甲種4類/乙種4類

イオン化式感知器と煙複合式感知器|光電式との違い

イオン化式感知器はイオン電流の変化で煙を検出する

イオン化式スポット型感知器は、煙によるイオン電流の変化を利用して作動する煙感知器です。放射性同位元素を利用して空気をイオン化し、煙が入ったときの電流変化を検出します。

光電式感知器が煙による受光量の変化を利用するのに対し、イオン化式は煙によるイオン電流の変化を利用します。試験学習では、光電式との作動原理の違いを中心に整理します。

煙複合式スポット型感知器は、感知器規格省令上、イオン化式スポット型感知器の性能と光電式スポット型感知器の性能を併せもつものとして整理されています。

イオン化式
空気をイオン化
煙が入る→電流が変化
イオン電流の変化で作動
光電式
受光量の変化を利用
散乱光式・減光式で整理
光の変化で作動
煙複合式
イオン化式+光電式
両方の性能を併せもつ
規格省令上の複合式

甲種4類・乙種4類では、イオン化式の動作原理光電式との違い煙複合式の定義を確認しておきましょう。

イオン化式感知器の動作原理 ― 放射線で空気をイオン化する

イオン化式の特徴は、放射性同位元素を利用して空気をイオン化する点です。消防設備士試験では、まず放射性同位元素を利用して空気をイオン化する点を押さえます。

動作の流れを見てみましょう。

イオン化式の動作フロー
① 放射性同位元素が空気をイオン化する
→ 空気中の分子が電離(イオン化)される
 ▼
② イオン電流が流れる
→ 電極間に微弱な電流が安定して流れる(通常状態)
 ▼
③ 煙が侵入する
→ 煙の粒子がイオンにくっつき、イオンの動きが鈍くなる
 ▼
④ イオン電流が減少する
→ 電流の変化を回路が検出 → 火災信号を発信

ポイントは、煙の粒子がイオンに付着して電流が減るということです。光電式が「光の変化」を見るのに対し、イオン化式は「電流の変化」を見ています。

外イオン室と内イオン室 ― 二重構造のしくみ

イオン化式感知器の内部には、2つのイオン室があります。

二重イオン室の構造
外イオン室(検出室)
外気と通じている
煙が侵入できる
煙が入ると電流が減少
= 変化する側
内イオン室(基準室)
密閉されている
煙が入れない
常に一定の電流が流れる
= 基準(比較対象)

この2つの部屋にはイオン電流が流れており、通常時と煙が入ったときの変化を比べる考え方で整理します。

通常時は両方の電流がつり合った状態です。しかし煙が入ると、外イオン室だけ電流が減少し、2つの部屋の電流バランスが崩れます。この「バランスの崩れ」を回路が検知して火災信号を出すのです。

二重構造は、周囲条件の変化による影響を補正しやすくするための考え方です。煙が外イオン室に入ったときに、内イオン室との状態差を利用して火災信号につなげます。

学習上は、基準側と検出側を比べる構造として押さえると理解しやすくなります。

光電式との違い

イオン化式と光電式は、どちらも煙感知器ですが、作動原理が異なります。教材では煙粒子の大きさとの関係で整理されることがあります。

比較項目 イオン化式 光電式
検出方式 イオン電流の変化 光の散乱・減光
粒子との関係 小さい粒子の煙 大きい粒子の煙
学習上の整理 比較的小さい粒子の煙で整理 比較的大きい粒子の煙で整理
覚える軸 小さい粒子の煙 大きい粒子の煙

なぜ作動原理が違うのか?

