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屋外消火栓設備と動力消防ポンプ設備の構造と機能|地上式・地下式の違い・放水性能をわかりやすく解説

結論:屋外消火栓は「外から消す」、動力消防ポンプは「電源なしで消す」

結論から言います。

屋外消火栓設備は、建物の外側に設置された消火栓から建物の外周に向けて放水する設備です。「屋内消火栓設備」が「中から消す」のに対し、屋外消火栓は「外から消す」設備です。

動力消防ポンプ設備は、エンジン(内燃機関)で駆動するポンプにホースとノズルを組み合わせた設備です。電源が不要なのが最大の特徴で、屋外消火栓設備の代替として設置できます。

どちらも「水系消火設備の全体像」の記事で紹介した5つの水系設備のうち、建物の外部を守る設備です。

水系消火設備の守備範囲
建物の中を守る
屋内消火栓設備
スプリンクラー設備
水噴霧消火設備
建物の外を守る
屋外消火栓設備
動力消防ポンプ設備

屋外消火栓設備の構造と機能

全体構成

屋外消火栓設備の構成は、屋内消火栓設備と基本的に同じです。違いは消火栓が建物の外に設置されていることです。

屋外消火栓設備の構成
水源(地下水槽等)
加圧送水装置(消防ポンプ)
配管(地中に埋設)
屋外消火栓(地上式 or 地下式)
ホース・ノズルを接続して放水

消火栓の種類 — 地上式と地下式

屋外消火栓には2つのタイプがあります。

屋外消火栓の種類
地上式
地面から赤い柱が立っている
街中で見かけるタイプ
すぐに見つけられる
ホース接続口が地上にある

車両の衝突で破損するリスクあり

地下式
地面の蓋(マンホール)の下
蓋を開けてホースを接続
地上に突出物がない
車両通行の邪魔にならない

蓋の位置がわかりにくい場合も

地上式は目立つため見つけやすい一方、車両がぶつかる危険があります。地下式はその逆で、邪魔にならないが見つけにくい。どちらも標識を設けて場所を明示します。

放水性能

屋外消火栓設備の放水性能は、屋内消火栓よりも大容量です。建物の外から大量の水で延焼を防ぐ必要があるからです。

項目 屋外消火栓 参考:1号消火栓
放水量 350L/min 以上 130L/min 以上
放水圧力 0.25MPa 以上 0.17MPa 以上
ノズル口径 19mm 13mm
操作人数 2人以上 2人以上

放水量は1号消火栓の約2.7倍です。これだけの水量を放水するため、ホースも太く、操作には2人以上が必要です。

防護範囲と設置

屋外消火栓の防護範囲は、水平距離40m以下です。建物の各部分から40m以内に消火栓がある配置にします。

  • ホース — 口径65mmのホースを20m × 2本 = 合計40m
  • ホース格納箱 — 消火栓の近くにホースとノズルを格納する箱を設置
  • 標識 — 消火栓の位置を示す標識を設ける

操作の流れ

屋外消火栓の操作フロー
① ホース格納箱からホース・ノズルを取り出す
② ホースを消火栓に接続し、延長する
③ 消火栓の開閉弁を開く(起動ボタンでポンプ起動)
④ ノズルを火元に向けて放水

屋内消火栓と同様に手動操作の設備です。自動では作動しません。

動力消防ポンプ設備の構造と機能

動力消防ポンプとは?

動力消防ポンプ設備は、エンジン(内燃機関)で駆動するポンプにホースとノズルを組み合わせた消火設備です。

最大の特徴は電源が不要なこと。エンジンで動くため、停電時でも使えます。

動力消防ポンプ設備の構成
動力消防ポンプ
エンジン駆動のポンプ
可搬式 or 車載式
ホース・ノズル
放水に必要な器具
ホース格納箱に保管
水源
防火水槽・池・河川等
自然水利も利用可能

屋外消火栓設備との違い

動力消防ポンプ設備は、屋外消火栓設備の代替設備として認められています。大きな違いを比較しましょう。

項目 屋外消火栓設備 動力消防ポンプ設備
ポンプ動力 電動モーター エンジン(内燃機関)
電源 必要 不要
配管 建物周囲に埋設配管 配管なし(ホースで直接)
水源 地下水槽等 防火水槽・自然水利も可
設置コスト 高い(埋設配管工事) 比較的安い
停電時 使用不可(予備電源が必要) 使用可能

