受験ガイド

消防設備士の甲種と乙種の違い|業務範囲・受験資格・試験を比較

消防設備士の甲種と乙種は、単なる難易度の上下ではありません。最も大きな違いは、免状に記載された設備について工事まで行えるかです。

先に結論

  • 甲種は、対象設備の工事・整備・点検を行える。
  • 乙種は、対象設備の整備・点検を行える。
  • 甲種第1類から第5類は受験資格が必要。乙種第1類から第7類は誰でも受験できる。
  • 甲種第1類から第5類は筆記45問・実技7問、乙種は筆記30問・実技5問。
  • 第6類と第7類は乙種だけ。甲種特類は第1類から第5類とは受験資格・試験内容が異なる。

どちらを受けるかは、「受験資格があるか」だけでなく、取得後に工事を担当するか、どの設備を扱うかで判断します。

甲種と乙種の違い一覧

次の表は、甲種第1類から第5類と乙種を比較したものです。甲種特類は別区分のため、後半で分けて説明します。

比較項目 甲種第1~5類 乙種第1~7類
業務範囲 工事・整備・点検 整備・点検
受験資格 必要 不要。誰でも受験可能
筆記試験 45問 30問
実技試験 鑑別等5問・製図2問 鑑別等5問
通常の試験時間 3時間15分 1時間45分
試験手数料 6,600円 4,400円
存在する類 第1類~第5類 第1類~第7類

科目免除を申請した場合は、免除される問題数に応じて試験時間が短縮されます。手数料や試験条件は改定されることがあるため、申請時は最新の受験案内を確認してください。

業務範囲の違いは「工事ができるか」

消防試験研究センターは、甲種と乙種の業務を次のように案内しています。

  • 甲種:免状に記載された種類の工事、整備、点検ができる。
  • 乙種:免状に記載された種類の整備、点検ができる。

たとえば自動火災報知設備を扱う第4類では、工事を担当するなら甲種第4類、整備・点検を行うなら甲種第4類または乙種第4類が候補です。

ただし、免状があれば建物内のあらゆる設備を扱えるわけではありません。消防設備士は類ごとに対象設備が分かれているため、担当する設備に対応した免状が必要です。

消防設備士制度と業務範囲の詳しい整理は「消防設備士制度と甲種・乙種の業務範囲」も参照してください。

類ごとの対象設備

主な対象設備 甲種 乙種
第1類 屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、屋外消火栓設備等 あり あり
第2類 泡消火設備等 あり あり
第3類 不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備等 あり あり
第4類 自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、消防機関へ通報する火災報知設備等 あり あり
第5類 金属製避難はしご、救助袋、緩降機 あり あり
第6類 消火器 なし あり
第7類 漏電火災警報器 なし あり

第6類と第7類には甲種がありません。したがって、消火器は乙種第6類、漏電火災警報器は乙種第7類を受験します。

公的資料は第6類・第7類を乙種として定めていますが、資格創設時の背景まで受験者向けに説明しているわけではありません。推測による制度史を付け足さず、現在の対象設備と業務範囲を確認することが大切です。

試験内容の違い

甲種第1~5類は筆記45問・実技7問

甲種第1類から第5類の筆記試験は、次の45問です。

  • 消防関係法令:共通8問・類別7問
  • 基礎的知識:10問
  • 構造・機能・工事・整備:20問

実技試験は、鑑別等5問と製図2問です。

乙種は筆記30問・実技5問

乙種の筆記試験は、次の30問です。

  • 消防関係法令:共通6問・類別4問
  • 基礎的知識:5問
  • 構造・機能・整備:15問

実技試験は鑑別等5問です。甲種・乙種とも、実技試験は実際に機器を操作する技能試験ではなく、写真・イラスト・図面等を使った記述式です。

製図の配点は公式に公表されていません

鑑別等と製図の問題数は公表されていますが、問題ごとの配点内訳は公式資料で確認できません。根拠のない固定配点を前提に合否を計算しないようにしてください。

合格基準は甲種・乙種で共通

甲種特類以外の合格基準は、甲種と乙種で共通です。

  • 筆記試験:各科目40%以上、かつ全体60%以上
  • 実技試験:60%以上

科目免除がある場合は、免除を受けた以外の問題で判定されます。問題数の多さだけで難易度を断定せず、受験する類の公式公開問題と、免除後に残る科目を確認してください。

受験資格の違い

乙種は誰でも受験できる

乙種第1類から第7類には、年齢・学歴・実務経験による受験制限がありません。

甲種第1~5類は受験資格が必要

甲種第1類から第5類は、国家資格等または学歴による受験資格が必要です。代表例は次のとおりです。

  • 受験する類以外の甲種消防設備士免状
  • 乙種消防設備士免状の交付後2年以上、所定の整備経験がある
  • 第一種または第二種電気工事士免状
  • 第一種から第三種までの電気主任技術者免状
  • 技術士、建築士、管工事施工管理技士などの対象資格
  • 指定された学科・課程の卒業、または所定科目の単位修得
  • 受験する類の設備工事の補助者として5年以上の実務経験

