甲種5類/乙種5類

避難はしご・すべり台の構造|突子・横桟とその他の避難器具

避難はしご、すべり台、すべり棒、避難ロープ、避難用タラップ、避難橋は、いずれも消防法令上の避難器具です。ただし、構造の基準、消防設備士第五類の対象、検定制度上の扱いは同じではありません。

先に押さえる3点

  • 金属製避難はしごの基本区分は、固定・立てかけ・つり下げの3種類。
  • ハッチ用つり下げはしごは、4つ目の基本区分ではなく、つり下げはしごの一種。
  • 第五類と検定の対象になるのは金属製避難はしご。ほかの5器具は第五類の対象ではない。

この記事では器具の「構造」を中心に整理します。建物にどの器具を何台設けるかは「避難器具の設置義務」、降下空間や操作面積は「降下空間・操作面積」で確認してください。

金属製避難はしごは3種類

「金属製避難はしごの技術上の規格を定める省令」は、金属製避難はしごを次の3種類に分けています。

種類 省令上の意味 構造の要点
固定はしご 常時使用可能な状態で、防火対象物に固定して使用するもの 収納式や、下部を折りたたみ・伸縮できる構造を含む
立てかけはしご 防火対象物に立てかけて使用するもの 上部と下部の滑り防止、転倒防止などが必要
つり下げはしご 防火対象物につり下げて使用するもの 突子と、容易に外れないつり下げ金具が基本

ハッチ用は「つり下げ」の一種

ハッチ用つり下げはしごは、つり下げはしごのうち、避難器具用ハッチに常時使用可能な状態で格納され、使用時に突子が防火対象物へ接触しない構造のものです。

したがって、「固定・立てかけ・つり下げ・ハッチ用の4タイプ」という並べ方は正確ではありません。基本区分は3種類で、ハッチ用はつり下げはしごの中の区分です。

縦棒・横桟の寸法

避難はしごは、縦棒と横桟で構成されます。つり下げはしごでは、縦棒に相当する部分としてワイヤロープ、チェーン、そのほかの金属製の棒又は板を用いる場合があります。

部位 基準
2本以上の縦棒の間隔 内法30cm以上50cm以下
横桟の断面 直径14mm以上35mm以下の円形、又は同等の握り太さを持つ形状
横桟の間隔 25cm以上35cm以下で、縦棒に同一間隔で取り付ける
横桟の踏面 滑り止めの措置が必要

縦棒が1本の避難はしごには別の規定があります。縦棒を中心軸として横桟を取り付け、横桟先端に長さ5cm以上の横滑り防止用の突子を設けます。横桟は縦棒から先端までの内法寸法で15cm以上25cm以下です。

「横桟の幅20cm」ではない
2本以上の縦棒を持つ一般的な構造で規定されるのは、縦棒の内法間隔30〜50cm、横桟の握り太さ14〜35mm、横桟間隔25〜35cmです。長さ15〜25cmという数値は、縦棒が1本の場合の片側の横桟に関する基準です。

種類ごとの安全装置

固定はしご

収納式又は下部を折りたたみ・伸縮できる固定はしごには、振動や衝撃で止め金が容易に外れない保安装置が必要です。保安装置に至るまでの動作を除き、2動作以内で使用可能な状態にできなければなりません。

立てかけはしご

  • 上部支持点に、滑りと転倒を防ぐ安全装置を設ける
  • 下部支持点に滑り止めを設ける
  • 伸縮式には、使用時に自動で作動する縮梯防止装置を設ける
  • 折りたたみ式には、使用時に自動で作動する折りたたみ防止装置を設ける

つり下げはしご

つり下げはしごは、使用時に防火対象物から10cm以上の距離を保つため、原則として横桟の位置ごとに有効な突子(とっし)を設けます。別の構造によって10cm以上の距離を確保できる場合は、突子を省略できます。

突子が壁との間隔を確保することで、横桟に足を掛ける空間を保ちます。また、縦棒の先端には丸かん、フックなどのつり下げ金具を設け、容易に外れない構造とします。

「使用荷重130kg」とは定めていない

金属製避難はしごの省令は、全製品共通の「使用荷重130kg」を定めていません。強度は部位や構造に応じた静荷重試験で確認します。

  • 横桟:中央7cmの部分に1,000Nの等分布荷重を加え、永久ひずみがないこと
  • 縦棒・横桟:前記の静荷重の2倍で、亀裂や破損などを生じないこと
  • つり下げ金具:金具1個につき、はしごの長さ2m又はその端数ごとに1,500Nの引張荷重に耐えること
  • 突子:1本の横桟に付く突子へ150Nの圧縮荷重を加え、著しい変形や破損がないこと

