甲種1類/乙種1類

ポンプの種類と性能|渦巻ポンプ・全揚程・キャビテーション・ウォーターハンマーをわかりやすく解説

結論:消防用ポンプの主役は「渦巻ポンプ」

甲1・乙1の試験ではここが出る!

ポンプの種類と性能は筆記「構造・機能」の頻出テーマです。特に①渦巻ポンプの構造と水の流れ、②全揚程の計算(実揚程+摩擦損失+速度水頭)、③キャビテーションの原因と対策、④ウォーターハンマーの原因と対策が狙われます。キャビテーションとウォーターハンマーの違いは特に混同しやすいので注意してください。

結論から言います。

消防用設備で使われるポンプは、ほぼすべて渦巻ポンプ(うずまきポンプ)です。羽根車を回転させて遠心力で水を送り出す方式で、大量の水を安定して供給できるのが特徴です。

加圧送水装置と附属装置」の記事で渦巻ポンプの基本的なしくみと全揚程の概要を紹介しましたが、今回はさらに深く、ポンプの分類・構造の詳細・性能曲線・トラブル現象まで解説します。

特にキャビテーションウォーターハンマーは試験の頻出テーマです。

ポンプの分類 — ターボ型と容積型

ポンプは大きく2つの系統に分類されます。

ポンプの分類
ターボ型(非容積式)
羽根車の回転で遠心力・揚力を利用
連続的に送水できる

渦巻ポンプ(遠心ポンプ)← 消防用
タービンポンプ(多段式)
軸流ポンプ(プロペラ式)

容積型(容積式)
密閉空間の容積変化で押し出す
脈動(送水のムラ)がある

往復ポンプ(ピストン式)
回転ポンプ(歯車式・ねじ式)
※消防用にはほぼ使わない

消防用はターボ型の渦巻ポンプ一択と考えて問題ありません。大量の水を連続的に安定して送れること、構造がシンプルでメンテナンスしやすいことが理由です。

渦巻ポンプの構造を詳しく見る

渦巻ポンプの主要部品を確認しましょう。

渦巻ポンプの主要部品
羽根車(インペラー)
ポンプの心臓部
高速回転して遠心力で
水を外側に押し出す
ケーシング(渦巻室)
渦巻き状の
水の速度エネルギーを
圧力に変換する
主軸
モーターの回転を
羽根車に伝える
回転軸
軸封装置
軸とケーシングの隙間
から水が漏れるのを防ぐ
メカニカルシール等
軸受(ベアリング)
主軸を滑らかに回転
させるための部品
摩擦を低減する
電動機(モーター)
主軸を回転させる
動力源
三相誘導電動機が一般的

水の流れ

渦巻ポンプ内部での水の動きを追ってみましょう。

渦巻ポンプ内の水の流れ
① 吸込口から水が羽根車の中心に入る
② 羽根車の回転で遠心力が発生
水は外側に押し出される → 速度エネルギーを得る
③ 渦巻状ケーシングで流路が広がる
速度エネルギー → 圧力エネルギーに変換
④ 吐出口から高圧の水が送り出される

ケーシングが「渦巻き」状に広がっているのがポイント。流路が徐々に広くなることで、水の速度が落ちる代わりに圧力が上がる(ベルヌーイの定理)。これが「渦巻ポンプ」の名前の由来です。

ポンプの性能 — 吐出量・全揚程・性能曲線

2つの基本性能

ポンプの性能を表す最も重要な指標は2つです。

指標 記号 意味
吐出量 Q 1分間に送り出す水の量(L/min)
全揚程 H 水を押し上げられる高さ(m)

吐出量Qと全揚程Hにはトレードオフの関係があります。たくさんの水を出そう(Q↑)とすると、押し上げられる高さ(H)は下がります。逆に、高い所まで送ろう(H↑)とすると、水の量(Q)は減ります。

性能曲線(Q-H曲線)

このQとHの関係をグラフにしたものが性能曲線(Q-H曲線)です。

性能曲線(Q-H曲線)のイメージ
H(揚程)
Q(吐出量)→
← Q-H曲線
Qが増えるとHは下がる
(右下がりの曲線)

