漏電火災警報器は、低圧の警戒電路に生じた漏えい電流を検出し、防火対象物の関係者へ知らせる警報設備です。現行の規格省令では、変流器と受信機で構成されるものと定義されています。
音響装置も報知に欠かせませんが、「変流器・受信機・音響装置の3機器が法令上の構成」という整理ではありません。音響装置は受信機を構成する装置または受信機に接続する装置として理解すると、構造と信号の流れを正確に整理できます。
2014年4月施行の現行規格省令と、消防庁の点検基準・点検要領を使います。旧規格に基づく「公称作動電流値は200・300・400・500・1000mAの5段階」「130%で0.3秒以内」という説明は、現行規格の要件ではありません。
漏電火災警報器は変流器と受信機で構成される
規格省令が定める漏電火災警報器は、電圧600V以下の警戒電路を対象とし、変流器と受信機で構成されます。
| 部分 | 規格上の役割 | 確認する表示・機能 |
|---|---|---|
| 変流器 | 警戒電路の漏えい電流を自動的に検出し、受信機へ信号を送る。 | 屋内型・屋外型、定格電圧・電流、周波数、相、設計出力電圧など。 |
| 受信機 | 変流器からの信号を受信し、漏えい電流の発生を関係者へ報知する。 | 電源表示、漏電表示、音響信号、試験装置、感度調整装置など。 |
| 音響装置 | 受信機の報知機能として警報音を発する。受信機内蔵の場合と外付けの場合がある。 | 定格電圧、音圧、断続音、連続鳴動に対する性能など。 |
受信機は、変流器から信号を受けると、赤色の表示と音響信号によって漏電を自動的に表示します。したがって、基本の流れは次のとおりです。
- 警戒電路に漏えい電流が生じる。
- 変流器が漏えい電流を検出する。
- 変流器が受信機へ信号を送る。
- 受信機が赤色表示と音響信号で関係者へ知らせる。
変流器が漏えい電流を検出する仕組み
漏電火災警報器の変流器は、一般にZCT(零相変流器)と呼ばれます。ただし、現行の規格省令で使われる名称は「変流器」です。
警戒電路に設ける場合
警戒電路方式では、低圧幹線を構成する電線をまとめて変流器に通します。単相2線式なら2本、単相3線式なら3本、三相3線式なら3本というように、その警戒電路の全電線を通すのが基本です。
正常時は、各電線を流れる電流のベクトル和がほぼ0になり、変流器に残る磁束もほぼ0です。電流の一部が大地や建築物の金属部分などへ漏れると、変流器を通って戻らない分が生じます。この差によって変流器の二次側に出力が現れ、受信機へ送られます。
現在の乙種公式公開問題の鑑別等では、警戒電路のうち1線だけを変流器へ通した配線が誤りとして示されています。1線の負荷電流そのものを漏えい電流として検出してしまうためです。問題図は公式PDFで確認してください。
B種接地線に設ける場合
消防法施行規則は、変流器を警戒電路のほかB種接地線へ設ける方法も認めています。この方式では、接地線に流れる電流を監視します。
「変流器には必ずL線とN線を一緒に通す」とだけ覚えると、三相回路やB種接地線方式を説明できません。警戒電路方式とB種接地線方式を分けて整理してください。
変流器の構造と種類
規格上の種別は屋内型と屋外型
現行の規格省令は、変流器を構造に応じて屋内型と屋外型に分類します。屋外型には防水試験があり、屋内型とは周囲温度試験の条件も異なります。
一方、電線を穴へ通す一体形の外観や、鉄心を分割して既設電路へ取り付けやすくした分割形は、製品の構造・施工上の違いです。「貫通型と分割型が法令上の2種」とは整理しないでください。
定格電流と取付位置
変流器は、警戒電路の定格電流以上の電流値を有するものを選びます。B種接地線へ設ける場合は、その接地線に流れることが予想される電流以上のものが必要です。
設置位置は、原則として建築物に電気を供給する屋外の電路です。建築構造上、屋外へ設けることが難しい場合は、引込口に近接した屋内の電路に設けられます。いずれも点検しやすい位置へ堅固に取り付けます。
変流器で確認する表示
変流器には、漏電火災警報器変流器であること、届出番号、屋内型・屋外型、定格電圧・電流、定格周波数、単相・三相、設計出力電圧、製造年などを表示します。
漏電火災警報器の変流器と受信機は、現在は自主表示対象機械器具等です。2014年4月に検定対象から自主表示対象へ移行しているため、旧制度の型式承認・型式適合検定だけで現行品を説明しないよう注意が必要です。
受信機の構造と機能
電源表示と漏電表示を区別する
受信機には電源を表示する装置が必要です。その表示は、漏電表示の色と明らかに区別できなければなりません。漏電信号を受けた場合は、赤色表示と音響信号により自動的に知らせます。
二つの試験機能
受信機には、少なくとも次の確認ができる試験装置が必要です。
- 受信機の入力端子へ試験電圧を加え、漏電表示と音響機能を確認する。
- 変流器に至る外部配線に断線がないか確認する。
試験は受信機の前面から手動で容易に行え、試験後に定位置へ戻す操作を忘れないための措置も必要です。集合型受信機では、回線ごとに試験できなければなりません。
集合型受信機は「変流器との一体形」ではない
集合型受信機とは、2以上の変流器と組み合わせて使う受信機で、1組の電源装置・音響装置等によって構成されるものです。
変流器と受信機が同じケースに入っているという意味ではありません。集合型は、どの警戒電路で漏えい電流が発生したかを明確に表示し、複数回路で同時または連続して漏電が起きた場合にも必要な表示を行います。
現行規格で確認する数値
| 項目 | 現行規格 | 読み方 |
|---|---|---|
