乙種7類

漏電火災警報器の設置義務|施行令第22条・ラスモルタル造・50A超をわかりやすく解説

どんな建物に漏電火災警報器が必要? ── 結論から言います

漏電火災警報器の設置が義務づけられるのは、ひと言でいうと「ラスモルタル造の壁・天井・柱がある建物で、契約電流容量50Aを超えるもの」です。ただし建物の用途によって「延べ面積」の基準も変わります。

根拠は施行令第22条。設置義務を決める3つの判断基準はこれです:

  1. 構造 ── 壁・天井・柱が「ラスモルタル造(鉄網入り)」かどうか
  2. 用途と面積 ── 別表第一の項別に定められた延べ面積を超えているか
  3. 契約電流容量 ── 50アンペアを超えるかどうか

自火報の設置義務が「用途×面積」で決まるのに対し、漏電火災警報器は「構造×用途×面積×契約電流容量」の4要素で決まるのが特徴です。

📚 この記事でわかること

  • 施行令第22条の条文の現代語訳と、設置義務の3つの判断基準
  • 別表第一の用途別に定められた延べ面積の閾値(150/300/500/1000㎡)
  • ラスモルタル造の定義と、該当する建物・該当しない建物
  • 契約電流容量50A超の判定と、自火報との設置義務の違い
  • 乙7本試験レベルの練習問題4問と、よくある質問(Q&A)

ラスモルタル造が焼けた ── 現場の教訓

管理人が聞いた消防点検会社の話ですが、築50年以上の商店街の木造モルタル2階建てに漏電火災警報器が設置されておらず、実際に壁内で漏電火災が発生したケースがあります。契約電流は60A、ラスモルタル造、延べ面積は約320㎡((3)項ロ=飲食店)。設置義務が明確にあったのに無設置でした。行政指導の結果、即日で漏電火災警報器の追加工事が実施されました。

乙7の試験でも「設置義務の判定」は毎回1〜2問出題される頻出分野です。条文の条件を機械的に当てはめられるかが勝負になります。

施行令第22条を読んでみよう

まず条文の内容を確認しましょう。

消防法施行令 第22条(漏電火災警報器に関する基準)要旨

漏電火災警報器は、次に掲げる防火対象物(別表第一)のうち、その間柱(まばしら)若しくは下地を準不燃材料以外の材料で造った鉄網入りの壁、根太(ねだ)若しくは下地を準不燃材料以外の材料で造った鉄網入りの床、又は天井野縁(てんじょうのぶち)若しくは下地を準不燃材料以外の材料で造った鉄網入りの天井を有するもので、契約電流容量が50アンペアを超えるものに設置するものとする。

条文が長いですね。現代語に翻訳しましょう。

現代語訳

以下のすべてに該当する建物には、漏電火災警報器を設置しなさい:

条件1:施行令別表第一の防火対象物で、所定の延べ面積を超える

条件2:壁・床・天井の中に金属製の網(ラス)が入っていて、その下地が木材など燃えやすい材料でできている

条件3:その建物の契約電流容量が50Aを超えている

用途別・延べ面積の閾値

施行令第22条では、建物の用途(別表第一の項番)によって延べ面積の基準が異なります。この表は試験で穴埋め・正誤で出題される頻出ポイントです。

🔢 別表第一・用途別の延べ面積基準

項番 用途の例 延べ面積
(17)項 重要文化財の建造物 面積不問
(5)項・(9)項 旅館・ホテル・公衆浴場 150㎡以上
(1)(2)(3)(4)(6)(12)(16の2)(16の3)項 劇場・飲食店・百貨店・病院・工場・地下街等 300㎡以上
(7)(8)(10)(11)(15)項 学校・図書館・車両停車場・神社等 500㎡以上
(14)項 倉庫 1,000㎡以上
(16)項 複合用途防火対象物 部分ごとに上記基準適用

※(17)項(重要文化財)は面積不問、(5)(9)項=150、一般商業系=300、学校系=500、倉庫=1000という「重要文化財/150/300/500/1000」の5段階を丸暗記。

「ラスモルタル造」を詳しく理解しよう

ラスモルタル造とは

漏電火災警報器の構造と動作原理」の記事でも触れましたが、ラスモルタル造とは壁や天井の下地に金属製の網(メタルラス・ワイヤラス)を張り、その上にモルタルを塗った構造です。

条文では「鉄網入りの壁・床・天井」と表現されています。ポイントは3つ:

ポイント1
金属の網が入っている
メタルラスやワイヤラスなど、導電性のある金属網が壁・床・天井の中にある
ポイント2
下地が可燃性
間柱・根太・天井野縁などの下地が「準不燃材料以外」=木材などの燃えやすい材料
ポイント3
電線が近くにある
壁の中の電線と金属網が接触し得る距離にある ── 漏電→発熱→火災のリスク

