結論:中継器は信号の「中継・変換役」、配線は自火報の「血管」
結論から言います。
自火報のシステムでは、感知器・受信機・発信機・地区音響装置など多くの機器が連携して動いています。それらを電気的につなぐのが「配線」であり、信号を中継・変換するのが「中継器」です。
そして火災のとき、配線が燃えて切れたら?――自火報は動作不能になります。だから配線には耐火配線と耐熱配線という2段階の耐火性能が求められるのです。
甲種4類の試験では、中継器の役割、配線の種類、耐火配線と耐熱配線の違い・使い分けが頻出です。
中継器とは ― 信号を中継・変換する装置
中継器は、感知器や発信機からの信号を受信機に中継したり、他の設備に信号を変換して伝える装置です。
「感知器と受信機を直接つなげばいいのでは?」と思うかもしれません。小規模な建物ならそれでOKですが、大規模なビルでは回線が長くなりすぎたり、異なるシステム間の橋渡しが必要になったりします。そこで中継器の出番です。
中継器の3つの役割
P型システムとR型システムでの中継器
P型受信機とR型受信機では、中継器の使い方が異なります。
P型システムの場合:
P型受信機は「どの回線(警戒区域)が作動したか」を検出する方式です。回線数が多い大規模な建物では、すべての感知器を受信機まで直接配線すると膨大な距離になります。中継器を途中に置いて信号を中継することで、配線を合理化できます。
R型システムの場合:
R型受信機は「どの感知器(アドレス)が作動したか」を個別に把握できます。中継器は感知器にアドレス(固有番号)を割り当てて、デジタル信号に変換して受信機に送ります。これにより、1本の伝送路で何百もの感知器を管理できるのです。
防排煙連動中継器
中継器のもう一つの重要な役割が、防排煙設備との連動です。
火災が発生すると、感知器が作動→受信機が受信→中継器が信号を受け取り、次のような設備を動かします。
- 防火戸の閉鎖 ― 炎と煙の拡大を防ぐ
- 防火シャッターの降下 ― 大きな開口部を遮断する
- 防火ダンパーの閉鎖 ― 空調ダクト内の煙の流れを止める
- 排煙口の開放 ― 煙を外に排出する
つまり中継器は、自火報の「検知→通報」だけでなく、「検知→防災行動」の橋渡しもしているのです。
自火報の配線の種類 ― 6つの回線を整理する
自火報を構成する配線は、大きく6種類に分けられます。人体にたとえるなら「血管」にあたる部分で、それぞれ流れるものが違います。
→ 感知器・発信機の火災信号を受信機に送る回線
② 地区音響装置回線(ベル線)
→ 受信機から地区音響装置(ベル等)への制御回線
③ 表示灯回線
→ 表示灯(赤ランプ)への電源供給回線
④ 電話回線
→ P型1級発信機の電話ジャック↔受信機の通話回線
⑤ 操作回線(連動回線)
→ 受信機から中継器を経由して防火戸等を動かす回線
⑥ 電源回線
→ 常用電源・非常電源から受信機への電力供給回線
ポイントは、「信号を送る回線」と「電力を送る回線」が別々に存在することです。感知器回線は火災信号という「情報」を運び、電源回線はシステムを動かす「電力」を運びます。
共通線とは?
P型受信機では、複数の感知器回線が受信機に接続されますが、各回線のマイナス側(帰り線)を1本にまとめた線を共通線(コモン線)と呼びます。
共通線を使うことで配線の本数を減らせます。ただし、共通線が断線するとその共通線に接続されたすべての回線が機能しなくなるため、施行規則では共通線1本あたりの回線数に制限があります。
耐火配線と耐熱配線 ― 火災に耐える2つのレベル
ここからが甲種4類の最重要ポイントです。
火災時に配線が焼けて切れたら、自火報は機能を失います。しかし、すべての配線を最高レベルで保護するとコストが跳ね上がります。そこで、回線の重要度に応じて2段階の保護基準が設けられています。
なぜ2段階に分かれているのか?
自火報の役割を時系列で考えてみましょう。
火災が発生すると、まず感知器が検知→受信機に信号→ベルが鳴る→人が避難します。ここまでが火災の初期段階で、感知器回線やベル回線はこの初期段階さえ乗り切れればよいのです。だから380℃・15分の耐熱配線でOK。
一方、防火戸を閉める・排煙口を開けるといった操作は、火災が進行した段階でも確実に動かなければなりません。だから操作回線や非常電源回線は840℃・30分という高い基準の耐火配線が必要なのです。
どの回線にどちらが必要か?
