甲種5類は、3種類の避難器具を扱う資格
消防設備士の甲種5類は、金属製避難はしご・救助袋・緩降機の工事、整備、点検に関わる資格です。甲種には受験資格が必要で、乙種5類とは異なり実技試験に製図2問が含まれます。
一方、消防法施行令第25条の適応表には、すべり台、避難橋、避難ロープなどを含む8種類の避難器具が登場します。「第五類の工事整備対象設備等は3種類」「設置義務や適応表では8種類を確認する」と分けて学ぶことが大切です。
この記事では、公式の試験科目と合格基準を確認したうえで、避難器具の構造、機械の基礎、法令、工事・整備、鑑別等、製図へ進む順序を整理します。
受験前の確認
甲種には受験資格が必要です。試験日程、必要な証明書、科目免除、試験手数料は、消防試験研究センターと受験する支部の最新案内を確認してください。
乙種5類には製図がなく、問題数と試験時間も甲種とは異なります。受験する種別に対応した公式の問題数一覧を確認してください。
甲種5類の試験構成
科目免除がない甲種第5類は、筆記45問と実技7問です。第5類は電気の問題がなく、基礎的知識と構造・機能・工事・整備は機械分野で構成されています。
| 区分 | 試験科目 | 内訳 | 問題数 |
|---|---|---|---|
| 筆記 | 消防関係法令 | 共通8問・類別7問 | 15問 |
| 筆記 | 基礎的知識 | 機械10問 | 10問 |
| 筆記 | 構造・機能・工事・整備 | 機械12問・規格8問 | 20問 |
| 実技 | 鑑別等・製図 | 鑑別等5問・製図2問 | 7問 |
科目免除がない場合、甲種特類以外の試験時間は3時間15分です。筆記は四肢択一式、実技は写真・イラスト・図面等による記述式で、同じ試験時間内に解きます。免除がある場合は、免除される問題数に応じて試験時間が短縮されます。
合格基準は筆記と実技を分けて確認する
特類以外の合格基準は、筆記で各科目40%以上かつ筆記全体60%以上、さらに実技で60%以上です。筆記全体が60%に達していても、法令・基礎・構造等のいずれかが40%未満なら基準を満たしません。
実技は鑑別等と製図を合わせた成績で判定されます。公式情報は、製図だけの点数や設問ごとの配点を公表していません。非公表の配点を前提に、学習時間や本番の時間配分を固定しないようにします。
受験資格と科目免除を先に確認する
甲種第5類は、誰でも受験できる試験ではありません。指定学科・課程の卒業や必要単位の修得、実務経験、受験する類以外の甲種消防設備士免状、電気工事士、建築士など、複数の受験資格があります。該当する区分によって必要書類が異なります。
所持資格によっては、申請により一部科目が免除される場合があります。第5類の免除内容は他類と同じではないため、消防試験研究センターの「甲種用の試験の一部免除・試験時間・試験問題数一覧表」で確認してください。
免除と学習範囲は同じではない
法令共通が免除される場合でも、消防設備士の業務範囲や点検報告制度の理解は実務に必要です。免除欄を確認したうえで、不足している知識だけ復習してください。
おすすめの学習順序
避難器具は、器具本体だけでなく、開口部、操作面積、降下空間、避難空地、取付け具、固定部を一体として理解する必要があります。まず器具の動きと構造をつかみ、次に機械、法令、点検、実技を結びつけます。
| Step | 学ぶ分野 | 目的 |
|---|---|---|
| 1 | 全体像 | 8種類の避難器具と第五類の対象3種類を分ける。 |
| 2 | 構造・機能・規格 | 器具の構成、動き、強度、使用条件を区別する。 |
| 3 | 機械の基礎 | 力、モーメント、材料、応力、滑車の計算を学ぶ。 |
| 4 | 法令 | 設置対象、適応器具、必要個数、設置維持基準を整理する。 |
| 5 | 工事・整備・点検 | 器具別の確認方法、降下、取付部、記録を理解する。 |
| 6 | 鑑別等・製図 | 写真、図面、文章、計算式で答える練習をする。 |
Step 1:避難器具の全体像
