屋内消火栓設備は、建物内から放水するための消火設備
屋内消火栓設備は、防火対象物の内部に消火栓箱、ホース、ノズル、配管、加圧送水装置、水源などを設け、火災時に建物内から放水できるようにする設備です。
この記事では、消防設備士1類の学習で混同しやすい1号消火栓、易操作性1号消火栓、2号消火栓、広範囲型2号消火栓を、構造と性能の違いから整理します。
確認メモ:この記事は消防設備士試験の学習用整理です。実務では、消防法施行令、消防法施行規則、告示、条例、所轄消防の確認が必要です。
まず4種類を一覧で見る
屋内消火栓は、放水量、放水圧力、水平距離、ホースの扱いで整理すると見分けやすくなります。
| 種類 | 操作の入口 | 放水量 | 放水圧力 | 水平距離 |
|---|---|---|---|---|
| 1号消火栓 | 平ホースを延長して扱う | 130L/min以上 | 0.17MPa以上、0.7MPa以下 | 25m以下 |
| 易操作性1号消火栓 | 一人で操作しやすい構造 | 130L/min以上 | 0.17MPa以上、0.7MPa以下 | 25m以下 |
| 2号消火栓 | 一人操作を前提に学ぶ | 60L/min以上 | 0.25MPa以上、0.7MPa以下 | 15m以下 |
| 広範囲型2号消火栓 | 一人操作を前提に学ぶ | 80L/min以上 | 0.17MPa以上、0.7MPa以下 | 25m以下 |
数値の中心は、1号系が130L/min、2号が60L/min、広範囲型2号が80L/minです。2号だけ放水圧力の下限が0.25MPaになる点も分けて確認します。
屋内消火栓設備の基本構成
屋内消火栓設備は、消火栓箱だけで成り立つ設備ではありません。水源から水を取り、加圧送水装置で圧力をかけ、配管を通して消火栓箱へ送る仕組みです。
| 構成 | 役割 |
|---|---|
| 水源 | 消火に使う水を確保する。水源水量は消火栓の種類によって変わる。 |
| 加圧送水装置 | ポンプなどで水に圧力をかける。直接操作や遠隔操作、起動方式を確認する。 |
| 配管・弁類 | 水源から消火栓箱まで水を送る。逆止弁、止水弁、配管口径などが関係する。 |
| 消火栓箱 | 開閉弁、ホース、ノズル、起動装置、表示灯などを収納する。 |
消防法施行規則第12条では、開閉弁の高さ、表示灯、呼水装置、非常電源、配管、加圧送水装置、起動装置など、設置と維持の細目が定められています。
消火栓箱で確認する部品
消火栓箱を見るときは、次の部品を分けます。鑑別では、部品の名称と役割を結びつけることが重要です。
- 開閉弁:放水する水を開閉する弁。天井に設ける場合などは、条文上の条件も関係する。
- ホース:水を火災場所へ送る。平ホースと保形ホースの違いを押さえる。
- ノズル:ホース先端で放水する器具。ノズル側で開閉できるものもある。
- 起動装置:加圧送水装置を起動する操作部。箱内又は直近に設ける扱いが出てくる。
- 表示灯:消火栓の位置や加圧送水装置の始動を示すために使われる。
1号消火栓は、130L/minと25mを基準に見る
1号消火栓は、放水量130L/min以上、放水圧力0.17MPa以上、水平距離25m以下で整理します。屋内消火栓の基本になる数値です。
ホースは平ホースとして学ぶことが多く、折りたたんで収納されたホースを延長して使います。操作には訓練が必要で、消防設備士試験では2号消火栓や易操作性1号消火栓との違いを問われやすい部分です。
易操作性1号消火栓は、1号の性能と扱いやすさを分けて見る
易操作性1号消火栓は、1号消火栓と同じく放水量130L/min以上、放水圧力0.17MPa以上、水平距離25m以下として整理します。
学習上は、1号消火栓と同じ放水性能を持ちながら、一人で操作しやすい構造のものとして理解します。名前に「1号」が入るため、2号の60L/minと混同しないようにします。
2号消火栓は、60L/min、0.25MPa、15mを押さえる
2号消火栓は、放水量60L/min以上、放水圧力0.25MPa以上、水平距離15m以下で整理します。
1号系より放水量は小さくなりますが、一人で扱いやすい構造として学びます。2号だけ放水圧力の下限が0.25MPaである点は、1号系・広範囲型2号との大きな違いです。
広範囲型2号消火栓は、2号と1号系の中間として見る
広範囲型2号消火栓は、放水量80L/min以上、放水圧力0.17MPa以上、水平距離25m以下で整理します。
