結論:スプリンクラー設備の技術基準は、ヘッド配置・水源水量・放水性能・付属設備で読む
スプリンクラー設備は、消防法施行令第12条で設置対象と基本的な技術基準が示され、消防法施行規則第13条の2、第13条の6、第14条などで水源水量、放水性能、制御弁、末端試験弁、送水口などの細目が定められています。
この記事では、すでにスプリンクラー設備の設置対象を確認した後に読む技術基準として、閉鎖型ヘッド、開放型ヘッド、水源水量、加圧送水装置、非常電源、送水口、補助散水栓を整理します。
この記事で整理する範囲
消防法施行令第12条で見る基本構成
消防法施行令第12条第2項は、スプリンクラー設備について、ヘッドの設置、水源、放水性能、加圧送水装置、非常電源、送水口、補助散水栓などを定めています。技術基準を読むときは、まず次の項目に分けると整理しやすくなります。
| 項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| スプリンクラーヘッド | 設置する部分、ヘッド種別、水平距離、開口部への設置 |
| 水源 | 用途、構造、規模、ヘッド種別に応じて算出した水量 |
| 放水性能 | ヘッド種別ごとの放水圧力、放水量、同時使用数 |
| 加圧送水装置 | 点検しやすく、火災等の被害を受けにくい箇所に設ける |
| 非常電源・送水口 | 非常電源を附置し、消防ポンプ自動車が接近しやすい位置に双口形の送水口を附置する |
| 補助散水栓 | 総務省令で定めるところにより設けることができる |
特定施設水道連結型スプリンクラー設備には例外規定があります。通常のスプリンクラー設備と同じ水源・加圧送水装置・送水口の読み方をそのまま当てはめないようにします。
ヘッドの水平距離
スプリンクラーヘッドは、天井又は小屋裏の各部分から一のヘッドまでの水平距離が、用途や構造に応じた距離となるように設けます。消防法施行令第12条第2項第2号イの表では、代表的に次のように整理されています。
| 防火対象物又はその部分 | 水平距離 |
|---|---|
| 舞台部など、開放型ヘッドを用いる部分 | 1.7m以下 |
| 指定可燃物を一定量以上貯蔵・取扱いする対象 | 1.7m以下。高感度型ヘッドでは性能に応じた距離 |
| 耐火建築物以外の建築物 | 2.1m以下。高感度型ヘッドでは性能に応じた距離 |
| 耐火建築物 | 2.3m以下。高感度型ヘッドでは性能に応じた距離 |
高感度型ヘッドの距離は、消防法施行規則第13条の2第3項で「R = Xr」として計算します。Rはヘッドまでの水平距離、rは有効散水半径、Xは防火対象物又はその部分の区分に応じた値です。
| 区分 | Xの値 |
|---|---|
| 令第12条第1項第8号に掲げる防火対象物 | 0.75 |
| 耐火建築物以外の建築物 | 0.9 |
| 耐火建築物 | 1 |
標準型ヘッドの取付け細目
消防法施行規則第13条の2第4項では、標準型ヘッドの設置及び維持に関する細目が示されています。代表的な確認点は次のとおりです。
- はり等による区画:取付け面から0.4m以上突き出したはり等で区画された部分ごとに設ける。ただし、はり等の中心距離が1.8m以下の場合は例外がある
- ダクト等の下:幅又は奥行が1.2mを超えるダクトや棚等がある場合は、その下面にもヘッドを設ける
- デフレクターの位置:デフレクターと取付け面との距離は0.3m以下
- 取付け方向:ヘッドの軸心が取付け面に対して直角となるように設ける
- 障害物:デフレクター下方0.45m以内、易燃性の可燃物を収納する部分では0.9m以内、かつ水平方向0.3m以内には、物を設けたり置いたりしない
ヘッド配置は、単に間隔だけでなく、はり、ダクト、棚、デフレクター周囲の空間もあわせて確認します。
水源水量の基本
消防法施行規則第13条の6第1項は、スプリンクラー設備の水源水量を、用途、構造、規模、ヘッド種別に応じて算出するものとしています。閉鎖型ヘッドの代表的な考え方は、ヘッド種別ごとの単位水量に、算定するヘッド個数を乗じる形です。
| ヘッド種別 | 水源水量の考え方 | 主な個数区分 |
|---|---|---|
| 標準型ヘッド | 1.6m3 × 算定個数。ラック式倉庫では2.28m3又は3.42m3を用いる場合がある | 10、15、20、30など。高感度型やラック式倉庫では個数が変わる |
| 小区画型ヘッド | 1m3 × 算定個数。特定施設水道連結型では別計算がある | 4、8、12 |
| 側壁型ヘッド | 1.6m3 × 算定個数 | 8、12 |
| 開放型ヘッド | 防火対象物の区分に応じた個数に1.6m3を乗じる | 放水区域や舞台部の条件で確認する |
| 放水型ヘッド等 | ヘッドの性能に応じ、消防庁長官が定める方法で算出する | 個別の性能基準で確認する |
