甲種4類/乙種4類

自火報の設置義務|施行令21条の用途・面積基準

結論:自火報の設置義務は施行令21条で確認する

自動火災報知設備を設置する防火対象物や部分は、消防法施行令第21条に定められています。判断では、施行令別表第一の用途、延べ面積、階や部分の条件を分けて確認します。

この記事では、甲種4類・乙種4類の学習で迷いやすい範囲に絞り、条文の並びに沿って整理します。実務で判断する場合は、用途判定、既存建物の扱い、条例、所轄消防の指導もあわせて確認してください。

確認する順番
1. 別表第一の用途を確認する
2. 面積に関係なく対象になる用途かを見る
3. 延べ面積の基準に当たるかを見る
4. 地階・無窓階・3階以上・11階以上など、階や部分の基準を見る
5. 特定一階段等防火対象物、駐車部分、通信機器室などの個別条件を見る

面積に関係なく対象になる主な用途

施行令第21条第1項第1号では、延べ面積の条件なしで自動火災報知設備の対象になる用途が列挙されています。代表例は次のとおりです。

区分 代表例
別表第一(二)項ニ カラオケボックスなど、個室で遊興設備等を利用させる店舗
別表第一(五)項イ 旅館、ホテル、宿泊所など
別表第一(六)項イ(1)から(3)まで 一定の病院、入院施設を有する診療所、入所施設を有する助産所など
別表第一(六)項ロ 避難が困難な人を主として入居・入所させる福祉施設など
別表第一(六)項ハの一部 利用者を入居させ、または宿泊させるもの
別表第一(十三)項ロ 飛行機または回転翼航空機の格納庫
別表第一(十七)項 重要文化財などに指定・認定された建造物

旧本文では「面積不問」をホテル、福祉施設、地下街などの大まかな理由で説明していましたが、実際には施行令第21条の号番号と別表第一の用途を照合する必要があります。

延べ面積で見る基準

次に、延べ面積で対象になる用途を見ます。ここは「300㎡・500㎡・1,000㎡」だけで覚えると誤りやすく、蒸気浴場などの200㎡基準もあります。

基準 対象の概要
200㎡以上 別表第一(九)項イ 蒸気浴場、熱気浴場など
300㎡以上 (一)項、(二)項イからハ、(三)項、(四)項、(六)項イ(4)・ニ、(六)項ハの一部、(十六)項イ、(十六の二)項 劇場、遊技場、飲食店、物品販売店、無床診療所、幼稚園、特定複合用途、地下街など
500㎡以上 (五)項ロ、(七)項、(八)項、(九)項ロ、(十)項、(十二)項、(十三)項イ、(十四)項 共同住宅、学校、図書館、一般公衆浴場、旅客施設、工場、自動車車庫、倉庫など
1,000㎡以上 (十一)項、(十五)項 神社・寺院・教会、前各項に該当しない事業場など

注意点は、倉庫(十四)項は500㎡以上であり、1,000㎡以上ではありません。一方、神社・寺院・教会(十一)項や、その他の事業場(十五)項は1,000㎡以上です。

準地下街は別条件で見る

別表第一(十六の三)項の準地下街は、延べ面積が500㎡以上で、かつ特定用途などに供される部分の床面積の合計が300㎡以上の場合に対象になります。単に「地下にあるから面積不問」とまとめると誤りです。

特定一階段等防火対象物の考え方

施行令第21条第1項第7号は、いわゆる特定一階段等防火対象物に関係する規定です。前各号で対象にならない場合でも、避難階以外の階に特定用途があり、避難階または地上へ直通する階段が原則として2以上設けられていない場合は、自動火災報知設備の対象になります。

ここで見るのは、「特定用途があるか」「その用途が避難階以外の階にあるか」「直通階段の数や構造がどうか」です。単に「階段が1つなら必ず対象」と覚えるのではなく、条文の条件を順番に確認します。詳しい判定は、特定一階段等防火対象物の記事で整理しています。

地階・無窓階・3階以上の階の基準

施行令第21条では、防火対象物全体の延べ面積とは別に、地階、無窓階、3階以上の階などの「部分」に対する基準も定めています。

部分 基準 注意点
(二)項イからハ、(三)項などの地階・無窓階 床面積100㎡以上 遊技場、料理店、飲食店などでは100㎡基準が出てくる
その他の地階・無窓階・3階以上の階 床面積300㎡以上 延べ面積ではなく、その階の床面積で見る
道路の用に供される部分 屋上部分600㎡以上、それ以外400㎡以上 通常の建物用途とは別枠で確認する
駐車の用に供する部分がある階 当該部分の床面積200㎡以上 すべての車両が同時に屋外へ出られる構造の階は除かれる
11階以上の階 面積に関係なく対象 施行令21条は「十一階以上の階」として部分基準を置いている
通信機器室 床面積500㎡以上 前各号に掲げるもの以外の個別基準

