甲種5類/乙種5類

避難器具の全体像|8種類・第五類の対象・適応表

避難器具を学ぶときは、最初に「法令の表に登場する器具」と「第五類免状の対象」を分けてください。

消防法施行令第25条第2項第1号の表には8種類の器具名が登場します。一方、消防設備士の第五類が工事・整備の対象とするのは、金属製避難はしご、救助袋、緩降機です。この記事では、この違いと設置基準の読み順を法令に沿って整理します。

先に結論

  • 避難設備は、避難器具と誘導灯・誘導標識に分かれる
  • 令第25条の表に登場する器具名は8種類
  • 第五類免状の対象は、金属製避難はしご・救助袋・緩降機
  • 器具の適応表は規則第26条ではなく、令第25条第2項第1号にある
  • 規則第26条は、設置個数の減少や設置免除に関する規定

避難設備と避難器具の関係

消防法施行令第7条第4項では、避難設備を次の2区分に整理しています。

区分 法令上の例 役割
避難器具 滑り台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋など 階から別の階や地上などへ移動するために使う
誘導灯・誘導標識 避難口誘導灯、通路誘導灯、誘導標識など 避難口や避難経路を示す

避難器具は避難設備の一部です。「避難設備」と「避難器具」を同じ意味として扱わないようにしましょう。

令第25条の表に登場する8種類

令第7条第4項第1号は、滑り台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋を挙げたうえで「その他の避難器具」としています。具体的な適応関係を示す令第25条第2項第1号の表には、次の8種類が登場します。

器具 全体像をつかむための説明
滑り台 傾斜した滑り面を使って降下する器具。
避難はしご 横桟に足を掛けて降下する器具。固定、立てかけ、つり下げなどの構造がある。
救助袋 袋本体の内部を降下する器具。垂直方向や斜め方向に降下する構造がある。
緩降機 着用具を装着し、調速器によって降下速度を調整しながら降下する器具。
避難橋 橋を使い、他の建築物などへ水平方向に避難する器具。
滑り棒 棒を抱えて滑り降りる器具。
避難ロープ ロープを使って降下する器具。
避難用タラップ 踏み段などを使って移動する器具。令第25条の表では避難はしごと別に掲げられている。

この8種類は、どの建物や階でも自由に選べるという意味ではありません。どの器具が適応するかは、令第25条第1項のどの号に該当するかと、設置階の組合せで決まります。

甲種第五類・乙種第五類の対象は3種類

消防法施行規則第33条の3では、第五類の指定区分を金属製避難はしご、救助袋又は緩降機としています。

免状 法令上の業務範囲 対象
甲種第五類 工事又は整備 金属製避難はしご
救助袋
緩降機
乙種第五類 整備

したがって、「令第25条の表にある8種類」と「第五類免状の対象3種類」は別の話です。また、避難はしごのうち第五類の対象として条文に書かれているのは金属製です。

注意:規則第33条の3の表は、甲種について「工事又は整備」、乙種について「整備」と定めています。点検を行わせる防火対象物や点検資格の規定は別にあるため、免状の業務範囲を説明するときは条文の言葉をそのまま区別するのが安全です。

適応表は令第25条にある

避難器具の適応表は、消防法施行規則第26条ではありません。正しくは消防法施行令第25条第2項第1号の表です。

表をいきなり暗記するのではなく、次の順番で読みます。

  1. 設置義務の判定:令第25条第1項第1号から第5号のどれに該当するか確認する。
  2. 該当する行を選ぶ:第1号の防火対象物、第2号・第3号の防火対象物など、該当号に対応する行を選ぶ。
  3. 階の列を選ぶ:地階、2階、3階、4階・5階、6階以上の列を確認する。
  4. 器具と個数を確認:交差する欄に掲げられた器具から選び、同号本文で必要個数を算出する。
  5. 最後に減免を確認:規則第26条などの条件に該当するか確認する。

令第25条第1項は、避難階と11階以上の階を対象から除いています。そのため、同条の表にある「6階以上の階」は、この規定を適用する場面では6階から10階までとして読むことになります。

