甲種1類/乙種1類

【甲種1類】水力計算の基礎|全揚程・流量・摩擦損失の解き方

甲種1類の水力計算では、公式を暗記するだけでなく、問題文の数値を「流量・高さ・損失・圧力」に分け、単位をそろえることが大切です。

この記事では、全揚程、流量と流速、摩擦損失、ポンプ動力の基礎式を、オリジナル例題で確認します。消防試験研究センターの公開問題を使った一連の解説は「屋内消火栓設備の製図問題|公式公開問題の読み解き方」をご覧ください。

先に確認
ここで扱う練習問題は当サイト作成です。公式公開問題は、消防試験研究センターが試験問題の一部を例示したものであり、出題範囲や頻度を保証する資料ではありません。

計算を始める前の5ステップ

  1. 何を求めるかを確認する
  2. 図面と条件文から必要な数値だけを拾う
  3. 単位をそろえる
  4. 式に数値を代入し、途中式を残す
  5. 答えの単位と桁を確認する

とくに注意したいのは、L/minとm³/min、mmとm、MPaと水頭mの混在です。数字だけを先に電卓へ入れず、数値の横に単位を書いてから計算します。

全揚程は「必要な水頭」を漏れなく足す

全揚程は、ポンプが水に与える必要のあるエネルギーを、水柱の高さに相当する「水頭」で表したものです。簡略化した試験条件では、次のように整理できます。

全揚程 H [m]

H = 高低差 + 配管の摩擦損失 + ホースの摩擦損失 + 必要圧力の水頭 + その他の指定損失

すべての問題に同じ数の項が現れるわけではありません。ホース損失を別に与える問題もあれば、損失の合計値が与えられる問題もあります。h₁、h₂などの記号が何を表すかは問題ごとに確認してください。

圧力を水頭へ換算する

圧力水頭は、密度ρ、重力加速度g、圧力pを使って次式で表せます。

h = p ÷(ρg)

水について概算すると、0.1MPaは約10.2m水頭です。試験問題では計算を簡単にするため、0.1MPaを10m水頭として扱う条件が示されることがあります。その場合、0.17MPaは17m水頭です。問題文に換算条件や丸め方があれば、そちらを優先します。

オリジナル例題1:全揚程

問題 高低差18m、配管損失4.8m、ホース損失6.2m、必要圧力水頭17mである。ほかの損失を考えないとき、全揚程を求めなさい。

解答を見る

H = 18 + 4.8 + 6.2 + 17 = 46.0m

ホース損失を配管損失へ含めたものと思い込み、1項落とさないようにします。

流量と流速は Q=Av で結ぶ

定常状態で、水が途中から出入りしない一本の配管を考えると、体積流量Qは断面積Aと平均流速vの積です。

意味
Q = A×v 流量=断面積×流速
A = πd²÷4 円管の断面積(dは内径)
A₁v₁ = A₂v₂ 分岐や漏れがない場合の連続の式

連続の式は、同じ流量が各断面を通るという条件の式です。実際の設備では管径の変更によって系全体の抵抗と流量も変わり得るため、「細くすれば必ず同じ流量のまま流速だけが上がる」という意味ではありません。

よく使う単位換算

  • 1m³ = 1,000L
  • 1m³/min = 1,000L/min
  • 1m³/s = 60,000L/min
  • 50mm = 0.050m

オリジナル例題2:流量

問題 断面積0.002m²の管内を水が2.0m/sで流れている。流量をL/minで求めなさい。

解答を見る

Q = 0.002×2.0 = 0.004m³/s

0.004×60,000 = 240L/min

摩擦損失は問題の条件または告示の計算方法に従う

水は、配管、弁、継手、ホースなどを通るときにエネルギーを失います。問題で「1m当たりの損失」と「等価管長」が与えられた場合は、次の形で計算できます。

摩擦損失水頭 = 単位長さ当たりの損失 × 等価管長

等価管長 = 直管の長さ + 継手・弁などを直管長へ換算した長さ

ただし、実際の消防用設備の配管やホースの摩擦損失計算には、消防庁告示第32号の基準があります。「配管長の何%を足す」といった固定の割合で代用できるものではありません。試験では問題に示された条件を使い、実務では対象設備に適用される法令・告示と設計条件を確認します。

オリジナル例題3:摩擦損失

問題 この問題では、単位長さ当たりの損失を0.12m/m、直管と継手類を合わせた等価管長を45mとする。摩擦損失水頭を求めなさい。

解答を見る

0.12×45 = 5.4m

0.12m/mはこの例題だけの条件で、設備に共通する固定値ではありません。

ポンプ動力の基礎式は流量の単位に注意する

水の密度を1,000kg/m³、重力加速度を9.8m/s²とした簡略計算では、ポンプ効率ηを考慮した軸動力Pは次の形になります。

流量Qの単位 動力P [kW]
m³/s P=9.8QH÷η
m³/min P=0.163QH÷η

ここでHは全揚程[m]、ηは小数で表した効率です。この式で求めるのは、与えられた条件に対する理論的な軸動力です。実機の電動機定格は、伝達効率、余裕、適用基準なども関係するため、この計算結果だけで選定しません。

オリジナル例題4:ポンプ動力

問題 全揚程45m、流量0.30m³/min、ポンプ効率0.60とする。上の簡略式で軸動力を求めなさい。

解答を見る

P = 0.163×0.30×45÷0.60 = 3.6675kW

小数第2位を四捨五入すると、約3.7kWです。

公式早見表

項目 基本式 確認点
全揚程 必要な水頭の合計 ホース損失などの項を落とさない
圧力水頭 h=p/(ρg) 問題指定の換算・丸めを優先
流量 Q=Av m³/sとL/minを区別
摩擦損失 単位損失×等価管長 問題条件または告示に従う
軸動力 0.163QH/η Qはm³/min

公式公開問題で確認できる計算の流れ

消防試験研究センターが公開している甲種第1類の実技問題例には、屋内消火栓設備について、全揚程、ポンプの吐出量、水源水量を求める設問があります。公開されている解答では、問題図と条件にある値を分けて使い、次のように計算しています。

  • 全揚程:ホース損失、配管損失、高低差、必要圧力水頭を合計
  • ポンプ吐出量:同時に使う消火栓数と、1個当たりの規定流量から計算
  • 水源水量:同時使用個数と、1個当たりの必要水量から計算

ここで、ポンプ吐出量に使う流量と、水源水量に使う毎分量は同じ数値ではありません。具体的な数値の出所と途中式は「公式公開問題の読み解き方」で分けて説明しています。

計算ミスを減らす最終チェック

  • 問題で求められている量に下線を引いたか
  • 図面の数値と法令・条件の数値を区別したか
  • 同時使用個数を確認したか
  • L、m³、秒、分の単位をそろえたか
  • 全揚程の各損失を漏らしていないか
  • 答えに単位を付けたか

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参考資料

法令・告示は改正されることがあります。実務で利用するときは、リンク先の最新本文と所轄消防機関の運用を確認してください。

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