結論:製図は「図記号」「系統図」「平面図」の3つを攻略すればOK
結論から言います。
甲種4類の実技試験には「製図」が出題されます。これは乙種にはない、甲種だけの科目です。製図で問われる内容は大きく3つに分かれます。
図記号を知らなければ図面が読めない。系統図がわからなければ配線の接続関係が理解できない。平面図が描けなければ試験に受からない。――この3つはセットです。
この記事では図記号と系統図の基礎を解説します。平面図の実践(感知器の配置・配線の描き方)は「製図の実践」の記事で詳しく扱います。
製図問題の出題パターン
まず、試験でどんな形で出題されるかを知っておきましょう。
よくある出題パターン
- パターン①:建物の平面図が与えられ、「感知器の種類・個数・配線を記入せよ」
- パターン②:系統図の一部が空欄で、「空欄に適切な機器や配線を記入せよ」
- パターン③:完成した図面が与えられ、「誤りを指摘せよ」
どのパターンでも、図記号の意味がわからなければ手も足も出ません。まずは図記号を覚えることからスタートです。
図記号 ― 感知器の記号
自火報の製図で使う図記号は、JIS C 0303(構内電気設備の配線用図記号)に基づいています。
感知器の図記号の基本ルール
感知器の図記号は、丸い記号の中に感知器の種類を示す文字や記号を入れて表します。
②中の記号:感知器の種類(熱・煙・炎)
③添え字:種別(1種・2種など)や特記事項
熱感知器の図記号
| 感知器 | 図記号の特徴 |
|---|---|
| 差動式スポット型 | ○の中に何も書かない(空白) |
| 定温式スポット型 | ○の中に縦線(|) |
| 補償式スポット型 | ○の中に二重丸(◎) |
| 差動式分布型(空気管) | ○の中に横の破線(---) |
| 熱アナログ式 | 差動式・定温式の記号に「A」を添える |
覚え方のコツ:差動式が「空白」、定温式が「縦線」。この2つを基本として覚えましょう。差動式は温度の「変化」で動くからシンプルな空白、定温式は「一定温度」で動くから境界線のイメージで縦線――と結びつけると覚えやすくなります。
煙感知器の図記号
| 感知器 | 図記号の特徴 |
|---|---|
| 光電式スポット型 | ○の中に「S」(Smokeの頭文字) |
| 光電式分離型 | ○の中に「S」+横の矢印 |
| イオン化式 | ○の中に「I」(Ionizationの頭文字) |
| 煙アナログ式 | Sの記号に「A」を添える |
覚え方のコツ:煙感知器は英語の頭文字が入ります。S = Smoke(煙)、I = Ionization(イオン化)。光電式分離型は送光部と受光部がペアなので矢印がつきます。
炎感知器の図記号
| 感知器 | 図記号の特徴 |
|---|---|
| 赤外線式 | ○の中に「F」(Flameの頭文字)+「IR」 |
| 紫外線式 | ○の中に「F」+「UV」 |
F = Flame(炎)に、IR(Infrared=赤外線)またはUV(Ultraviolet=紫外線)を添えます。
種別の表し方
感知器の種別(1種・2種・3種)は、図記号の右下に小さい数字で示します。
- 光電式スポット型2種 → Sの右下に「2」
- 定温式スポット型1種 → 縦線の右下に「1」
- 特種の場合 → 「特」と表記
図記号 ― 感知器以外の機器
主な機器の図記号
| 機器 | 図記号の特徴 |
|---|---|
| P型受信機 | □(四角)の中に「P」 |
| R型受信機 | □の中に「R」 |
| 発信機(P型1級) | □の中に「発」 |
| 地区音響装置(ベル) | ベルの形(半円+縦線) |
| 表示灯 | ◎(二重丸)に「赤」と添え書き |
| 終端器(末端抵抗) | 抵抗の記号(ジグザグ線) |
| 中継器 | △(三角)の中に「中」 |
覚え方のコツ:感知器は「○(丸)」、受信機・発信機は「□(四角)」、中継器は「△(三角)」。外側の形で機器の大分類がわかるしくみです。
○(丸)→ 感知器
□(四角)→ 受信機・発信機
△(三角)→ 中継器
ベル形 → 地区音響装置
図記号 ― 配線の表記
配線の種類と表し方
製図では、配線を実線で描き、その横に配線の情報を書き添えます。
| 表記 | 意味 |
|---|---|
| 線の本数(斜め短線) | 配線上の斜め短線の数=電線の本数。2本なら/が2本、3本なら3本 |
| HIV | 600V 二種ビニル絶縁電線(一般的な配線) |
| HP | 耐熱電線(耐熱保護が必要な回線に使用) |
| FP | 耐火電線(耐火保護が必要な回線に使用) |
| 1.2 / 1.6 / 2.0 | 電線の太さ(mm) |