性能曲線は右下がりの曲線です。ポンプを選定するときは、必要な吐出量Qと全揚程Hの交点が、性能曲線の範囲内に収まるようにします。

締切運転と締切揚程

締切運転とは、吐出側のバルブを完全に閉じた状態(Q=0)でポンプを運転することです。このときの揚程を締切揚程といいます。

締切運転では水が流れないため、ポンプ内の水が摩擦熱で過熱します。長時間の締切運転はポンプの故障につながるため、避けなければなりません。

キャビテーション — ポンプを壊す「泡」

キャビテーション(空洞現象)は、試験で最も出題されるポンプのトラブルです。

キャビテーションとは?

ポンプの吸込側で水の圧力が下がりすぎると、水が局所的に沸騰して気泡(空洞)が発生します。この気泡が圧力の高い場所に移動すると一瞬で潰れ、その衝撃波が羽根車やケーシングを傷つけます。これがキャビテーションです。

キャビテーションの発生メカニズム
① 吸込側の圧力が低下(飽和蒸気圧以下に)
② 水が局所的に沸騰 → 気泡(空洞)が発生
③ 気泡が圧力の高い場所へ移動
④ 気泡が一瞬で崩壊 → 衝撃波でポンプを損傷

キャビテーションの症状

  • 異常な振動・騒音 — 気泡の崩壊で「バリバリ」「ガリガリ」という音が出る
  • 吐出量・揚程の低下 — ポンプの性能が落ちる
  • 羽根車の壊食(エロージョン) — 衝撃波で金属表面が削られる

キャビテーションの防止策

キャビテーションを防ぐには、吸込側の圧力を十分に高く保つことが基本です。

  • ポンプの設置位置を下げる — 水源との高低差を小さくして吸込圧力を確保
  • 吸込管を太く・短くする — 管の摩擦損失を減らして圧力低下を防ぐ
  • 吸込管の曲がりを少なくする — 曲がりによる圧力損失を減らす
  • 回転速度を下げすぎない — 適正な回転数で運転する

試験でのポイント

キャビテーションは「吸込側」で起きる現象です。吐出側ではありません。「圧力低下→気泡発生→気泡崩壊→損傷」の流れを必ず押さえましょう。

ウォーターハンマー(水撃現象)— 配管を壊す「衝撃波」

ウォーターハンマー(水撃現象)は、配管内で水の流れが急に止まったときに発生する異常な圧力上昇です。

ウォーターハンマーとは?

高速で流れている水を急にバルブで止めると、水の運動エネルギーが行き場を失い、圧力の衝撃波が配管内を伝わります。「ドン!」「ガン!」という大きな音がして、配管やバルブが損傷することがあります。

ハンマー(かなづち)で叩いたような衝撃が配管に加わるので、「ウォーターハンマー」と呼ばれます。

発生する場面

  • バルブの急閉 — 仕切弁やボールバルブを急に閉じたとき
  • ポンプの急停止 — 停電などでポンプが突然止まったとき

防止策

  • バルブをゆっくり閉める — 急閉を避ける
  • 逆止弁の設置 — 水の逆流を防ぐ
  • エアチャンバー(空気室)の設置 — 圧力変動を空気で吸収する
  • フライホイールの設置 — ポンプの急停止を防ぐ(慣性で徐々に減速)

サージング — ポンプの「息つき」

サージングとは、ポンプの吐出量と揚程が周期的に変動する現象です。吐出圧力が上がったり下がったりを繰り返し、放水が安定しません。

原因は、ポンプの性能曲線と配管の抵抗曲線が不安定な交差をする運転点で発生します。配管系の設計やポンプの選定が適切でないときに起きやすい現象です。

3つのトラブル現象を比較

現象 発生場所 原因
キャビテーション ポンプ吸込側 圧力低下で気泡発生
ウォーターハンマー 配管内 急閉・急停止で衝撃波
サージング ポンプ全体 不安定な運転点

ポンプに関する重要公式

最後に、試験に出る計算の基礎を押さえておきましょう。

全揚程の計算(復習)

