鑑別問題の攻略法|感知器・受信機の見分け方と頻出パターン

結論:4類の鑑別は「感知器の顔を覚える」試験

結論から言います。

甲種4類・乙種4類の鑑別問題は、感知器・受信機・試験器具の写真を見て、名称・種類・用途を記述式で答える試験です。

4類は感知器の種類が多い分、「見た目が似ていてどれがどれかわからない」という受験者が続出します。でもご安心を。感知器は3つのチェックポイントを押さえれば、確実に見分けられます。

この記事では、感知器を「見た目だけ」で瞬時に特定するコツ、受信機・試験器具の見分け方、そして頻出パターン別の攻略法を徹底解説します。

感知器の分類体系については「感知器の分類と全体像(熱・煙・炎)」で解説していますので、先にそちらを読んでおくと理解が深まります。

甲4/乙4の鑑別問題とは?

まず、試験の基本ルールを確認しましょう。

項目 甲4 乙4
鑑別 5問 5問
製図 2問 なし
解答形式 記述式 記述式
合格基準 実技全体で60%以上 鑑別で60%以上

4類の鑑別は記述式です。「差動式スポット型感知器」と正確に書けないと得点になりません。「丸い感知器」では0点です。

鑑別で出題されるのは、大きく分けて以下の4カテゴリです。

  1. 感知器の名称・種類・特徴
  2. 受信機の種類と操作盤の名称
  3. 試験器具の名称と使い方
  4. 発信機・音響装置など附属機器

実技試験の全体像は「実技試験とは?鑑別・製図の完全ガイド」をご覧ください。

感知器を見分ける3つのチェックポイント

感知器は種類が多くて混乱しがちですが、次の3つのポイントを順にチェックすれば特定できます。

チェック①|煙の取り入れ口があるか?

これが最も重要な見分けポイントです。

感知器の側面にスリット(隙間)やメッシュ(網)があれば、それは煙感知器です。煙が内部に入り込む必要があるため、空気の通り道が設けられています。

逆に、側面がツルッとしていて穴がなければ熱感知器です。熱感知器は温度変化を感じ取るだけなので、煙を取り込む必要がありません。

ホテルに泊まったとき、天井を見上げてみてください。廊下の天井についている白い丸い機器が感知器です。側面にスリットがあれば煙感知器、なければ熱感知器。これだけで2大分類ができます。

チェック②|設置場所は天井か壁か?

設置場所 感知器の種類
天井面(点で設置) スポット型(熱 or 煙)
天井面(管が線状に走る) 差動式分布型(空気管式)
天井面(ケーブル状) 定温式感知線型
壁面(対向する2台) 光電式分離型
壁面(レンズ付き) 炎感知器

差動式分布型(空気管式)は非常に特徴的です。天井に細い銅管(空気管)が何十メートルも張り巡らされています。倉庫や工場の広い天井で見かけることが多く、写真に銅管が映っていれば一発でわかります。

光電式分離型も見た目が独特です。壁の高い位置に箱型の送光部と受光部が向かい合って設置されています。この2台の間を赤外線ビームが通っており、煙でビームが遮られると発報する仕組みです。体育館やアトリウムなど天井が高い空間で使われます。

チェック③|外観の細部で種類を特定する

スポット型の感知器は外観が似ているため、細部に注目します。

感知器 外観の特徴 決め手
差動式スポット型 丸型、側面ツルッ リーク孔(小さな穴)
定温式スポット型 丸型、側面ツルッ 刻印に公称作動温度あり
補償式スポット型 丸型、やや大きめ 差動+定温の複合
光電式スポット型 丸型、やや大きめ 側面にスリット/メッシュ
炎感知器 箱型、壁面設置 前面にレンズ窓

差動式と定温式はどちらも「丸くて側面がツルッとした熱感知器」なので、外観だけでは区別が難しいケースがあります。その場合は、刻印やラベルの情報が手がかりになります。定温式には必ず公称作動温度(例:75℃)が表示されています。