表から直接確認できる例

  • 地階:第1号から第4号の防火対象物の欄では、避難はしごと避難用タラップが掲げられている。
  • 滑り棒・避難ロープ:第2号・第3号または第5号の防火対象物の2階欄に登場する。すべての用途や階に使えるわけではない。
  • 第1号の防火対象物の6階以上:滑り台、救助袋、避難橋が掲げられ、緩降機は掲げられていない。
  • 第2号・第3号の防火対象物の6階以上:滑り台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋が掲げられている。

このように、器具の適応は「安全そう」「使いやすそう」といった印象だけでは決められません。同じ階でも、令第25条第1項の該当号が違えば選択肢が変わります。

必要個数と規則第26条の減免

令第25条第2項第1号本文は、設置義務がある階の収容人員に応じて必要個数を定めています。

令第25条第1項の区分 原則となる人員単位
第1号・第2号・第5号 100人以下は1個以上。100人まで増すごとに1個を加える。
第3号 200人以下は1個以上。200人まで増すごとに1個を加える。
第4号 300人以下は1個以上。300人まで増すごとに1個を加える。

規則第26条第1項の条件を満たす場合は、算定基準をそれぞれ200人、400人、600人に読み替えます。条件は、特定主要構造部を耐火構造とし、直通階段を避難階段または特別避難階段としたものが2以上設けられていることです。

同条にはこのほか、避難階段、渡り廊下、避難橋、バルコニーなどに関する減少・免除の規定があります。個別の建物で判断するときは、用途、構造、階、収容人員、階段、開口部などを確認し、所轄消防機関と協議してください。

現在の公式公開問題で確認できる範囲

消防試験研究センターが公開している現在の公式公開問題では、第五類について次のような確認項目が示されています。

区分 公開問題で確認できる主題
甲種第五類 規則第26条の個数算定、つり下げはしごの突子、緩降機の調速器、緩降機取付け具の荷重・アンカー計算
乙種第五類 階ごとの設置義務、救助袋の操作面積、金属製立てかけはしご、降下空間などの用語、つり下げはしごの部品名称

公開問題から分かるのは、器具名だけでなく、設置基準、構造、規格、取付け、計算を分けて理解する必要があるということです。上の表は公式問題を転載したものではありません。公開資料に示された主題を、学習項目として要約したものです。

混同しやすい点

混同 正しい整理
避難設備=避難器具 避難設備には、避難器具のほか誘導灯・誘導標識も含まれる。
8種類すべてが第五類免状の対象 第五類の対象は、金属製避難はしご、救助袋、緩降機。
規則第26条に適応表がある 適応表は令第25条第2項第1号。規則第26条は個数の減免。
建物全体だけで設置義務を判定する 令第25条は対象となる階を定めている。地階に設置義務が生じる場合もある。
器具の印象で適応を判断する 該当号と階を確定し、令第25条の表で確認する。

学習するときの確認順

  1. 8種類の名称と移動方法を区別する。
  2. 第五類の対象3種類を答えられるようにする。
  3. 金属製避難はしご、救助袋、緩降機の部品と作動を確認する。
  4. 令第25条第1項で設置義務を判定する。
  5. 令第25条第2項第1号の表で適応器具と必要個数を確認する。
  6. 規則第26条の減少・免除条件を確認する。
  7. 降下空間、避難空地、操作面積、取付け具を学ぶ。

消防関係法令の条文を読む順序に迷ったときは、確認済みの「消防法令共通の学習ロードマップ」も参照してください。

まとめ

  • 令第25条第2項第1号の表には、滑り台から避難用タラップまで8種類が登場する。
  • 甲種第五類は3種類の工事又は整備、乙種第五類は同じ3種類の整備が対象。
  • 適応表は令第25条、設置個数の減免は規則第26条に規定されている。
  • 設置義務は、用途だけでなく階、収容人員、階段などを順に確認する。
  • 公式公開問題では、設置基準、構造・規格、操作面積、取付けと計算まで確認されている。

実際の設置・改修・点検では、法令本文だけでなく関係告示、自治体の条例、既存建物の条件も確認し、所轄消防機関や有資格者の判断に従ってください。避難器具を訓練で使用するときも、管理者の指示と器具の取扱説明に従いましょう。

参考資料

※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。図や画像だけで機器を判断せず、製品表示・取扱説明書・公式資料を確認してください。

記事、模擬試験、ミニテストは学習の補助を目的としています。試験の申請や実務上の判断では、最新の法令、試験実施機関、所轄消防機関、製品の公式資料等も確認してください。

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