| 警戒電路の電圧 | 600V以下 | 漏電火災警報器の定義に含まれる。 |
| 公称作動電流値 | 200mA以下 | 感度調整装置がある場合は調整範囲の最小値に適用。 |
| 感度調整範囲の最大値 | 1A以下 | 感度調整装置を有する場合。 |
| 受信機の非作動側試験 | 設計出力電圧の52%で30秒以内に作動しない | 公称作動電流値に対応する変流器の設計出力電圧を基準にする。 |
| 受信機の作動側試験 | 設計出力電圧の75%で1秒以内に作動 | 52%・75%をそのまま漏えい電流の割合としない。 |
| 音響装置 | 定格電圧の90%で発音し、定格電圧では中心から1mで70dB以上 | 規格試験では無響室・定位置の条件が付く。 |
古い教材やウェブ記事で見かける「5段階」「130%で0.3秒以内」は、現行規格省令第7条・第27条の内容と一致しません。受験時は、現在の公式資料に合わせて更新してください。
製品規格と点検時の判定値を混ぜない
規格省令は製品の構造・性能を定めます。一方、消防庁の点検要領は、設置されている設備をどのように点検し、正常・不良をどう判定するかを定めます。
たとえば総合点検の作動範囲は、漏電火災警報器試験器等を使って2~3回測定し、すべての作動電流値が公称作動電流値または作動電流設定値に対して-60%から+10%の範囲であることを確認します。音響装置の音圧は、設置位置の中心から前面1mで70dB以上か確認します。
これは製品規格の受信機試験にある52%・75%の設計出力電圧とは、試験対象も方法も異なります。数値は「規格試験」か「設置後の点検」かを必ずセットで覚えてください。
漏電遮断器との違いと遮断の例外
漏電遮断器は、漏電を検出したときに電路を遮断する保護装置です。漏電火災警報器は、変流器と受信機によって漏えい電流を検出し、関係者へ報知する警報設備です。
ただし、「漏電火災警報器はどのような場合も遮断しない」とするのは正確ではありません。可燃性蒸気や可燃性粉じん等が滞留するおそれのある場所へ設ける場合は、消防法施行規則により、警報器の作動と連動して電流を遮断する装置を危険場所の外へ設けます。
漏電遮断器の感度電流や動作時間は製品・用途・設置条件で異なるため、15~30mAなどの一つの範囲で全製品を説明しない方が安全です。
現在の乙種公式公開問題で確認すること
消防試験研究センターが現在公開している乙種問題には、第7類について次の確認項目があります。
- 類別法令:複合用途防火対象物における設置義務の数値。
- 構造・機能・整備:機器点検で特に点検する必要がない項目。公式解答は「変流器の二次側配線が規定の長さかどうか」です。
- 規格:警戒電路の電圧は600V以下。
- 鑑別等:誤った配線図から、警戒電路のうち1線しか変流器を通っていない点と、受信機電源を電流制限器の二次側から分岐している点を指摘する。
公式公開問題は過去に出題された問題の一部であり、出題頻度や分野別配点を示す統計ではありません。問題図と公式解答は、乙種の公式公開問題PDFで確認してください。
理解を確認するオリジナル問題
次の問題は、現行の規格省令と点検要領を確認するためのオリジナル問題です。公式問題の転載や出題予想ではありません。
問題1|構成
漏電火災警報器を構成する二つの機器を答えてください。
解答:変流器と受信機。
問題2|集合型受信機
集合型受信機とは、何台以上の変流器と組み合わせて使用する受信機ですか。
解答:2台以上。
問題3|変流器の種別
現行の規格省令が構造に応じて定める、変流器の二つの種別を答えてください。
解答:屋内型と屋外型。
問題4|警戒電路
単相2線式の警戒電路方式で、電線を1本だけ変流器へ通すと正しく監視できないのはなぜですか。
解答:正常な負荷電流の往路と復路を相殺できず、1線を流れる負荷電流そのものが変流器の出力に現れるため。
問題5|受信機の表示
受信機が変流器から漏電信号を受けたときの二つの表示方法を答えてください。
解答:赤色の表示と音響信号。
まとめ
- 漏電火災警報器は、600V以下の警戒電路を対象とする。
- 法令上の構成は変流器と受信機。音響装置は報知機能を担う装置。
- 警戒電路方式では全電線を変流器へ通し、正常電流を相殺して漏えい分を検出する。
- 変流器の規格上の種別は屋内型・屋外型。
- 集合型受信機は、2以上の変流器と組み合わせて使う受信機。
- 現行規格は公称作動電流値200mA以下、感度調整範囲の最大値1A以下。
- 受信機は赤色表示と音響信号で報知し、入力試験と外部配線の断線試験ができる。
- 製品規格の数値と設置後の点検判定値を混同しない。
公式情報・一次資料
- e-Gov法令検索「漏電火災警報器に係る技術上の規格を定める省令」
- e-Gov法令検索「消防法施行規則」
- 総務省消防庁「自主表示対象機械器具等に係る表示の様式」
- 総務省消防庁「消防用設備等の点検基準、点検要領、点検票」
- 消防庁「漏電火災警報器の点検基準(別表第12)」
- 消防庁「漏電火災警報器の点検要領(第12)」
- 消防試験研究センター「試験科目及び問題数」
- 消防試験研究センター「過去に出題された問題」
- 消防設備士試験・乙種の公式公開問題PDF
法令・点検要領・公式公開問題は改正や更新があります。受験前や実務で使用する際は、リンク先の最新版を確認してください。
※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。図や画像だけで機器を判断せず、製品表示・取扱説明書・公式資料を確認してください。
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