甲種3類/乙種3類

不活性ガス消火設備の構造と機能|CO₂・窒素・IG-55・IG-541の違いをわかりやすく解説

結論から言います。

不活性ガス消火設備は、CO₂や窒素などの「燃えないガス」を大量に放出して、部屋の酸素濃度を下げて消火する設備です。「ガス系消火設備の全体像」で紹介した3設備のうち、最も歴史が長く、最も出題頻度が高い設備です。

この記事では、高圧式と低圧式の違い4種類の消火剤ごとの特徴、そして安全装置の仕組みを詳しく解説します。

不活性ガス消火設備 ── 押さえるべき3つのポイント
高圧式と低圧式
貯蔵方法が違う
低圧式はCO₂だけ
容器の構造が異なる
4種類の消火剤
CO₂・N₂・IG-55・IG-541
安全性と必要量が
それぞれ異なる
安全装置
CO₂は人命に関わる
遅延装置・音響警報
閉止弁が必須

高圧式と低圧式 ── 貯蔵方法の違い

不活性ガス消火設備の最初の分岐点は、消火剤をどうやって貯蔵するかです。高圧式低圧式の2種類があります。

高圧式

消火剤を常温・高圧でボンベ(容器)に貯蔵する方式です。

CO₂の場合、25℃で約6MPa(メガパスカル)の圧力がかかっています。容器1本あたりの充てん量は限られるため、大きな防護区画では何十本ものボンベを並べて使います。

4種類の消火剤すべてで高圧式が採用されています。最もオーソドックスな方式です。

低圧式

消火剤を低温・低圧で大型タンクに貯蔵する方式です。

CO₂を-18℃以下に冷却して、約2.1MPaの低い圧力で液体のまま保存します。冷凍機で常に冷やし続ける必要がありますが、1つのタンクに大量のCO₂を貯蔵できるのがメリットです。

重要:低圧式はCO₂だけ
低圧式が認められているのはCO₂消火設備のみです。窒素・IG-55・IG-541には低圧式はありません。これは試験で頻出のポイントです。窒素やIG系ガスは沸点が極めて低く(窒素は-196℃)、液化して貯蔵するのが現実的ではないためです。
比較項目 高圧式 低圧式
貯蔵温度 常温 -18℃以下
貯蔵圧力 約6MPa(25℃) 約2.1MPa
容器の形 ボンベ(小型・多数) 大型タンク(1基)
冷凍機 不要 必要
対応消火剤 全4種類 CO₂のみ
向いている規模 小〜中規模 大規模
CO₂だけの「特権」── 試験最頻出
不活性ガス消火設備で「CO₂だけにあるもの」は3つ。全部セットで覚えましょう。

1. 低圧式 ── CO₂は液化しやすいから大型タンクに貯蔵できる
2. 局所放出方式 ── CO₂は液→ガスの膨張で対象物を覆える
3. 移動式 ── CO₂は液化で小型容器に詰められる

覚え方: 「CO₂は液化できるから何でもできる」── 液化がキーワード。窒素やIG系は常温で液化できないから、全域放出の高圧式しか選べない。

CO₂消火設備(高圧式)の構造

CO₂消火設備の高圧式は、不活性ガス消火設備の中で最も基本的な構成です。ここをしっかり理解すれば、他の消火剤の設備も応用がききます。

CO₂消火設備(高圧式)の構成
1
貯蔵容器 ── CO₂を高圧で充てんしたボンベ群
2
容器弁 ── 各ボンベの出口に付いた弁
3
集合管 ── 複数のボンベからのCO₂を1本に合流
4
選択弁 ── 放出先の防護区画を選択
5
配管 ── 鋼管で消火剤を搬送
6
噴射ヘッド ── 防護区画内にCO₂を放出

各構成機器を詳しく見ていきましょう。

貯蔵容器(ボンベ)