見分けフローチャート

感知器の写真を見たとき、このフローで判定しましょう。

感知器 見分けフローチャート
STEP 1:側面にスリット/メッシュがあるか?
YES → 煙感知器
天井にスポット → 光電式スポット型
壁に対向2台 → 光電式分離型
古い建物 → イオン化式(現在は製造中止)
NO → 熱 or 炎
前面にレンズ → 炎感知器
銅管が天井を走る → 差動式分布型
ケーブル状 → 定温式感知線型
丸型スポット → STEP 2へ
STEP 2:丸型スポットの場合、刻印を確認
温度表示あり
定温式スポット型
温度表示なし
差動式スポット型
両方の表示
補償式スポット型

受信機の見分け方

受信機は自動火災報知設備の「頭脳」です。ビルの管理室や防災センターに設置されている赤い箱――それが受信機です。

受信機 外観の特徴 使われる場所
P型1級 回線ごとの地区表示灯が並ぶ 大規模建物
P型2級 小型、表示灯が少ない 小規模建物(5回線以下)
R型 液晶画面やデジタル表示 大規模・高層ビル
【写真】P型受信機とR型受信機の外観比較
(画像準備中 — Geminiで生成後に差し替え)

P型は「P=Proprietary(固有)」の略で、回線(ゾーン)ごとに信号を受けます。操作盤には回線番号に対応した地区表示灯がずらりと並んでいます。火災が起きると、該当する回線の表示灯が点灯して「何階のどのゾーンか」がわかります。

R型は「R=Record(記録)」の略で、個々の感知器からアドレス信号をデジタル伝送で受信します。液晶ディスプレイに「○階○号室の感知器が発報」と具体的に表示されるのが特徴です。

見分けのコツ:操作盤にランプがずらりと並んでいればP型液晶画面があればR型です。

受信機の詳しい解説は「受信機の種類と機能(P型・R型・GP型・GR型)」をどうぞ。

受信機の操作盤でよく出る名称

鑑別では操作盤の各部名称を問う問題も出ます。以下は覚えておくべき名称です。

名称 役割
火災灯 火災信号を受信したとき赤く点灯
地区表示灯(地区窓) どの回線(ゾーン)かを表示
音響停止スイッチ 受信機のブザーを止める
地区音響停止スイッチ 館内のベルを止める
復旧スイッチ 発報状態を解除して通常に戻す
電話連絡装置 現場と受信機間で通話する

試験器具の見分け方

感知器の点検に使う試験器具も鑑別の定番です。実際の点検現場では、これらの器具を使って感知器が正常に動作するかを確認します。

試験器具 外観の特徴 用途
加熱試験器 棒の先端にカップ状の加熱部 熱感知器の作動試験
加煙試験器 棒の先端にカップ+煙発生部 煙感知器の作動試験
減光フィルター 板状のフィルター 光電式分離型の感度試験
回路計(テスター) 小型の計測器+テスト棒 配線の導通・抵抗測定
絶縁抵抗計(メガー) 手回しハンドル or ボタン式 配線の絶縁性能の測定
【写真】加熱試験器と加煙試験器の外観
(画像準備中 — Geminiで生成後に差し替え)

加熱試験器と加煙試験器は見た目が似ていますが、加煙試験器には煙を発生させる部分(スポイト状の煙発生器やカートリッジ)がついています。点検現場では、天井の感知器にカップ部分をかぶせて使います。長い伸縮棒の先にセットするので、脚立なしでも高い天井の感知器を試験できます。

試験器具の詳しい使い方は「感知器の試験方法(加熱・加煙・減光)」で解説しています。

その他の機器の見分け方

鑑別では、感知器・受信機以外にも以下の機器が出題されます。

機器 外観と特徴
発信機(P型発信機) 壁面設置の赤い箱。押しボタン(強く押す)で手動通報
表示灯 発信機の上にある赤い常時点灯ランプ。発信機の位置を示す
地区音響装置(ベル) 丸いベル型。火災警報を鳴らして避難を促す
中継器 箱型。感知器の信号を受信機に中継する
終端抵抗(終端器) 小さな抵抗器。感知器回路の末端に接続

