結論:光電式感知器は「光と煙の反応」で火災を見つける
光電式感知器とは、煙が光に与える影響を利用して火災を検出する煙感知器です。
差動式や定温式は「熱」で火災を判断しましたが、光電式は「煙」で判断します。煙は熱よりも先に天井に到達するため、火災の初期段階で検出できるのが最大の強みです。
光電式には大きく3つの種類があります。
甲種4類の試験では、散乱光式と減光式の原理の違い、種別ごとの取付面の高さ、非火災報の原因が頻出です。
なぜ煙感知器が必要なのか? ― 煙は熱より先に来る
火災が発生すると、まず煙が発生し、その後に熱が上昇します。
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② 煙が発生 → 天井に向かって上昇(軽いので速い)
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③ 煙が天井に到達 → 煙感知器が反応!
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④ 周囲の温度が上昇 → 熱感知器が反応(煙より遅い)
熱感知器(差動式・定温式)は周囲の温度が十分に上昇しないと作動しません。しかし煙感知器なら、熱が上がる前の初期段階で火災を検出できます。
だからホテルの客室、病院の病室、マンションの居室のように、就寝中や逃げ遅れの危険がある場所には煙感知器の設置が義務づけられています。
さらに煙は軽いため、天井が高い場所でも到達しやすいという特徴があります。熱感知器は8m未満が限界でしたが、煙感知器は最大20m未満の天井にも設置できます。
光電式スポット型感知器の構造(散乱光式)
光電式スポット型は、煙感知器の中で最も広く使われているタイプです。「散乱光式」という原理で煙を検出します。
暗箱(ラビリンス)の仕組み
外部の光を遮断しつつ、煙だけを取り込む迷路状の箱
② 発光部(LED)
光源。暗箱内に一定方向へ光を放射する
③ 受光部(フォトダイオード)
光を電気信号に変換する素子
④ 配置のポイント
発光部の光が直接受光部に届かない角度に配置されている
暗箱は迷路のような構造で、外部からの光(太陽光・照明)が内部に入らないように遮断しつつ、煙の粒子は自由に出入りできるようになっています。
最も重要なポイントは、発光部と受光部の角度です。発光部の光がまっすぐ受光部に届かないように配置されているため、煙がないときは受光部に光が到達しません。
動作原理
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② 暗箱内に煙がない
→ 光はまっすぐ進んで壁に吸収される
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③ 受光部には光が届かない → 信号なし(正常)
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② 煙の粒子が光を散乱(乱反射)
→ 発光部の光が煙の粒子に当たり、四方八方に散らばる
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③ 散乱光の一部が受光部に到達
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④ 受光部が光を検出 → 火災信号を発信
これが「散乱光式」と呼ばれる理由です。煙がないときは受光部に光が届かず、煙があるときだけ散乱光が届く――非常にシンプルで確実な仕組みです。
覚え方
種別と取付面の高さ
光電式スポット型には1種・2種・3種の3つの種別があります。数字が小さいほど感度が高い(薄い煙でも検出できる)ことを意味します。
| 種別 | 感度 | 取付面の高さ |
|---|---|---|
| 1種 | 最も高い | 20m未満 |
| 2種 | 中間 | 15m未満 |
| 3種 | 最も低い | 4m未満 |
定温式感知器の取付面の高さが最大8m未満だったのに対し、煙感知器は最大20m未満まで設置できます。煙は熱より軽いため、高い天井にも早く到達するからです。
1種が20m未満まで設置できるのは、感度が最も高いため、高い天井に薄く広がった煙でも検出できるからです。逆に3種は感度が低いため、煙が十分に濃くなる低い天井(4m未満)でしか使えません。
試験の頻出ポイント
光電式分離型感知器の構造(減光式)
分離型は、送光部と受光部を離して設置するタイプです。スポット型が1つの機器で完結するのに対し、分離型は2つの機器をペアで使います。
構造と動作原理
壁に設置 光をまっすぐ照射 反対側の壁に設置監視距離:5m〜100m
送光部と受光部の間の空間すべてが監視対象
送光部から受光部に向けて、常に赤外線ビームを照射しています。
光がまっすぐ届く → 受光量100% → 正常
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② 煙が赤外線ビームを遮る・散乱させる
