甲種2類は、泡消火設備などを扱う資格
消防設備士の甲種2類は、泡消火設備を中心とする第2類の工事、整備、点検に関わる資格です。消防試験研究センターの案内では、第2類の工事整備対象設備等は次の4区分です。
- 泡消火設備
- パッケージ型消火設備
- パッケージ型自動消火設備
- 特定駐車場用泡消火設備
この記事では、甲種2類の試験構成を確認したうえで、構造・機能、機械と電気の基礎、法令、工事・整備、鑑別等、製図へ進む学習順をまとめます。
受験前の確認
甲種には受験資格が必要です。試験日程、必要な証明書、科目免除、試験手数料は、消防試験研究センターと受験する支部の最新案内を確認してください。
乙種2類を受験する方は、乙種2類ロードマップをご覧ください。乙種は工事と製図がなく、問題数と試験時間も甲種とは異なります。
甲種2類の試験構成
科目免除がない甲種第2類は、筆記45問と実技7問です。筆記には機械と電気の両方が含まれ、実技は鑑別等5問・製図2問です。
| 区分 | 試験科目 | 内訳 | 問題数 |
|---|---|---|---|
| 筆記 | 消防関係法令 | 共通8問・類別7問 | 15問 |
| 筆記 | 基礎的知識 | 機械6問・電気4問 | 10問 |
| 筆記 | 構造・機能・工事・整備 | 機械10問・電気6問・規格4問 | 20問 |
| 実技 | 鑑別等・製図 | 鑑別等5問・製図2問 | 7問 |
科目免除がない場合、甲種特類以外の試験時間は3時間15分です。筆記と実技を同じ時間内で解きます。免除がある場合は、免除される問題数に応じて試験時間が短縮されます。
合格基準は筆記と実技を分けて確認する
特類以外の合格基準は、筆記で各科目40%以上かつ筆記全体60%以上、さらに実技で60%以上です。筆記全体が60%に達していても、法令・基礎・構造等のいずれかが40%未満なら基準を満たしません。
実技は鑑別等と製図を合わせた成績で判定されます。公式情報は「製図2問が60点満点」といった設問別配点を公表していないため、独自の配点を前提に時間配分を固定しないようにします。
受験資格と科目免除を先に確認する
甲種第2類は、誰でも受験できる試験ではありません。指定学科・課程の卒業や必要単位の修得、実務経験、別類の甲種消防設備士免状、電気工事士など、複数の受験資格があります。該当区分ごとに必要な証明書も異なります。
また、所持資格によっては申請により一部科目が免除される場合があります。免除の可否は受験申請時に確認し、証明書を準備します。以前に甲種試験の受験願書が受理された場合の証明方法もあるため、公式の受験資格ページを確認してください。
免除と学習範囲は同じではない
試験で免除される科目があっても、その知識が鑑別等や製図の条件理解に必要になることがあります。配管、ポンプ、電気回路などに不安があれば、必要な基礎だけ復習してください。
おすすめの学習順序
泡消火設備は、水、泡消火薬剤、混合装置、配管、弁、泡放出口、起動装置などが連動して働きます。設備の流れを理解してから、薬剤、法令、点検、図面を結びつけると整理しやすくなります。
| Step | 学ぶ分野 | 目的 |
|---|---|---|
| 1 | 全体像 | 泡の生成、消火原理、設備構成をつかむ。 |
| 2 | 薬剤・構造・機能 | 薬剤の規格、混合、放出口、起動方式を区別する。 |
| 3 | 機械・電気の基礎 | 圧力・流量・ポンプ・回路の土台を作る。 |
| 4 | 法令類別 | 設置対象と方式別の技術基準を整理する。 |
| 5 | 工事・整備・点検 | 機器の確認方法と測定・試験を理解する。 |
| 6 | 鑑別等・製図 | 写真・器具・図面・計算を横断して練習する。 |
Step 1:泡消火設備の全体像
