水噴霧消火設備、屋外消火栓設備、動力消防ポンプ設備は、いずれも水を利用する消火設備です。ただし、設置対象の決め方と技術基準は同じではありません。
この記事では、消防法施行令第13条・第14条・第19条・第20条と消防法施行規則第16条・第17条・第22条に沿って、3設備の基準を整理します。
最初に確認:施行令第13条は、水噴霧消火設備だけを一律に義務付ける条文ではありません。対象となる場所ごとに、水噴霧・泡・不活性ガス・ハロゲン化物・粉末のうち、表に掲げられた設備のいずれかを設置する仕組みです。
水噴霧消火設備等の設置対象
施行令第13条は設備を選択する条文
消防法施行令第13条は、道路、駐車場、電気設備、指定可燃物を扱う部分などについて、設置できる消火設備の組合せを定めています。場所によって選べる設備が異なるため、「面積基準に達したら必ず水噴霧消火設備を設置する」とは限りません。
| 対象となる部分 | 面積・台数の基準 | 水噴霧の選択 |
|---|---|---|
| 道路の用に供される部分 | 屋上部分は600㎡以上、それ以外は400㎡以上 | 選択肢に含まれる |
| 駐車の用に供される部分 | 地階・2階以上は200㎡以上、1階は500㎡以上、屋上部分は300㎡以上 | 選択肢に含まれる |
| 機械式駐車場 | 収容台数10台以上 | 選択肢に含まれる |
| 指定可燃物を貯蔵・取扱う建築物等 | 危険物政令別表第四で定める数量の1,000倍以上 | 指定可燃物の種類により異なる |
自動車の修理・整備部分は、地階または2階以上で200㎡以上、1階で500㎡以上が対象ですが、第13条の表では水噴霧消火設備は選択肢に含まれていません。泡、不活性ガス、ハロゲン化物または粉末消火設備から選びます。
指定可燃物についても、物品の種類ごとに選択できる設備が分かれます。数量だけで水噴霧消火設備の設置を断定せず、第13条の表の上下欄を組み合わせて確認することが重要です。
水噴霧消火設備の技術基準
水噴霧消火設備そのものの基本基準は施行令第14条、細目は消防法施行規則第16条・第17条にあります。第16条は指定可燃物を扱う部分、第17条は道路・駐車部分について定めています。
| 設置場所 | 放射量 | 水源水量の考え方 |
|---|---|---|
| 指定可燃物を扱う部分 | 床面積1㎡につき10L/分 | 床面積は50㎡を上限として計算し、20分間放射できる量 |
| 道路の用に供される部分 | 床面積1㎡につき20L/分 | 最大となる道路区画面積を基に20分間放射できる量 |
| 駐車の用に供される部分 | 床面積1㎡につき20L/分 | 床面積は50㎡を上限として計算し、20分間放射できる量 |
たとえば、駐車部分の床面積が50㎡以上であれば、水源水量は20L/分・㎡ × 50㎡ × 20分 = 20,000L(20m³)以上です。指定可燃物を扱う部分では、10L/分・㎡ × 50㎡ × 20分 = 10,000L(10m³)以上となります。
施行令第14条は、道路・駐車部分に水噴霧消火設備を設置するとき、有効な排水設備を設けるよう求めています。規則第17条では、排水溝、集水管、油分離装置付き消火ピットなどの細目も定められています。
屋外消火栓設備の設置基準
対象建築物と床面積
消防法施行令第19条第1項は、別表第一の(1)項から(15)項まで、(17)項および(18)項に掲げる建築物を対象としています。床面積の判定は、地階を除く階数が1なら1階、2以上なら1階と2階の合計で行います。
| 建築物の構造 | 設置対象となる床面積 |
|---|---|
| 耐火建築物 | 9,000㎡以上 |
| 準耐火建築物 | 6,000㎡以上 |
| その他の建築物 | 3,000㎡以上 |
同一敷地内にある耐火・準耐火以外の複数建築物は、外壁間の中心線からの水平距離が1階で3m以下、2階で5m以下となる部分がある場合、適用上は一つの建築物とみなされます。
屋外消火栓の技術基準
- 配置:建築物の各部分から一つのホース接続口までの水平距離を40m以下とする。
- 水源:屋外消火栓の設置個数(2個を超えるときは2個)× 7m³以上とする。