標準型ヘッドで乾式又は予作動式の流水検知装置が設けられている場合は、表の個数に1.5を乗じて得た個数を用いる扱いがあります。方式によって水源水量の個数計算が変わる点を確認します。
標準型ヘッドの算定個数
標準型ヘッドを用いる場合の水源水量では、消防法施行規則第13条の6第1項第1号の表により、区分ごとの個数を確認します。代表的な区分は次のとおりです。
| 区分 | 個数 |
|---|---|
| 百貨店に該当する(四)項又は(十六)項イのうち(四)項用途部分が存するもの | 15。高感度型ヘッドでは12又は11 |
| その他で地階を除く階数が10以下 | 10。高感度型ヘッドでは8又は7 |
| その他で地階を除く階数が11以上 | 15。高感度型ヘッドでは12又は11 |
| ラック式倉庫の等級I、II、III | 30。感度種別一種の標準型ヘッドでは24 |
| ラック式倉庫の等級IV | 20。感度種別一種の標準型ヘッドでは16 |
| 令第12条第1項第6号・第7号の対象 | 15。高感度型ヘッドでは12又は11 |
| 指定可燃物を一定量以上貯蔵・取扱いするもの | 20。感度種別一種の標準型ヘッドでは16 |
水源水量は、ヘッド1個あたりの水量だけで決まるわけではありません。対象用途、階数、ヘッド種別、ラック式倉庫の等級、乾式又は予作動式かどうかを確認してから計算します。
放水性能
消防法施行規則第13条の6第2項は、ヘッド種別ごとの放水性能を定めています。代表的な基準は次のとおりです。
| ヘッド種別 | 放水圧力 | 放水量 |
|---|---|---|
| 標準型ヘッド | 0.1MPa以上 | 80L/min以上。ラック式倉庫では114L/min以上 |
| 小区画型ヘッド | 0.1MPa以上 | 50L/min以上 |
| 側壁型ヘッド | 0.1MPa以上 | 80L/min以上 |
| 開放型ヘッド | 0.1MPa以上 | 80L/min以上 |
| 放水型ヘッド等 | ヘッドの性能に応じて確認 | 放水区域に有効に放水できるものとして消防庁長官が定める性能 |
特定施設水道連結型スプリンクラー設備では、0.02MPa、0.05MPa、15L/min、30L/minなどの別基準が関係する場合があります。通常のスプリンクラー設備と分けて確認します。
加圧送水装置とポンプ吐出量
消防法施行令第12条第2項第6号では、スプリンクラー設備に水源に連結する加圧送水装置を設けることが示されています。場所は、点検に便利で、火災等の災害による被害を受けるおそれが少ない箇所とされています。
消防法施行規則第14条第1項第11号では、ポンプを用いる加圧送水装置について、吐出量と全揚程の考え方が示されています。
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| ポンプ吐出量 | 第13条の6第2項第1号から第4号までのヘッド個数に90L/minを乗じて得た量以上 |
| 小区画型ヘッドの場合 | ヘッド個数に60L/minを乗じて得た量以上 |
| ラック式倉庫の場合 | ヘッド個数に130L/minを乗じて得た量以上 |
| ポンプ全揚程 | H = h1 + h2 + 10m 以上 |
| 放水圧力の上限措置 | ヘッドにおける放水圧力が1MPaを超えないための措置を講じる |
ここでいうh1は配管の摩擦損失水頭、h2は落差です。高架水槽方式や圧力水槽方式では、別の式で必要落差又は圧力を確認します。
制御弁と自動警報装置
消防法施行規則第14条第1項第3号では、制御弁の設置単位、設置高さ、表示などを定めています。制御弁は、開放型では放水区域ごと、閉鎖型では階ごとに設けることが基本です。ラック式倉庫では、配管の系統ごとに扱います。
- 制御弁の高さ:床面から0.8m以上1.5m以下の箇所に設ける
- 閉止防止:みだりに閉止できない措置を講じる
- 標識:直近の見やすい箇所に、スプリンクラー設備の制御弁である旨を表示する
自動警報装置は、スプリンクラーヘッドの開放又は補助散水栓の開閉弁の開放により警報を発するものとします。発信部には、流水検知装置又は圧力検知装置を用います。
末端試験弁
閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備では、配管の末端に、流水検知装置又は圧力検知装置の作動を試験するための末端試験弁を設けます。
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 設置単位 | 流水検知装置又は圧力検知装置の設けられる配管の系統ごとに1個 |
| 設置場所 | 放水圧力が低くなると予想される配管の部分 |