つまり、「金属の網」+「可燃性の下地」+「電線」という3つが揃ったときに漏電火災のリスクが生まれるわけです。

対象にならない構造

逆に、以下のような建物はラスモルタル造に該当せず、設置義務はありません。

  • 鉄筋コンクリート造(RC造) ── 金属網を使わない。下地も不燃材料
  • 鉄骨造(S造) ── 下地が鉄骨(不燃材料)なので対象外
  • 下地が準不燃材料以上 ── 金属網があっても下地が準不燃材料なら対象外
  • 金属網を使わない木造 ── ラスがなければ漏電経路がないので対象外

契約電流容量 ── 50Aを超えるもの

構造がラスモルタル造であっても、契約電流容量が50A以下なら設置義務はありません。

契約電流容量とは

契約電流容量とは、電力会社との契約で決まる「建物が使える電流の上限」のことです。

  • 50A以下 ── 一般的な住宅レベル → 設置不要
  • 50Aを超える ── 店舗・事務所・中規模以上の建物 → 設置義務あり

なぜ50Aで線引きするのか? それは、電流容量が大きい建物ほど配線が多く、漏電のリスクが高くなるからです。小さな住宅は配線も少なく、漏電火災のリスクが相対的に低いため除外されています。

設置対象の判定フロー

実際の試験では「この建物に漏電火災警報器は必要か?」と聞かれます。判定フローで整理しましょう。

漏電火災警報器の設置判定フロー
用途×延べ面積が基準を超えるか?
YES
NO → 設置不要
壁・床・天井に金属網(ラス)が入っているか?
YES
NO → 設置不要
下地は準不燃材料以外(木材など)か?
YES
NO → 設置不要
契約電流容量は50Aを超えるか?
YES
NO → 設置不要
漏電火災警報器の設置義務あり

自火報との比較

自火報と漏電火災警報器の設置義務を比べると、判断基準の違いがよくわかります。

自動火災報知設備
判断基準:用途 × 面積
:病院は面積不問、百貨店は300㎡以上
根拠:施行令21条
考え方:人がいる場所の火災を素早く知らせる
漏電火災警報器
判断基準:構造 × 用途 × 面積 × 契約電流容量
:ラスモルタル造で50A超+面積基準超
根拠:施行令22条
考え方:漏電で火災が起きやすい構造を守る

自火報が「誰がいるか(用途)」で判断するのに対し、漏電火災警報器は「どんな構造か」も加味して判断する ── この違いは試験でもよく問われます。

ひっかけNGパターン ── 受験者が間違えやすい5つ

⚠️ 試験で狙われる間違いやすいポイント

  1. 「RC造にも設置義務がある」と答える → RC造は金属ラスなし・下地も不燃で対象外
  2. 「契約電流容量50A以上」と書く → 正しくは「50Aを超える」(50A丁度は対象外)
  3. 「ラスがあれば面積不問」と覚える → (17)重要文化財以外は面積基準を必ずクリアする必要がある
  4. (5)項・(9)項を300㎡以上と答える → 正しくは150㎡以上(旅館・ホテル・公衆浴場は基準が厳しい)
  5. 「自火報と併設なら漏電火災警報器は不要」と考える → 両者は目的が違うため、両方義務になる建物は両方必要

学習ナビ ── 設置義務を満点に持っていく3STEP

STEP 1 ── 3条件を暗唱

構造・用途×面積・50A超の3条件を口に出す。「3つ揃って初めて義務」と覚える

STEP 2 ── 面積閾値を表で暗記

不問/150/300/500/1000の5段階を用途と紐付けて暗記。穴埋め問題で頻出

STEP 3 ── 判定問題を5問

「〜造で◯◯㎡で◯A」の条件に対し、設置要/不要を即答できるように反復練習

乙7の他の記事で理解を深める

まとめ問題

第1問

漏電火災警報器の設置義務について、正しいものはどれか。

(1)特定防火対象物には面積にかかわらず設置義務がある
(2)ラスモルタル造で契約電流容量が50Aを超える建物に設置義務がある
(3)延べ面積300㎡以上の建物は全て設置義務がある
(4)鉄筋コンクリート造の建物にも設置義務がある

解答を見る

正解:(2)
漏電火災警報器の設置義務は「構造(ラスモルタル造)」「用途×面積」「契約電流容量(50A超)」の3条件で決まります。鉄筋コンクリート造は金属ラスを使わないため対象外です。(3)は用途(項番)によって面積基準が異なるため誤り。