これは試験で必ず問われます。しっかり覚えましょう。
→ 停電後も自火報を動かす「命綱」
● 操作回線(連動回線)
→ 防火戸・ダンパー・排煙口を動かす回線
覚え方:「火災が進んでも動かすもの」=耐火配線
● 地区音響装置回線(ベル線)
● 表示灯回線
● 電話回線
覚え方:「火災の初期に役目を果たすもの」=耐熱配線
重要:耐火配線は耐熱配線の上位互換です。耐熱配線が必要な場所に耐火配線を使うことはOKですが、逆はNGです。
耐火電線と耐熱電線
実際に使う電線の名称も覚えておきましょう。
| 電線の種類 | 略称 | 性能 |
|---|---|---|
| 耐火電線 | FP-C | 840℃・30分 |
| 耐熱電線 | HP | 380℃・15分 |
FPは「Fireproof(耐火)」、HPは「Heatproof(耐熱)」の略です。英語の意味そのままなので覚えやすいですね。
配線の施工方法
耐火配線・耐熱配線を実現する方法は、専用の電線を使うだけではありません。
方法2:MIケーブル(無機絶縁ケーブル)を使用する
方法3:一般の電線を耐火措置した金属管に収めて配線する
→ 金属管+耐火被覆で保護
方法2:耐火電線(FP-C)を使用する(上位互換でOK)
方法3:一般の電線を金属管や金属ダクトに収めて配線する
つまり、専用の電線がなくても金属管で保護すれば基準を満たせる場合があります。工事の現場では、コストや施工条件に応じて方法を使い分けます。
配線の一般的なルール
耐火・耐熱以外にも、自火報の配線には守るべきルールがあります。
他の配線との区別
自火報の配線は、他の電気回路(電灯・コンセント等)の配線と区別しなければなりません。具体的には以下の方法をとります。
- 別の管に収める ― 他の配線と同じ金属管に入れない
- 別の配線路 ― ケーブルラック等で分離する
なぜ分けるのか? 他の回路のノイズや短絡の影響で自火報が誤動作したり、動作しなかったりすると大変危険だからです。
送り配線(一筆書き配線)
感知器回線は、受信機から出て各感知器を順番に経由し、末端に終端抵抗(終端器)を付ける送り配線が基本です。分岐配線(タコ足)は断線監視ができなくなるため使いません。
これは自火報の全体像で触れた終端抵抗による断線監視のしくみに直結するポイントです。
全体のまとめ
P型での役割:長距離回線の信号中継
R型での役割:P型感知器にアドレスを付与してデジタル信号に変換
防排煙連動:受信機の指令で防火戸・ダンパー・排煙口を作動
耐火配線(840℃・30分):非常電源回線・操作回線(連動回線)
耐熱配線(380℃・15分):感知器回線・ベル回線・表示灯回線・電話回線
耐火電線=FP-C、耐熱電線=HP(Fireproof / Heatproof)
耐火は耐熱の上位互換(耐火で耐熱の代用OK、逆はNG)
送り配線:分岐なしの一筆書き+終端抵抗で断線監視
まとめ問題
問題1:中継器の役割に関する記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)感知器からの信号を受信機に中継する機能がある
(2)P型感知器の信号をR型受信機で受信できるよう変換する機能がある
(3)受信機からの指令により防火戸やダンパーを作動させる機能がある
(4)感知器の代わりに火災を直接検知する機能がある
問題2:自火報の配線のうち、耐火配線としなければならないものはどれか。
(1)感知器回線
(2)地区音響装置回線
(3)非常電源から受信機への回線
(4)表示灯回線
問題3:耐火配線と耐熱配線に関する記述のうち、正しいものはどれか。
(1)耐火電線は380℃で30分間、電気的機能を維持できる電線である
(2)耐熱電線は840℃で15分間、電気的機能を維持できる電線である
(3)耐熱配線が必要な場所に耐火電線を使用することはできない
(4)耐火配線は耐熱配線の上位互換であり、耐熱配線が必要な場所に使用できる
問題4:自火報の配線に関する記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)感知器回線は送り配線(一筆書き配線)とし、末端に終端抵抗を設ける
(2)自火報の配線は、電灯やコンセントの配線と同じ金属管に収めてよい
(3)耐熱配線の施工方法として、一般の電線を金属管に収める方法がある
(4)共通線が断線すると、その共通線に接続された複数の回線が機能しなくなる
問題5(応用):大規模オフィスビルの自火報で、受信機をR型に更新する際に、既設のP型感知器をそのまま活用したい場合、どのような方法が考えられるか。最も適切なものはどれか。
(1)P型感知器を直接R型受信機に接続すれば、そのまま使用できる
(2)中継器を設置し、P型感知器の信号をR型受信機用の信号に変換する
(3)P型感知器はR型受信機では使用できないため、すべて交換する必要がある
(4)感知器回線の終端抵抗を取り外せば、P型感知器でもR型受信機に接続できる