配線の本数の意味
自火報の配線は最低2本(L線とC線)ですが、場所によって本数が増えます。
| 区間 | 本数 |
|---|---|
| 感知器間 | 2本(L線+C線) |
| 発信機〜受信機 | 4本(応答線+電話線+表示灯線+共通線)※P型1級の場合 |
| ベル〜受信機 | 2本(ベル線+共通線) |
| 受信機の幹線部分 | 回線数に応じて増加(L線×回線数+C線+ベル線等) |
配線本数の考え方:受信機から出発するときは本数が多く、分岐するごとに減っていく。幹線は太く、末端は細い――木の枝のようなイメージです。
系統図 ― 接続関係を示す設計図
系統図とは
系統図は、受信機を中心に各機器がどのように接続されているかを示す図です。建物の間取りとは関係なく、純粋に電気的な接続関係だけを描きます。
├─ L1 ──── 感知器 ── 感知器 ── 終端器
├─ L2 ──── 感知器 ── 感知器 ── 終端器
├─ L3 ──── 感知器 ── 感知器 ── 終端器
├─ C(共通線)──────────────
├─ ベル線 ── ベル ── ベル ── ベル
├─ 表示灯線 ── 表示灯
└─ 発信機線 ── 発信機
系統図の読み方のポイント
- L線(ライン):回線ごとに1本ずつ。L1、L2、L3…と番号がつく
- C線(共通線):複数回線で共有する帰り線。P型1級は7回線以下で1本
- 感知器の配列:同じ回線の感知器は送り配線(直列に順番につなぐ)で接続
- 終端器の位置:各回線の一番末端に必ず1つ
- ベル・発信機・表示灯:感知器回線とは別の線で接続
系統図で確認すること
☑ 共通線1本あたり7回線以下か(P型1級)
☑ 感知器は送り配線(一筆書き)になっているか
☑ 耐火配線・耐熱配線の区別が正しいか
☑ 発信機・ベル・表示灯が正しい線に接続されているか
☑ 配線の本数が正しいか
平面図の基礎 ― 建物上に機器を配置する
平面図とは
平面図は、建物の間取り(フロア図)の上に感知器・発信機・ベルなどの位置と配線経路を描いた図面です。系統図が「電気的な接続関係」を示すのに対し、平面図は「物理的な配置」を示します。
平面図に描く要素
- 感知器の位置:部屋ごとに図記号で描く(種類・種別も明記)
- 発信機・ベル・表示灯の位置:廊下や階段付近に配置
- 配線の経路:機器間を線でつなぎ、本数を斜め短線で表示
- 警戒区域の番号:各エリアに回線番号を付ける
- 凡例:使用した図記号の一覧表
凡例とは
凡例(はんれい)は、図面で使った図記号の意味を一覧にした表です。図面の隅に配置します。
試験問題では凡例が与えられる場合と、自分で凡例を書く場合があります。図記号を正確に覚えていれば、どちらにも対応できます。
配線の種類と保護 ― どこに何を使う?
耐火配線と耐熱配線の使い分けは、製図問題でよく問われます。
| 回線 | 配線保護 | 理由 |
|---|---|---|
| 感知器回線 | 耐熱配線 | 火災初期に感知する必要がある |
| 地区音響装置 | 耐火配線 | 火災が進行してもベルを鳴らし続ける必要がある |
| 発信機回線 | 耐熱配線 | 手動通報に使うため初期段階で機能すればよい |
| 表示灯回線 | 耐熱配線 | 発信機の位置を示す補助的な設備 |
| 電源回線 | 耐火配線 | 電源が途絶えるとシステム全体が停止する |
覚え方:「火災が進んでも絶対に止まったら困るもの」は耐火配線。ベルの鳴動と電源供給です。それ以外は耐熱配線で十分です。
全体のまとめ
② 感知器は○、受信機は□、中継器は△
③ 差動式=空白、定温式=縦線、煙感知器=S
④ 配線本数は斜め短線の数で表す
⑤ 系統図は電気的な接続関係、平面図は物理的な配置
⑥ 各回線末端には必ず終端器
⑦ ベル線・電源線は耐火配線、感知器線は耐熱配線
まとめ問題
理解度チェックとして、4問出題します。
第1問
自火報の図記号で、感知器を表す外形として正しいものを1つ選べ。
(1)□(四角)
(2)○(丸)
(3)△(三角)
(4)◇(ひし形)
第2問
図記号で、○の中に「S」と書かれている感知器として正しいものを1つ選べ。
(1)差動式スポット型感知器
(2)定温式スポット型感知器
(3)光電式スポット型感知器
(4)補償式スポット型感知器
第3問
自火報の配線で、地区音響装置(ベル)の配線に必要な保護として正しいものを1つ選べ。
(1)特に保護は不要
(2)耐熱配線
(3)耐火配線
(4)耐火配線かつ耐熱配線の二重保護
第4問
系統図において、感知器回線の末端に必ず設けなければならないものとして正しいものを1つ選べ。
(1)中継器
(2)発信機
(3)終端器(末端抵抗)
(4)地区音響装置