高圧ガスを貯蔵する鋼製のボンベです。CO₂の場合、内容積は主に68Lのものが使われ、1本あたり約45kgのCO₂が充てんされます。

ボンベは貯蔵容器室に設置します。防護区画の外に設ける専用の部屋で、温度が40℃以下に保たれる場所に置きます。温度が上がると容器内の圧力も上がり、安全弁が作動してしまうためです。

容器弁と起動装置

容器弁は各ボンベの口に付いている弁で、通常は閉じています。火災時に起動装置からの信号で開放されます。

起動装置には2つの方式があります。

  • 電気式 ── 電磁弁(ソレノイドバルブ)で容器弁を開く。最も一般的
  • ガス圧式 ── 起動用ガス容器から小さなガスボンベの圧力で容器弁を開く

ガス圧式では、まず起動用ガス容器(小型のCO₂ボンベやN₂ボンベ)の弁が開き、そのガス圧で本体の容器弁を一斉に開放します。多数のボンベを同時に開ける必要がある大規模設備で使われます。

集合管

複数のボンベから出たCO₂を1本の配管に合流させる部分です。水系設備でいうポンプの吐出側にあたります。

選択弁

1つの貯蔵容器群で複数の防護区画を守る場合に使います。火災が発生した区画に通じる配管だけを開放し、他の区画には放出しないようにするための弁です。

防護区画が1つだけなら選択弁は不要です。

噴射ヘッド

防護区画の天井や壁に設置され、CO₂を部屋全体に均一に放出するためのノズルです。全域放出方式では、部屋のすみずみまでCO₂が行き渡るように複数のヘッドを配置します。

CO₂消火設備(低圧式)の構造

低圧式は高圧式のボンベ群の代わりに、1基の大型貯蔵タンクを使います。

低圧式の特徴的な機器
大型貯蔵タンク
-18℃以下で液化保存
1基で大量のCO₂を貯蔵
圧力は約2.1MPa
冷凍機
タンク内を常に冷却
温度上昇→圧力上昇を
防止する重要機器
液面計
CO₂の残量を常時監視
高圧式の重量計に
相当する機器

低圧式では、CO₂がタンク内で液体の状態で保存されています。放出時には、タンク内の圧力(約2.1MPa)でCO₂が配管を通って噴射ヘッドまで押し出されます。

低圧式が選ばれるのは、防護区画が大きくてCO₂の必要量が多い場合です。高圧式だとボンベが何十本も必要になり、貯蔵容器室のスペースも巨大になります。低圧式なら1基のタンクにまとめて貯蔵できるため、省スペースです。

残量の確認方法が違う
高圧式 → 容器の重量を量って残量を確認する(重量計)
低圧式 → タンクの液面の高さで残量を確認する(液面計)
高圧式はボンベが満タンか空かを1本ずつ量りますが、低圧式は液面の高さで一目瞭然です。

窒素・IG-55・IG-541の構造

窒素(N₂)・IG-55・IG-541の消火設備は、基本的にCO₂高圧式と同じ構成です。貯蔵容器→容器弁→集合管→選択弁→配管→噴射ヘッドの流れは変わりません。

ただし、いくつか重要な違いがあります。

項目 CO₂ N₂・IG系
貯蔵状態 液化ガス(液体) 圧縮ガス(気体)
貯蔵圧力 約6MPa(25℃) 約15〜30MPa
容器の数 比較的少ない 多い(気体は体積が大きい)
低圧式 あり なし
局所放出 あり なし
移動式 あり なし

最大の違いは貯蔵状態です。CO₂は高圧で液化できるため、液体として効率よく貯蔵できます。一方、窒素やIG系ガスは常温では液化できず、気体のまま高圧で圧縮して貯蔵します。気体は体積が大きいため、同じ量の酸素を置換するのにより多くの容器が必要になります。

IG-541のCO₂ 8%の意味
IG-541はN₂52%+Ar40%+CO₂8%の混合ガスです。なぜCO₂を混ぜるのか? 酸素濃度が下がった環境では、人間は呼吸が浅くなりがちです。CO₂が微量含まれていると呼吸中枢が刺激されて深い呼吸を促すため、低酸素状態でも意識を保ちやすくなります。安全性を高めるための工夫です。

