甲種5類/乙種5類

甲種5類の鑑別等対策|金属拡張アンカーと記述練習

消防設備士甲種第五類の鑑別等は、避難器具の写真を瞬時に当てるだけの試験ではありません。現在の公式公開問題では、金属拡張アンカーボルトの図から、呼び径とスリーブの長さに当たる部分を識別します。

つまり、器具本体に加えて、部品、取付け具、固定部、材料、図面上の寸法まで学ぶ必要があります。この記事では、公式に確認できる試験構成と公開問題を出発点に、名称・位置・役割・条件を記述する練習法を整理します。

先に結論
「写真を3秒で判別」「1問40秒」「緩降機・救助袋・避難はしごが必出」といった基準は、消防試験研究センターから公表されていません。公式公開問題は過去に出題された問題の一部です。公開例から学習方法は組み立てられますが、出題頻度や設問別配点は推測しないでください。

甲種第五類は鑑別等5問・製図2問

甲種第一類から第五類の実技試験は、鑑別等5問と製図2問です。写真・イラスト・図面等による記述式で、器具を試験会場で実際に操作する試験ではありません。

区分 問題数 確認される答え方
鑑別等 5問 写真や図から、名称、部分、用途、機能、条件などを記述する。
製図 2問 平面図・構造図・条件表などから、設計や計算に必要な内容を記述する。

実技は鑑別等と製図を合わせた成績で判定され、合格基準は60%以上です。公式は鑑別等だけの配点、製図だけの配点、設問ごとの部分点を公表していません。科目免除がない甲種第五類の試験時間は筆記と実技を合わせて3時間15分ですが、鑑別等だけの制限時間も公表されていません。

試験全体の科目・問題数・合格基準は「甲種5類ロードマップ」で確認できます。

現在の公式公開問題は金属拡張アンカーボルト

消防試験研究センターが現在公開している甲種の問題PDFでは、第五類の鑑別等として、金属拡張アンカーボルトの図が示されています。設問は、図中のどの部分が「呼び径」と「スリーブの長さ」かを記号で答えるものです。

公式解答は、呼び径が「イ」、スリーブの長さが「ウ」です。この記事では問題図を転載していないため、必ず甲種の公式公開問題PDFで図と寸法線を確認してください。

この公開例から、次の学習ポイントが分かります。

  • 器具全体の名称だけでなく、工事に使う部材も対象になり得る。
  • 部品名だけでなく、図面上の寸法線が何を測っているかを読む。
  • 似た長さを、始点と終点の位置で区別する。
  • 製図で使うアンカーの知識と、鑑別等の識別問題をつなげる。

公開PDFに掲載されている第五類の鑑別等はこの1例です。実際の試験がこの1問だけ、またはアンカーだけという意味ではありません。一方で、公開されていない過去問を持っているかのように「毎年出る」「全8器具の写真が頻出」と断定することもできません。

写真・図面を読む5段階

1|設問が求める答えの種類を先に見る

同じ図でも、「名称」「役割」「該当する部分の記号」「必要な数値」では答え方が違います。最初に設問の動詞を確認します。

  • 名称を答えよ:器具名または部品名を書く。
  • 記号で答えよ:図中のア・イ・ウなどから選ぶ。
  • 役割を答えよ:何を防ぎ、何を可能にする部分かを書く。
  • 理由を答えよ:構造と結果を一文でつなぐ。
  • 数値を答えよ:適用条件と単位を確認する。

2|全体から器具・部材の系統を絞る

素材だけで決めず、周囲との接続関係を見ます。布だから救助袋、円筒形だから調速器と即断すると、格納袋、保護カバー、取付け部材などを取り違えることがあります。

「何につながっているか」「どこに固定されるか」「使用時に動くか」を確認すると、名称を絞りやすくなります。

3|指示線の先端と寸法線の両端を見る

指示線が部品全体を指すのか、接続部や一部分だけを指すのかを確認します。寸法問題では、線の長さではなく、補助線がどの面からどの面まで伸びているかが重要です。

公式のアンカー問題も、呼び径とスリーブ長さの定義を、図の位置関係に置き換えて判断する問題です。

4|名称と役割を一組で覚える

単語だけでなく、「名称+位置+役割」を一文にします。

  • 突子:つり下げはしごに設け、使用者の踏み足が横桟に十分かかるよう壁面との距離を保つ。
  • 調速器:緩降機の降下速度を調整する。
  • 着用具:使用者の身体を保持し、ロープへつなぐ。
  • 誘導綱:救助袋の展張・誘導に関係する。
  • 金属拡張アンカー:取付け具をコンクリートなどの固定部へ取り付けるために用いる。

5|最後に単位と条件を見直す

同じ名称に関係する数値でも、規格試験、設置基準、点検判定では意味が異なります。たとえば緩降機の規格省令にある降下速度の試験条件と、消防用設備等の点検要領にある総合点検の判定値は同じ表ではありません。

数値だけを暗記せず、「どの資料の」「どの試験・設置条件の」数値かを見出しとセットで確認してください。

第五類で整理する器具と部品

避難器具の全体像を確認すると、消防法施行令第25条の表には8種類が登場します。そのうち、消防法施行規則第33条の3で第五類の対象となるのは、金属製避難はしご・救助袋・緩降機です。8種類すべてが、第五類の工事整備対象という意味ではありません。

