甲種4類/乙種4類

交流回路の基礎|実効値・インピーダンス・力率・共振を計算

交流回路では、電圧と電流の大きさだけでなく、時間による変化と位相差を扱います。この記事では、正弦波の定常状態と理想的な直列RLC回路を前提に、実効値、リアクタンス、インピーダンス、力率、共振を計算します。

公式の適用範囲
「実効値=最大値÷√2」は正弦波に使う式です。また「力率=R/Z」「Z=√{R²+(XL-XC)²}」は、この記事で扱う理想的な直列RLC回路の式です。

交流・周期・周波数

交流は、電圧または電流の大きさと向きが時間とともに周期的に変化する電気です。一定方向の電圧・電流を扱う直流と区別されます。

意味 単位
周期T 波形が1周期を繰り返す時間 s
周波数f 1秒間の周期の回数 Hz
角周波数ω 正弦波の位相が変化する速さ rad/s
f=1/T  ω=2πf

例:周波数50Hzの交流の周期は、T=1/50=0.02sです。1周期は20msとなります。

実効値は二乗平均平方根

実効値はRMS(root mean square)とも呼ばれ、周期波形を二乗し、1周期について平均し、その平方根を取った値です。電圧v(t)の1周期Tに対する実効値は、次の考え方で定義されます。

Vrms=√{(1/T)∫0Tv(t)²dt}

正弦波v(t)=Vmsinωtでは、実効値と最大値の関係が次のように簡単になります。

V=Vm/√2  I=Im/√2
正弦波の実効値=最大値÷√2

例:正弦波交流の最大電圧が141Vなら、実効値は141÷√2≒100Vです。反対に、実効値100Vの正弦波の最大値は100√2≒141Vです。

方形波、ひずみ波など、正弦波以外では最大値を√2で割っても実効値にならない場合があります。その場合は波形に応じたRMSの定義を使います。

抵抗・コイル・コンデンサの位相

理想素子を正弦波電源へ接続すると、電圧と電流の位相関係は次のようになります。

素子 位相関係 電流を妨げる量
抵抗R 電圧と電流が同相 抵抗R〔Ω〕
コイルL 電流が電圧より90°遅れる 誘導リアクタンスXL〔Ω〕
コンデンサC 電流が電圧より90°進む 容量リアクタンスXC〔Ω〕

リアクタンスは次の式で求めます。

XL=ωL=2πfL
XC=1/(ωC)=1/(2πfC)

周波数が高くなるとXLは大きくなり、XCは小さくなります。コイルとコンデンサは、周波数に対して反対の変化をします。

直列RLC回路のインピーダンス

インピーダンスZは、交流回路で電流の流れにくさを表す量です。直列RLC回路では、抵抗とリアクタンスを位相差を考慮して合成します。

Z=√{R²+(XL-XC)²}
V=IZ  I=V/Z

このVとIには実効値を用います。XL-XCが正なら誘導性、負なら容量性です。Zの大きさを求めるときは差を二乗するため正の値になりますが、位相の進み・遅れを判断するときは差の符号も必要です。

計算例

R=30Ω、XL=50Ω、XC=10Ωの直列回路のインピーダンスを求めます。

  1. 合成リアクタンス:XL-XC=50-10=40Ω
  2. インピーダンス:Z=√(30²+40²)=√2,500=50Ω

電源電圧が実効値100Vなら、電流の実効値はI=100÷50=2Aです。

位相角

直列RLC回路の電源電圧と電流の位相角φは、次の関係で求められます。

tanφ=(XL-XC)/R

  • XL>XC:誘導性で、電流は電圧より遅れる。
  • XL<XC:容量性で、電流は電圧より進む。
  • XL=XC:位相差は0となる。

有効電力・無効電力・皮相電力

正弦波交流では、電圧と電流の実効値をV、I、位相差をφとすると、3つの電力は次のように表せます。

名称 単位
皮相電力S S=VI VA
有効電力P P=VIcosφ W
無効電力Q Q=VIsinφ var

3つは単純な足し算ではなく、S²=P²+Q²の直角三角形の関係になります。力率は、有効電力と皮相電力の比です。

力率=P/S
正弦波では 力率=cosφ
直列RLC回路では cosφ=R/Z

力率と機器のエネルギー変換効率は別の量です。また、無効電力はコイルやコンデンサと電源の間でエネルギーが往復する成分であり、「皮相電力から有効電力を算術的に引いた残り」ではありません。