第2問

次の建物のうち、漏電火災警報器の設置義務がないものはどれか。

(1)ラスモルタル造の壁を有する木造建物で、契約電流容量が60Aのもの(飲食店、延べ面積400㎡)
(2)鉄網入りの天井を有し、天井野縁が木材の建物で、契約電流容量が75Aのもの(旅館、延べ面積200㎡)
(3)鉄網入りの壁を有するが、間柱が準不燃材料の建物で、契約電流容量が100Aのもの
(4)鉄網入りの壁を有し、間柱が木材の建物で、契約電流容量が80Aのもの(百貨店、延べ面積500㎡)

解答を見る

正解:(3)
条文は「下地を準不燃材料以外の材料で造った鉄網入りの壁」を対象としています。(3)は間柱が準不燃材料なので、金属網があっても設置義務の対象外です。下地が燃えにくければ、漏電で発熱しても周囲に着火するリスクが低いからです。

第3問

漏電火災警報器と自動火災報知設備の設置義務の判断基準の違いについて、正しいものはどれか。

(1)どちらも建物の用途と面積のみで設置義務が決まる
(2)漏電火災警報器は建物の構造・用途・面積・契約電流容量で設置義務が決まる
(3)漏電火災警報器は建物の用途と契約電流容量のみで設置義務が決まる
(4)自動火災報知設備は建物の構造と面積のみで設置義務が決まる

解答を見る

正解:(2)
自火報は「用途×面積」で判断しますが、漏電火災警報器は「構造(ラスモルタル造)」「用途×面積」「契約電流容量(50A超)」の3要素すべてで判断します。

第4問

ラスモルタル造の説明として、誤っているものはどれか。

(1)壁の下地に金属製の網(メタルラス)を使用した構造である
(2)電線の絶縁劣化により金属ラスに電流が漏れ、火災になるおそれがある
(3)鉄筋コンクリート造の建物もラスモルタル造に該当する
(4)下地が木材など可燃性の材料であることが漏電火災のリスクを高める

解答を見る

正解:(3)
鉄筋コンクリート造(RC造)は金属ラスを使用せず、下地も不燃材料であるため、ラスモルタル造には該当しません。ラスモルタル造は木造や鉄骨造で壁の仕上げに金属網+モルタルを使った構造を指します。

よくある質問(Q&A)

Q1. 契約電流容量が50Aちょうどの場合は設置義務がありますか?

50Aちょうどは対象外です。条文は「50Aを超える」と定めており、51A以上が該当します。「以上」と「超える」は試験の引っかけパターンなので明確に区別しましょう。

Q2. 住宅(戸建て木造)に漏電火災警報器は必要ですか?

戸建て住宅は別表第一に含まれない用途(一般住宅)のため、原則として設置義務はありません。ただし、店舗併用住宅や下宿などに該当する場合は項目別に判断が必要です。

Q3. 重要文化財は面積不問で設置義務がありますが、なぜ面積を問わないのですか?

重要文化財は文化的価値が高く、一度火災で失うと取り返しがつかないため、面積にかかわらず厳しい基準が適用されます。奈良・京都の古社寺などが想定されています。

Q4. 自火報と漏電火災警報器、両方設置する必要がある建物はありますか?

あります。例えばラスモルタル造の旅館で延べ面積500㎡・契約電流60Aの場合、自火報((5)項は面積不問で設置義務)と漏電火災警報器(150㎡超+ラスモルタル+50A超で設置義務)の両方が必要です。

一次情報で確認

📖 出題根拠の一次情報

通信講座で動画・体系学習

SATの消防設備士講座を見てみる → 乙7の設置義務を動画講義で体系的に理解
JTEXの消防設備士講座を見てみる → テキスト中心でじっくり学びたい方に

資格の学校TACで学ぶ

大手資格予備校TACの消防設備士講座。実績豊富なカリキュラムで効率よく合格を目指せます。
TACの消防設備士講座を見てみる →

RECOMMENDED BOOKS

乙7のおすすめ参考書

設置義務の条文問題は図表付き参考書が最も効率的。
おすすめの1冊を類別に紹介しています。

参考書記事を見る →

乙種7類の学習ロードマップ
漏電火災警報器の全体像を体系的に学ぶなら、こちらから始めるのが最短です

乙種7類 完全ロードマップを見る

独学が不安な方へ

※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。問題・解答の内容には細心の注意を払っておりますが、誤りが含まれる可能性があります。学習の参考としてご活用いただき、最終的な確認は公式テキスト・法令等で行ってください。当サイトの情報に基づく判断によって生じた損害について、一切の責任を負いかねます。

内容の誤りやお気づきの点がございましたら、お問い合わせフォームよりご連絡いただけますと幸いです。正確な情報をお届けできるよう、随時修正してまいります。

-乙種7類