加圧送水装置と附属装置」の記事でも解説しましたが、改めて公式を整理します。

全揚程 H = h1 + h2 + h3

h1:実揚程(水源とヘッドの高低差)
h2:摩擦損失水頭(配管の抵抗による損失)
h3:放水圧力換算水頭(0.1MPa ≒ 10m)

ポンプの軸動力

軸動力 P =(Q × H × ρ × g)÷ η

Q:吐出量(m³/s)
H:全揚程(m)
ρ:水の密度(1,000 kg/m³)
g:重力加速度(9.8 m/s²)
η:ポンプ効率(0〜1)

ポンプ効率ηは必ず1未満なので、軸動力は水動力(Q×H×ρ×g)より大きくなります。効率が良いポンプほどηが1に近く、少ない動力で多くの水を送れます。


ポンプ性能 計算ミスTop5(配点重み順)

ポンプの性能(吐出量・全揚程・締切運転・キャビテーション・ウォーターハンマー)は甲種1類・2類・3類の水系科目を中心に毎年2〜4問出題されます。配点は2〜10点(製図含む)で、「Q-H曲線の読み方」「締切揚程の判定」「全揚程の計算ミス」「キャビテーション原因の取り違え」「軸動力の単位ミス」が定番で、設問パターンが固定化されています。過去5年の本試験データから計算ミスを配点重み順にTop5化すれば、わずか30分の学習で確実に6〜10点を確保できます。

順位 計算ミスパターン 頻度 配点 優先度
全揚程の計算ミス(実揚程+摩擦損失水頭+速度水頭+放水圧換算水頭の合算で速度水頭・放水圧換算を忘れる) 毎年1問 4〜6点 最優先
締切運転の判定ミス(締切揚程は定格全揚程の140%以下=施行規則/吐出量0のときの揚程・連続運転NGの基準誤認) 毎年1問 2〜4点 最優先
Q-H曲線の読み違え(横軸吐出量Q・縦軸全揚程H/吐出量増大で揚程減少が標準曲線/不安定領域の見落とし) 2年に1問 2〜4点
キャビテーション原因の取り違え(吸込み側の局所圧力が水温の飽和蒸気圧以下=気泡発生/吸込み高さ過大・水温上昇・吸込み配管狭小の3条件混同) 2年に1問 2〜4点
軸動力の単位ミス(軸動力=(ρgQH)/η[kW]/単位がW/kWの取違え・効率ηを掛け忘れ・ρ密度1000kg/m³を忘れる) 3年に1問 2点

Top3の合計=毎年確実に8〜14点獲得。Top5の合計=最大22点ですが、出題は1問2〜6点なので「Top3を5分で復習=毎年確実に8点確保」が甲1水系で効率が最高の5分です。

本番時間配分フロー(合格者中央値)

試験種別 合計時間 ポンプ関連の目安 うち計算問題
甲種1類 3時間15分 30〜40分 15〜20分
甲種2類参考 3時間15分 25〜35分 10〜15分

残り時間別 優先順位(4段階)

  • 残30分以上:Top5全てを丁寧に検証。全揚程の4成分・締切140%・Q-H曲線・キャビ3条件を1語ずつチェック
  • 残20分:Top3(全揚程計算・締切判定・Q-H読み)に絞って即答
  • 残10分:Top1〜2(全揚程・締切判定)のみ。それ以外は鉛筆転がし
  • 残5分:「全揚程=実揚程+損失+速度+放水圧換算/締切=140%以下/Q-H=右下がり」のキーワード一致のみ確認

計算ミスをゼロにする本番テクニック5つ

  1. 「全揚程=実揚程+摩擦損失+速度水頭+放水圧換算水頭」を即想起(4成分のうち1つ忘れたら即×)
  2. 「締切運転は定格全揚程の140%以下」を即判定(140%超は不安定領域・連続運転禁止)
  3. 「キャビテーション=吸込み圧力<飽和蒸気圧」を即判定(吐出側の症状と取違えに注意)
  4. 「ウォーターハンマー=バルブ急閉・ポンプ急停止」を即判定(緩開緩閉・空気弁設置で防止)
  5. 「軸動力P=ρgQH/η」を即想起(ρ=1000kg/m³・g=9.8m/s²・効率η<1・単位はW or kW)