力率0.8の計算例

R=40Ω、XL=70Ω、XC=40Ωの直列回路では、合成リアクタンスは30Ω、インピーダンスは50Ωです。

cosφ=R/Z=40/50=0.8
sinφ=30/50=0.6

電圧100V、電流2Aなら、次のようになります。

  • 皮相電力:S=100×2=200VA
  • 有効電力:P=200×0.8=160W
  • 無効電力:Q=200×0.6=120var

確認すると、200²=160²+120²です。力率が0.8でも、無効電力が皮相電力の20%になるわけではありません。

直列共振

直列RLC回路でXL=XCとなる状態を直列共振といいます。共振角周波数と共振周波数は次のとおりです。

ω0=1/√(LC)
f0=1/{2π√(LC)}

理想的な直列RLC回路では、共振時に次の関係になります。

  • XL-XC=0
  • Z=Rとなり、インピーダンスの大きさが最小
  • 一定電圧なら回路電流が最大
  • 電源から見た位相差が0となり、力率が1

コイルとコンデンサが存在していても、共振時は両者のリアクタンスが打ち消し合うため、電源から見た力率は1になります。「コイルやコンデンサがある回路は必ず力率1未満」とは限りません。

計算で間違えやすい点

  • √2をすべての波形へ使う:最大値÷√2は正弦波の関係です。
  • XLとXCを足す:直列RLCでは、まずXL-XCを求めます。
  • 差の符号を捨てる:Zの大きさだけでなく、進み・遅れの判断には符号が必要です。
  • 力率と効率を同一視する:力率はP/S、効率は出力エネルギーと入力エネルギーの比です。
  • S-PをQとする:電力三角形はS²=P²+Q²です。

理解度チェック

以下は、基礎式を確認するためのオリジナル問題です。

問題1

周波数50Hzの交流の周期はいくらか。

  1. 0.002s
  2. 0.02s
  3. 0.2s
  4. 50s
解答を見る

2.0.02s。T=1/f=1/50=0.02sです。

問題2

最大値282Vの正弦波交流の実効値はいくらか。√2=1.41とする。

  1. 100V
  2. 141V
  3. 200V
  4. 398V
解答を見る

3.200V。282÷1.41=200Vです。

問題3

R=30Ω、XL=50Ω、XC=10Ωの直列回路のインピーダンスはいくらか。

  1. 30Ω
  2. 40Ω
  3. 50Ω
  4. 90Ω
解答を見る

3.50Ω。Z=√{30²+(50-10)²}=50Ωです。

問題4

皮相電力200VA、力率0.8の正弦波回路の有効電力はいくらか。

  1. 40W
  2. 120W
  3. 160W
  4. 250W
解答を見る

3.160W。P=S×力率=200×0.8=160Wです。

問題5

理想的な直列RLC回路が共振しているとき、正しいものはどれか。

  1. XL=XC
  2. Zが無限大になる
  3. 力率が0になる
  4. 一定電圧で電流が最小になる
解答を見る

1.XL=XC。Z=R、力率1となり、一定電圧では電流が最大です。

まとめ

内容
周期と周波数 f=1/T、ω=2πf
正弦波の実効値 V=Vm/√2、I=Im/√2
リアクタンス XL=2πfL、XC=1/(2πfC)
直列RLCのインピーダンス Z=√{R²+(XL-XC)²}
力率 P/S=cosφ、直列RLCではR/Z
電力三角形 S²=P²+Q²
直列共振 XL=XC、f0=1/{2π√(LC)}

公式を使う前に、正弦波か、直列回路か、理想素子として扱う問題かを確認します。適用範囲を明確にすると、実効値・力率・共振の式を混同しにくくなります。

関連記事

参考資料

※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。図や画像だけで機器を判断せず、製品表示・取扱説明書・公式資料を確認してください。

記事、模擬試験、ミニテストは学習の補助を目的としています。試験の申請や実務上の判断では、最新の法令、試験実施機関、所轄消防機関、製品の公式資料等も確認してください。

内容の誤りやお気づきの点は、お問い合わせフォームからご連絡ください。詳しくは免責事項をご確認ください。

-甲種4類/乙種4類