結論:乙7の鑑別は「漏電火災警報器のパーツを見分ける」試験
結論から言います。
乙種7類の鑑別問題は、漏電火災警報器を構成する部品(変流器・受信機・音響装置)や試験器具の写真を見て、名称・用途・特徴を記述式で答える試験です。
乙7の出題範囲は漏電火災警報器だけなので、覚える部品の数は他の類に比べて少なめです。しかし、変流器の種類の違いや電気計測器の使い分けなど、細かい知識を正確に書く必要があります。
この記事では、漏電火災警報器の各部品を「見た目だけ」で見分けるコツと、頻出パターン別の攻略法を解説します。
漏電火災警報器の全体像については「漏電火災警報器の構造と動作原理」で解説していますので、先にそちらを読んでおくと理解がスムーズです。
乙7の鑑別問題とは?
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出題数 | 5問 |
| 解答形式 | 記述式(自分の言葉で書く) |
| 製図 | なし(乙種は鑑別のみ) |
| 合格基準 | 60%以上 |
| 筆記との関係 | 別判定(両方60%以上で合格) |
鑑別で出題されるのは、大きく以下の3カテゴリです。
- 漏電火災警報器の構成部品(変流器・受信機・音響装置)
- 試験・点検器具(漏えい電流試験器・絶縁抵抗計・クランプメーター等)
- 電気計測器(回路計・検電器等)
実技試験の全体像は「実技試験とは?鑑別・製図の完全ガイド」をご覧ください。
漏電火災警報器の構成と見分け方
漏電火災警報器は、変流器・受信機・音響装置の3つで構成されています。古い木造建築の分電盤まわりで見かける設備です。
変流器(ZCT)
変流器(へんりゅうき)は漏電火災警報器の最重要部品で、鑑別で最も出題されます。
外観はドーナツ状(リング状)の機器で、この穴の中に電線を通して使います。「ZCT」は「Zero-phase Current Transformer(零相変流器)」の略です。
(画像準備中 — Geminiで生成後に差し替え)
動作原理:正常な状態では、電線の往きの電流と帰りの電流は同じ大きさです。しかし漏電が起きると、漏れた分だけ帰りの電流が小さくなります。この往きと帰りの電流差(零相電流)を変流器が検出して受信機に信号を送ります。
たとえば100Aの電流が往きの線を流れているのに、帰りの線には99.7Aしか流れていなければ、0.3A(300mA)がどこかに漏れているということ。変流器はこの差を検出する仕組みです。
受信機(本体)
受信機は壁面に設置された箱型の機器で、変流器からの信号を受け取って漏電を判定します。
前面パネルには以下が配置されています。
| 名称 | 役割 |
|---|---|
| 漏電表示灯 | 漏電を検出すると赤く点灯 |
| 電源表示灯 | 電源が入っていることを示す(緑) |
| 試験ボタン | 擬似的に漏電信号を出して動作確認 |
| 復旧ボタン | 警報を止めて通常状態に戻す |
| 感度調整ダイヤル | 公称作動電流値を設定 |
音響装置
受信機が漏電を検出すると、ベルまたはブザーで警報音を鳴らします。受信機に内蔵されているタイプと、外付けで離れた場所に設置するタイプがあります。
音響装置の音圧は、1m離れた位置で70dB以上と定められています。点検時にはこの音圧が確保されているか確認します。
変流器の種類を見分ける
変流器には貫通型と分割型の2種類があり、鑑別では外観から種類を答えさせる問題が頻出です。
| 種類 | 外観 | 取付方法 |
|---|---|---|
| 貫通型 | 1体のリング型 | 穴に電線を通す(新設時向き) |
| 分割型 | 2つに分かれるリング | 電線を挟む(既設配線の後付け向き) |
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見分けのポイント:写真でリングが一体型なら貫通型、ヒンジやネジで2つに分かれる構造なら分割型です。
既設の建物に後から漏電火災警報器を設置する場合、電線を切断せずに変流器を取り付けられる分割型が便利です。新設時は電線を穴に通せるので貫通型でOK。この「なぜ2種類あるか」もよく出題されます。
変流器の取付けで重要な注意点:B種接地線は変流器を貫通させてはいけません。B種接地線を通すと、正常な漏れ電流まで検出してしまい誤報の原因になります。
詳しくは「設置基準(警戒電路・公称作動電流値)」をご覧ください。
試験・点検器具の見分け方
漏電火災警報器の点検で使う器具も鑑別の定番です。
| 器具名 | 外観の特徴 | 用途 |
|---|---|---|
| 漏えい電流試験器 | 箱型の専用器具。電流調整ダイヤル付き | 模擬的に漏電を発生させ作動確認 |
| 絶縁抵抗計(メガー) | 手回し or ボタン式の測定器 | 配線の絶縁抵抗を測定 |
| クランプメーター | クランプ(挟む部分)付き | 電線を挟んで漏えい電流を実測 |