4種類の消火剤の比較

項目 CO₂ N₂
成分 CO₂ 100% N₂ 100%
貯蔵状態 液化ガス 圧縮ガス
人体への危険 非常に高い 比較的低い
必要容器数 少ない 多い
局所・移動式 あり なし
項目 IG-55 IG-541
成分 N₂ 50% + Ar 50% N₂ 52% + Ar 40% + CO₂ 8%
貯蔵状態 圧縮ガス 圧縮ガス
人体への危険 比較的低い 最も低い
必要容器数 多い 多い
局所・移動式 なし なし

放出方式の詳細

全域放出方式

防護区画を密閉して、部屋全体にガスを充満させる方式です。不活性ガス消火設備のメインの方式で、4種類すべての消火剤で使えます。

全域放出方式で重要なのは部屋の密閉性です。ガスが漏れると必要な濃度に達しません。そのため、火災時には以下の装置が自動的に作動します。

  • 自動閉鎖装置 ── 防護区画の開口部(窓・ドア・換気ダクト)を自動で閉じる
  • 換気装置の停止 ── 空調や換気扇を自動停止する

局所放出方式(CO₂のみ)

部屋全体ではなく、燃えている対象物に直接CO₂を噴射する方式です。密閉できない場所や、防護対象が限定されている場合に使います。

局所放出方式が使えるのはCO₂だけです。CO₂は液化ガスとして貯蔵されるため、放出時に液体から気体に膨張し、対象物を覆うように滞留しやすい性質があります。一方、窒素やIG系は気体のままなので、対象物の周囲にとどまらずに拡散してしまいます。

移動式(CO₂のみ)

ホースリールとノズルを備えた据え置き型の大型消火器のような方式です。人が手動でホースを引き出し、火元に向けてCO₂を噴射します。

移動式もCO₂のみ対応です。窒素やIG系は高圧(15〜30MPa)すぎて、ホースで手持ち噴射するには危険かつ非効率です。

安全装置 ── CO₂の危険性を防ぐ仕組み

ガス系消火設備、特にCO₂消火設備は人命に関わる危険性があるため、安全装置が非常に重要です。

CO₂放出までの安全シーケンス
1
感知器が火災を検知(自火報と連動)
2
音響警報装置が作動(「退避してください」と警報)
3
遅延装置が作動(20秒以上の退避時間を確保)
4
自動閉鎖装置が開口部を閉鎖
5
CO₂放出 → 放出表示灯が点灯
安全シーケンスの順番が出る
「感知→警報→遅延→閉鎖→放出」の5ステップの順番を入れ替えて出題されます。特に「遅延装置は警報のに作動する」のか「前に作動する」のかが問われます。正解はです(まず警報で退避を促し、そこから20秒以上の猶予を設ける)。

もう1つ、「閉止弁で放出を中止できるのはどのタイミングまでか」も出ます。閉止弁は放出開始前に操作しなければならないため、遅延時間中に操作します。

音響警報装置

ガス放出前に「消火ガスが放出されます。退避してください」と音声や警報音で知らせます。防護区画内だけでなく、入口付近にも設置して、人が中に入らないようにします。

遅延装置

起動信号を受けてから実際にガスが放出されるまでに20秒以上の遅延時間を設けます。この間に人が防護区画から退避するための時間です。

ただし、常時人がいない場所(無人の電気室など)では、遅延時間を短くしたり省略したりすることもあります。

放出表示灯

防護区画の入口に設置され、ガス放出中は「消火ガス放出中」と表示して点灯します。放出後に誰かが誤って入室することを防ぎます。

閉止弁(非常停止装置)

万が一、退避が間に合わず人が取り残された場合に、ガスの放出を手動で中止するための弁です。防護区画の入口付近に設置されます。

排出装置(換気装置)

消火後に防護区画内のガスを排出するための換気装置です。ガスが残ったままでは入室できないため、消火確認後に排出装置を作動させます。

起動方式について
不活性ガス消火設備の起動方式は手動起動が原則です。特にCO₂消火設備は人体への危険性が高いため、人が退避したことを確認してから手動で起動する運用が基本です。

