甲種1類・乙種1類の実技は「鑑別等」5問
消防設備士第1類の実技では、水系消火設備に使われる機器の名称、構造、役割、作動の流れを結び付けて答える力が求められます。
消防試験研究センターの「試験科目及び問題数」では、甲種第1類は鑑別等5問と製図2問、乙種第1類は鑑別等5問です。甲種の製図と、甲種・乙種に共通する鑑別等は分けて対策しましょう。
出題形式について:機器の写真だけを見て名称を即答する問題に限られません。消防試験研究センターの公開問題には、写真や図を見て名称を選ぶ例のほか、感熱部や作動の仕組みを答える例もあります。名称だけでなく「どの部分を見たか」「何のための機器か」まで説明できるようにします。
公開問題は、受験者が習得すべき知識・技能の目安として、過去の問題の一部を公開したものです。網羅的な過去問集や出題頻度の統計ではないため、未確認の「頻出順」ではなく、公式の試験範囲と機器のつながりを軸に学習します。
鑑別等で使える3段階の見分け方
- 設備を判定する:屋内消火栓、スプリンクラー、水噴霧など、どの設備の機器かを考える。
- 識別点を探す:感熱体、散水板、圧力計、オリフィス、ホース形状、接続配管などを見る。
- 名称と役割をセットにする:「流水検知装置。配管内の流水を検知して警報等につなげる」のように一文で答える。
外形だけで決めつけると、似た形の弁や計器を取り違えます。写真や図に表示された配管方向、目盛、感熱体、附属品も確認してください。メーカー名や型番の暗記は不要です。
スプリンクラーヘッドと水噴霧ヘッド
ヘッドは、感熱体の有無、散水板の向き、どの設備に使うかの3点で整理します。
| 機器 | 識別点 | 役割・作動 |
|---|---|---|
| 閉鎖型スプリンクラーヘッド | 放水口を閉じる感熱体がある | 火災の熱で感熱体が作動し、放水口が開いたヘッドから放水する |
| 開放型スプリンクラーヘッド | 閉鎖型のような感熱体がなく、放水口が開いている | 一斉開放弁等が作動すると、放水区域のヘッドから放水する |
| 水噴霧ヘッド | 水噴霧消火設備の噴霧ヘッドとして示される | 水を霧状に放射して消火や冷却を行う |
閉鎖型は感熱体の種類を見る
閉鎖型の代表的な感熱体には、ヒュージブルリンクを用いるものとグラスバルブを用いるものがあります。ヒュージブルリンクは熱で溶ける部分、グラスバルブは内部液体の膨張によってガラス球が破壊される部分です。
上向き型と下向き型は、写真全体の上下ではなく、配管への取付方向とデフレクター(散水板)の位置を見て判断します。写真が回転している場合もあるため、「天井から突き出して見える」だけで決めないようにします。
詳しい区分は、スプリンクラーヘッドの種類と機能で確認できます。
流水検知装置・一斉開放弁・制御弁
弁類は、外形だけでなく配管のどこにあり、何をする機器かで区別します。
| 名称 | 主な役割 | 見分けるときの注意 |
|---|---|---|
| 流水検知装置 | 配管内の流水を検知し、自動警報装置の発信部として警報等につなげる | 湿式・乾式・予作動式があり、内部構造や附属品を一律に説明しない |
| 一斉開放弁 | 開放型ヘッドを用いる放水区域へ送水する | 開放型ヘッド、放水区域、起動操作部との関係を見る |
| 制御弁 | 配管系統を区切り、点検や整備時などに止水する | 「制御弁」は用途上の呼び方であり、弁の構造名と同じとは限らない |
| 逆止弁 | 流体の逆流を防ぐ | 流れ方向を示す矢印や内部弁体の図を確認する |
流水検知装置をすべて「アラーム弁」と呼ぶのは避けます。アラーム弁は湿式の流水検知装置として扱われる名称であり、乾式や予作動式まで同じ構造ではありません。
弁類の作動と設置基準は、流水検知装置と一斉開放弁で整理しています。
