結論:計測器は「測る量・接続方法・測定条件」で見分ける
電気計測器は、まず何を測る計器かを確認し、次に回路へどう接続するかを整理すると理解しやすくなります。
| 計測器 | 主な測定対象 | 基本 |
|---|---|---|
| 電圧計 | 2点間の電位差〔V〕 | 測定箇所に並列接続・内部抵抗は大きい |
| 電流計 | 回路を流れる電流〔A〕 | 回路に直列接続・内部抵抗は小さい |
| 回路計 | 電圧・電流・抵抗など | 端子、レンジ、交流・直流を測定前に確認 |
| 絶縁抵抗計 | 電路の絶縁抵抗〔MΩ〕 | 回路を無電圧にし、対象に合う直流試験電圧で測定 |
| 接地抵抗計 | 接地極の接地抵抗〔Ω〕 | 2電極法・3電極法など、計器の指定方法で測定 |
| クランプメーター | 導体を流れる電流〔A〕 | 回路を切断せず、測定対象の導体をクランプする |
消防設備士試験の公式な科目表では、4類の筆記に「基礎的知識(電気)」と「構造・機能・工事・整備(電気)」が含まれます。ただし、計測器だけの出題数や出題頻度は公表されていません。この記事では、公式資料と法令で確認できる基本に絞って解説します。
電圧計は並列、電流計は直列
電圧計の接続と内部抵抗
電圧は2点間の電位差です。そのため、電圧計は測定したい2点に並列に接続します。
理想的な電圧計は、測定する回路から電流をほとんど取りません。実際の電圧計も、回路へ与える影響を小さくするため、内部抵抗を大きくしています。
電圧計:測定箇所に並列接続し、内部抵抗は大きい。
電流計の接続と内部抵抗
電流は回路を流れる電気の量です。そのため、電流計は測定対象の回路へ直列に接続し、測定する電流を計器に通します。
電流計の内部抵抗が大きいと、計器を入れたことで回路電流が変わってしまいます。この影響を小さくするため、電流計の内部抵抗は小さく作られています。
電流計:回路に直列接続し、内部抵抗は小さい。
注意:電流測定用の端子・レンジのまま電源へ並列接続すると、短絡状態となり、ヒューズの溶断や計器の破損につながるおそれがあります。実際の測定では計器の定格と取扱説明書を確認してください。
倍率器と分流器
倍率器は電圧計に直列
電圧計の測定範囲を広げるには、電圧計に抵抗を直列に接続し、電圧を分担させます。この抵抗が倍率器です。
倍率器の抵抗 Rm =(n − 1)rv
n:拡大する倍率 rv:電圧計の内部抵抗
例:内部抵抗10kΩの電圧計の測定範囲を3倍にする場合
Rm =(3 − 1)× 10kΩ = 20kΩ
分流器は電流計に並列
電流計の測定範囲を広げるには、電流計に抵抗を並列に接続し、測定電流の一部を分けて流します。この抵抗が分流器です。
分流器の抵抗 Rs = ra ÷(n − 1)
n:拡大する倍率 ra:電流計の内部抵抗
例:内部抵抗5Ωの電流計の測定範囲を10倍にする場合
Rs = 5Ω ÷(10 − 1)≒ 0.56Ω
| 比較 | 倍率器 | 分流器 |
|---|---|---|
| 対象 | 電圧計 | 電流計 |
| 接続 | 直列 | 並列 |
| 公式 | (n−1)rv | ra÷(n−1) |
回路計(テスター・マルチメーター)
回路計は、1台で電圧・電流・抵抗などを測定する計器です。アナログ式とデジタル式があり、測定できる項目と範囲は機種によって異なります。
| 測定項目 | 接続・条件 |
|---|---|
| 直流・交流電圧 | 測定する2点へ並列接続 |
| 直流・交流電流 | 計器が対応する範囲で回路へ直列接続 |
| 抵抗 | 測定対象を無電圧にして測定 |
測定前に確認すること
- テストリードの端子:共通端子、電圧・抵抗端子、電流端子を取り違えない。
- 測定項目:電圧・電流・抵抗、交流・直流を正しく選ぶ。
- 測定範囲:手動レンジでは、予想値より大きいレンジから確認する。
- 計器の定格:最大入力、測定カテゴリ、ヒューズ定格などを取扱説明書で確認する。
抵抗レンジは計器の内蔵電源を使って測定するため、通電中の回路には使用しません。アナログ回路計では、抵抗測定前にテストリードを短絡し、0Ω調整を行う機種があります。
絶縁抵抗計(メガー)
絶縁抵抗計は、電路に規定の直流試験電圧を加え、電線相互間や電路と大地との間の絶縁抵抗を測定する計器です。測定値にはMΩ(メガオーム)が使われます。
絶縁抵抗計には50V、125V、250V、500V、1000Vなど複数の定格測定電圧を備える機種があります。したがって、「絶縁抵抗計は常に500Vまたは1000V」とは限りません。対象設備の基準、回路電圧、接続機器の仕様に合う測定電圧を選びます。
自火報配線は直流250Vで確認する
自動火災報知設備の配線については、消防法施行規則24条第1号ロに絶縁抵抗の基準があります。
