甲種1類/乙種1類

【甲1/乙1】鑑別問題の攻略法|水系設備の部品の見分け方と頻出パターン

結論:1類の鑑別は「水系設備の部品を見て即答できるか」の試験

結論から言います。

甲種1類・乙種1類の鑑別問題は、スプリンクラーヘッド・流水検知装置・バルブ・ポンプなど水系消火設備の部品を写真で見て、名称・用途・特徴を記述式で答える試験です。

1類は扱う部品の種類が多く、「見た目が似ているバルブの違いがわからない」という受験者が多い分野です。でも、部品は4つのカテゴリに分けて覚えれば整理できます。

この記事では、水系設備の部品を「見た目だけ」で瞬時に見分けるコツと、頻出パターン別の攻略法を解説します。

水系設備の全体像については「水系消火設備の全体像」で解説していますので、先に読んでおくと理解がスムーズです。

甲1/乙1の鑑別問題とは?

項目 甲1 乙1
鑑別 5問 5問
製図 2問 なし
解答形式 記述式 記述式
合格基準 実技全体で60%以上 鑑別で60%以上

1類の鑑別で出題されるのは、大きく以下の4カテゴリです。

  1. スプリンクラーヘッドの種類と特徴
  2. 弁類(流水検知装置・一斉開放弁・バルブ各種)
  3. ポンプ・配管部品(加圧送水装置・継手・管)
  4. 試験・点検器具(圧力計・流量計・末端試験弁)

実技試験の全体像は「実技試験とは?鑑別・製図の完全ガイド」をご覧ください。

カテゴリ①|スプリンクラーヘッドの見分け方

スプリンクラーヘッド(SPヘッド)は1類の鑑別で最も出題頻度が高い部品です。

ホテルの天井を見上げてみてください。天井面に小さな金属の突起や丸いカバーが見えることがあります。あれがスプリンクラーヘッドです。火災時に熱で感熱部が破壊され、自動的に散水して消火します。

ヘッドの種類と外観の違い

ヘッドの種類 外観の特徴 用途
閉鎖型(上向き) デフレクター(散水板)が上。感熱部が下に見える 天井裏に配管がある場合
閉鎖型(下向き) デフレクター(散水板)が下。天井から吊り下がる形 最も一般的な設置方式
開放型 感熱部がない。常に開口 一斉開放弁と組み合わせ
フラッシュ型 天井面とほぼ同じ高さ。目立たない 意匠性が求められる場所
側壁型 壁面に設置。片側に散水 天井配管が困難な場所
【写真】閉鎖型SPヘッド(上向き・下向き)と開放型の比較
(画像準備中 — Geminiで生成後に差し替え)

見分けの最大のポイントは感熱部の有無です。

  • 閉鎖型:感熱部(ヒュージブルリンクまたはグラスバルブ)がある。これが熱で溶けたり破裂して開く
  • 開放型:感熱部がない。常に穴が開いた状態。一斉開放弁で水を送って散水する

グラスバルブは小さなガラス球で、中に液体が入っています。火災の熱で液体が膨張し、ガラスが割れてヘッドが開く仕組みです。バルブの色は作動温度によって異なります(オレンジ=57℃、赤=68℃、黄=79℃など)。

詳しくは「スプリンクラーヘッドの種類と機能」をご覧ください。

カテゴリ②|弁類(バルブ・検知装置)の見分け方

水系設備にはさまざまな弁(バルブ)が使われます。鑑別では「この弁の名称と役割を答えよ」という問題が頻出です。

流水検知装置(アラーム弁)

スプリンクラー設備の心臓部ともいえる装置です。ヘッドが開いて水が流れ始めると、内部の弁体(クラッパー)が押し開かれ、水が流れたことを自動的に検知して受信機に信号を送ります。

外観は大きな鋳鉄製の弁本体に圧力計やドレン弁、警報用の配管が接続された構造です。パイプシャフト(配管スペース)に設置されていることが多く、点検時に必ず確認する機器です。

一斉開放弁

開放型スプリンクラー設備で使用されます。通常は弁が閉じていて水を止めていますが、火災信号を受けると一斉に弁が開いて全ヘッドから散水します。舞台のスプリンクラーや駐車場の泡消火設備などで使われます。

