結論:製図問題は5ステップで解ける
甲種4類の製図問題は、以下の5ステップを順番にこなせば解けます。闇雲に描き始めるのではなく、手順どおりに進めるのが最大のコツです。
↓
STEP 2 感知器の種別を選ぶ
↓
STEP 3 感知器の個数を計算する
↓
STEP 4 発信機・ベル・表示灯を配置する
↓
STEP 5 配線を描く
「製図の基礎」の記事で図記号と系統図の基礎を学びました。この記事ではそれを使って、実際に平面図を完成させる手順を解説します。
STEP 1:警戒区域を設定する
まず建物の平面図を見て、警戒区域(受信機がどの区域で火災が起きたか判別する単位)を設定します。
警戒区域のルールおさらい
警戒区域の設定方法で学んだルールを製図に適用します。
- 1つの警戒区域は600㎡以下
- 一辺の長さは50m以下
- 原則1フロアで1警戒区域(500㎡以下なら2フロアまとめてOK)
- 階段・エレベーターシャフトなどの竪穴区画は別の警戒区域
製図問題での実践ポイント
② 600㎡以下なら → そのフロア全体で1警戒区域
③ 600㎡超なら → 壁や防火区画で区切って分割
④ 階段室・EVシャフトを別区域として切り出す
⑤ 各区域に回線番号(L1、L2…)を振る
例題で考えてみよう
各階の面積:450㎡
天井高:2.7m(取付面の高さ4m未満)
構造:各階に事務室2室、会議室1室、廊下、階段室
受信機:P型1級(1階防災センター)
各階450㎡ → 600㎡以下なので、1フロアで1警戒区域にできます。階段室は竪穴区画なので別区域。
区域の振り分け:
- L1:1階(階段室を除く)
- L2:2階(階段室を除く)
- L3:3階(階段室を除く)
- L4:階段室(1〜3階を通して1つの警戒区域)
STEP 2:感知器の種別を選ぶ
警戒区域が決まったら、各部屋にどの種類の感知器を設置するかを決めます。
感知器選びの基本フロー
感知器選びの重要ルール
| 場所 | 感知器 | 理由 |
|---|---|---|
| 一般事務室 | 差動式スポット型2種 | 温度変化が少なく、急な上昇を検知 |
| 会議室 | 差動式スポット型2種 | 事務室と同じ環境 |
| 廊下・通路 | 煙感知器(光電式3種) | 避難経路は煙の早期検知が重要 |
| 階段室 | 煙感知器(光電式3種) | 竪穴は煙が急速に広がるため |
| 厨房 | 定温式スポット型1種 | 調理の熱で差動式が誤報する |
| ボイラー室 | 定温式スポット型特種 | 常時高温のため高い作動温度が必要 |
| 電気室・機械室 | 差動式スポット型2種 | 常時高温ではないが機器発熱あり |
最重要ポイント:廊下・階段には必ず煙感知器を設置する。これは製図問題で最も間違えやすい点です。「避難経路=煙感知器」と覚えましょう。
定温式の公称作動温度の選び方
定温式を使う場合、その部屋の最高周囲温度より20℃以上高い公称作動温度のものを選びます。
- 厨房(周囲温度 約50℃想定)→ 公称作動温度75℃以上
- ボイラー室(周囲温度 約70℃想定)→ 公称作動温度90℃以上
STEP 3:感知器の個数を計算する
感知器の種別が決まったら、感知器の設置基準に基づいて各部屋に必要な個数を計算します。
計算の公式
(小数点以下は切り上げ)
主な感知面積(取付面の高さ4m未満の場合)
| 感知器 | 耐火構造 | 非耐火構造 |
|---|---|---|
| 差動式スポット型2種 | 70㎡ | 40㎡ |
| 定温式スポット型特種 | 70㎡ | 40㎡ |
| 定温式スポット型1種 | 60㎡ | 30㎡ |
| 煙感知器(2種・3種) | 150㎡ | 150㎡ |
煙感知器は耐火・非耐火で面積が変わらない点に注意してください。
計算例
先ほどの例題(耐火構造の事務所ビル)で計算してみましょう。
事務室A(120㎡):差動式スポット型2種
120 ÷ 70 = 1.71… → 切り上げ → 2個
事務室B(180㎡):差動式スポット型2種
180 ÷ 70 = 2.57… → 切り上げ → 3個
会議室(80㎡):差動式スポット型2種
80 ÷ 70 = 1.14… → 切り上げ → 2個
廊下(70㎡):煙感知器(光電式3種)
70 ÷ 150 = 0.47… → 切り上げ → 1個
階段室:煙感知器 → 最上部に1個(+途中階に中間設置が必要な場合あり)
梁がある場合の注意
天井に0.4m以上の梁が出っ張っている場合、梁で区切られた区画ごとに感知器が必要です。(煙感知器は0.6m以上で区切り)
製図問題では平面図に梁の位置が点線で示されることがあります。見落とさないように注意しましょう。
STEP 4:発信機・ベル・表示灯を配置する
感知器の次は、発信機・地区音響装置(ベル)・表示灯を配置します。
配置のルール
| 機器 | 配置ルール |
|---|---|