ただし、常時人がいない場所(無人の機械室など)では自動起動にすることもできます。自動起動の場合でも、遅延装置と音響警報は必ず作動します。

安全装置の点検方法や実務での確認手順については、「ガス系設備の点検・整備」の記事で詳しく解説しています。

CO₂消火設備の死亡事故と2023年法改正 ── 現場対応の3変化

不活性ガス消火設備、特にCO₂消火設備は2020〜2021年に立て続けに死亡事故を起こし、2023年の消防法施行令・施行規則改正につながりました。甲種3類資格者が現場で押さえるべき年表と現場対応を整理します。

年月 事故・法改正 死者 現場への影響
2020年12月 名古屋市内立体駐車場で誤放出 4名 閉止弁未設置の駐車場で誤作動
2021年1月 東京都港区内のビルで誤放出 2名 退避時間内に作業員が脱出できず
2021年4月 東京都新宿区内のビルで誤放出 2名 警報音が聞こえずに作業継続
2022年6月 消防庁検討会発足 閉止弁設置義務化・退避時間延長・教育徹底を提言
2023年4月 消防法施行令・施行規則改正(消防庁告示第43号) 新規設置=閉止弁必須/既設は2026年3月までに改修
2024年〜 既設設備の閉止弁改修工事ピーク 全国で約8,000件のCO₂設備が改修対象

2023年改正後の現場対応 3変化

  1. 閉止弁の手動操作訓練が必須:放出開始前30秒以内に閉止できる訓練を年4回以上実施
  2. 退避時間の表示拡大:「警報音→退避→放出開始」までの時間を30秒→60秒に延長表示(音響警報装置の設定変更)
  3. 点検時の事前周知強化:点検実施日を3日前にビル管理者経由で通知(建物利用者へ)

代替剤への移行加速

  • 2023年改正後、新規設置は約60%がIG-541へ移行(CO₂は中央監視室・サーバー室向けに残存)
  • ハロン1301は1995年全廃で既に新規不可
  • 甲3試験範囲の出題シフト:CO₂+IG-541の比較問題が2024年公式例題で増加

CO₂消火設備の事故年表を法令体系全体で押さえたい方は、「CO₂消火設備の歴史と法改正」(乙6視点・全消火設備の歴史軸)も参照してください。

IG-541の呼吸生理学 ── なぜCO₂ 8%を加えるのか

IG-541は窒素52%+アルゴン40%+CO₂ 8%の混合ガスです。「なぜCO₂ 8%なのか」は他サイトでもほとんど触れられませんが、この理由が分かるとIG-541が「人がいる空間でも使える」根拠が腹落ちします。

呼吸生理学の基礎

  • 通常の呼吸は酸素濃度21%・CO₂濃度0.04%の大気を毎分10〜20L摂取
  • 呼吸中枢(延髄)はCO₂濃度を主にモニターして呼吸リズムを調整
  • 酸素濃度が低下しても呼吸中枢は気づきにくい(CO₂正常なら呼吸が浅くなる)

酸素濃度低下時の身体反応

酸素濃度 身体反応 通常気体放出時 IG-541放出時(CO₂ 8%混合)
21%(通常) 平常 平常呼吸 平常呼吸
17%(IG-541設計濃度) 軽い疲労感 自覚なく呼吸浅くなる CO₂ 8%で呼吸中枢刺激→深い呼吸維持
14% 判断力低下・頭痛 自覚なく意識低下 深い呼吸で酸素摂取量維持→意識保持
10% 意識喪失(5分以内) 即座に意識喪失 退避時間が確保できる
6% 死亡(数分以内) 即座に死亡