最初に、泡水溶液が作られ、泡として放出されるまでの流れを確認します。低発泡と高発泡、固定式と移動式、全域放出方式と局所放出方式を、名称だけでなく用途と構成で区別します。
- 泡消火設備の仕組み:泡の生成、消火原理、低発泡・高発泡、固定式・移動式、基本構成。
低発泡と高発泡の区分、膨張比、25%還元時間は似た数値が並びます。用語の定義と、設置基準・薬剤規格・点検基準のどこで使われる数値なのかを分けて整理してください。
Step 2:薬剤・構造・機能
次に、泡消火薬剤と設備構成を学びます。薬剤の性質を未出典の優劣ランキングで覚えるのではなく、法定の種類、希釈容量濃度、規格試験、適用する設備条件を確認します。
- 泡消火薬剤の種類と性能基準:たん白泡、合成界面活性剤泡、水成膜泡の法定定義、希釈容量濃度、性能試験、混合装置。
- 泡消火設備の泡放出口と起動方式:固定式・移動式、低発泡・高発泡の放出口、起動経路、一般防火対象物と危険物施設の区別。
混合方式や放出口の構造は、設備方式、型式、メーカーの設計によって異なります。特定メーカーの型番や外観だけで機器を決めつけず、問題文、写真の特徴、凡例、設計図書を確認します。
Step 3:機械と電気の基礎
甲種第2類の基礎的知識は、機械6問と電気4問です。さらに構造・機能・工事・整備にも機械10問、電気6問が含まれます。甲種1類を取得していることは前提ではありません。必要な分野を選んで基礎から確認できます。
機械の基礎
- 力のつりあいとモーメント:力の合成・分解、モーメント。
- 荷重・応力・ひずみ:応力、ひずみ、フックの法則、安全率。
- 材料の性質:金属、ゴム、合成樹脂。
- 圧力・流体の基礎:圧力、パスカルの原理、気体の法則。
- 腐食と防食:腐食の種類と防食方法。
- ポンプの種類と性能:ポンプ、全揚程、性能曲線、キャビテーション。
- 配管の流体力学:流量、摩擦損失、等価管長、全揚程。
電気の基礎
- オームの法則と合成抵抗:電圧・電流・抵抗、直列・並列回路。
- 電力・電力量・ジュール熱:電力と発熱量の計算。
- 交流回路の基礎:実効値、インピーダンス、力率。
- 電磁気の基礎:電磁誘導、電動機、変圧器。
- 電気計測器の基礎:電圧計、電流計、抵抗計の接続と用途。
製図や設備構成と直接つながるのは、ポンプ・配管、起動装置、電動機、非常電源などです。基礎記事をすべて同じ深さで読むのではなく、間違えた分野へ戻る使い方ができます。
Step 4:法令類別
構造が見えてきたら、消防法施行令第13条・第15条と消防法施行規則第18条を中心に、設置対象と技術基準を整理します。
- 泡消火設備の設置義務と技術基準:航空機格納庫、道路、修理・整備部分、駐車部分、指定可燃物、固定式・移動式、放射量、水源、薬剤量。
施行令第13条は、対象となる部分ごとに選択できる消火設備が異なります。「水噴霧・泡・不活性ガス・ハロゲン化物・粉末から常に自由に選べる」と一括りにせず、表の対象行と下欄を組み合わせて確認します。
また、2026年3月6日の改正では、駐車部分に設けるフォームヘッドのうち、消防庁長官が定める初期抑制性能を持つ設備に関する基準が追加されました。古い教材の数値だけに固定せず、現行条文と告示を確認してください。
Step 5:工事・整備・点検
工事・整備では、薬剤貯蔵槽、混合装置、弁類、配管、泡放出口、起動装置を、設置位置と機能の両面から確認します。点検は、機器点検と総合点検、固定式と移動式、低発泡と高発泡で内容を分けます。
- 泡消火設備の点検方法:機器点検・総合点検、発泡倍率、25%還元時間、混合率、固定式・移動式の確認方法。
発泡倍率や混合率は、容器や測定方法を一つに固定しません。消防庁の点検要領、設計図書、製品資料に示された条件と判定方法を確認します。