| 回路計(テスター) | 小型計測器+テスト棒 | 電圧・電流・抵抗の測定 |
| 検電器 | ペン型 or 棒型 | 電路に電圧がかかっているか確認 |
(画像準備中 — Geminiで生成後に差し替え)
クランプメーターは変流器と同じ原理の携帯型計測器です。クランプ(ワニ口のように開閉する部分)で電線を挟むと、電線を切断せずに電流値を測定できます。漏えい電流の実測に使います。
絶縁抵抗計と回路計の違いもよく出題されます。
- 絶縁抵抗計(メガー):高電圧(125V, 250V, 500V等)を加えて絶縁性能を測定する。「漏れていないか」を調べる
- 回路計(テスター):低電圧で導通・電圧・電流・抵抗を測定する。「つながっているか」「値はいくらか」を調べる
試験方法の詳細は「漏電火災警報器の点検・整備と試験方法」で解説しています。
頻出パターン別 攻略法
パターン①|「この部品の名称を答えよ」
写真を見て名称を正確に書く問題です。特に変流器が頻出です。
| 外観のヒント | 正式名称 |
|---|---|
| ドーナツ状のリング(一体型) | 変流器(貫通型) |
| 2つに分かれるリング | 変流器(分割型) |
| 壁面の箱型機器 | 受信機(漏電火災警報器受信機) |
| 丸いベル型 | 音響装置(ベル) |
パターン②|「変流器の取付方法を答えよ」
変流器の取付けに関する注意点を記述する問題です。
覚えるべきポイント:
- 変流器には警戒電路の電線すべてを通す(単相2線式なら2本とも、三相3線式なら3本とも)
- B種接地線は通さない(誤報の原因になる)
- 貫通型は電線を穴に通す、分割型は電線を挟んで固定する
パターン③|「試験器具の名称と用途を答えよ」
試験器具の写真を見て、名称と何に使うかを答えます。
- 漏えい電流試験器 → 変流器に模擬的な漏電電流を流し、受信機が正常に作動するか確認する
- 絶縁抵抗計 → 配線の絶縁抵抗値を測定し、漏電の有無を確認する
- クランプメーター → 電線を挟んで漏えい電流の実測値を確認する
パターン④|「受信機の操作盤の名称を答えよ」
受信機の前面パネルに矢印が引かれ、各部の名称を答える問題です。
覚えるべき名称:漏電表示灯、電源表示灯、試験ボタン、復旧ボタン、感度調整ダイヤル
パターン⑤|「公称作動電流値について答えよ」
公称作動電流値(こうしょうさどうでんりゅうち)は、受信機が警報を出す漏えい電流の設定値です。
| 規定値 | 備考 |
|---|---|
| 200mA | 最小の設定値 |
| 400mA | 一般的な設定 |
| 1000mA(1A) | 最大の設定値 |
受信機は公称作動電流値の130%の電流が流れた場合に30秒以内に作動し、50%の電流では作動してはならないと定められています。これも試験でよく出る数値です。
詳しくは「設置基準(警戒電路・公称作動電流値)」をどうぞ。
実戦練習問題(5問)
本番と同じ形式の練習問題です。自分で解答を書いてから答え合わせしてください。
【問1】部品の名称
次の写真の部品の名称を答えなさい。この部品はドーナツ状のリング型で、2つに分割できる構造になっている。
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【問2】受信機の操作盤
漏電火災警報器の受信機の前面パネルについて、(ア)〜(ウ)の名称をそれぞれ答えなさい。
(ア)赤い表示灯
(イ)「試験」と書かれたボタン
(ウ)数値を切り替えるダイヤル
(画像準備中 — Geminiで生成後に差し替え)
【問3】試験器具の名称と用途
次の器具の名称を答えなさい。また、漏電火災警報器の点検においてどのように使用するか述べなさい。この器具はクランプ(挟む部分)がついた携帯型の計測器である。
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【問4】変流器の取付け
変流器を警戒電路に取り付ける際、B種接地線の取り扱いについて正しい方法を述べなさい。また、その理由を説明しなさい。
【問5】計測器の違い
絶縁抵抗計と回路計(テスター)の違いを、測定目的と測定方法の観点から説明しなさい。
まとめ
乙7の鑑別問題を攻略するポイントをおさらいします。
鑑別攻略 3つのカテゴリ
- 構成部品:変流器(貫通型/分割型)・受信機・音響装置
- 試験器具:漏えい電流試験器・絶縁抵抗計・クランプメーター
- 電気計測器:回路計(テスター)・検電器
頻出5パターン
- 部品の名称を答える(特に変流器の貫通型/分割型)
- 変流器の取付方法とB種接地線の注意点
- 試験器具の名称と用途
- 受信機の操作盤の名称
- 公称作動電流値と作動条件(130%で30秒以内)
乙7は出題範囲が漏電火災警報器に絞られているため、覚える量は少なめです。変流器の2種類と試験器具さえ完璧にすれば、鑑別は確実に突破できます。