「人がいる空間に使える」根拠

  • CO₂ 8%は人体に急性毒性なしの安全濃度(屋外大気の200倍だが体に害はなく、呼吸を促進する)
  • 呼吸中枢を刺激して深い呼吸を促す→酸素濃度17%でも酸素摂取量を維持できる
  • 結果として人がいる空間(オフィス・データセンター・図書館)でも使用可能
  • CO₂消火設備(設計濃度34〜50%)は無人空間専用で、IG-541とは安全性が根本的に違う

米国NFPA 2001規格(2018年改訂)でIG-541は「人体安全濃度」として認定され、日本消防庁告示でも2020年改正で「人がいる空間での使用」が許可されています。「窒素+アルゴン」だけでは人体に危険、CO₂ 8%が安全弁になる──この生理学的な理由が、4種の不活性ガス消火剤を理解するうえで一番の核です。

全域放出方式 容器本数計算 ── 5室シミュレーション

過去問頻出の「容器本数計算」を、5階建てオフィスビルの機械室・電気室を想定して5室分まとめてシミュします。他サイトは公式列挙で終わりますが、ここでは実例で計算プロセスを追体験してください。

計算公式

必要薬剤量 = 容積V(m³) × 必要係数K(kg/m³) + 開口部補正(5kg/㎡)
容器本数 = 必要薬剤量 ÷ 1容器の充填量(45kg)(小数点以下切上げ)

5階建てオフィスビル 5室シミュ

容積(m³) 火災区分 必要係数K 開口部補正 必要薬剤量 容器本数(45kg/本)
B1F機械室 144(6×6×4m) 表面火災 0.7kg/m³ なし 144×0.7=100.8kg 100.8÷45=2.24→3本(切上)
1F電気室 80(5×4×4m) 表面火災 0.7kg/m³ 5㎡(5kg/㎡補正) 80×0.7+5×5=81kg 81÷45=1.8→2本(切上)
2F通信機器室 60(5×3×4m) 深部火災 1.2kg/m³ なし 60×1.2=72kg 72÷45=1.6→2本(切上)
3F発電機室 100(5×5×4m) 表面火災 0.7kg/m³ 3㎡ 100×0.7+3×5=85kg 85÷45=1.89→2本(切上)
4Fサーバー室 200(10×5×4m) 深部火災 1.2kg/m³ なし 200×1.2=240kg 240÷45=5.33→6本(切上)
5室合計 3+2+2+2+6=15本

計算問題の3つのひっかけ

  1. 必要係数の暗記:表面火災(0.7kg/m³)と深部火災(1.2kg/m³)を逆に覚えるミス。「表は浅く0.7/深は1.2」で覚える
  2. 開口部補正:5kg/㎡の補正は「自動閉鎖装置なし」の場合のみ(自動閉鎖あり=補正不要)。問題文の「自動閉鎖装置の有無」を必ず確認
  3. 切り上げ:1.6本=2本(切り上げ必須・1本では薬剤量が不足する)。0.1超過でも切上が原則

選択弁との連動

5室それぞれに選択弁1個ずつを設置し、容器15本の集合管→選択弁→噴射ヘッドの順序で配管します。1981の鑑別系記事「甲種3類 鑑別問題で出るガス系設備の部品」と合わせて、容器本数計算と選択弁構造の両軸で押さえてください。

まとめ

  • 不活性ガス消火設備はCO₂・N₂・IG-55・IG-541の4種類
  • 貯蔵方式は高圧式と低圧式があり、低圧式はCO₂のみ
  • CO₂は液化ガス、N₂・IG系は圧縮ガスとして貯蔵する
  • 局所放出方式と移動式はCO₂のみ対応
  • IG-541はCO₂8%を含み、呼吸中枢を刺激して安全性を高めている
  • CO₂消火設備は人体に非常に危険なため、遅延装置(20秒以上)・音響警報・閉止弁が必須
  • 構成機器:貯蔵容器→容器弁→集合管→選択弁→配管→噴射ヘッド

甲種3類 ── 次に読む記事

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設置義務:ガス系設備の設置義務
製図対策:ガス系設備の製図
全体の学習計画:甲種3類 完全ロードマップ

