乙種7類

漏電火災警報器の点検|機器点検・総合点検と判定基準

漏電火災警報器の定期点検は、消防庁の点検基準・別表第12点検要領・第12に沿って行います。点検は、外観や簡易操作を確認する機器点検と、試験器等で設備を作動させる総合点検に分かれます。

現行の総合点検で確認する中心項目は、作動電流値、漏電表示灯、音響装置の音圧、対象設備における連動遮断です。「絶縁抵抗5MΩ以上」「D種接地抵抗100Ω以下」「公称値の50~100%」「130%で0.3秒以内」を現在の定期点検の判定値として一つの表にまとめるのは正しくありません。

この記事の基準
消防庁が公開する現行の点検基準・点検要領を使います。製品そのものの規格試験、設置時の確認、定期点検を分け、定期点検票へ記録する内容を中心に整理します。

点検周期と報告周期は別に考える

消防用設備等の点検は、消防法第17条の3の3、消防法施行規則第31条の6、平成16年消防庁告示第9号に基づきます。漏電火災警報器の周期は次のとおりです。

区分 周期 確認の考え方
機器点検 6か月に1回 主に外観と簡易な操作で、機器の状態・機能を確認する。
総合点検 1年に1回 試験器等を用いて設備を作動させ、総合的な機能を確認する。
結果報告 特定防火対象物は1年に1回、その他は3年に1回 防火対象物の関係者が消防長または消防署長へ報告する。

「総合点検は年1回」と「消防機関への報告は1年または3年に1回」は別の周期です。報告が3年に1回の建物でも、点検を3年に1回まで省略できるわけではありません。

機器点検で確認する4つのまとまり

漏電火災警報器の機器点検は、受信機、変流器、音響装置、必要な場合の連動遮断装置に分けて確認します。

受信機

  • 周囲:使用・点検の障害物がなく、可燃性蒸気や可燃性粉じん等が滞留するおそれのない安全な場所か。
  • 外形・表示:変形、損傷、著しい腐食がなく、自主表示マーク、スイッチ名、銘板、警戒電路の表示が適正か。
  • 電源表示灯・表示灯:正常に点灯し、著しい劣化がないか。
  • スイッチ・ヒューズ:開閉位置と機能が正常で、ヒューズに損傷・溶断がなく、種類・容量が適正か。
  • 試験装置:所定の操作で漏電表示灯が点灯し、音響装置が鳴動するか。
  • 結線・接地:断線、端子の緩み、脱落、損傷がなく、接地に著しい腐食や断線がないか。
  • 感度調整装置:設定値が適正で、誤報のおそれのない値か。
  • 予備品等:ヒューズ・電球等の予備品、回路図、取扱説明書等が備わっているか。

受信機の試験装置は、機器点検における簡易操作の確認です。これだけで変流器を含む設備全体の作動範囲を確認したことにはなりません。設備全体の漏えい電流検出試験は総合点検で行います。

変流器

  • 外形・表示:変形、損傷、著しい腐食がなく、自主表示マークや銘板等が適正か。
  • 未警戒:引込口から変流器までの変更工事等により、監視されない低圧幹線が生じていないか。
  • 低圧幹線:防火対象物に2種以上の電源が供給される場合はそれぞれに警報器があり、すべての低圧幹線が変流器を貫通しているか。
  • B種接地線方式:変電設備の増設・改修により、変流器を貫通しないB種接地線が増えていないか。
  • 容量:警戒電路に設けた変流器の定格電流値が、警戒電路の最大負荷電流値以上か。

点検要領は、B種接地線に設けた変流器についても別の容量判定を示しています。製品表示、警戒電路の定格電圧・回路条件を使って点検票どおり確認し、警戒電路方式の判定をそのまま流用しないでください。