最初に、消防用設備等の中で避難器具がどのような役割を持つかを確認します。次に、施行令第25条の表に登場する8種類と、第五類の対象3種類を区別します。
- 避難器具の全体像:8種類の避難器具、第五類の対象、甲種と乙種の業務範囲、設置義務、適応表の読み方。
「避難器具8種類のすべてを第五類の消防設備士が工事・整備する」と覚えるのは誤りです。試験の類別法令では8種類の適応関係を確認し、工事・整備の業務範囲では金属製避難はしご・救助袋・緩降機を確認します。
Step 2:構造・機能・規格
器具名を暗記するだけでなく、構成部品、使用時の動き、固定方法、使用者を保護する構造を結びつけます。写真だけでメーカーや型式を決めつけず、問題文の条件と図中の部位を確認します。
- 緩降機・救助袋の構造:緩降機の調速器・ロープ・着用具・取付け具、最大使用荷重と降下速度、救助袋の垂直式・斜降式、操作面積、検定対象の違い。
- 避難はしご・すべり台の構造:固定・立てかけ・つり下げの3区分、ハッチ用、縦棒・横桟、突子、すべり台・避難橋などの構造。
現在の公式公開問題では、構造・機能の例として、つり下げはしごに設ける突子の目的が問われています。規格の例では、緩降機の調速器に求められる構造が問われています。数値だけでなく、「その部品が何のためにあるか」を説明できるようにします。
Step 3:機械の基礎
甲種第5類では、基礎的知識10問と、構造・機能・工事・整備の機械12問があります。電気分野はありませんが、力や材料の理解は製図の荷重計算にもつながります。
先に確認する分野
- 力のつり合い、滑車、仕事、重心
- モーメントと支点に働く力
- 引張り、圧縮、せん断、曲げ、ねじり
- 応力、ひずみ、弾性
- 鉄鋼、アルミニウム、合成樹脂などの材料
- 腐食、防食、ボルト・アンカーによる固定
現在の公式公開問題には、滑車を使った力のつり合い、アルミニウムと鉄材の比較、リベットに生じるせん断応力が掲載されています。製図対策だけに偏らず、機械10問を一つの科目として学習記録に残してください。
Step 4:法令共通と類別法令
消防関係法令15問のうち、共通部分は8問、類別部分は7問です。類別法令では、設置対象となる階と収容人員、適応する器具、必要個数、減免、設置・維持の細目を条件ごとに確認します。
- 消防設備士の法令共通ロードマップ:消防法の目的、消防用設備等の設置・維持、消防設備士制度、点検報告制度を整理する。
- 避難器具の設置義務:施行令第25条第1項の5基準、収容人員、設置個数、施行規則第26条の読み替えと控除を確認する。
- 避難器具の降下空間・操作面積:開口部、操作面積、降下空間、避難空地、避難通路、標識、固定部を器具別に確認する。
収容人員を20・30・50・100人だけで覚えると、下階の用途による10人基準、直通階段が2以上ない階の10人基準、100人と150人の区分などを落とします。用途、階、下階、直通階段、収容人員を順に確認します。
現在の公式公開問題では、避難器具の設置個数を算定する人員数を2倍に読み替えられる条件が問われています。耐火構造、避難階段または特別避難階段、階段数を一つの条件として読む練習が必要です。
Step 5:工事・整備・点検
構造と法令を確認したら、消防庁の点検基準、点検要領、点検票に沿って、どの部分をどの方法で確認するかを整理します。
- 避難器具の点検・整備:機器点検6か月、総合点検1年、周囲・標識・本体・取付具・支持部・格納状況、器具別の降下確認、点検票。
避難器具の点検を「外観点検と機能点検の二段階」や「すべての器具に砂袋を用いる荷重試験」と一律化しないようにします。機器点検と総合点検を分け、器具ごとの点検要領で確認します。
実際の工事・整備は、設置場所の構造、器具の設計図書、認定・検定情報、所轄消防機関の運用を確認して行います。学習用の概算や一般例だけで固定方法を決めないでください。
Step 6:鑑別等と製図
実技試験は、写真・イラスト・図面等による記述式です。名称だけでなく、部位、役割、計算条件、単位、根拠となる式を短く書く練習をします。