主要バルブの見分け表

バルブ名 外観の特徴 役割
仕切弁(ゲート弁) ハンドルを回して開閉。全開/全閉用 配管の遮断
逆止弁(チャッキ弁) 弁体が一方向にしか開かない 水の逆流防止
バタフライ弁 レバーで90度回転。薄型 流量調整・遮断
減圧弁 入口側と出口側に圧力計 水圧を一定値に下げる
安全弁(リリーフ弁) ばね式で自動開放 異常高圧時の圧力逃し
【写真】主要バルブ5種類の外観比較
(画像準備中 — Geminiで生成後に差し替え)

現場では「仕切弁が全開になっているか」「逆止弁が正常に機能しているか」を点検します。特に仕切弁が閉まったまま放置されていると、火災時にポンプが回っても水が届かないという致命的な事態になります。

弁類と配管の詳細は「配管・バルブ・継手の種類と施工方法」「流水検知装置と一斉開放弁」で解説しています。

カテゴリ③|ポンプ・配管部品の見分け方

加圧送水装置(消火ポンプ)

水系消火設備の動力源です。地下のポンプ室に設置されていることが多く、火災時に自動起動して配管に水を送ります。

ポンプの種類 外観と特徴
渦巻ポンプ(ボリュートポンプ) カタツムリ型のケーシング。消火ポンプで最も一般的
タービンポンプ 多段構造で高揚程。高層ビル向け

鑑別では「このポンプの種類を答えよ」と出題されます。カタツムリのような渦巻き状のケーシング(外殻)が見えれば渦巻ポンプです。消火設備で最も多く使われるタイプです。

詳しくは「ポンプの種類と性能」「加圧送水装置と附属装置」をどうぞ。

配管の継手(つぎて)

配管同士を接続する部品です。鑑別では写真を見て名称を答えます。

継手の名称 外観と用途
エルボ L字型。配管の方向を90度変える
ティー(T字管) T字型。配管を分岐させる
ユニオン ナット式。取り外し可能な接続
レデューサー 円錐型。異なる口径の管を接続
フランジ 円盤型。ボルトで締結して接続

エルボとティーは形がそのまま名前になっているので覚えやすいですね。エルボは「肘(elbow)」のL字、ティーは「T」の形です。

カテゴリ④|試験・点検器具の見分け方

器具名 外観 用途
末端試験弁 配管末端のバルブ+圧力計+オリフィス SPの放水圧力と流水検知の作動確認
圧力計 丸い文字盤にMPa表示 配管内の水圧を測定
連成計 圧力計に似るが負圧も表示 ポンプ吸込側の圧力測定
流量計 配管途中の計測器 放水量を測定

末端試験弁は超頻出です。スプリンクラー設備の最も遠い場所(末端)に設置されており、ここを開けることで「末端でも十分な水圧が確保されているか」「流水検知装置が正常に作動するか」を確認します。

実際の点検では、末端試験弁を開けて水を流し、流水検知装置が作動して受信機に信号が届くまでの時間を計測します。この試験を年に2回実施するのが法定点検のルールです。

圧力計と連成計の違いも出題されます。圧力計は正圧(0以上)のみ測れますが、連成計は正圧と負圧の両方を測れます。ポンプの吸込側は負圧になることがあるため、連成計を使います。

点検方法の詳細は「水系消火設備の点検と試験」をどうぞ。

見分けフローチャート

写真を見たとき、まず「どのカテゴリの部品か」を判断し、その中で特定する2段階です。

水系設備の部品 見分けフローチャート
STEP 1:何の部品か?
散水部品
感熱部あり → 閉鎖型ヘッド
感熱部なし → 開放型ヘッド
弁・バルブ
大型+警報配管 → 流水検知装置
ハンドル式 → 仕切弁
一方向のみ → 逆止弁
ポンプ・配管
渦巻ケーシング → 渦巻ポンプ
L字 → エルボ
T字 → ティー
計測・試験
末端の弁+圧力計 → 末端試験弁
正圧のみ → 圧力計
正負両方 → 連成計