比較的小さい煙粒子では、イオン電流の変化として整理しやすい場合があります。光電式では受光量の変化を見るため、作動原理の違いを分けて理解します。

比較的大きい煙粒子では、光電式の散乱光式や減光式の説明と結び付けて整理しやすくなります。実際の火災や設置判断は、建物用途や室の環境を含めて確認します。

粒子サイズと検出特性
小さい粒子の煙
→ イオン電流の変化として整理
→ 光電式とは作動原理が異なる

大きい粒子の煙
→ 光電式の作動原理と結び付けて整理
→ イオン化式とは作動原理が異なる

実際の火災の性状は、燃えるものや換気状況によって変わります。試験学習では、イオン化式はイオン電流の変化、光電式は受光量の変化という軸で区別しましょう。

放射性同位元素を含む機器の扱い

イオン化式感知器は、放射性同位元素を利用する機器として扱われます。そのため、光電式感知器とは管理上の確認点が異なります。

放射性同位元素等の規制に関する法律では、表示付認証機器など、放射性同位元素を装備する機器の使用・保管・運搬・届出等に関する枠組みが定められています。

  • 使用開始、変更、保管、運搬などは、機器の区分や認証条件に従って確認する
  • 交換・廃棄時は、メーカー、管理者、所管機関の案内に従って扱う
  • 消防設備としての設置判断とは別に、放射性同位元素を含む機器としての扱いを確認する

受験学習では、イオン化式は放射性同位元素を利用する点、光電式は放射性同位元素を使わず受光量の変化を利用する点を分けて押さえます。

実務上の採用状況や交換方針は、製品、設計図書、建物の管理状況によって変わります。この記事では、試験で混同しやすい作動原理と法令上の定義に絞って整理します。

古い設備を扱う場合は、現物の型式、表示、設計図書、点検記録を確認し、必要に応じてメーカーや管理者に確認します。

煙複合式感知器 ― イオン化式+光電式を1つにまとめた感知器

煙複合式感知器とは、イオン化式と光電式の両方の検出機構を1つの感知器に組み込んだものです。

感知器規格省令では、煙複合式スポット型感知器は、イオン化式スポット型感知器の性能と光電式スポット型感知器の性能を併せもつものとして定義されています。

学習上は、煙複合式を「イオン化式と光電式を併せもつ感知器」として押さえます。具体的な信号の扱いは、製品仕様や受信機との組み合わせで確認します。

一の火災信号として扱う整理
複合した性能を使い
火災信号を発信するものとして整理

確認:詳細は製品仕様で確認

二以上の信号と混同しない
多信号感知器や熱複合式の説明と
丸暗記で混ぜない

確認:条文上の定義で整理

補償式・熱複合式感知器と似た言葉が出ますが、煙複合式は「イオン化式+光電式」の組み合わせとして別に整理します。

  • 煙複合式 = イオン化式スポット型と光電式スポット型の性能を併せもつ
  • 熱複合式 = 差動式スポット型と定温式スポット型の性能を併せもつ別の感知器

名前が似ていても、何と何を組み合わせた感知器なのかを基準にすると混同しにくくなります。

種別と取付面の高さ

イオン化式感知器も光電式感知器と同じく、種別(1種・2種・3種)があり、種別によって設置できる天井の高さが決まっています。

種別 取付面の高さ 感度
1種 20m未満 最も高感度
2種 15m未満 中程度
3種 4m未満 低感度

この数値は光電式スポット型と同じです。イオン化式スポット型と光電式スポット型は、種別ごとの取付面高さを対応させて整理できます。

取付面高さだけで設置可否が決まるわけではありません。実務では用途、室の環境、感知区域、空気吹出口との距離なども合わせて確認します。

全体のまとめ

イオン化式感知器・煙複合式 チェックリスト
動作原理:放射性同位元素で空気をイオン化 → 煙が入るとイオン電流が変化 → 火災信号
二重構造:外イオン室(煙が入る)と内イオン室(密閉・基準)の電流差で検出
光電式との違い:イオン化式はイオン電流、光電式は受光量の変化を利用
放射性同位元素:利用する機器は認証条件や管理方法を確認
煙複合式:イオン化式スポット型と光電式スポット型の性能を併せもつ
取付面の高さ:1種:20m未満 / 2種:15m未満 / 3種:4m未満(光電式と同じ)

次のステップ

煙感知器を一通り確認したら、次は炎感知器に進みましょう。

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前提 感知器の分類と全体像 — 熱・煙・炎の3タイプ
前へ 光電式感知器 — 散乱光式と減光式
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関連 感知器の設置基準 — 種別と取付面の高さ
全体 【甲種4類】完全ロードマップ

