漏電火災警報器の設置方法は、消防法施行規則第24条の3に定められています。現在の条文が直接定めるのは、変流器の容量、取付位置、音響装置、検出漏えい電流設定値、危険場所での連動遮断という5項目です。
古い教材等に見られる「400mA以下」「契約電流60A超なら1/1,000以上」「公称作動電流値の50~100%」「130%で0.3秒以内」「受信機の高さ0.8~1.5m」といった数値を、現在の第24条の3の要件として使うことはできません。現行条文と、製品規格・点検要領を分けて確認しましょう。
設置義務の有無ではなく、対象建物へどのように設けるかを解説します。用途・面積・契約電流容量50A超による対象判定は、漏電火災警報器の設置義務で確認してください。
消防法施行規則第24条の3が定める5項目
| 項目 | 現在の基準 |
|---|---|
| 変流器の容量 | 警戒電路の定格電流以上。B種接地線へ設ける場合は、その接地線に流れると予想される電流以上。 |
| 変流器の取付位置 | 建物に電気を供給する屋外の電路、屋外が困難なら引込口に近接した屋内の電路、またはB種接地線。点検しやすい位置へ堅固に取り付ける。 |
| 音響装置 | 防災センター等に設置し、他の警報音や騒音と明確に区別して聞き取れる音圧・音色とする。 |
| 検出設定 | 誤報が生じないよう、建物の警戒電路の状態に応じた適正な検出漏えい電流設定値とする。 |
| 危険場所 | 可燃性蒸気・可燃性粉じん等が滞留するおそれのある場所では、警報器と連動して電流を遮断する装置を、その場所の外の安全な場所へ設ける。 |
第24条の3は「設置及び維持に関する技術上の基準の細目」です。機器そのものの構造・性能は「漏電火災警報器に係る技術上の規格を定める省令」、点検方法と判定は消防庁の点検基準・点検要領で別に確認します。
変流器の容量は監視する電路に合わせる
警戒電路へ変流器を設ける場合、その変流器には警戒電路の定格電流以上の電流値が必要です。負荷電流に対して不足する定格の変流器を選ばないための基準です。
B種接地線へ設ける場合は、警戒電路の定格電流ではなく、その接地線に流れることが予想される電流以上の電流値を有する変流器を選びます。二つの方式で容量の基準が異なる点を分けて覚えてください。
変流器と受信機の役割、公称作動電流値、集合型受信機などの構造は、漏電火災警報器の構造と動作原理で解説しています。
変流器を取り付ける位置は二つの方式に分かれる
警戒電路へ設ける方式
原則は、建築物に電気を供給する屋外の電路です。建築構造上、屋外の電路へ設けることが困難な場合は、電路の引込口に近接した屋内の電路へ設けられます。どちらも、点検が容易な位置へ堅固に取り付けます。
警戒電路方式では、その回路を構成する電線をまとめて変流器へ通します。単相2線式なら2本、単相3線式なら3本、三相3線式なら3本というように、警戒電路の全電線を通すのが基本です。正常な往復電流を相殺し、外へ漏れた電流との差を検出するためです。
現在の乙種公式公開問題の鑑別等では、警戒電路のうち1線だけが変流器を通る図が誤りとして示されています。1線の負荷電流そのものを検出してしまい、漏えい分だけを取り出せないためです。問題図は公式PDFで確認してください。
B種接地線へ設ける方式
施行規則は、変流器をB種接地線へ取り付ける方式も認めています。この場合はB種接地線に流れる電流を監視します。
警戒電路方式とB種接地線方式は取付先の選択肢です。「変流器を警戒電路へ設けたうえで、必ずB種接地線にも設ける」という意味ではありません。また、B種接地線方式を「接地線の電源側・負荷側」と、警戒電路と同じ言葉で整理すると混乱します。条文どおり、どの電路・接地線に設ける方式かを区別してください。
音響装置は防災センター等へ設ける
音響装置は、防災センター、中央管理室、守衛室その他これらに類する常時人がいる場所である「防災センター等」へ設けます。漏電が発生したとき、建物の関係者が警報を認識して対応できる場所に報知するためです。
音圧と音色は、他の警報音または周囲の騒音と明らかに区別して聞き取れる必要があります。単に音響装置が鳴るだけでなく、設置場所の騒音環境を含めて識別できることが重要です。
消防庁の点検要領では、音響装置の中心から1m離れた位置で70dB以上を確認し、実際の設置場所で他の警報音や騒音と区別して聞き取れるかも確認します。70dBは点検時の確認値であり、第24条の3に書かれた受信機の設置高さではありません。
検出漏えい電流設定値は建物ごとに適正化する
第24条の3は、検出漏えい電流設定値を一律の固定値にしていません。誤報が生じないよう、建物の警戒電路の状態に応じた適正な値とするよう求めています。
消防庁の点検要領は、設定値を確認する際の参考として、警戒電路に設けるものはおおむね100~400mA、B種接地線に設けるものはおおむね400~800mAを示しています。ただし、これは点検要領上の設定値確認の参考範囲です。「すべての建物を400mAに設定する」という法令上の固定値ではありません。