変流器の設置位置と警戒電路・B種接地線の違いは、漏電火災警報器の設置基準で整理しています。

音響装置

  • 変形、損傷、著しい腐食がないか。
  • 脱落や緩みがなく、音響効果を妨げるものがないか。
  • 常時人がいる場所に設けられているか。
  • 試験装置を操作し、音圧・音色を他の機械音や騒音と区別して聞き取れるか。

連動遮断装置

可燃性蒸気・可燃性粉じん等が滞留するおそれのある場所では、漏電火災警報器と連動して電流を遮断する装置を安全な場所に設けます。この装置がある場合、機器点検では次を確認します。

  • 周囲に可燃性蒸気・粉じん等が滞留していないか。
  • 変形、損傷、著しい腐食がないか。
  • 遮断装置の定格電流値が警戒電路の定格電流値以上か。
  • 所定の操作で確実に遮断するか。供給停止が困難な場合は、点検要領が認める結線接続状況等の目視確認で代える。

感度調整装置の設定値

消防法施行規則第24条の3は、誤報が生じないよう、建物の警戒電路の状態に応じて適正な検出漏えい電流設定値とするよう求めています。

点検要領は、機器点検で設定値を確認する際の参考として、次の範囲を示します。

  • 警戒電路に設けるもの:おおむね100~400mA
  • B種接地線に設けるもの:おおむね400~800mA

負荷電流、使用電線、電線こう長等を考慮して適正に定めます。誤報があったからといって、調査が不十分なまま過大な値へ変更してはいけません。点検要領は、保守担当者から実情を聞いたうえで適正値を決めるよう注意しています。

総合点検は作動範囲と警報を実測する

総合点検では、漏電火災警報器試験器等を用いて漏えい電流検出試験を行います。主な流れは次のとおりです。

  1. 作動電流値を2~3回測定する。
  2. 漏電表示灯が正常に点灯するか確認する。
  3. 音響装置の取付位置の中心から前面1m離れ、騒音計のA特性で音圧を測定する。
  4. 連動遮断装置がある場合、遮断が確実に行われるか確認する。

漏えい電流検出試験中は、負荷をできるだけ減らして測定することが望ましいとされています。実際の漏電と試験電流が合算され、判定に疑義がある場合は、負荷を完全に遮断して試験電流だけで測定します。

試験には漏電火災警報器試験器のほか、漏電遮断器試験器や、測定器具を組み合わせて現場で回路を構成する方法があります。現場で回路を構成する場合、点検要領は電気主任技術者または電気工事士などの協力のもとで行うよう求めています。製品の施工・取扱説明書と試験器の手順を確認し、独自の接続方法で通電しないでください。

総合点検の判定値

点検項目 判定
作動範囲 正常に作動し、すべての作動電流値が公称作動電流値(作動電流設定値)に対して-60%から+10%の範囲であること。
漏電表示灯 正常に点灯すること。
音響装置 取付位置の中心から前面1mで70dB以上であること。
連動遮断装置 対象設備では遮断が確実に行われること。

暗騒音がある場合は、消防庁の点検要領に示された補正表を用います。警報を鳴らしたときの指示値だけで70dBを判定せず、対象音があるときとないときの差に応じて補正します。

許容範囲外なら独自調整しない
点検要領は、作動電流値が許容誤差の範囲を超えている場合、メーカーへ修理を依頼するよう示しています。原因を推測して感度を上げ下げしたり、無資格で内部を改造したりしないでください。

5MΩ・500Vは製品規格の試験値

現行の「漏電火災警報器に係る技術上の規格を定める省令」は、変流器と受信機の絶縁抵抗について、直流500Vの絶縁抵抗計で測定した値が5MΩ以上であることを定めています。変流器は第20条、受信機は第34条です。

しかし、これは機器が満たす製品規格上の絶縁抵抗試験です。消防庁の現行点検基準・別表第12と点検要領・第12には、定期点検で受信機と変流器へ直流500Vを印加して5MΩを判定する項目はありません。