| 発信機 | 各階ごとに設置。歩行距離50m以下で到達できるように。高さ0.8m〜1.5m |
| 表示灯 | 発信機の直近に設置(セットで配置)。赤色灯で3mから識別できること |
| 地区音響装置 | 各階に設置。水平距離25m以下で包含されるように |
配置の実践ポイント
- 発信機+表示灯はセットで廊下や階段付近に配置。人が見つけやすく、操作しやすい場所
- ベルは建物全体に音が届くように配置。廊下の中央付近が定番
- フロア面積が大きい場合はベルを複数個設置(25m以内ルール)
例題への適用
各階450㎡の事務所ビルの場合:
- 発信機:各階1個(階段室付近の廊下壁面)→ どの場所からも歩行距離50m以内
- 表示灯:発信機の直上に各階1個
- ベル:各階1個(廊下の中央付近)→ 450㎡なら水平距離25m以内に収まる
STEP 5:配線を描く
最後に、すべての機器を配線でつなぎます。ここが製図問題の仕上げであり、最も差がつくポイントです。
配線の基本ルール
② 回線の末端には必ず終端器
③ 配線上に斜め短線で電線本数を記入
④ 耐火配線と耐熱配線を正しく使い分ける
⑤ 分岐(T字接続)はしない。一筆書きが原則
配線本数の決め方
L線+C線 = 2本感知器 → 感知器(同じ回線内)
L線+C線 = 2本
受信機 → 発信機(P型1級)
確認線+電話線+表示灯線+共通線 = 4本
受信機 → ベル
ベル線+共通線 = 2本(耐火配線)
幹線部分(受信機から立上がり)
L線×回線数 + C線 + ベル線 + 発信機関連 = 本数を合算
送り配線の描き方
感知器は直列に順番につなぐ「送り配線」が原則です。並列接続やT字分岐は行いません。
T字分岐にすると、断線箇所の特定が難しくなり、終端器が2つ必要になるなど問題が生じます。一筆書きで描くことを徹底しましょう。
幹線の本数計算(例題)
先ほどの例題(P型1級受信機、4回線)で、1階から2階への立上がり部分の配線本数を計算してみましょう。
立上がりに含まれる線:
- L2線(2階用)= 1本
- L3線(3階用)= 1本
- L4線(階段室用)= 1本
- C線(共通線)= 1本
- ベル線(2・3階用)= 1本
- 発信機関連(確認+電話+表示灯)= 3本
合計:8本
配線上の斜め短線を8本引きます。階が上がるにつれて分岐していくので、上の階に向かうほど本数が減っていくのが正常です。
よくある間違いと減点ポイント
製図問題で特に減点されやすいミスをまとめます。
→ 避難経路には煙感知器が必要② 終端器の付け忘れ
→ 各回線の末端に必ず1つ必要
③ 感知器の個数不足
→ 面積÷感知面積を切り上げ忘れ
④ 配線本数の間違い
→ 幹線部分は全線を合算。上階で減っていくのが正常
⑤ ベル線を耐熱配線にしてしまう
→ ベル線と電源線は耐火配線
⑥ T字分岐で感知器を接続
→ 送り配線(一筆書き)が原則
⑦ 竪穴区画を一般区域に含めてしまう
→ 階段室・EVシャフトは別の警戒区域
製図問題の解答手順まとめ
最後に、試験本番での解答手順を整理します。
❷ 警戒区域を設定 → 600㎡・50m・竪穴区画に注意
❸ 感知器の種別を決定 → 部屋の用途と天井高で判断
❹ 個数を計算 → 面積÷感知面積を切り上げ、梁にも注意
❺ 発信機・ベル・表示灯を配置 → 距離ルールを確認
❻ 配線を描く → 送り配線・本数・耐火/耐熱を正しく
❼ 最終チェック → 終端器・本数・煙感知器の漏れがないか
全体のまとめ
② 廊下・階段には必ず煙感知器
③ 感知器の個数は面積÷感知面積を切り上げ
④ 感知器は送り配線(一筆書き)、T字分岐はNG
⑤ 各回線の末端に終端器を忘れずに
⑥ 幹線の本数は全線を合算し、上階ほど減る
⑦ ベル線・電源線は耐火配線
まとめ問題
理解度チェックとして、4問出題します。
第1問
耐火構造の事務室(面積150㎡、天井高2.7m)に差動式スポット型2種感知器を設置する場合、最低何個必要か。
(1)1個
(2)2個
(3)3個
(4)4個
第2問
自火報の平面図を描く際、廊下に設置する感知器として最も適切なものを1つ選べ。
(1)差動式スポット型2種
(2)定温式スポット型1種
(3)光電式スポット型3種(煙感知器)
(4)補償式スポット型2種
第3問
感知器回線の配線方法として正しいものを1つ選べ。
(1)受信機から各感知器にそれぞれ個別に配線する(スター配線)
(2)感知器を順番につないで末端に終端器を設ける(送り配線)
(3)途中で分岐させて複数の末端に終端器を設ける(T字分岐)
(4)感知器をリング状につないで始点と終点を受信機に戻す(ループ配線)
第4問
P型1級受信機から2階への立上がり配線に含まれるものとして、含まれないものを1つ選べ。なお、2階には感知器回線1回線、発信機1台、ベル1台がある。
(1)感知器回線のL線
(2)共通線(C線)
(3)ベル線(地区音響装置用)
(4)終端器の接続線