縦棒の試験荷重は、はしごの長さ、縦棒の本数、材料、圧縮か引張かによって変わります。単一のkg値に置き換えず、試験条件ごとに読むのが正確です。

すべり台の構造

消防庁告示「避難器具の基準」は、すべり台を、直線状又はらせん状に固定した滑り面を滑り降りるものと定義しています。主な構成は底板・側板・手すりです。

項目 消防庁告示の基準
底板の有効幅 40cm以上
勾配 25度以上35度以下
側板の高さ 40cm以上
手すりの高さ 60cm以上
荷重 すべり台の長さ1mにつき1.3kN

旧記事の「底板幅50cm以上」「側板20cm以上」は現行告示と一致しません。また、告示は構造基準を示すものであり、「保育園では第一選択」「車いすのまま使える」といった用途別の優先順位を一律に定めてはいません。

設置細目では、開口部や操作に必要な面積、すべり台の周囲、降着場所などについて別の寸法が定められています。構造寸法と設置空間を混同しないようにしましょう。

そのほか4種類の避難器具

すべり棒

すべり棒は、円柱状の棒を滑り降りる器具です。棒は直径35mm以上60mm以下で、表面が滑らかであることが求められます。3.9kNの軸方向圧縮荷重を加える試験で、永久ひずみや亀裂、破損を生じない構造とします。

避難ロープ

避難ロープは、ロープとつり下げ金具で構成され、滑り降りる際の急速な降下を防ぐための措置が必要です。ロープの直径は12mm以上、引張強さは6.5kN以上、つり下げ金具の引張強さは6kN以上とされています。

「30〜50cmごとに結び目を設ける」「使用荷重100kg」といった一律の説明は、この告示の構造基準ではありません。

避難用タラップ

避難用タラップは、踏板と手すりで構成される階段状の器具です。半固定式は、使用時に1動作で使用可能な状態にできる構造とします。

  • 手すり間の内法幅:50cm以上60cm以下
  • 踏板:踏面20cm以上
  • けあげ:30cm以下
  • 高さ4mを超える場合:高さ4mごとに踊場を設ける
  • 踊場の幅:1.2m以上
  • 手すりの高さ:70cm以上
  • 手すり子の間隔:18cm以下

壁面に並んだ足掛け金物を、すべて避難用タラップと呼ぶわけではありません。告示上は、踏板と手すりを備える階段状の構造として捉えます。

避難橋

避難橋は、橋げた・床板・手すりで構成され、固定式と移動式があります。移動式には、使用中の移動を防止する措置が必要です。

  • 勾配は原則として5分の1未満。これを超える場合は階段状とする
  • 床面には滑り止めを設ける
  • 手すりの高さは1.1m以上、手すり子の間隔は18cm以下
  • 床面から高さ10cm以上の幅木を設ける
  • 1m2につき3.3kNの荷重に耐える構造とする

第五類と検定対象の区別

甲種・乙種第五類の対象は、金属製避難はしご、救助袋、緩降機です。甲種はこの3種類の工事又は整備、乙種は整備を扱います。詳しくは「避難器具と第五類の全体像」を参照してください。

器具 第五類 検定
金属製避難はしご 対象 対象
救助袋 対象 対象外
緩降機 対象 対象
すべり台・すべり棒・避難ロープ・避難用タラップ・避難橋 対象外 対象外

日本消防検定協会の検定品目一覧では、避難設備として金属製避難はしごと緩降機が掲げられています。第五類の対象である救助袋も、検定品目には含まれません。「避難器具はすべて第五類」「第五類の3種類はすべて検定対象」という理解はいずれも誤りです。

公式公開問題で確認できる論点

消防試験研究センターが現在公開している問題では、第五類について次のような確認ポイントがあります。

  • 甲種:つり下げはしごの突子が設けられる目的
  • 乙種:立てかけはしごの上部・下部・伸縮部・折りたたみ部の安全装置
  • 実技:つり下げ金具、突子、横桟、縦棒の名称

公式問題を転載したものではなく、公開問題から学習項目を要約しています。公開問題は年度固定の全問題集ではないため、「必ず出る」「出題の25%」などとは断定できません。

まとめ

  • 金属製避難はしごの基本区分は、固定・立てかけ・つり下げの3種類。
  • ハッチ用つり下げはしごは、つり下げはしごの一種。
  • 2本以上の縦棒の間隔は30〜50cm、横桟の握り太さは14〜35mm、横桟間隔は25〜35cm。
  • つり下げはしごの突子は、原則として壁から10cm以上の距離を保つ。
  • 省令に全製品共通の「使用荷重130kg」という規定はない。
  • すべり台は底板幅40cm以上、勾配25〜35度、側板40cm以上、手すり60cm以上。
  • 第五類と検定の両方の対象になるのは、この記事の器具では金属製避難はしごだけ。

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参考資料・一次情報

本記事は試験学習用の整理です。個別の建物における器具の選定・設置・工事・整備は、現行法令、製品の取扱説明書、設計図書、所轄消防機関の指導に従ってください。

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