甲種4類

受信機の種類と機能|P型・R型・GP型・GR型をわかりやすく解説

結論:受信機は自火報の「心臓部」で、P型・R型・GP型・GR型の4タイプがある

結論から言います。

受信機とは、感知器や発信機からの火災信号を受けて、火災の場所を表示し、ベルを鳴らす装置です。自火報(自動火災報知設備)のシステム全体をコントロールする「心臓部」で、防災センターや管理人室など常時人がいる場所に設置されます。

受信機には大きく4つの型があります。

受信機の4タイプ
P型
回線方式
区域ごとに専用回線
小〜中規模向け
R型
アドレス方式
感知器を個別識別
大規模向け
GP型
P型+ガス漏れ
警報機能を兼用
GR型
R型+ガス漏れ
警報機能を兼用

甲種4類の試験で最も多く出るのはP型受信機です。特に「P型1級とP型2級の違い」は超頻出なので、しっかり押さえましょう。

P型受信機 ― 回線ごとに区域を判別する方式

P型(Proprietary型)は、警戒区域ごとに1本の専用回線を引く方式です。ある回線の感知器が作動すると、受信機は「この回線=この区域で火災が起きた」と判断します。

前回の全体像の記事で触れたとおり、P型は「どの区域か」まではわかるが「どの感知器か」まではわからない方式です。

P型受信機は、搭載する機能によって1級・2級・3級の3段階に分かれます。

P型1級受信機 ― フル装備の上位モデル

P型1級は最も多機能な受信機です。接続できる回線数に制限がなく、大規模な建物にも対応できます。

P型1級受信機の特徴
回線数:制限なし
火災表示試験:あり(全回線の表示を受信機側で確認)
導通試験:あり(回線の断線を受信機側でチェック)
地区音響:一斉鳴動+区分鳴動が可能
蓄積機能:搭載可能(蓄積型の場合)
スイッチ注意灯:あり

火災表示試験導通試験の2つの試験機能を持っているのが最大の特徴です。大規模な建物では回線数が多いため、受信機側で試験できないと点検作業が非常に大変になります。

P型2級受信機 ― 小規模向けのシンプルモデル

P型2級は5回線以下の小規模な建物向けのシンプルな受信機です。

P型2級受信機の特徴
回線数:5回線以下
火災表示試験:なし
導通試験:なし
地区音響:一斉鳴動のみ
蓄積機能:なし
スイッチ注意灯:あり

試験機能がない分、受信機のサイズもコストもコンパクトです。5回線以下なら現場で直接確認しても負担が小さいため、受信機に試験機能を持たせる必要がない、という考え方です。

P型3級受信機

P型3級は1回線のみの最も簡易な受信機です。特定小規模施設(共同住宅の住戸内など)で使われます。試験にはほとんど出ませんので、「1回線だけの簡易タイプ」と覚えておけば十分です。

P型1級 vs P型2級 ― ここが試験に出る!

項目 P型1級 P型2級
回線数 制限なし 5回線以下
火災表示試験 あり なし
導通試験 あり なし
地区音響 一斉+区分鳴動 一斉鳴動のみ
蓄積機能 搭載可能 なし

覚え方のコツ:P型1級は「大規模=試験機能が必要」、P型2級は「小規模=シンプルでOK」と対比で覚えましょう。試験で「P型2級受信機で火災表示試験ができる」と出たら×です。

R型受信機 ― 感知器1つ1つを識別する方式

R型(Record型)は、感知器に固有のアドレス(番号)を持たせて、1つ1つを個別に識別できる方式です。

R型受信機の特徴
信号方式:アドレス付きデジタル信号
場所特定:感知器単位でピンポイント表示
配線:共通の伝送路(回線本数が少ない)
記録機能:火災情報の履歴を記録(Record)
中継器:必要(感知器と受信機の間で信号変換)

R型では、感知器と受信機の間に中継器を置きます。中継器が各感知器のアドレスを管理し、デジタル信号で受信機に伝送するしくみです。

なぜR型は大規模建物向け?