- 放水性能:同時使用する各ノズル先端で、放水圧力0.25MPa以上、放水量350L/分以上とする。
- 開閉弁:地上式は地盤面から1.5m以下、地下式は地盤面から深さ0.6m以内に設ける。
- 非常電源:屋外消火栓設備に付置する。
規則第22条では、ポンプの吐出量を屋外消火栓の設置個数(最大2個)× 400L/分以上としています。これは、ノズル先端の必要放水量350L/分とは区別して覚えます。
他の消火設備を設けた場合
第19条第4項に掲げるスプリンクラー、水噴霧、泡、不活性ガス、ハロゲン化物、粉末または動力消防ポンプ設備を技術基準に従って設置した場合、その設備の有効範囲内の部分について屋外消火栓設備を設置しないことができます。建築物全体が自動的に免除されるわけではありません。
動力消防ポンプ設備の基準
設置対象と規格放水量
動力消防ポンプ設備の基準は消防法施行令第20条にあります。同条は、屋内消火栓設備の対象となる防火対象物の一部と、屋外消火栓設備の対象建築物について動力消防ポンプ設備を設置する構成です。所定の他設備を設けた有効範囲内では、動力消防ポンプ設備を設置しないことができます。
| 対象 | 規格放水量 |
|---|---|
| 施行令第11条第1項各号(第4号を除く)の対象 | 0.2m³/分以上 |
| 施行令第19条第1項の対象建築物 | 0.4m³/分以上 |
「動力消防ポンプは常に0.4m³/分以上」と一律に扱わない点が重要です。どちらの対象に設置するかで最低規格放水量が変わります。
水源・ホース・常置場所
| 規格放水量 | 各部分から水源までの水平距離 |
|---|---|
| 0.5m³/分以上 | 100m以下 |
| 0.4m³/分以上0.5m³/分未満 | 40m以下 |
| 0.4m³/分未満 | 25m以下 |
消防用ホースは、それぞれの距離の範囲内にある防火対象物の各部分へ有効に放水できる長さとします。水源は規格放水量で20分間放水できる量以上とし、計算結果が20m³以上になる場合は20m³が上限です。
消防ポンプ自動車または自動車でけん引するポンプは水源から歩行距離1,000m以内、その他のポンプは水源の直近に常置します。
3設備を区別する要点
| 設備 | 確認する条文 | 確認の中心 |
|---|---|---|
| 水噴霧消火設備 | 施行令13・14条、規則16・17条 | 対象場所ごとの設備選択、放射量、排水 |
| 屋外消火栓設備 | 施行令19条、規則22条 | 1階・2階の床面積、40m、7m³、0.25MPa・350L/分 |
| 動力消防ポンプ設備 | 施行令20条 | 対象別の規格放水量、水源までの距離、水源量 |
確認問題
問題1:道路の用に供される部分で、屋上以外の床面積が400㎡以上の場合、施行令第13条の対象になる。○か×か。
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○。屋上部分は600㎡以上、それ以外は400㎡以上です。ただし、水噴霧消火設備だけでなく、条文に掲げられた設備から選択します。
問題2:施行令第11条第1項各号(第4号を除く)の対象に設ける動力消防ポンプは、規格放水量0.2m³/分以上である。○か×か。
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○。屋外消火栓設備の対象建築物に設ける場合は0.4m³/分以上です。
問題3:屋外消火栓設備は、各ノズル先端で放水圧力0.25MPa以上、放水量350L/分以上の性能が必要である。○か×か。
解答を見る
○。ポンプの必要吐出量400L/分との違いにも注意します。
参考法令
- e-Gov法令検索:消防法施行令(第13条、第14条、第19条、第20条)
- e-Gov法令検索:消防法施行規則(第16条、第17条、第22条)
関連する設備の構造は「水噴霧消火設備」「屋外消火栓設備・動力消防ポンプ設備」、次の学習項目は「配管・バルブ・継手の施工」で確認できます。
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