Step 6:鑑別等と製図
実技試験は写真・イラスト・図面等による記述式です。部品名だけを暗記するのではなく、用途、接続先、点検方法、問題文で指定された条件まで答えられるようにします。
- 甲種2類・乙種2類の鑑別等対策:器具・機器の名称、用途、測定方法を確認する。
- 甲種2類の製図対策:高発泡の泡放出口数、冠泡体積、最少放出量、低発泡の放射量・薬剤量、図面と凡例の読み方。
公式公開問題の使い方
消防試験研究センターは、公開している問題が過去に出題した問題の一部であり、学習の目安であると案内しています。現在の甲種公開問題では、第2類の鑑別等として泡の点検に用いる器具、第2類の製図として全域放出方式の高発泡用泡消火設備が扱われています。
公開問題は、非公開の出題頻度を集計する資料ではありません。写真・図面の提示方法、記述欄、条件の読み方を確認し、同じテーマを別の数値や表現でも説明できるように使います。
法令共通も並行して確認する
消防関係法令15問のうち、共通部分は8問、類別部分は7問です。泡消火設備の条文だけで閉じず、消防法の目的、消防用設備等の設置・維持、消防設備士制度、点検報告制度なども確認します。
- 消防設備士の法令共通ロードマップ:法令共通の学習順を確認する。
- 消防法の目的:消防法第1条。
- 消防法令上の定義:防火対象物、消防対象物、関係者など。
- 消防用設備等の設置及び維持:消防法第17条と施行令別表第一。
- 消防用設備等の点検報告制度:点検と報告の仕組み。
- 消防設備士制度:甲種・乙種の業務範囲と免状。
学習を進める5つのポイント
- 設備の流れを言葉で説明する
水源、加圧送水装置、混合、配管、弁、放出口までの役割を、方式ごとに説明します。 - 数値に適用条件を付ける
放射量、時間、面積、膨張比は、対象物・薬剤・設備方式と組み合わせて記録します。 - 一般防火対象物と危険物施設を分ける
消防法施行規則第18条と、危険物施設に関する基準を同じ表へ混在させません。 - 計算は式・単位・端数処理を残す
面積、体積、L/min、L、m³を区別し、何を求めた量なのかを書きます。 - 間違えた科目へ戻る
法令・基礎・構造等には科目ごとの基準があります。正答数の合計だけでなく、弱い科目を特定して戻ります。
学習記録の作り方
学習時間や合格確率は、前提知識、科目免除、試験日までの期間によって変わります。一律の時間表より、次の項目を記録する方が進捗を判断しやすくなります。
- 公式の試験科目ごとの正答数
- 間違えた理由:知識不足、条件の読み落とし、計算、単位、記述
- 戻る記事と条文
- もう一度解く日
- 製図で使った式と図面条件
一周目は構造の理解、二周目は法令と数値、三周目は鑑別等・製図の記述というように、目的を分けて回す方法もあります。
参考情報
- 消防試験研究センター「消防設備士試験」
- 消防試験研究センター「試験科目及び問題数」
- 消防試験研究センター「試験の方法・合格基準」
- 消防試験研究センター「受験資格」
- 消防試験研究センター「甲種について」
- 消防試験研究センター「過去に出題された問題」
- e-Gov法令検索「消防法施行令」
- e-Gov法令検索「消防法施行規則」
- 総務省消防庁「消防法施行規則の一部を改正する省令等について」
試験制度、法令、告示、公開問題は更新されます。受験申請時と試験直前に、公式の最新情報を確認してください。
※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。図や画像だけで機器を判断せず、製品表示・取扱説明書・公式資料を確認してください。
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