資格ごとの条件、受験できる類、必要書類には例外があります。たとえばガス主任技術者は第4類に限られ、工事補助5年は受験する類の設備に関する経験が必要です。

受験資格の全体像は「消防設備士甲種の受験資格」で整理しています。

甲種特類は別に考える

甲種特類は、特殊消防用設備等を対象とする区分です。甲種第1類から第5類のどれか一つを取れば受験できるわけではありません。

受験には、次の3種類以上の免状が必要です。

  • 甲種第1類から第3類までのいずれか一つ
  • 甲種第4類
  • 甲種第5類

試験は筆記45問、試験時間2時間45分で、甲種第1類から第5類のような実技7問はありません。甲種特類を含めて「甲種はすべて同じ試験」とまとめないようにしましょう。

科目免除は資格と受験する類で変わる

他類の消防設備士免状、電気工事士、電気主任技術者、技術士などを持っている場合、申請により試験科目の一部が免除されることがあります。

免除は自動ではありません。また、消防設備士試験に合格していても、願書提出時までに免状が交付されていなければ、消防設備士免状による免除は受けられません。

免除される問題数は、甲種・乙種、受験する類、保有資格の組合せで異なります。「電気工事士ならすべての電気問題が消える」「乙種を取れば同じ類の甲種が免除される」と一律には考えず、公式一覧表を確認してください。

詳しくは「消防設備士の科目免除」を参照してください。電気工事士との業務・試験の違いは「消防設備士と電気工事士の違い」で整理しています。

甲種と乙種の選び方

状況 確認する区分 理由
対象設備の工事を担当する 甲種 甲種受験資格と対象類を確認する
対象設備の整備・点検を担当する 甲種または乙種 今後、工事まで担当するかを勤務先に確認する
甲種の受験資格がない 乙種 乙種は誰でも受験できる
消火器を扱う 乙種第6類 第6類に甲種はない
漏電火災警報器を扱う 乙種第7類 第7類に甲種はない

「受験資格があるなら必ず甲種」「乙種は甲種の下位資格」と決めるのではなく、担当設備、必要業務、受験資格、試験日程、科目免除を照らして選びます。最初に受ける類の決め方は「消防設備士はどれから受けるか」も参照してください。

よくある質問

甲種を取れば乙種は不要ですか

第1類から第5類では甲種の方が工事を含むため業務範囲は広いですが、受験資格と製図を含む試験があります。また、第6類と第7類には甲種がありません。必要な設備と業務範囲を確認して選んでください。

乙種に合格すれば、すぐ甲種を受験できますか

乙種の合格だけでは足りません。乙種免状を受験資格として使う場合は、免状交付後2年以上、所定の整備経験が必要です。別の甲種免状、電気工事士免状、学歴など、ほかの受験資格を満たしていれば、その資格で申請できます。

同じ類の乙種を先に取ると、甲種の試験が免除されますか

同じ類の乙種免状を持っていることだけを理由に、同じ類の甲種試験が自動的に免除される制度ではありません。甲種の免除対象は、受験する類以外の甲種免状や、対象となる他資格などを公式表で確認します。

甲種の製図は実際に図面を手描きしますか

実技試験は写真・イラスト・図面等による記述式です。出題内容は類によって異なるため、受験する類の公式公開問題で形式を確認してください。

まとめ

  • 甲種は対象設備の工事・整備・点検、乙種は整備・点検を行える。
  • 甲種第1類から第5類は受験資格が必要で、乙種は誰でも受験できる。
  • 甲種第1類から第5類は筆記45問・実技7問、乙種は筆記30問・実技5問。
  • 実技は写真・イラスト・図面等による記述式で、製図の配点内訳は公表されていない。
  • 第6類と第7類は乙種だけ。
  • 甲種特類は必要免状と試験内容が異なる別区分。
  • 担当設備、工事の有無、受験資格、科目免除を確認して甲乙を選ぶ。

参照した公式ページ

受験資格、科目免除、試験手数料、試験時間は改定されることがあります。受験申請時は、消防試験研究センターと受験する支部の最新案内を確認してください。

※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。図や画像だけで機器を判断せず、製品表示・取扱説明書・公式資料を確認してください。

記事、模擬試験、ミニテストは学習の補助を目的としています。試験の申請や実務上の判断では、最新の法令、試験実施機関、所轄消防機関、製品の公式資料等も確認してください。

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