頻出パターン別 攻略法

パターン①|「この部品の名称を答えよ」

最も出題頻度が高いパターンです。写真や図を見て正式名称を答えます。

よく出る部品の正式名称リストです。漢字を含め正確に書けるようにしましょう。

部品 正式名称の記述例
SPヘッド 閉鎖型スプリンクラーヘッド(下向き型)
アラーム弁 流水検知装置(湿式)
ポンプ 渦巻ポンプ(ボリュートポンプ)
消火栓箱 屋内消火栓(1号消火栓 or 2号消火栓)
末端の試験装置 末端試験弁

パターン②|「この部品の役割を説明せよ」

名称に加えて「何のために使うか」を記述する問題です。

よく出る記述ポイント

  • 流水検知装置:ヘッドが開いて配管内に水が流れたことを自動的に検知し、受信機に火災信号を送る
  • 逆止弁:配管内の水が逆方向に流れることを防止する。ポンプ停止後に水が戻らないようにする
  • 末端試験弁:スプリンクラー設備の最遠部で放水圧力を確認し、流水検知装置の作動を試験する
  • 呼水槽(よびみずそう):ポンプが起動する際に配管内を水で満たしておくための小型タンク。空気を噛むとポンプが空転してしまう

パターン③|「屋内消火栓の種類の違いを答えよ」

1号消火栓と2号消火栓の写真が並べられ、違いを記述する問題です。

比較項目 1号消火栓 2号消火栓
操作人数 2人以上 1人で操作可能
ホース 平ホース(全延長して使用) 保形ホース(巻いたまま使用可)
放水量 130L/min以上 60L/min以上

見分けのコツ:消火栓箱を開けたとき、ホースが折りたたまれた平ホースなら1号消火栓、リール状に巻かれた保形ホースなら2号消火栓です。2号消火栓は「一人でも使える」がコンセプトなので、ホースを全部引き出さなくても放水できます。

屋内消火栓の詳細は「屋内消火栓設備の構造と機能」をどうぞ。

パターン④|「スプリンクラー設備の方式の違いを答えよ」

湿式・乾式・予作動式の違いを記述する問題です。

方式 配管内 用途
湿式 常時水が充填 最も一般的。凍結のない場所
乾式 圧縮空気が充填 寒冷地(凍結防止)
予作動式 空気(常時は空) 誤放水を避けたい場所(通信機器室等)

なぜ予作動式が必要なのか?通常の湿式は配管内に常に水が入っているため、ヘッドが誤って開くと即座に水が噴出します。コンピュータ室や美術館のように水損が致命的な場所では、それでは困ります。予作動式なら、感知器が火災を検知してから初めて配管に水が送られるため、ヘッドの誤作動だけでは水が出ません。

詳しくは「スプリンクラー設備の全体像と方式」をどうぞ。

パターン⑤|「計測器の名称と違いを答えよ」

圧力計・連成計・流量計の写真が示され、名称や用途の違いを答えます。

最頻出は圧力計と連成計の違いです。

  • 圧力計:0以上の正圧のみ測定。文字盤の目盛が0から始まる。配管の吐出側に設置
  • 連成計:負圧(真空)も測定可能。文字盤の目盛が0より下にもある。ポンプの吸込側に設置

文字盤を見て、0より下のマイナス領域の目盛があれば連成計、なければ圧力計です。

実戦練習問題(5問)

本番と同じ形式の練習問題です。自分で解答を書いてから答え合わせしてください。

【問1】SPヘッドの名称

次の写真のスプリンクラーヘッドの種類を答えなさい。このヘッドは天井面から突き出すように設置されており、先端にガラス球がついている。

【写真】天井から下向きに取り付けられたSPヘッド(グラスバルブ付き)
(画像準備中 — Geminiで生成後に差し替え)
解答を見る

正解:閉鎖型スプリンクラーヘッド(下向き型)

天井面から下向きに設置されている → 下向き型。先端にガラス球(グラスバルブ)がある → 閉鎖型。グラスバルブは火災の熱で内部の液体が膨張しガラスが割れることでヘッドが開き、デフレクター(散水板)で水を散布します。ホテルやオフィスビルで最も多く見かけるタイプです。