2号と同じく一人操作を前提に学びますが、水平距離は2号の15mではなく25mです。名前の「広範囲」は、この水平距離の違いと結びつけると整理しやすくなります。
水源水量は、2.6、1.2、1.6で分ける
消防法施行令第11条では、水源水量も消火栓の種類に応じて整理されています。設置個数が最も多い階の個数を基準にしますが、2個を超えるときは2個として扱う点も重要です。
| 区分 | 水源水量の基準 | 対応する性能 |
|---|---|---|
| 1号系 | 設置個数に2.6m3を乗じた量以上 | 130L/min以上を20分間として整理する。 |
| 2号 | 設置個数に1.2m3を乗じた量以上 | 60L/min以上を20分間として整理する。 |
| 広範囲型2号 | 設置個数に1.6m3を乗じた量以上 | 80L/min以上を20分間として整理する。 |
水源水量は、放水量の数値とセットで見ると理解しやすくなります。130L/minなら2.6m3、60L/minなら1.2m3、80L/minなら1.6m3です。
平ホースと保形ホースの違い
ホースは、操作性を理解する入口です。平ホースは折りたたんで収納するため、延長して使うイメージで押さえます。保形ホースは断面形状を保ちやすく、必要な長さを引き出して扱いやすいホースとして整理します。
| ホース | 学習上の整理 | 関係する消火栓 |
|---|---|---|
| 平ホース | 折りたたんで収納し、延長して放水するホースとして見る。 | 1号消火栓で押さえる。 |
| 保形ホース | 形を保ちやすく、一人操作と結びつけて見る。 | 易操作性1号、2号、広範囲型2号で押さえる。 |
操作の流れ
細かい操作方法は消火栓の種類や製品で変わりますが、学習上は次の流れで整理できます。
- 消火栓箱の位置を確認する。
- 扉を開け、ホースとノズルを取り出す。
- 必要な長さまでホースを延長する。
- 起動装置や開閉弁を操作し、加圧送水装置を起動する。
- ノズルを保持し、火元へ向けて放水する。
- 使用後は所定の手順で停止し、点検・復旧を行う。
実際の火災時に誰でも安全に扱えるという意味ではありません。日常の防火管理では、訓練、避難誘導、初期消火の判断を合わせて考えます。
スプリンクラー設備との違い
屋内消火栓設備は、人が火災場所を確認してホースを扱う設備です。一方、スプリンクラー設備はヘッド、流水検知装置、配管、加圧送水装置などが連動して放水する設備です。
| 項目 | 屋内消火栓設備 | スプリンクラー設備 |
|---|---|---|
| 放水の入口 | 人が消火栓箱を操作する。 | ヘッドや弁、感知器、流水検知装置などの方式を確認する。 |
| 学習の中心 | ホース、ノズル、放水量、水平距離、水源水量。 | ヘッド、方式、流水検知装置、設置基準。 |
| 法令の入口 | 消防法施行令11条、消防法施行規則12条。 | 消防法施行令12条、消防法施行規則14条など。 |
スプリンクラー設備の方式は「スプリンクラー設備の全体像と方式」で確認します。屋内消火栓の設置義務は「屋内消火栓設備の設置義務」で確認します。
確認問題
問題1
2号消火栓の放水量として正しいものはどれか。
(1)60L/min以上 (2)80L/min以上 (3)130L/min以上 (4)350L/min以上
問題2
広範囲型2号消火栓の水平距離として整理する数値はどれか。
(1)10m以下 (2)15m以下 (3)25m以下 (4)50m以下
問題3
2号消火栓の放水圧力の下限として正しいものはどれか。
(1)0.10MPa (2)0.17MPa (3)0.25MPa (4)0.70MPa
問題4
1号系の水源水量として整理する数値はどれか。
(1)設置個数に1.2m3を乗じた量以上
(2)設置個数に1.6m3を乗じた量以上
(3)設置個数に2.6m3を乗じた量以上
(4)設置個数に5.0m3を乗じた量以上
問題5
平ホースと保形ホースの整理として適切なものはどれか。
(1)平ホースは折りたたんで収納し、延長して使うホースとして見る
(2)保形ホースは金属配管の別名である
(3)平ホースは2号消火栓だけに使う
(4)保形ホースは屋外消火栓設備だけに使う
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参考情報
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