現在の公式公開問題から確認できること
第五類の鑑別等では、金属拡張アンカーボルトの図から、呼び径とスリーブの長さに該当する部分を記号で答える問題が公開されています。
製図では、一人用緩降機の取付け具を題材に、次の4項目を計算します。
- 固定部を設計する際の基本荷重
- 取付け具の支点に働く力
- 金属拡張アンカーの最少本数
- 金属拡張アンカー相互の最小間隔
公式公開例の解答は、基本荷重4kN、支点に働く力14kN、M10アンカー3本、最小間隔140mmです。これは公開例の条件に対する解答であり、別の人数、寸法、呼び径、コンクリート強度では値が変わります。
- 甲種5類の製図:基本荷重、モーメント、支点に働く力、F÷N<Pによるアンカー本数、埋込深さ・間隔・へりあき・穿孔深さを確認する。
公開問題の位置づけ
消防試験研究センターは、消防設備士として習得すべき知識・技能の目安として、過去に出題した問題の一部を公開しています。公開された1組だけから出題頻度や設問別配点を推定せず、写真・図面・記述欄・条件の読み方を確認する資料として使います。各記事の確認問題は公式問題の転載ではありません。
学習の進み具合を確認するチェックリスト
必要な学習時間は、前提知識、科目免除、計算への慣れ、試験日までの期間によって変わります。一律の時間表や合格の見込みを示す独自数値ではなく、次の項目を自分で説明・計算できるか確認します。
- 避難器具8種類と、第五類の対象3種類を区別できる
- 甲種と乙種の業務範囲、問題数、実技の違いを説明できる
- 緩降機、救助袋、金属製避難はしごの主要部品と役割を説明できる
- 固定・立てかけ・つり下げはしごを構造で区別できる
- 施行令第25条第1項のどの基準に該当するか確認できる
- 適応表、必要個数、2倍読み替え、階段による控除を混同していない
- 器具別の開口部、操作面積、降下空間、避難空地を調べられる
- 機器点検と総合点検、器具別の降下確認を区別できる
- 力のつり合いとモーメントから支点に働く力を計算できる
- 許容引抜荷重と不等号を使ってアンカー本数を計算できる
- 筆記の法令・機械・構造等と実技を分けて学習記録を付けている
学習記録の作り方
問題を解いたら、正誤だけでなく、間違えた理由と戻る資料を残します。
| 記録項目 | 記録例 |
|---|---|
| 科目 | 法令、機械、構造等、鑑別等、製図 |
| 原因 | 条件の読み落とし、器具の混同、単位、式、記述不足 |
| 戻る場所 | 該当記事、条文、告示、点検要領、公式案内 |
| 再確認 | 条件を説明できるか、別の数値でも計算できるか |
一周目は器具の構造と動き、二周目は法令と数値、三周目は記述と計算というように、目的を分けて繰り返す方法もあります。固定した日数より、チェックリストで不足項目がなくなったかを基準にします。
公式資料
- 消防試験研究センター「消防設備士試験」
- 消防試験研究センター「試験科目及び問題数」
- 消防試験研究センター「試験の一部免除・試験時間・試験問題数一覧表(甲種)」
- 消防試験研究センター「試験の方法・合格基準」
- 消防試験研究センター「甲種について」
- 消防試験研究センター「過去に出題された問題」
- 消防設備士試験 甲種の公式公開問題・解答
- e-Gov法令検索「消防法施行令」
- e-Gov法令検索「消防法施行規則」
- 消防庁告示第2号「避難器具の設置及び維持に関する技術上の基準の細目」
※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。図や画像だけで機器を判断せず、製品表示・取扱説明書・公式資料を確認してください。
記事、模擬試験、ミニテストは学習の補助を目的としています。試験の申請や実務上の判断では、最新の法令、試験実施機関、所轄消防機関、製品の公式資料等も確認してください。
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