対象 全体の区分 位置と役割まで確認する部分
金属製避難はしご 固定・立てかけ・つり下げ 縦棒、横桟、つり下げ金具、突子、各種安全装置
救助袋 垂直式・斜降式 袋本体、入口、取付部、展張部材、下部支持装置、誘導綱
緩降機 固定式・可搬式 調速器、調速器の連結部、ロープ、着用具、取付け具
工事・取付け 固定部と取付け方法 金属拡張アンカー、取付け具、支持部、開口部、コンクリート
設置場所 使用前後の空間 操作面積、降下空間、避難空地、避難通路

金属製避難はしごの区分と部品は「避難はしご・すべり台・その他の器具」、緩降機と救助袋は「緩降機・救助袋の構造」で詳しく確認できます。

公式の筆記問題も鑑別等の準備に使う

現在の甲種公式公開問題には、第五類の筆記問題として、つり下げはしごの突子の目的と、緩降機の調速器に求められる構造が掲載されています。

  • 突子:使用者の踏み足が十分に横桟へかかるようにする目的を確認する。
  • 調速器:熱・異物・カバーなど、規格で求められる構造を確認する。

筆記で選択肢を選べても、記述で名称と役割を書けるとは限りません。正しい選択肢を選んだ後、「なぜ正しいか」を一文で書き直すと、鑑別等の練習になります。

鑑別等と製図は同じ資料を使う

公式公開例では、鑑別等で金属拡張アンカーの寸法部分を識別し、製図では一人用緩降機の取付け具について、基本荷重、支点に働く力、必要なアンカー本数、アンカー間隔を計算します。

そのため、鑑別等と製図を完全に分けて勉強するより、次の順に関連づける方が理解しやすくなります。

  1. アンカーの部位と寸法名を図で確認する。
  2. 呼び径に対応する埋込み深さ・穿孔深さを表で読む。
  3. 固定部に働く力と、アンカーの許容引抜荷重を区別する。
  4. 必要本数と相互間隔を式で求める。

製図の公開問題と計算方法は「甲種5類の製図対策」で扱っています。

オリジナル練習問題

次の問題は、法令・規格・告示の確認項目を記述練習にしたもので、公式問題の転載や本試験の出題予想ではありません。

問題1|つり下げはしご

つり下げはしごの壁面側へ突出する部分の名称と、設ける目的を答えてください。

解答例:名称は突子。使用者の踏み足が横桟に十分かかるよう、はしごと壁面との距離を保つために設ける。

問題2|緩降機

ロープの速度を調整する部分の名称と役割を答えてください。

解答例:名称は調速器。使用者が降下するときの速度を調整する。

問題3|救助袋

救助袋の図が、垂直方向へ展張するものか斜め方向へ展張するものかを判断するとき、何を確認しますか。

解答例:袋本体の展張方向、入口と降着部の位置、下部支持装置や展張部材の配置を確認する。

問題4|設置場所の用語

避難器具を操作するために必要な面積と、降下するために必要な空間の名称をそれぞれ答えてください。

解答例:操作するために必要な面積は操作面積、降下するために必要な空間は降下空間。

問題5|アンカー図

アンカーの図で寸法線を読むとき、長さの数字以外に何を確認しますか。

解答例:寸法補助線の始点と終点が、軸の直径、スリーブの両端、アンカー全長などのどこを示しているか確認する。

誤答を防ぐ確認ポイント

  • 8種類すべてを第五類としない:第五類は金属製避難はしご・救助袋・緩降機。
  • ハッチ用を4種類目にしない:ハッチに格納する金属製はしごは、つり下げはしごの一種として整理する。
  • 垂直式救助袋をらせん構造に限定しない:告示は複数の落下防止構造を認めている。
  • 適応階を器具だけで決めない:令第25条の該当号と階の組合せで表を読む。
  • 規格と点検の数値を混ぜない:資料名、試験条件、単位を確認する。
  • 取付け具と固定部を混同しない:器具側の部材と建築物側の支持部分を図で分ける。
  • 採点ルールを推測しない:漢字・ひらがな、部分点、減点語句などの非公表ルールを断定しない。

設置義務と器具の適応は「避難器具の設置義務」、操作面積・降下空間・避難空地・避難通路は「降下空間と操作面積」、点検時の確認箇所は「避難器具の点検・整備」で復習できます。

答案を見直すチェックリスト

  1. 設問が名称・記号・役割・理由・数値のどれを求めているか。
  2. 指示線の先端、寸法線の始点と終点を見たか。
  3. 器具名と部品名を取り違えていないか。
  4. 役割を「何をする部分か」まで一文で書いたか。
  5. 数値には単位を付け、適用条件を取り違えていないか。
  6. 回答欄の数と、自分が書いた答えの数が一致しているか。
  7. 公開問題で答え合わせするとき、公式解答の表記を確認したか。

まとめ

  • 甲種第五類の実技は、鑑別等5問と製図2問。
  • 現在の鑑別等の公式公開例は、金属拡張アンカーボルトの呼び径とスリーブ長さの識別。
  • 器具本体だけでなく、部品、取付け、固定部、寸法線も学ぶ。
  • 写真や図面は、設問の要求→全体→接続関係→指示線→条件の順に読む。
  • 名称は、位置と役割を一文にして覚える。
  • 鑑別等と製図は、金属拡張アンカーや取付け具の知識でつながっている。
  • 出題頻度、時間配分、設問別配点、部分点は公式に公表されていない。

公式情報・一次資料

公開問題は掲載時点の一部です。最新の試験案内と公開問題は、受験前に消防試験研究センターの公式ページで確認してください。

※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。図や画像だけで機器を判断せず、製品表示・取扱説明書・公式資料を確認してください。

記事、模擬試験、ミニテストは学習の補助を目的としています。試験の申請や実務上の判断では、最新の法令、試験実施機関、所轄消防機関、製品の公式資料等も確認してください。

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