末端試験弁は附属品まで見る
末端試験弁は、閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いる設備で、流水検知装置または圧力検知装置の作動を試験するための機器です。
消防法施行規則第14条を基に、次の構成をセットで確認します。
- 流水検知装置または圧力検知装置が設けられる配管系統ごとに1個設ける
- 放水圧力が最低になると予想される配管部分に設ける
- 一次側に圧力計を設ける
- 二次側に、スプリンクラーヘッドと同等の放水性能を持つオリフィス等の試験用放水口を設ける
- 直近の見やすい箇所に末端試験弁の標識を設ける
「配管の一番遠い場所にあるバルブ」とだけ覚えると不十分です。圧力計、試験用放水口、標識と、試験対象である流水検知装置・圧力検知装置の関係まで答えられるようにします。
点検要領では、末端試験弁等の操作により、流水検知装置のバルブ本体、附属バルブ、圧力計、音響警報装置、表示装置などを確認します。点検周期の話と、末端試験弁を操作する個別の確認方法を混同しないことも大切です。
ポンプまわりの計器と呼水装置
加圧送水装置は、ポンプ本体だけでなく、電動機、制御装置、起動装置、圧力計・連成計、呼水装置、性能試験装置などを一つの系統として見ます。
| 機器 | 確認する特徴 | 主な役割 |
|---|---|---|
| 圧力計 | 正圧側の目盛 | 吐出側などの圧力を確認する |
| 連成計 | 正圧と負圧の双方を読める目盛 | ポンプ吸込側の圧力を確認する |
| 呼水装置 | 呼水槽、自動給水装置、減水警報装置、フート弁など | ポンプ本体や吸水管を水で満たし、始動時に吸水できる状態を保つ |
| 性能試験装置 | 性能試験用配管、テスト弁、流量計など | ポンプの吐出量と吐出圧力を確認する |
呼水槽を「配管全体を満水にするタンク」、性能試験装置を「末端試験弁」と説明しないようにします。どちらも試験や水に関係しますが、対象と設置場所が異なります。
機器のつながりは、加圧送水装置と附属装置とポンプの種類と性能で確認できます。
屋内消火栓はホース形状だけで決めつけない
屋内消火栓には、1号、易操作性1号、2号、広範囲型2号があります。一般的な1号と易操作性1号を分けずに「1号はすべて2人操作」と覚えると取り違えます。
| 種類 | ホース・操作の整理 | 識別時の注意 |
|---|---|---|
| 1号消火栓 | 一般に平ホースを収納し、2人での操作を基本にする | 折り畳まれた平ホース、開閉弁、ノズルを見る |
| 易操作性1号消火栓 | 保形ホースを用い、1人で操作できる | 「1号」という名称だけで通常の1号と決めない |
| 2号消火栓 | 保形ホースを用い、1人で操作できる | 易操作性1号との違いは名称・仕様も含めて確認する |
| 広範囲型2号消火栓 | 保形ホースを用い、1人で操作できる | 通常の2号との仕様差を名称と基準で整理する |
数値問題では、ノズル先端で必要な放水量と、ポンプに必要な吐出量を区別します。似た数値を「放水量」とだけ暗記せず、何の数値かを答案に書けるようにしてください。
4種類の構造と数値は、屋内消火栓設備の構造と機能で確認できます。
湿式・乾式・予作動式を一律に説明しない
| 方式 | 平常時の二次側 | 作動の要点 |
|---|---|---|
| 湿式 | 加圧水 | 閉鎖型ヘッドが作動すると放水が始まる |
| 乾式 | 加圧空気 | ヘッド作動で空気圧が低下し、弁が開いて水が送られる |
| 予作動式 | 方式により異なる | 火災感知器の信号と閉鎖型ヘッドの作動を組み合わせて放水する |