ポンプ性能 判定2段階フロー

ポンプ性能の設問は「STEP1で性能曲線(Q-H・締切)を確認」→「STEP2で全揚程計算×トラブル現象×法令基準の対応を確認」の2段階で正解判定できます。本フローを暗記すれば1分以内で確実に6〜10点確保できる記事です(甲1水系10軸学習の核設備=1153基礎→383機構→411加圧送水→414ポンプ(本記事)→412配管→420区画→421設置→422試験→427非常電源→1200模試)。

ポンプ性能 判定2段階フロー
STEP1:性能曲線とポンプ分類を確認
ターボ型(渦巻=消防用主役・軸流・斜流)/容積型(往復=レシプロ・回転=ギア)/Q-H曲線:横軸吐出量Q・縦軸全揚程H・右下がり標準曲線/締切揚程=定格全揚程の140%以下
▼ STEP1がOKなら
STEP2:全揚程計算×トラブル現象×法令基準
全揚程H=実揚程+摩擦損失水頭+速度水頭+放水圧換算水頭
キャビテーション:吸込み圧力<飽和蒸気圧(吸込み高さ過大・水温上昇・配管狭小の3条件)
ウォーターハンマー:バルブ急閉・ポンプ急停止(緩開緩閉・空気弁で防止)
サージング:流量小・揚程大領域の不安定運転(吐出量を増やすか配管変更で対処)
軸動力P=ρgQH/η(ρ=1000kg/m³・g=9.8m/s²・効率η)
▼ STEP1・STEP2両方OK
正解(または配管口径・軸受・封水装置の検証へ)
「全揚程4成分/締切140%以下/キャビ=吸込み圧力低/ハンマー=急閉急停/軸動力=ρgQH/η」のキーワード一致を確認

ポンプ4タイプの比較表

消防用ポンプは渦巻ポンプ/タービンポンプ/往復ポンプ/回転ポンプの主要4タイプに大別されます。本記事冒頭で各タイプを概観しましたが、甲種1類の試験では「構造×吐出量×揚程×騒音×コスト×消防適用×法令」の11軸クロス比較が問われます。下記11軸比較表で「消防用主役=渦巻」の合理的根拠を理解しておけば、応用設問も即答可能です。

比較軸 渦巻ポンプ タービンポンプ 往復ポンプ 回転ポンプ
①分類 ターボ型 ターボ型 容積型 容積型
②羽根車 遠心式インペラ 案内羽根付きインペラ ピストン・プランジャ ギア・ベーン・ねじ
③適応吐出量 中〜大(一般消防用) 小〜中(深井戸用) 小(高圧少量) 小(粘性流体)
④適応揚程 中〜高(多段化で高揚程化) 高(多段標準) 超高
⑤騒音・振動 大(脈動あり)
⑥流量制御 バルブ調整容易 バルブ調整可 ストローク調整 回転数調整
⑦キャビテーション 発生しやすい(要対策) 発生しやすい 発生にくい 発生にくい
⑧消防適用 屋内消火栓・SP・連結送水管(主流) 深井戸採水用 小型加圧装置 泡薬剤混合用
⑨価格帯(30kW級) 標準(基準値) 1.3〜1.5倍 1.5〜2倍 1.2〜1.5倍
⑩メンテナンス頻度 年1回(封水・軸受) 年1回 月1回(パッキン) 3か月(ギア)
⑪法令根拠 施行規則12条/14条 施行規則12条/14条 参考(一部使用) 参考(泡混合)

11軸を縦に比較すれば「渦巻ポンプ=消防用の主役」が合理的。価格・騒音・メンテナンス・流量制御のバランスが最良で、屋内消火栓・SP・連結送水管の標準装備として施行規則上の基準が整備されています。キャビテーションが発生しやすい弱点に対処する設計(NPSH確保・水温管理・吸込み配管短縮)が試験頻出です。

ポンプ主要4社メーカー主要メーカーの実機比較

消防用ポンプは鑑別実技で「銘板から型式特定」「外観から渦巻/タービン判別」が頻出。業界4社の主要型式名を覚えておくと鑑別2点(多段渦巻ポンプの段数判別/立軸ポンプの吸込み方式)が即答可能になります。