発信機は商業施設や学校の廊下で見かける赤い箱です。「火災報知器」と書かれた表示の下にあり、ガラス越しに押しボタンが見えます。その上の赤いランプが表示灯で、これは常に点灯しています(発信機の場所がわかるように)。

詳しくは「発信機・地区音響装置・表示灯」をご覧ください。

頻出パターン別 攻略法

パターン①|「この感知器の名称を答えよ」

最も出題頻度が高いパターンです。感知器の写真が示され、正式名称を答えます。

回答は正式名称で書くこと。「煙感知器」では不十分。「光電式スポット型感知器」まで書く必要があります。

感知器 記述式の正式名称
熱(急激な温度上昇) 差動式スポット型感知器
熱(一定温度で作動) 定温式スポット型感知器
熱(銅管が天井を走る) 差動式分布型感知器(空気管式)
煙(天井スポット) 光電式スポット型感知器
煙(壁面対向2台) 光電式分離型感知器
炎(レンズ付き) 炎感知器(赤外線式 or 紫外線式)

各感知器の構造を深く理解したい方は以下の記事をどうぞ。

パターン②|「受信機の種類と特徴を答えよ」

受信機の写真が示され、種類を答えたり、P型とR型の違いを記述する問題です。

よく出る記述ポイント:

比較項目 P型受信機 R型受信機
信号方式 共通線式(アナログ) 固有信号式(デジタル)
火災の特定 回線(ゾーン)単位 感知器1つ単位
表示方法 地区表示灯(ランプ) 液晶画面に文字表示

パターン③|「試験器具の名称と用途を答えよ」

試験器具の写真が示され、名称と何に使うかを答える問題です。

最低限覚えるべきセット:

  • 加熱試験器 → 熱感知器の作動試験に使う
  • 加煙試験器 → 煙感知器の作動試験に使う
  • 回路計(テスター) → 配線の導通確認・抵抗値の測定に使う
  • 絶縁抵抗計(メガー) → 配線の絶縁抵抗を測定し、漏電がないか確認する

試験で「回路計と絶縁抵抗計の違い」を聞かれることがあります。回路計は導通(つながっているか)を調べる道具、絶縁抵抗計は絶縁(漏れていないか)を調べる道具。目的が真逆です。

パターン④|「感知器の動作原理の違いを答えよ」

2種類の感知器を比較して、動作原理の違いを記述する問題です。特に頻出なのが差動式と定温式の違いです。

比較項目 差動式 定温式
検知する対象 急激な温度上昇 一定温度に達したこと
動作原理 空気の膨張でダイヤフラムが押される バイメタルが一定温度で変形
向いている場所 一般居室、事務室 厨房、ボイラー室

なぜ厨房に定温式を使うのか?差動式は「急激な温度上昇」を検知するため、調理による温度上昇で非火災報(誤報)を出しやすいからです。定温式なら、あらかじめ設定された温度(例えば75℃)に達しない限り作動しないため、厨房でも安心です。

各感知器の動作原理は「差動式感知器(スポット型・分布型)」「定温式感知器(スポット型・感知線型)」で詳しく解説しています。

パターン⑤|「回路図・配線に関する問題」

簡単な回路図が示され、終端抵抗の役割や配線方式について答える問題です。

  • 終端抵抗(終端器):感知器回路の末端に接続する抵抗器。断線を監視するために入れる。もし配線が切れると回路の抵抗値が変わり、受信機が「断線」を検出できる
  • 送り配線:感知器を数珠つなぎにする配線方式。1本の回線に複数の感知器を接続する

配線の詳しい解説は「中継器・配線の種類と耐火耐熱保護」をどうぞ。

実戦練習問題(5問)

本番と同じ形式の練習問題です。自分で解答を書いてから、答え合わせしてください。

【問1】感知器の名称

次の感知器の名称を答えなさい。この感知器は天井面に設置されており、側面にスリット状の開口部がある。

【写真】側面にスリットがある天井設置型感知器
(画像準備中 — Geminiで生成後に差し替え)
解答を見る

正解:光電式スポット型感知器

側面にスリット状の開口部がある → 煙を取り込む必要がある → 煙感知器。天井にスポット型で設置 → 光電式スポット型感知器です。内部では発光部から出た光が煙の粒子に当たって散乱し、受光部がその散乱光を検知して発報します。オフィスや廊下など一般的な居室に広く設置されています。