予作動式には構成差があるため、「二次側は必ず空」「感知器が動けば必ず同じ順序で放水」と一律にしません。図に示された流水検知装置、感知器、電動弁、二次側配管、ヘッドの関係を順に読みます。
記述答案の作り方
名称だけを求められたときは正式名称を簡潔に書き、役割も求められたときは対象・動作・目的の順に一文でまとめます。
| 機器 | 答案の組み立て例 |
|---|---|
| 流水検知装置 | 配管内の流水を検知し、自動警報装置の発信部として警報等につなげる。 |
| 末端試験弁 | 流水検知装置または圧力検知装置の作動を試験するため、配管系統の低圧側となる位置に設ける。 |
| 逆止弁 | 流体を一方向に流し、逆流を防止する。 |
| 呼水装置 | ポンプ本体や吸水管を水で満たし、ポンプが吸水できる状態を保つ。 |
「心臓部」「重要な装置」だけでは役割を説明したことになりません。何を検知するか、何を防ぐか、何の試験に使うかを具体的に書きます。
オリジナル理解度チェック
以下は学習内容を確認するための当サイト作成問題です。消防試験研究センターの公開問題を転載したものではありません。
問題1
消防試験研究センターが示す第1類の実技問題数として正しい組み合わせはどれか。
- 甲種は鑑別等5問・製図2問、乙種は鑑別等5問
- 甲種は鑑別等2問、乙種は製図5問
- 甲種・乙種とも製図だけを7問
- 甲種・乙種とも鑑別等を10問
問題2
一次側に圧力計、二次側にヘッドと同等の放水性能を持つ試験用放水口があり、流水検知装置等の作動試験に使う機器は何か。
問題3
「制御弁」と「仕切弁」を同じ意味としてよいか。
問題4
予作動式の二次側配管は、すべての方式で必ず空配管である。この説明は正しいか。
公式公開問題の使い方
- 最初は解答を見ず、写真や図の識別点を言葉にする。
- 正式名称を書いた後、役割または作動を一文で追加する。
- 公式解答と照合し、用語の不足と余計な断定を直す。
- 同じ機器を、構造・役割・点検の3方向から説明する。
公開問題の写真や文章には著作権があります。公式ページで直接確認し、無断転載された「過去問集」ではなく、消防試験研究センターが公開する資料を利用してください。
関連記事
- 水系消火設備の全体像:第1類で扱う設備と共通構成。
- スプリンクラーヘッドの種類と機能:閉鎖型・開放型と感熱体。
- 流水検知装置と一斉開放弁:弁類と末端試験弁。
- 加圧送水装置と附属装置:ポンプ、呼水装置、起動装置。
- 配管・バルブ・継手の施工:弁と管継手の役割。
- 水系消火設備の点検と試験:機器点検と総合点検。
- 甲種1類ロードマップ:製図を含む学習順。
- 乙種1類ロードマップ:鑑別等までの学習順。
まとめ
- 甲種第1類は鑑別等5問・製図2問、乙種第1類は鑑別等5問。
- 機器は、設備、識別点、名称と役割の順で判断する。
- ヘッドは感熱体の有無、散水板、設備の種類を確認する。
- 弁類は外形だけでなく、配管上の位置と役割で区別する。
- 末端試験弁は、圧力計、試験用放水口、標識、試験対象をセットで覚える。
- 予作動式や流水検知装置は、方式による構成差を一律化しない。
参考情報
- 消防試験研究センター「試験科目及び問題数」
- 消防試験研究センター「過去に出題された問題」
- 総務省消防庁「日本の消防機器(概要版)」
- 総務省消防庁「消防用設備等の点検要領 第3 スプリンクラー設備」
- e-Gov法令検索「消防法施行規則」
※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。図や画像だけで機器を判断せず、製品表示・取扱説明書・公式資料を確認してください。
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