→ 受光部に届く光の量が減少する
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③ 減光率が一定値を超える
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④ 火災信号を発信
これが「減光式」と呼ばれる理由です。スポット型の散乱光式が「煙で光が増える(受光部に届く)」のに対し、分離型の減光式は「煙で光が減る(受光部に届かなくなる)」という正反対の原理です。
種別と取付面の高さ
分離型にも1種・2種の種別があります。
| 種別 | 感度 | 取付面の高さ |
|---|---|---|
| 1種 | 高い | 20m未満 |
| 2種 | 低い | 15m未満 |
分離型は公称監視距離が5m〜100mと広く、大空間をカバーできるのが最大の強みです。倉庫、体育館、アトリウム、工場など、天井が高く広い空間に設置されます。
スポット型では何十個も設置が必要な広い空間でも、分離型なら送光部と受光部のペア1組で長距離を監視できるため、コストも施工も効率的です。
光電アナログ式感知器
前回の熱アナログ式と同じ発想の感知器です。
アナログ式の「アナログ」とは、火災かどうかの二者択一ではなく、煙の濃度を連続的な数値で伝えるという意味です。
受信機側で判断するため、注意表示(煙が少し増えている段階)と火災表示(煙が十分に濃い段階)の2段階で警報できるのが利点です。
光電アナログ式はR型受信機と組み合わせて使用します。P型受信機では数値データを処理できないため、使用できません。
光電式が適している場所・不向きな場所
光電式は「煙」に反応するため、火災以外の煙や粒子にも反応してしまいます。これが非火災報(誤報)の原因です。
こうした場所には定温式や差動式などの熱感知器が適しています。
試験の頻出ポイント
スポット型 vs 分離型 ― まとめ比較
| 項目 | スポット型 | 分離型 |
|---|---|---|
| 検出方式 | 散乱光式 | 減光式 |
| 煙と光の関係 | 煙で光が増える | 煙で光が減る |
| 機器構成 | 1台で完結 | 送光部+受光部のペア |
| 監視範囲 | 感知器周辺(1点) | 5m〜100mの直線 |
| 適した場所 | 居室・廊下・客室 | 倉庫・体育館・工場 |
| 取付面の高さ | 1種:20m未満 2種:15m未満 3種:4m未満 |
1種:20m未満 2種:15m未満 |
全体のまとめ
スポット型(散乱光式):暗箱内で煙が光を散乱 → 受光部に光が届く → 火災信号
分離型(減光式):送光部→受光部のビームを煙が遮る → 光量が減る → 火災信号
アナログ式:煙の濃度を数値でR型受信機に送信 → 受信機が判断
取付面の高さ:1種は20m未満、2種は15m未満、3種は4m未満
適した場所:客室・病室・居室・廊下(早期発見が重要な場所)
不向きな場所:厨房・浴室・塵埃の多い場所(非火災報の原因)
まとめ問題
問題1:光電式スポット型感知器の動作原理に関する記述のうち、正しいものはどれか。
(1)暗箱内に煙が侵入すると、煙の粒子が光を吸収して受光部の出力が低下する
(2)暗箱内に煙が侵入すると、煙の粒子が光を散乱して受光部に光が到達する
(3)送光部から受光部への光を煙が遮り、受光量の減少で火災を検出する
(4)煙の粒子がイオン電流を減少させることで火災を検出する
問題2:光電式分離型感知器に関する記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)送光部と受光部を離して設置し、その間の煙を検出する方式である
(2)煙によって送光部からの光が遮られ、受光量が減少することで作動する
(3)公称監視距離は5m以上100m以下である
(4)暗箱内に煙を取り込み、散乱光を利用して煙を検出する方式である
問題3:光電式スポット型感知器の種別と取付面の高さに関する記述のうち、正しいものはどれか。
(1)1種は15m未満、2種は8m未満、3種は4m未満に設置できる
(2)1種は20m未満、2種は15m未満、3種は4m未満に設置できる
(3)すべての種別で20m未満に設置できる
(4)1種は8m未満、2種は4m未満に設置できる
問題4:光電式感知器に関する記述のうち、正しいものはどれか。
(1)光電式は煙に反応するため、厨房のように温度変動が大きい場所に最適である
(2)光電式は水蒸気や塵埃にも反応するため、浴室や工場には不向きである
(3)光電式は煙以外の粒子には反応しないため、非火災報は発生しない
(4)光電式は熱感知器より感度が低いため、就寝施設には使用されない
問題5(応用):次の場所のうち、光電式スポット型感知器を設置するのが最も適切な場所はどれか。
(1)厨房(調理で大量の煙が出る)
(2)ボイラー室(日常的に高温になる)
(3)ホテルの客室(宿泊者が就寝する)
(4)木材加工工場(粉塵が常に飛散する)