【問2】受信機の操作盤

次の受信機の操作盤について、(ア)〜(ウ)の名称をそれぞれ答えなさい。

【図】P型受信機の操作盤
(ア)上部の赤いランプ
(イ)回線番号の横に並ぶ表示灯
(ウ)「復旧」と書かれたスイッチ
(画像準備中 — Geminiで生成後に差し替え)
解答を見る

正解:(ア)火災灯 (イ)地区表示灯(地区窓) (ウ)復旧スイッチ

火災灯は火災信号を受信すると赤く点灯し、管理者に火災の発生を知らせます。地区表示灯はどの回線(ゾーン)から信号が来たかを示します。復旧スイッチは発報状態を解除して受信機を通常監視状態に戻すときに使います。

【問3】試験器具の名称と用途

次の器具の名称を答えなさい。また、何の試験に使用するか述べなさい。この器具は長い棒の先端にカップ状の部分があり、内部に煙を発生させる部品が組み込まれている。

【写真】長い棒の先端にカップ状の煙発生部を持つ器具
(画像準備中 — Geminiで生成後に差し替え)
解答を見る

正解:加煙試験器

用途:煙感知器の作動試験に使用する。カップ部分を天井の煙感知器にかぶせ、内部で煙を発生させて感知器が正常に発報するかを確認する器具です。似た形の「加熱試験器」は熱感知器用で、こちらはヒーターで加熱します。名前に「煙」が入っているので煙感知器用、「熱」が入っていたら熱感知器用、と対応させて覚えましょう。

【問4】感知器の動作原理

差動式スポット型感知器と定温式スポット型感知器の動作原理の違いを説明しなさい。また、厨房に設置するのに適しているのはどちらか、理由とともに答えなさい。

解答を見る

正解:

差動式:周囲の温度が急激に上昇したときに作動する。内部の空気室の空気が熱膨張し、ダイヤフラムを押し上げて接点を閉じる仕組み。

定温式:周囲の温度が一定値(公称作動温度)に達したときに作動する。バイメタルが熱で変形して接点を閉じる仕組み。

厨房に適しているのは定温式。理由:差動式は温度の「変化率」を検知するため、調理による急激な温度上昇で非火災報(誤報)を出しやすい。定温式なら設定温度に達しない限り作動しないため、通常の調理温度では反応せず、本当の火災時にのみ作動する。

【問5】終端抵抗の役割

自動火災報知設備の感知器回路の末端に接続されている「終端抵抗(終端器)」の役割を説明しなさい。

解答を見る

正解:終端抵抗は、感知器回路の断線を監視するために接続する。

受信機は常に回路の抵抗値を監視しています。終端抵抗があることで、正常時は一定の抵抗値が保たれます。もし途中の配線が切れると、回路の抵抗値が無限大に変化するため、受信機が「断線」として異常を検出できます。終端抵抗がなければ、配線が切れても気づけず、火災時に感知器の信号が届かない事態になりかねません。

まとめ

甲4/乙4の鑑別問題を攻略するポイントをおさらいします。

鑑別攻略 3つのチェックポイント

  1. 煙の取り入れ口があるか?(スリット/メッシュ → 煙感知器、なし → 熱 or 炎)
  2. 設置場所は天井か壁か?(銅管→分布型、対向2台→分離型、レンズ付き→炎)
  3. 刻印・ラベルの情報(温度表示→定温式、なし→差動式)

頻出5パターン

  1. 感知器の名称を正式名称で答える
  2. 受信機の操作盤の名称を答える(火災灯・地区表示灯・復旧スイッチ)
  3. 試験器具の名称と用途を答える(加熱→熱、加煙→煙)
  4. 感知器の動作原理の違いを記述する
  5. 終端抵抗の役割を答える

感知器は種類が多いですが、フローチャートの「煙の取り入れ口→設置場所→刻印」の3ステップで整理すれば、迷うことなく正解にたどり着けます。

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