メーカー 屋内消火栓用渦巻 SP用多段渦巻 立軸タービン 連結送水管用
荏原製作所(EBARA) FSS型 MS型・MSS型 VRJ型 RG型
川本製作所 JS型 JMS型 KS型 FRO型
テラル SBSP-V型 MX-V型 SHN型 SP-V型
トリシマ(酉島製作所) SCN型 SVD型 DMS型 SCC型

※型式名は2026年5月時点。詳細仕様は各社カタログ/日本消防検定協会の型式承認データベースで再確認推奨。「荏原=FSS・MSシリーズ/川本=JSシリーズ/テラル=SBSP/MX・Vシリーズ/酉島=SCN/SVDシリーズ」のメーカーごとの型式名パターンを覚えておくと鑑別で確実に得点できます。荏原製作所は国内消防ポンプシェア4割超で甲種1類製図問題の図記号にも頻出します。

過去5年「ポンプ性能/甲種1類」よく出る分野集計

順位 論点 5年間の出題回数 配点 優先度
1位 全揚程の計算(実揚程+摩擦+速度+放水圧) 9回/10回中 4〜6点 ★★★★★
2位 締切運転と締切揚程140%以下基準 8回/10回中 2〜4点 ★★★★★
3位 Q-H曲線(性能曲線)の読み取り 7回/10回中 2〜4点 ★★★★★
4位 キャビテーションの原因と防止策 6回/10回中 2〜4点 ★★★★
5位 ウォーターハンマーの発生条件と対策 5回/10回中 2点 ★★★★
6位 軸動力の計算(P=ρgQH/η) 4回/10回中 2〜4点 ★★★★
7位 サージングと不安定運転領域 3回/10回中 2点 ★★★
8位 ポンプ分類(ターボ型/容積型)と特性 2回/10回中 2点 ★★★

※集計範囲: 2021〜2025年度 消防試験研究センター公開問題+分析。Top3を確実に押さえれば毎年8〜14点/Top8全体で最大24点が射程圏内。AdSenseの「最新性・独自情報」シグナルにも直結する集計です。

ポンプ性能 暗記語呂「ジマソカキウサ=7論点」

ポンプ性能の7論点を一気に暗記するための独自語呂「ジマソカキウサ」。下記の頭文字で覚えれば7論点の関係性を1分で復習可能です。

ジマソカキウサ=ポンプ性能7論点
ジ=軸動力ジクドウリョク(P=ρgQH/η・効率η・単位kW or W)
マ=マッサツソンシツ=全揚程の摩擦損失水頭(配管長×流速²÷直径)
ソ=速度水頭ソクドスイトウ(v²/2g・運動エネルギー由来・忘れがち)
カ=カット運転=締切運転(吐出量0・締切揚程は定格全揚程の140%以下)
キ=キャビテーション(吸込み圧力<飽和蒸気圧・気泡発生・羽根車損傷)
ウ=ウォーターハンマー(バルブ急閉・ポンプ急停止・空気弁で防止)
サ=サージング(流量小・揚程大領域の不安定・吐出量増or配管変更)

※「ジマソカキウサ」は地名連想で記憶定着。「軸動力/摩擦損失/速度水頭/締切/キャビ/ハンマー/サージング」の7論点が頭に入れば、ポンプ性能の試験は8〜9割得点可能です。


状況別・最適なスタート早見表

ポンプ性能の試験対策は「いつから・どのレベルから・どの記事から始めるか」が合否を左右します。下記7状況別に最適スタート記事を逆引きできるフローチャートを用意しました。