【問2】弁の名称と役割

次の写真の装置の名称を答えなさい。また、この装置の役割を説明しなさい。この装置はスプリンクラー設備の配管途中に設置されており、大型の鋳鉄製弁本体に圧力計とドレン配管が接続されている。

【写真】大型の鋳鉄製弁本体に圧力計と警報配管がついた装置
(画像準備中 — Geminiで生成後に差し替え)
解答を見る

正解:流水検知装置(アラーム弁)

役割:スプリンクラーヘッドが作動して配管内に水が流れたことを自動的に検知し、受信機に火災信号を送る装置です。内部にクラッパー(弁体)があり、水流によって押し開かれると圧力スイッチが作動して電気信号を発します。各階のパイプシャフト等に設置されており、どの階で散水が始まったかを判別できます。

【問3】屋内消火栓の違い

次の(ア)(イ)2つの屋内消火栓の名称をそれぞれ答え、操作方法の違いを1つ述べなさい。(ア)はホースが折りたたまれた状態で収納されており、(イ)はホースがリール状に巻かれている。

【写真(ア)】平ホースの消火栓
(画像準備中)
【写真(イ)】リール式ホースの消火栓
(画像準備中)
解答を見る

正解:(ア)1号消火栓 (イ)2号消火栓

操作方法の違い:1号消火栓はホースを全て延長してから放水する必要があり、2人以上で操作する。2号消火栓は保形ホースを巻いたまま放水でき、1人で操作できる。

1号消火栓の平ホースは折りたたまれて収納されているため、全部引き出さないと水圧でホースが暴れてしまいます。2号消火栓の保形ホースは形状を保つ構造のため、巻いたままでも水が通ります。

【問4】計測器の違い

次の(ア)(イ)2つの計測器の名称をそれぞれ答え、両者の違いを1つ述べなさい。(ア)は文字盤の目盛が0からのみ、(イ)は文字盤に0より下のマイナス目盛もある。

解答を見る

正解:(ア)圧力計 (イ)連成計

違い:圧力計は正圧(0以上)のみ測定できるが、連成計は正圧と負圧(真空圧)の両方を測定できる。ポンプの吐出側(水を送り出す側)には圧力計を、吸込側(水を吸い込む側)には連成計を設置する。吸込側は水位がポンプより低い場合に負圧になるため、負圧も測定できる連成計が必要になる。

【問5】配管継手の名称

次の(ア)〜(ウ)の配管継手の名称をそれぞれ答えなさい。(ア)はL字型、(イ)はT字型、(ウ)は一方の口径が大きく反対側が小さい円錐型の形状をしている。

解答を見る

正解:(ア)エルボ (イ)ティー(T字管) (ウ)レデューサー

エルボは配管の方向を90度(または45度)変えるL字型の継手です。ティーは1本の配管からもう1本を分岐させるT字型の継手です。レデューサーは口径の異なる配管同士を接続するための円錐型の継手で、配管径を変える場所に使用します。形がそのまま名前になっているので、形で覚えましょう。

まとめ

甲1/乙1の鑑別問題を攻略するポイントをおさらいします。

鑑別攻略 4つのカテゴリ

  1. SPヘッド:感熱部(グラスバルブ)の有無で閉鎖型/開放型を判別
  2. 弁類:流水検知装置・仕切弁・逆止弁・バタフライ弁を形状で識別
  3. ポンプ・配管:渦巻ポンプのケーシング、エルボ/ティー/レデューサーの形
  4. 計測・試験器具:末端試験弁の構成、圧力計と連成計の違い

頻出5パターン

  1. 部品の正式名称を答える
  2. 部品の役割を記述する(流水検知装置・逆止弁・末端試験弁)
  3. 1号消火栓と2号消火栓の違い(操作人数・ホース形状・放水量)
  4. SP設備の方式の違い(湿式・乾式・予作動式)
  5. 圧力計と連成計の違い(正圧のみ vs 正負両方)

1類は部品の種類が多いですが、4つのカテゴリに分けて整理すれば、どの部品を聞かれても迷わず答えられます。

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