たとえば100の警戒区域がある大型ビルを考えてみてください。

P型なら100本の専用回線を受信機から引く必要があります。配線だけで膨大な費用と手間がかかります。

R型なら、共通の伝送路を通して信号を送るため、配線がはるかにシンプルになります。機器自体はP型より高価ですが、大規模建物では配線コストが大幅に下がるため、トータルでは経済的になることが多いのです。

P型とR型の比較

項目 P型 R型
信号方式 回線の電流変化 アドレス付きデジタル信号
場所特定 警戒区域まで 感知器単位まで
配線 区域ごとに専用回線 共通の伝送路
向いている規模 小〜中規模 大規模

GP型・GR型受信機 ― ガス漏れにも対応

GP型・GR型の「G」はガス(Gas)です。

GP型
P型受信機+
ガス漏れ警報の受信機能
→ 1台で両方を管理
GR型
R型受信機+
ガス漏れ警報の受信機能
→ 1台で両方を管理

つまり、自火報とガス漏れ火災警報設備を1台の受信機で兼用するタイプです。

温泉施設(硫化水素)や地下街(都市ガス)など、可燃性ガスを扱う建物で自火報とガス漏れ警報の両方が必要な場合に使います。GP型にもP型と同じく1級・2級・3級の区分があります。

試験では「GP型=P型にガス漏れ機能を追加したもの」「GR型=R型にガス漏れ機能を追加したもの」という基本を押さえておけばOKです。

受信機の主な機能と表示

型の違いを理解したところで、受信機に共通する主な機能を見ていきましょう。

受信機の主な表示・操作部
表示ランプ
火災灯(赤)
地区表示灯
電源灯(緑)
スイッチ注意灯(黄)
操作スイッチ
火災復旧スイッチ
音響停止スイッチ
地区音響停止スイッチ
音響
主音響装置
(受信機内蔵のブザー)
火災信号で自動鳴動

火災灯(赤色ランプ)

火災信号を受信すると点灯する赤色のランプです。受信機を見たとき、真っ先に目に入ります。

重要なのは自己保持機能です。火災灯は一度点灯すると、火災復旧スイッチを操作するまで消えません。仮に感知器が復旧しても、受信機側は「火災があった」という表示を保持し続けます。

地区表示装置

どの警戒区域で火災が起きたかを示す表示です。P型では「回線1」「回線2」のように回線番号で表示し、R型ではアドレスで表示します。

こちらも火災灯と同様に復旧操作まで表示が保持されます。管理者が駆けつけたとき、「どこで火災が起きたか」が確実にわかるようにするためです。

主音響装置

受信機に内蔵されたブザーです。火災信号を受信すると自動で鳴り、受信機の近くにいる管理者に「火災信号が来たぞ」と知らせます。

建物の各階に設置される地区音響装置(ベル等)とは別物です。主音響装置は受信機のそば、地区音響装置は建物全体――この区別は試験で問われます。

火災復旧スイッチ

火災表示(火災灯・地区表示)をリセットするスイッチです。火災が確認・処理された後、このスイッチで受信機を通常の監視状態に戻します。

復旧操作をしないと、次の火災信号を正常に受信できなくなります。復旧忘れは事故の元です。

音響停止スイッチ

主音響装置や地区音響装置の鳴動を停止するスイッチです。誤報の確認時や、避難完了後に使います。

注意:停止後に戻し忘れると、次の火災時にベルが鳴らなくなります。戻し忘れ防止のために、次に紹介する「スイッチ注意灯」が用意されています。

スイッチ注意灯(黄色ランプ)

受信機のスイッチが正常な位置にないときに点灯する黄色のランプです。

たとえば「音響停止のまま戻し忘れている」「試験中のスイッチが元に戻っていない」――こうした状態を一目で警告します。スイッチ注意灯が点いていたら、受信機が正しい監視状態にないということです。

電源灯(緑色ランプ)

常用電源(AC100V)が正常に供給されていることを示す緑色のランプです。停電すると消灯し、自動的に予備電源(蓄電池)に切り替わります。

蓄積機能 ― 誤報を減らすしくみ

P型1級受信機には蓄積機能を搭載できます(蓄積型)。

非蓄積型
感知器が作動
即座に火災と判断
すぐベルが鳴る
蓄積型
感知器が作動
5〜60秒信号が続くか確認
続けば火災と判断

蓄積機能の目的は、非火災報(誤報)を減らすことです。

タバコの煙や料理の湯気で感知器が一瞬反応してしまうケースがあります。蓄積型なら、信号が一定時間(5〜60秒)続かなければ火災とは判断せず、無駄なベル鳴動を防げます

ただし、発信機からの信号は蓄積しません。人が「火事だ!」と判断して押したボタンを「ちょっと待って」と保留したら意味がありませんよね。発信機の信号は即座に火災と判断されます。

区分鳴動 ― 段階的にベルを鳴らす方式

P型1級受信機では、地区音響装置の鳴動方法として区分鳴動を設定できます。

一斉鳴動
火災信号を受信
全館のベル
一斉に鳴る
区分鳴動
まず出火階+直上階だけ鳴動
一定時間経過後
全館鳴動に切替え

なぜ区分鳴動が必要なの?