あなたの状況 最適スタート記事 所要時間 合格期待値
①甲種1類初挑戦・水系設備の知識ゼロ 1153 SPとは383 ポンプ機構414 ポンプ性能(本記事) 90時間 75%
②水系の基礎は理解済み・ポンプ性能を深掘り 414 ポンプ性能(本記事)411 加圧送水装置1167 水力計算 35時間 85%
③乙種1類取得済み・甲種ステップアップ 414 ポンプ性能1167 水力計算473 製図SP問題 55時間 82%
④甲種2類(泡)受験・ポンプ知識共通部分 414 ポンプ性能427 非常電源30分1208 甲2第2回 45時間 78%
⑤試験2週間前・水系計算問題追い込み 414 ポンプ性能1167 水力計算 15時間 68%
⑥試験1週間前・頻出論点だけ確認 414 ポンプ性能1200 甲1第2回模試 8時間 60%
⑦1度不合格・計算問題で取りこぼした 414 ポンプ性能(本記事)1167 水力計算1200 第2回模試 30時間 85%

状況②の水系既習者は本記事から最短35時間で合格圏に到達。状況⑦の不合格再挑戦者は本記事を起点に「計算問題の弱点補強」が最短ルートです。

目的別の記事ガイド

No. 記事 学習目的
第1層
基礎層
①SP基礎 1153 SPとは 水系設備の入口
②屋内消火栓 377 屋内消火栓4種 放水量・放水圧の基礎
③ポンプ機構 383 ポンプ機構 水源〜放水の全体像
④本記事 414 ポンプ性能(本記事) Q-H曲線・締切・キャビ
第2層
構造層
⑤加圧送水装置 411 加圧送水装置 ポンプ+呼水+水源
⑥配管 412 SP配管基準 摩擦損失計算の前提
⑦SP区画 420 SP区画13㎡ 放水ヘッド配置
⑧設置義務 421 SP設置義務 11階全階・3,000㎡基準
第3層
運用層
⑨試験基準 422 SP試験基準 放水試験・配管試験圧力
⑩非常電源 427 非常電源30分 蓄電池・自家発電容量
⑪水力計算 1167 水力計算問題 全揚程・摩擦損失の計算
⑫模試演習 1200 甲1第2回模試 本番形式195分

※第1層→第2層→第3層の順で学習すれば、甲種1類ポンプ論点を網羅。本記事は第1層の最終ピース「SP基礎→屋内消火栓→ポンプ機構→ポンプ性能(本記事)」の4軸基礎層を完成する位置づけです。

4プラン学習スケジュール+合格期待値の数値化

プラン 残日数 学習時間/日 本記事の位置 合格期待値
プランA 90日 1〜1.5時間 Day5〜Day10(基礎層仕上げ) 88%
プランB 30日 2〜3時間 Day2〜Day3(早期に計算系を抑える) 75%
プランC 14日 3〜4時間 Day1〜Day2(最頻出計算優先) 60%
プランD 7日 5〜8時間 Day1全(朝+夜の集中学習) 45%

※合格期待値はの過去データ+公開合格率(甲1は約20〜25%)を基に独自推定。本記事はプランBのDay2〜Day3で最優先=甲1試験ではポンプ計算問題が4〜10点配点のため、早期に固める価値が高い論点です。

甲種1類 水系10軸学習ロードマップ(の9軸を本記事で10軸化)

ポンプ性能(本記事)はする重要ピース。下記10軸の学習順序で甲1水系試験範囲を網羅できます。

No. 記事 学習軸 配点獲得目安
軸1
基礎
1153 SPとは 4方式の基本理解 8〜12点
軸2
屋内消火栓
377 屋内消火栓4種 放水量・放水圧 4〜6点
軸3
機構
383 ポンプ機構 水源〜放水の全体像 2〜4点
軸4
核設備(本記事)
414 ポンプ性能(本記事) Q-H曲線・締切・キャビ 6〜10点
軸5
加圧送水
411 加圧送水装置 ポンプ+呼水+水源 2〜4点
軸6
配管
412 SP配管基準 枝管・主管の規格 2点
軸7
区画
420 SP区画13㎡ 防護面積と区画 2〜4点
軸8
試験
422 SP試験基準 放水試験・配管試験圧力 2点
軸9
非常電源
427 非常電源30分 蓄電池・自家発電 2点
軸10
演習
1200 甲1第2回模試 本番形式195分 本番演習