| 一次側 | 圧力計を設ける |
| 二次側 | スプリンクラーヘッドと同等の放水性能を有するオリフィス等の試験用放水口を取り付ける |
| 標識 | 直近の見やすい箇所に末端試験弁である旨を表示する |
末端試験弁は、放水圧力そのものを上げる装置ではありません。流水検知装置又は圧力検知装置の作動を試験し、配管系統の確認に使う弁です。
送水口
消防法施行令第12条第2項第7号では、スプリンクラー設備に非常電源を附置し、消防ポンプ自動車が容易に接近できる位置に双口形の送水口を附置することとされています。消防法施行規則第14条第1項第6号では、送水口の細目が定められています。
- 専用性:送水口は専用とする
- 結合金具:差込式又はねじ式とし、呼称65の基準に適合する構造とする
- 高さ:結合金具は地盤面から0.5m以上1m以下で、送水に支障のない位置に設ける
- 接続:加圧送水装置から流水検知装置、圧力検知装置、一斉開放弁又は手動式開放弁までの配管に、専用配管で接続する
- 表示:直近の見やすい箇所に、スプリンクラー用送水口である旨と送水圧力範囲を表示する
送水口は、消防隊が外部から送水するための接続口です。通常時のポンプ吐出量や水源水量の計算とは役割を分けて整理します。
乾式・予作動式で確認する事項
乾式又は予作動式の流水検知装置が設けられているスプリンクラー設備では、スプリンクラーヘッドが開放した場合に1分以内に当該ヘッドから放水できるものとされています。
また、乾式又は予作動式の流水検知装置及び一斉開放弁の二次側配管のうち金属製のものには、亜鉛メッキ等による防食処理を施します。乾式又は予作動式の流水検知装置の二次側配管には、配管内の水を有効に排出できる措置も必要です。
補助散水栓
補助散水栓を設ける場合は、消防法施行規則第13条の6第4項を確認します。防火対象物の階ごとに、その階の各部分から一のホース接続口までの水平距離が15m以下となるように設けます。ただし、スプリンクラーヘッドが設けられている部分に補助散水栓を設ける場合には例外があります。
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 水平距離 | 各部分から一のホース接続口まで15m以下 |
| 同時使用数 | その階のすべての補助散水栓。ただし2個を超えるときは2個として扱う場合がある |
| ノズル先端放水圧力 | 0.25MPa以上 |
| 放水量 | 60L/min以上 |
| 表示 | 補助散水栓箱に「消火用散水栓」と表示する |
| 開閉弁 | 床面から高さ1.5m以下の位置又は天井に設ける。天井に設ける場合は自動式とする |
補助散水栓は、スプリンクラーヘッドそのものではありません。ホース接続口、ノズル、表示、開閉弁、ホース長を別に確認します。
確認問題
問題1 標準型ヘッドの放水性能として、代表的な基準はどれか。
- 0.1MPa以上、80L/min以上
- 0.17MPa以上、130L/min以上
- 0.25MPa以上、350L/min以上
- 0.25MPa以上、60L/min以上
答え:A
標準型ヘッドは、算出した個数を同時に使用した場合に、それぞれの先端で0.1MPa以上、80L/min以上で放水できる性能とされています。ラック式倉庫では114L/min以上です。
問題2 小区画型ヘッドの水源水量の基本的な単位水量はどれか。
- 0.5m3
- 1m3
- 1.6m3
- 7m3
答え:B
小区画型ヘッドを用いる場合は、原則として算定個数に1m3を乗じて水源水量を求めます。特定施設水道連結型では別計算があります。
問題3 末端試験弁の設置単位として正しいものはどれか。
- 防火対象物ごとに1個
- 階段ごとに1個
- 流水検知装置又は圧力検知装置の設けられる配管の系統ごとに1個
- 送水口ごとに1個
答え:C
末端試験弁は、流水検知装置又は圧力検知装置の設けられる配管の系統ごとに1個ずつ設けます。
問題4 スプリンクラー用送水口の結合金具の高さとして正しいものはどれか。
- 地盤面から0.3m以上0.8m以下
- 地盤面から0.5m以上1m以下
- 床面から0.8m以上1.5m以下
- 床面から1m以上2m以下
答え:B
送水口の結合金具は、地盤面から0.5m以上1m以下で、送水に支障のない位置に設けます。
問題5 補助散水栓のノズル先端性能として正しいものはどれか。
- 0.1MPa以上、50L/min以上
- 0.1MPa以上、80L/min以上
- 0.25MPa以上、60L/min以上
- 0.25MPa以上、350L/min以上
答え:C
補助散水栓は、ノズル先端で0.25MPa以上、60L/min以上の性能が求められます。
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