| 回路 | 直流250V絶縁抵抗計で確認する値 |
|---|---|
| 電源回路(対地電圧150V以下) | 0.1MΩ以上 |
| 電源回路(対地電圧150V超) | 0.2MΩ以上 |
| 感知器回路・附属装置回路(電源回路を除く) | 一の警戒区域ごとに0.1MΩ以上 |
この表は、自火報配線に関する基準です。一般の低圧電路、他の消防用設備、機器単体の性能試験を同じ測定電圧・判定値で扱わないようにします。
絶縁抵抗測定の注意点
- 測定対象を電源から切り離し、無電圧を確認する。
- 電子機器やサージ保護部品など、試験電圧の影響を受ける機器はメーカー仕様と点検要領に従って扱う。
- 対象に合う定格測定電圧を選ぶ。
- 測定後は計器の取扱説明書に従って放電を確認する。
回路計の抵抗レンジでMΩ表示ができる場合でも、規定の直流試験電圧を加える絶縁抵抗試験の代用にはなりません。
接地抵抗計
接地抵抗計は、接地極と大地の間の抵抗を測定する計器です。絶縁抵抗計が「電気を漏らさない状態」を確認するのに対し、接地抵抗計は「接地へ電流を流す経路」の状態を確認します。
一般的な接地抵抗計には、補助接地極を使う3電極法や、既知の接地を利用する2電極法があります。接地極の配置、測定コードの長さ、測定手順は計器と測定方法によって異なるため、取扱説明書に従います。
区別:絶縁抵抗計は直流試験電圧を用いてMΩ単位の絶縁抵抗を測定します。接地抵抗計は計器が発生する測定信号を用いてΩ単位の接地抵抗を測定します。接地抵抗計の測定周波数は機種により異なり、商用周波数50/60Hzに固定されるわけではありません。
クランプメーター
クランプメーターは、導体の周囲に生じる磁界を検出し、回路を切断せずに電流を測定する計器です。
- 交流専用、交流・直流対応、漏れ電流測定用など、機種によって用途が異なる。
- 通常の負荷電流測定では、測定したい回路の導体1本をクランプする。
- 複数の導体を一緒に挟む測定は、目的と計器の使用方法を確認して行う。
- 測定可能な導体径、電流範囲、測定カテゴリを確認する。
「通電中なら何でもクランプメーターで確認できる」とは限りません。無電圧の確認には検電器など目的に合う器具を用い、実作業では安全手順と計器の取扱説明書に従います。
計測器の使い分け
| 確認したいこと | 用いる計測器 |
|---|---|
| 2点間の電圧 | 電圧計・回路計 |
| 回路を流れる電流 | 電流計・回路計 |
| 回路を切断せずに電流を測る | クランプメーター |
| 電路の絶縁状態 | 絶縁抵抗計 |
| 接地極の接地抵抗 | 接地抵抗計 |
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- 電磁気の基礎 — クランプメーターにつながる磁界の考え方
- 自火報の工事方法 — 施行規則24条の配線基準
- 受信機の点検と試験 — 自火報点検の確認項目
- 甲4の電気計算 — 倍率器・分流器を含む計算問題
理解度チェック
問題1
電圧計の接続方法と内部抵抗の組合せとして、正しいものはどれか。
(1)直列・内部抵抗は小さい
(2)直列・内部抵抗は大きい
(3)並列・内部抵抗は小さい
(4)並列・内部抵抗は大きい
問題2
内部抵抗20kΩの電圧計の測定範囲を5倍にする。必要な倍率器の抵抗はどれか。
(1)4kΩ
(2)20kΩ
(3)80kΩ
(4)100kΩ
問題3
自動火災報知設備の感知器回路(電源回路を除く)の絶縁抵抗について、消防法施行規則24条に沿うものはどれか。
(1)交流100Vの回路計で測定し、1Ω以上
(2)直流250Vの絶縁抵抗計で一の警戒区域ごとに測定し、0.1MΩ以上
(3)直流1000Vの絶縁抵抗計で測定し、5MΩ以上
(4)通電中にクランプメーターで測定し、0.1MΩ以上
問題4
回路を切断せずに導体を流れる電流を測定する計器はどれか。
(1)絶縁抵抗計
(2)接地抵抗計
(3)クランプメーター
(4)検相器
一次情報・公式資料
- 消防試験研究センター「試験科目及び問題数」
- 消防試験研究センター「過去に出題された問題」
- e-Gov法令検索「消防法施行規則」(24条)
- 日置電機「絶縁抵抗計 IR4055」(定格測定電圧の例)
- 日置電機「接地抵抗計 FT6031-50」(2電極法・3電極法)
実務上の注意:この記事は試験学習のための基礎整理です。実際の測定では、対象設備の点検基準・設計図書・メーカー仕様、使用する計器の定格と取扱説明書、安全作業手順を確認してください。
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