まとめ問題

問題1:イオン化式スポット型感知器の動作原理に関する記述のうち、正しいものはどれか。

(1)暗箱内に煙が侵入し、煙の粒子が光を散乱させることで火災を検出する
(2)煙の粒子がイオン電流を減少させ、その電流変化で火災を検出する
(3)煙の粒子が赤外線を吸収し、温度変化で火災を検出する
(4)煙の粒子が電極に付着し、電極間の抵抗値の変化で火災を検出する

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正解:(2)
イオン化式は放射性同位元素で空気をイオン化し、イオン電流を流しています。煙が入ると粒子がイオンに付着して電流が減少し、その変化で火災を検出します。(1)は光電式スポット型(散乱光式)の説明です。

問題2:イオン化式感知器の内部構造に関する記述のうち、正しいものはどれか。

(1)外イオン室は密閉されており、内イオン室は外気に開放されている
(2)外イオン室と内イオン室があり、煙は外イオン室にのみ侵入する
(3)イオン室は1つだけで、煙の侵入量を直接測定する
(4)外イオン室には放射性同位元素があるが、内イオン室にはない

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正解:(2)
イオン化式感知器は外イオン室(検出室)と内イオン室(基準室)の二重構造です。外イオン室は外気に開放されていて煙が入りますが、内イオン室は密閉されていて煙が入りません。両室の電流差で煙を検出します。(1)は外と内が逆です。

問題3:イオン化式感知器と光電式感知器の違いに関する記述のうち、正しいものはどれか。

(1)イオン化式は煙によるイオン電流の変化を利用する
(2)イオン化式は煙による光電素子の受光量の変化だけを利用する
(3)光電式は煙によるイオン電流の変化だけを利用する
(4)両者は名称が違うだけで、作動原理は同じである

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正解:(1)
イオン化式は煙によるイオン電流の変化を利用し、光電式は煙による受光量の変化を利用します。どちらも煙感知器ですが、作動原理が異なります。

問題4:放射性同位元素を利用するイオン化式感知器の扱いとして、学習上適切なものはどれか。

(1)光電式と同じく、放射性同位元素に関する確認は不要である
(2)機器の区分、認証条件、管理者やメーカーの案内を確認して扱う
(3)消防法施行規則上、煙感知器には含まれない
(4)取付面高さが20m以上の場所にも通常の煙感知器として設置できる

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正解:(2)
イオン化式は放射性同位元素を利用するため、機器の区分、認証条件、管理・交換時の扱いを確認する必要があります。光電式は、放射性同位元素ではなく受光量の変化を利用する方式です。

問題5(応用):煙複合式スポット型感知器の説明として、感知器規格省令の定義に最も近いものはどれか。

(1)差動式スポット型感知器と定温式スポット型感知器の性能を併せもつもの
(2)イオン化式スポット型感知器と光電式スポット型感知器の性能を併せもつもの
(3)紫外線式スポット型感知器と赤外線式スポット型感知器の性能を併せもつもの
(4)熱感知器と炎感知器の性能だけを併せもつもの

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正解:(2)
煙複合式スポット型感知器は、イオン化式スポット型感知器の性能と光電式スポット型感知器の性能を併せもつものです。(1)は熱系の組み合わせ、(3)は炎複合式、(4)は熱煙複合式などとの混同に注意します。

確認メモ:イオン化式スポット型感知器、光電式スポット型感知器、煙複合式スポット型感知器は、感知器規格省令で定義されています。設置できる場所や種別は、消防法施行規則、建物用途、室の環境、取付面高さ、感知区域などを合わせて確認します。放射性同位元素を装備する機器の扱いは、製品の認証条件や管理者の案内も確認してください。

参考:e-Gov法令検索「火災報知設備の感知器及び発信機に係る技術上の規格を定める省令」e-Gov法令検索「消防法施行規則」e-Gov法令検索「放射性同位元素等の規制に関する法律」

教材選び:甲種4類・乙種4類の参考書は「参考書と勉強法【4類】」で整理しています。

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