大きな建物でいきなり全館のベルが鳴ると、火災の場所がわからないまま大勢の人が一斉に逃げようとして、階段や出口に殺到する危険があります。

区分鳴動なら、まず出火階とその直上階の人を優先的に避難させ、その後で他の階にも知らせるという段階的な対応ができます。パニックによる二次被害を防ぐための方式です。

P型2級は一斉鳴動のみです。5回線以下の小規模な建物では、そもそも段階的に鳴らす必要がないからです。

受信機の選び方まとめ

どの受信機を使う?
小規模(5警戒区域以下) → P型2級
中〜大規模(6警戒区域以上) → P型1級
超大規模(配線コストを抑えたい) → R型
上記+ガス漏れ警報が必要 → GP型 or GR型

全体のまとめ

受信機 チェックリスト
受信機の4型:P型・R型・GP型・GR型
P型の等級:1級(制限なし)・2級(5回線以下)・3級(1回線)
P型1級と2級の最大の違い:試験機能(火災表示試験・導通試験)の有無
R型の特徴:アドレス方式、感知器個別識別、共通伝送路
GP型・GR型:自火報+ガス漏れ警報の兼用受信機
自己保持機能:火災灯・地区表示は復旧操作まで消えない
蓄積機能:5〜60秒の確認で誤報を減らす(発信機は蓄積しない)
区分鳴動:出火階+直上階を先に鳴動 → 全館鳴動(P型1級のみ)

まとめ問題

問題1:P型2級受信機に関する記述のうち、正しいものはどれか。

(1)接続できる回線数に制限はない
(2)火災表示試験の機能を有する
(3)接続できる回線数は5回線以下である
(4)地区音響装置の区分鳴動ができる

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正解:(3)
P型2級受信機は5回線以下の小規模建物向けです。(1)回線数に制限がないのはP型1級です。(2)火災表示試験機能があるのはP型1級で、P型2級にはありません。(4)区分鳴動ができるのもP型1級で、P型2級は一斉鳴動のみです。

問題2:R型受信機に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)感知器に固有のアドレスを持たせて個別に識別できる
(2)共通の伝送路を使用するため、P型に比べて配線がシンプルになる
(3)火災情報の履歴を記録する機能がある
(4)小規模な建物に最も適しており、P型より安価である

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正解:(4)
R型は大規模な建物向けの方式です。機器自体はP型より高価ですが、大規模建物では配線コストの削減によりトータルで経済的になります。小規模建物にはP型(特にP型2級)が適しています。(1)(2)(3)はいずれもR型の正しい特徴です。

問題3:P型1級受信機の蓄積機能に関する記述のうち、正しいものはどれか。

(1)感知器からの信号も発信機からの信号も、一定時間蓄積してから火災と判断する
(2)蓄積時間は、信号受信から120秒以内である
(3)蓄積機能の目的は、非火災報(誤報)を減らすことである
(4)P型2級受信機にも蓄積機能を搭載できる

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正解:(3)
蓄積機能は、タバコの煙や湯気などによる一時的な反応を除外し、非火災報を減らすための機能です。(1)発信機からの信号は蓄積せず即座に火災と判断します。人が「火事だ」と判断して押したボタンを保留する意味がないからです。(2)蓄積時間は5〜60秒です。(4)蓄積機能はP型1級のみに搭載可能です。

問題4(応用):ある6階建てのオフィスビル(警戒区域12)に自火報を設置する場合、受信機の選定に関する記述のうち、最も適切なものはどれか。

(1)警戒区域が12なので、P型2級受信機を使用できる
(2)P型1級受信機を設置し、区分鳴動方式を採用できる
(3)6階建てなので、R型受信機でなければならない
(4)ガス漏れ警報は不要であっても、GP型受信機を設置しなければならない

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正解:(2)
警戒区域が12ですから、5回線以下のP型2級では対応できず、P型1級が必要です。P型1級は区分鳴動に対応しているため、多層階のビルで段階的な鳴動が可能です。(1)P型2級は5回線以下なので12回線には使えません。(3)P型1級でも対応できるため、R型でなければならないわけではありません。(4)ガス漏れ警報が不要ならGP型は必要ありません。

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