動力消防ポンプの最大のメリットは、埋設配管が不要電源も不要な点です。設置コストが低く、停電時にも使えます。

ただしデメリットもあります。ポンプを水源まで運び、ホースを延長し、エンジンを始動する――この一連の操作に時間と人手がかかるため、即応性では屋外消火栓に劣ります。

ポンプの種類

動力消防ポンプには、大きさと運搬方法によって種類があります。

  • 可搬消防ポンプ — 人が持ち運びできる小型ポンプ。小規模な建物で使用
  • 車載式消防ポンプ — 車両に搭載されたポンプ。大容量の放水が可能

規格放水量による区分

動力消防ポンプは規格放水量(その性能で放水できる最大量)で区分されます。

区分 規格放水量
D-1級 500L/min 以上
D-2級 350L/min 以上
B-3級 200L/min 以上

屋外消火栓設備の代替として使用する場合は、屋外消火栓と同等以上の性能が求められます。

屋内消火栓・屋外消火栓・動力消防ポンプの比較

3つの「人が操作する」水系消火設備を比較してまとめましょう。

手動操作の水系消火設備 比較
屋内消火栓
場所: 建物の中
対象: 初期消火
放水量: 130〜260L/min
人数: 1〜2人
特徴: 誰でも使いやすい(2号)
屋外消火栓
場所: 建物の外
対象: 1・2階の火災
放水量: 350L/min以上
人数: 2人以上
特徴: 大量放水・延焼防止
動力消防ポンプ
場所: 建物の外
対象: 屋外消火栓の代替
放水量: 200〜500L/min
人数: 2人以上
特徴: 電源不要・低コスト

試験対策ポイント

水系消火設備5つのうち、自動で作動するのはスプリンクラーと水噴霧の2つだけ。屋内消火栓・屋外消火栓・動力消防ポンプはすべて人が操作する手動設備です。この区別は試験でよく問われます。

理解度チェック! 練習問題

ここまでの内容を確認しましょう。

【問題1】屋外消火栓設備の放水性能として、正しい組み合わせはどれか。

  1. 放水量 130L/min以上、放水圧力 0.17MPa以上
  2. 放水量 260L/min以上、放水圧力 0.17MPa以上
  3. 放水量 350L/min以上、放水圧力 0.25MPa以上
  4. 放水量 450L/min以上、放水圧力 0.35MPa以上
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正解:C(放水量 350L/min以上、放水圧力 0.25MPa以上)
屋外消火栓設備の放水量は350L/min以上、放水圧力は0.25MPa以上です。Aは屋内消火栓の1号消火栓、Bは易操作性1号消火栓の数値に近い値です。屋外消火栓は建物外部から大量に放水するため、屋内消火栓より大きな放水能力が必要です。

【問題2】動力消防ポンプ設備の最大の特徴として、正しいものはどれか。

  1. 自動で起動して放水する
  2. 電源が不要でエンジンで駆動する
  3. 建物内部に設置される
  4. 放水量がスプリンクラー設備より多い
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正解:B(電源が不要でエンジンで駆動する)
動力消防ポンプ設備はエンジン(内燃機関)で駆動するため、電源が不要です。停電時でも使用でき、埋設配管も不要なので設置コストが低いのが利点です。自動起動ではなく人が操作する手動設備であり、建物の外部で使用します。

【問題3】屋外消火栓設備の消火栓の種類について、正しい記述はどれか。

  1. 地上式は地面に埋め込まれており、蓋を開けて使用する
  2. 地下式は地面から赤い柱が立っており、車両の衝突リスクがある
  3. 地上式は視認性が高いが、車両の衝突で破損するリスクがある
  4. 地下式は屋内にのみ設置される消火栓である
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正解:C(地上式は視認性が高いが、車両の衝突で破損するリスクがある)
地上式は地面から赤い柱が立っているタイプで、目立つため見つけやすい反面、車両がぶつかるリスクがあります。地下式は蓋(マンホール)の下に設置され、地上に突出物がないため車両通行の邪魔になりません。AとBは地上式と地下式の説明が入れ替わっています。

【問題4】動力消防ポンプ設備が屋外消火栓設備と比べて優れている点として、適切でないものはどれか。

  1. 電源が不要で停電時にも使用できる
  2. 埋設配管が不要で設置コストが低い
  3. 自然水利(池・河川等)も水源にできる
  4. 操作が簡単で即座に放水を開始できる
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正解:D(操作が簡単で即座に放水を開始できる)
動力消防ポンプはポンプを水源まで運び、ホースを延長し、エンジンを始動する必要があるため、放水開始までに時間と人手がかかります。即応性では屋外消火栓に劣ります。A・B・Cはいずれも動力消防ポンプの優れている点として正しい記述です。

【問題5】水系消火設備5つのうち、自動で作動する設備の組み合わせとして正しいものはどれか。

  1. 屋内消火栓設備と屋外消火栓設備
  2. スプリンクラー設備と水噴霧消火設備
  3. 屋外消火栓設備と動力消防ポンプ設備
  4. 水噴霧消火設備と動力消防ポンプ設備
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正解:B(スプリンクラー設備と水噴霧消火設備)
水系消火設備5つのうち、自動で作動するのはスプリンクラー設備(ヘッドの感熱体が熱で開放)と水噴霧消火設備(感知器連動で一斉開放弁が開放)の2つだけです。屋内消火栓・屋外消火栓・動力消防ポンプはすべて人が操作する手動設備です。

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