同様に、定期点検の「接地」は、目視または回路計で著しい腐食・断線等がないことを確認する項目です。接地抵抗100Ω以下を漏電火災警報器の定期点検票の固有判定値として扱う説明は避けてください。電気設備側の測定が必要な場合は、対象回路、接地方式、保護装置、電気設備の基準を別に確認します。

機器の現行規格と構造は、漏電火災警報器の構造と動作原理で解説しています。

点検結果の記録と不良時の対応

点検結果は、消防庁の「別記様式第12 漏電火災警報器点検票」に沿って記録します。受信機・変流器・音響装置・連動遮断装置の各項目と、総合点検の測定値を、実施した内容に即して記入します。

異常が見つかった場合は、原因を一つに決めつけず、次のように切り分けます。

  • 電源表示灯、ヒューズ、スイッチ、端子、表示灯など機器点検項目を確認する。
  • 低圧幹線やB種接地線に未警戒がないか、増設・改修履歴を確認する。
  • 平常時の漏えい電流と設定値、負荷の影響を確認する。
  • 作動電流値を2~3回測定し、再現性と許容範囲を確認する。
  • 許容範囲外ならメーカーへ修理を依頼する。
  • 修理・交換後は必要な機能確認を行い、結果を記録する。

変流器の向き、分割面の隙間、受信機故障など、現物を確認せずに原因を断定することはできません。メーカーの取扱説明書、回路図、点検履歴を使って判断してください。

点検を行う資格と乙種7類

一定の防火対象物では、消防法施行令第36条第2項により、消防設備士または消防設備点検資格者に消防用設備等を点検させる必要があります。漏電火災警報器は乙種第7類の対象設備です。

乙種消防設備士免状で行えるのは、対象設備の整備等です。甲種第7類はありません。電路・配線・接地等に関わる作業は、内容に応じて電気工事士等の資格や電気設備側の管理が必要になるため、「乙種7類があればすべての交換・配線・接地工事ができる」とは扱えません。

また、点検結果を消防機関へ報告する義務を負うのは防火対象物の関係者です。点検者と報告義務者を混同しないでください。

理解度チェック

以下は現行の点検基準を確認するためのオリジナル問題です。公式問題の転載や出題予想ではありません。

  1. 漏電火災警報器の機器点検と総合点検は、それぞれ何か月または何年に1回か。
  2. 総合点検で測定した作動電流値の許容範囲は、公称作動電流値(作動電流設定値)に対してどの範囲か。
  3. 音響装置の音圧は、どこで何dB以上を確認するか。
  4. 500V絶縁抵抗計で5MΩ以上という値を、現在の定期点検票の現場判定値として扱ってよいか。
解答を表示
  1. 機器点検は6か月に1回、総合点検は1年に1回。
  2. -60%から+10%の範囲。
  3. 音響装置の取付位置の中心から前面1mで70dB以上。
  4. 扱わない。5MΩ・500Vは現行製品規格の絶縁抵抗試験値で、別表第12の定期点検項目ではない。

まとめ

  • 機器点検は6か月に1回、総合点検は1年に1回行う。
  • 機器点検は受信機・変流器・音響装置・対象となる連動遮断装置を確認する。
  • 総合点検では作動電流値を2~3回測定し、-60%から+10%の範囲を確認する。
  • 音圧は取付位置の中心から前面1mで70dB以上を確認する。
  • 5MΩ・500Vは製品規格の試験値であり、現行の定期点検項目と混同しない。
  • 許容範囲外の場合は独自調整せず、メーカーへ修理を依頼する。

参照した公式資料

※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。図や画像だけで機器を判断せず、製品表示・取扱説明書・公式資料を確認してください。

記事、模擬試験、ミニテストは学習の補助を目的としています。試験の申請や実務上の判断では、最新の法令、試験実施機関、所轄消防機関、製品の公式資料等も確認してください。

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