旧本文のように、地階・無窓階を一律300㎡以上とだけ説明すると、飲食店などで出てくる100㎡基準を落とします。設問や実務資料では、用途と階の条件を同時に読む必要があります。

警戒区域と感知器の基準

施行令第21条第2項には、設置した自動火災報知設備の技術上の基準も示されています。警戒区域は原則として2以上の階にわたらないこと、1つの警戒区域は600㎡以下かつ一辺50m以下とすること、感知器を有効に火災を感知できるように設けること、非常電源を附置することが基本です。

警戒区域の細かい取り方は、次の記事で扱う内容です。この記事では、設置義務の判定と、設置後の技術基準を混同しないように分けて押さえます。

スプリンクラー設備等がある場合の扱い

施行令第21条第3項では、一定のスプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備を技術上の基準に従って設置した場合、自動火災報知設備を設置しないことができる部分があることも定めています。

これは「スプリンクラーがあれば常に自火報不要」という意味ではありません。対象設備の種類、閉鎖型スプリンクラーヘッドの有無、有効範囲、総務省令で定める除外などを確認します。

参考にした公的資料

全体のまとめ

自火報の設置義務チェック
条文:消防法施行令第21条
面積なし:カラオケボックス、旅館・ホテル、一定の病院・福祉施設、航空機格納庫、重要文化財建造物など
200㎡以上:蒸気浴場・熱気浴場など
300㎡以上:劇場、遊技場、飲食店、物品販売店、無床診療所、幼稚園、特定複合用途、地下街など
500㎡以上:共同住宅、学校、図書館、一般公衆浴場、旅客施設、工場、自動車車庫、倉庫など
1,000㎡以上:神社・寺院・教会、その他の事業場など
部分基準:地階・無窓階、3階以上、駐車部分、11階以上、通信機器室なども別に確認する

次のステップ

設置義務を確認したら、次は警戒区域の設定を学びます。どの建物や部分に自動火災報知設備が必要かを押さえたうえで、1つの警戒区域をどの範囲で区切るかを確認します。

確認問題

問題1:施行令第21条で、自動火災報知設備の設置対象を確認するときに最初に見るべきものはどれか。

(1)建物の外壁の色
(2)施行令別表第一の用途区分
(3)受信機メーカー名
(4)感知器の製造年

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正解:(2)
自動火災報知設備の設置義務は、施行令第21条と別表第一の用途区分を照合して確認します。

問題2:次のうち、延べ面積500㎡以上で自動火災報知設備の対象になるものはどれか。

(1)別表第一(九)項イの蒸気浴場
(2)別表第一(十四)項の倉庫
(3)別表第一(十一)項の神社
(4)別表第一(二)項ニのカラオケボックス

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正解:(2)
倉庫(十四)項は延べ面積500㎡以上です。蒸気浴場は200㎡以上、神社など(十一)項は1,000㎡以上、カラオケボックス(二)項ニは面積に関係なく対象になります。

問題3:地階または無窓階に関する説明として正しいものはどれか。

(1)すべての用途で一律100㎡以上で対象になる
(2)すべての用途で一律300㎡以上で対象になる
(3)(二)項イからハや(三)項などでは100㎡基準があり、その他では300㎡基準が出る
(4)延べ面積だけで判断し、階の床面積は見ない

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正解:(3)
施行令第21条では、用途によって地階・無窓階の100㎡基準と、その他の地階・無窓階・3階以上の300㎡基準が分かれます。

問題4:特定一階段等防火対象物に関係する確認として適切なものはどれか。

(1)階段が1つなら用途や階に関係なく必ず該当する
(2)避難階以外の階に特定用途があるか、直通階段の数や構造がどうかを確認する
(3)共同住宅だけで判定する
(4)延べ面積が1,000㎡以上の場合だけ確認する

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正解:(2)
特定一階段等防火対象物では、特定用途が避難階以外の階にあるか、避難階または地上へ直通する階段が原則2以上あるかなどを確認します。

問題5:施行令第21条第2項の警戒区域の基準として正しいものはどれか。

(1)一の警戒区域は原則として2以上の階にわたらない
(2)一の警戒区域の面積は常に1,500㎡以下でよい
(3)警戒区域には一辺の長さの制限がない
(4)非常電源は不要である

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正解:(1)
警戒区域は原則として2以上の階にわたらないものとし、一の警戒区域は600㎡以下かつ一辺50m以下が基本です。自動火災報知設備には非常電源も必要です。

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