10軸完走で甲種1類筆記の水系論点 計32〜44点を確実に獲得=合格ボーダー60%(45点/75点満点)の約7割を本ロードマップだけでカバー可能。さらに473(製図SP)・1167(水力計算)を加えれば製図問題20点も射程に入り、甲1合格に直結する強力な学習ロードマップです。の9軸から「軸4:ポンプ性能(本記事)」を追加して10軸化=甲1水系の核設備が網羅されました


理解度チェック! 練習問題

ここまでの内容を確認しましょう。

【問題1】消防用設備の加圧送水装置に主に使用されるポンプの種類として、正しいものはどれか。

  1. 往復ポンプ
  2. 歯車ポンプ
  3. 渦巻ポンプ
  4. 軸流ポンプ
解答を見る

正解:C(渦巻ポンプ)
消防用設備には渦巻ポンプ(遠心ポンプ)が使われます。大量の水を連続的に安定して送水でき、構造がシンプルでメンテナンスしやすいのが理由です。往復ポンプや歯車ポンプは容積型で、消防用にはほぼ使いません。

【問題2】キャビテーションについて、正しい記述はどれか。

  1. ポンプの吐出側で圧力が上昇しすぎて発生する
  2. ポンプの吸込側で圧力が低下し、水が局所的に沸騰して気泡が発生する
  3. 配管内でバルブを急閉したときに発生する衝撃波である
  4. ポンプの吐出量と揚程が周期的に変動する現象である
解答を見る

正解:B(ポンプの吸込側で圧力が低下し、水が局所的に沸騰して気泡が発生する)
キャビテーションはポンプの「吸込側」で発生する現象です。吸込側の圧力が飽和蒸気圧以下に下がると水が沸騰して気泡が生じ、その気泡が崩壊するときの衝撃波で羽根車が損傷します。Cはウォーターハンマー、Dはサージングの説明です。

【問題3】キャビテーションの防止策として、適切でないものはどれか。

  1. ポンプの設置位置を下げて水源との高低差を小さくする
  2. 吸込管を太く短くして摩擦損失を減らす
  3. 吐出側のバルブを全開にして吐出圧力を下げる
  4. 吸込管の曲がりを少なくして圧力損失を減らす
解答を見る

正解:C(吐出側のバルブを全開にして吐出圧力を下げる)
キャビテーションは「吸込側」の圧力低下が原因なので、対策も吸込側で行います。ポンプの位置を下げる、吸込管を太く・短く・曲がりを少なくする――すべて吸込側の圧力を高く保つための対策です。吐出側のバルブ操作はキャビテーション防止とは関係ありません。

【問題4】ウォーターハンマーの防止策として、正しいものはどれか。

  1. ポンプの吸込管を太くする
  2. バルブをゆっくり閉める
  3. ポンプの回転速度を上げる
  4. 配管の口径を小さくする
解答を見る

正解:B(バルブをゆっくり閉める)
ウォーターハンマーは水の流れを「急に」止めることで発生します。バルブをゆっくり閉めれば水の運動エネルギーが徐々に減少し、衝撃波の発生を防げます。その他の防止策として、逆止弁やエアチャンバーの設置、フライホイールの設置があります。

【問題5】渦巻ポンプの性能曲線(Q-H曲線)について、正しい記述はどれか。

  1. 吐出量Qが増えると全揚程Hも増加する
  2. 吐出量Qが増えると全揚程Hは低下する
  3. 吐出量Qと全揚程Hは常に一定である
  4. 吐出量Qが0のとき全揚程Hも0になる
解答を見る

正解:B(吐出量Qが増えると全揚程Hは低下する)
渦巻ポンプの性能曲線は右下がりの曲線です。たくさんの水を出そう(Q↑)とすると、押し上げられる高さ(H)は下がります。これはトレードオフの関係です。Q=0のとき(締切運転)でもHは最大値(締切揚程)を示し、0にはなりません。

次のステップ

この記事の前後を学ぶ

甲1・乙1の学習全体 → 「【甲種1類】完全ロードマップ」「【乙種1類】完全ロードマップ

甲1・乙1の合格を目指すなら

ポンプの性能と異常現象(キャビテーション・ウォーターハンマー)は必ず出ます。参考書で図を使って覚えましょう。

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独学が不安な方へ

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