実際の設定は、平常時の漏えい電流、回路構成、負荷機器、周囲環境、使用する受信機の仕様を確認して決めます。設定を不用意に高くすると必要な警報が遅れ、低くしすぎると誤報の原因になります。測定・調整は、設備の仕様書と所轄消防署の指導を確認できる有資格者が行ってください。
危険場所では警報と連動して電流を遮断する
可燃性蒸気、可燃性粉じん等が滞留するおそれのある場所へ漏電火災警報器を設ける場合は、その作動と連動して電流を遮断する装置が必要です。遮断装置は、蒸気・粉じん等が滞留するおそれのある場所の外側にある安全な場所へ設けます。
したがって、「漏電火災警報器は警報だけで、電路を遮断することはない」という説明も一律には正しくありません。通常の警報機能と、この危険場所における連動遮断の例外を分けて理解します。
受信機の電源配線で確認する点
現在の乙種公式公開問題の鑑別等には、受信機の電源が電流制限器の二次側から分岐されている図が示され、その分岐位置を誤りとして訂正させる例があります。公式解答は、電流制限器の一次側から分岐するよう示しています。
これは、電流制限器の動作によって受信機の監視機能まで失わないよう、電源を確保するための確認点です。実際の施工では、製品の施工説明書、配線方式、過電流保護、電気設備に関する基準も含めて設計・施工してください。
古い数値と現在の基準を混同しない
| 見かけることがある説明 | 現在の確認方法 |
|---|---|
| 設定値は400mA以下、60A超なら1/1,000以上 | 現行第24条の3は、警戒電路の状態に応じた適正値と規定。点検要領の100~400mA・400~800mAは参考範囲として扱う。 |
| 公称作動電流値の50~100%で作動 | 現行の製品規格と点検基準を確認する。旧規格の割合を現行設置基準に流用しない。 |
| 130%で0.3秒以内 | 現行規格省令の試験条件とは一致しない。製品規格・設置基準・点検判定を分ける。 |
| 受信機の高さは0.8~1.5m | 第24条の3にその高さ規定はない。音響装置の防災センター等への設置、点検・操作性、製品仕様を確認する。 |
施工後・維持管理で分けて確認すること
- 変流器の定格が警戒電路またはB種接地線に適合しているか。
- 変流器が所定の電路・接地線の点検しやすい位置へ堅固に取り付けられているか。
- 警戒電路方式で全電線が正しく変流器を通っているか。
- 音響装置が防災センター等にあり、他の警報音・騒音と区別できるか。
- 検出漏えい電流設定値が警戒電路の状態に対して適正か。
- 危険場所では連動遮断装置が安全な場所に設けられているか。
- 受信機の電源、表示、音響、試験装置、変流器までの配線を点検基準・点検要領に沿って確認できるか。
理解度チェック
以下は現行条文の読み方を確認するためのオリジナル問題です。公式問題の転載や出題予想ではありません。
- 警戒電路に設ける変流器には、どの電流値以上の定格が必要か。
- 屋外の電路への設置が建築構造上困難な場合、変流器をどこへ設けられるか。
- 検出漏えい電流設定値をすべての建物で400mAに固定してよいか。
- 可燃性粉じんが滞留するおそれのある場所では、警報器の作動に連動する何が必要か。
解答を表示
- 警戒電路の定格電流以上。B種接地線方式では、その接地線に流れると予想される電流以上。
- 電路の引込口に近接した屋内の電路。点検しやすい位置へ堅固に取り付ける。
- 固定しない。誤報が生じないよう、建物の警戒電路の状態に応じた適正値とする。
- 警報器と連動して電流を遮断する装置を、危険場所の外の安全な場所へ設ける。
まとめ
- 変流器の容量は、警戒電路の定格電流以上、またはB種接地線の予想電流以上とする。
- 警戒電路方式では屋外電路を原則とし、困難なら引込口近接の屋内電路へ設ける。
- B種接地線へ変流器を設ける方式もある。
- 音響装置は防災センター等へ設け、他の警報音・騒音と区別できるようにする。
- 検出漏えい電流設定値は、警戒電路の状態に応じた適正値とする。
- 可燃性蒸気・粉じん等の危険場所では、安全な場所に連動遮断装置を設ける。
参照した公式資料
- e-Gov法令検索「消防法施行規則」(第24条の3)
- e-Gov法令検索「消防法施行令」(第22条)
- e-Gov法令検索「漏電火災警報器に係る技術上の規格を定める省令」
- 消防庁「消防用設備等の点検基準、点検要領、点検票」
- 消防庁「漏電火災警報器の点検要領(第12)」
- 消防試験研究センター「過去に出題された問題」
- 消防設備士試験・乙種の公式公開問題PDF
※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。図や画像だけで機器を判断せず、製品表示・取扱説明書・公式資料を確認してください。
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