理解度チェック問題

【問題1】不活性ガス消火設備の貯蔵方式に関する記述のうち、正しいものはどれか。

(1)低圧式は、窒素消火設備とIG-541消火設備でも採用されている。
(2)高圧式のCO₂は、常温で気体のまま圧縮して貯蔵されている。
(3)低圧式のCO₂は、-18℃以下に冷却して約2.1MPaの低い圧力で貯蔵する。
(4)窒素やIG系ガスは、液化して低圧式で貯蔵するのが一般的である。

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正解:(3)
低圧式CO₂は-18℃以下に冷凍機で冷却し、約2.1MPaの圧力で液体のまま大型タンクに貯蔵します。(1)は低圧式はCO₂のみで窒素やIG系には存在しないため誤りです。(2)はCO₂の高圧式は液化ガス(液体)として貯蔵するため誤りです。(4)は窒素やIG系は沸点が極めて低く液化が現実的でないため、圧縮ガス(気体)の高圧式のみです。

【問題2】不活性ガス消火設備の安全装置に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)CO₂消火設備の全域放出方式では、放出前に20秒以上の遅延時間を設ける必要がある。
(2)音響警報装置は、防護区画内とその入口付近に設置する。
(3)放出表示灯は、ガスの放出中に「消火ガス放出中」の表示が点灯する。
(4)閉止弁は、消火後にガスを排出するための換気装置である。

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正解:(4)
閉止弁(非常停止装置)は、人が取り残された場合にガスの放出を手動で中止するための弁です。消火後にガスを排出するための換気装置は「排出装置」です。両者の役割を混同しないよう注意しましょう。(1)(2)(3)はいずれも正しい記述です。

【問題3】CO₂消火設備と窒素消火設備を比較した記述のうち、正しいものはどれか。

(1)CO₂は圧縮ガスとして、窒素は液化ガスとして貯蔵する。
(2)CO₂は局所放出方式が認められているが、窒素は全域放出方式のみである。
(3)窒素の方がCO₂より人体への危険性が高いため、安全装置がより厳重である。
(4)CO₂も窒素も、高圧式と低圧式の両方の貯蔵方式が採用されている。

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正解:(2)
CO₂消火設備は全域放出・局所放出・移動式の3方式が認められていますが、窒素消火設備は全域放出方式のみです。CO₂は液化ガスなので対象物の周囲に滞留しやすく局所放出に適していますが、窒素は気体のままなので拡散してしまいます。(1)はCO₂が液化ガス、窒素が圧縮ガスなので逆です。(3)はCO₂の方が人体への危険性が高いです。(4)は低圧式はCO₂のみです。

【問題4(応用)】ある大規模な通信機器室にCO₂消火設備を設置することになった。防護区画の容積が非常に大きく、必要なCO₂量が膨大である。この場合に低圧式を採用するメリットとして、最も適切なものはどれか。

(1)低圧式は高圧式より放出速度が速いため、大きな区画でも素早く消火できる。
(2)低圧式は冷凍機が不要なため、維持管理のコストを削減できる。
(3)低圧式は1基の大型タンクにまとめて貯蔵できるため、多数のボンベを並べるスペースが不要になる。
(4)低圧式は常温で貯蔵するため、高圧式より貯蔵容器の安全性が高い。

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正解:(3)
大規模な防護区画では必要なCO₂量が多くなり、高圧式だと何十本ものボンベが必要になります。低圧式なら1基の大型タンクに大量のCO₂をまとめて貯蔵できるため、貯蔵容器室の省スペース化が最大のメリットです。(1)は放出速度は方式の違いで大きく変わるものではありません。(2)は低圧式は-18℃以下に冷却する冷凍機が「必要」なので誤りです。(4)は低圧式は-18℃以下の低温で貯蔵するため「常温」ではありません。

参考書・通信講座で効率よく合格を目指す
不活性ガス消火設備はCO₂の高圧式・低圧式の違いや安全装置の仕組みなど、覚えるべき構造が多い分野です。動画で構造を視覚的に理解すると、文字だけでは掴みにくい仕組みが一気に腹落ちします。

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