結論:自火報の工事は「資格・届出・配線基準」を分けて確認する
自動火災報知設備(自火報)の工事方法を学ぶときは、電線管の種類だけで覚えるより、次の3点に分けると整理しやすくなります。
- 誰が工事できるか:消防法17条の5・17条の6、消防法施行令36条の2、消防法施行規則33条の3
- いつ届け出るか:消防法17条の14、消防法施行規則31条の3
- 配線で何を守るか:消防法施行規則24条
この記事では、甲種4類の工事範囲、着工届・設置届、自火報配線の基本条件を、条文で確認できる範囲に絞って整理します。電線管の具体的な選定、接地工事、防火区画貫通処理は、電気設備側の基準、設計図書、認定工法、所轄消防の指示と合わせて確認する領域です。
工事ができる範囲
消防法17条の5は、消防設備士免状を受けていない者が、政令で定める消防用設備等の設置工事や整備を行うことを禁止しています。自動火災報知設備は、消防法施行令36条の2第1項第9号に列挙されています。
| 区分 | できること | 根拠 |
|---|---|---|
| 甲種4類 | 自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、消防機関へ通報する火災報知設備の工事・整備 | 消防法施行規則33条の3 |
| 乙種4類 | 同じ4類設備の整備 | 消防法17条の6、施行規則33条の3 |
したがって、甲4・乙4の学習では、自火報の設置工事は甲種4類の範囲、乙種4類は整備の範囲と押さえます。ただし、消防法施行令36条の2では、自動火災報知設備などの「電源の部分」は、消防設備士でなければ行ってはならない工事の列挙から除かれています。実際の現場では、消防設備士の範囲と電気工事側の資格・設計範囲を分けて確認します。
着工届と設置届
甲種消防設備士が、消防法17条の5に基づく政令で定める工事をしようとするときは、工事に着手しようとする日の10日前までに消防長又は消防署長へ届け出ます。根拠は消防法17条の14です。
また、消防用設備等の設置に係る工事が完了し、消防法17条の3の2の検査を受けようとする場合は、工事が完了した日から4日以内に消防長又は消防署長へ届け出ます。根拠は消防法施行規則31条の3です。
試験対策の整理:着工届は「着手10日前まで」、設置届は「工事完了後4日以内」。誰が提出するか、どの様式か、添付図書の範囲は実務では自治体の運用も確認します。
施行規則24条で見る配線の基本
自火報の配線は、消防法施行規則24条第1号にまとまっています。条文は「電気工作物に係る法令の規定によるほか」としたうえで、自火報として必要な条件を列挙しています。
送り配線と終端
感知器の信号回路は、容易に導通試験ができるように送り配線とし、回路の末端に発信機、押しボタン又は終端器を設けます。ただし、感知器や発信機から配線が外れた場合、又は断線があった場合に受信機が自動的に警報を発するものは例外です。
この部分は、前の記事「中継器と配線」で扱った終端抵抗・断線監視の考え方とつながります。
絶縁抵抗
| 回路 | 確認値 |
|---|---|
| 電源回路(対地電圧150V以下) | 直流250V絶縁抵抗計で0.1MΩ以上 |
| 電源回路(対地電圧150V超) | 直流250V絶縁抵抗計で0.2MΩ以上 |
| 感知器回路・附属装置回路(電源回路を除く) | 一の警戒区域ごとに0.1MΩ以上 |
「メガーで何を見るか」は、試験でも実務でも重要です。自火報では、回路ごとの絶縁状態を確認し、漏れ電流や地絡による誤作動・不作動を避けます。
他設備の配線と混在させない
自動火災報知設備の配線に使用する電線とその他の電線は、同一の管、ダクト、線ぴ、プルボックス等の中に設けないのが原則です。ただし、60V以下の弱電流回路に使用する電線は例外として扱われます。
また、感知器・発信機・中継器の回路と、自動火災報知設備以外の設備の回路が同一配線を共用する方式は、火災信号の伝達に影響を及ぼさないものを除いて使用できません。
共通線と回路抵抗
- 感知器回路に共通線を設ける場合、共通線は1本につき7警戒区域以下
- P型受信機・GP型受信機の感知器回路の電路抵抗は50Ω以下
ただし、R型受信機・GR型受信機に接続される固有の信号を有する感知器又は中継器の感知器回路では、共通線の扱いに例外があります。P型・GP型とR型・GR型を混同しないようにします。
電源と非常電源
自火報の電源は、蓄電池又は交流低圧屋内幹線から、他の配線を分岐させずに取るのが原則です。電源の開閉器には、自動火災報知設備用である旨を表示します。
非常電源は、消防法施行規則24条第4号で整理されています。延べ面積1,000㎡以上の特定防火対象物に設ける自火報では蓄電池設備、その他の防火対象物では非常電源専用受電設備又は蓄電池設備によります。蓄電池設備の容量は、自火報を有効に10分間作動できる容量以上です。
耐火・耐熱配線をどこで見るか
施行規則24条では、R型受信機・GR型受信機に接続される固有信号を有する感知器及び中継器から受信機までの配線、また受信機から地区音響装置までの配線について、施行規則12条1項5号を準用する場面があります。
施行規則12条1項5号では、600V二種ビニル絶縁電線又は同等以上の耐熱性を有する電線、金属管工事・可とう電線管工事・金属ダクト工事・ケーブル工事等の方法が出てきます。
ここから先の「どの電線・どの工法を採用するか」は、必要な耐火・耐熱性能、認定品、設計図書、所轄消防の確認を含む実務判断です。記事では、金属管なら常に足りる、合成樹脂管なら一律不可、特定メーカー品ならよい、といった断定は避けます。
接地工事・防火区画貫通は別基準も確認する
受信機、中継器、金属製ボックス、金属管などの接地は、消防法施行規則24条だけで完結する話ではなく、電気設備側の基準と設計仕様を合わせて確認します。試験ではD種接地の数値を問われることがありますが、現場では機器仕様・電源方式・電気設備の技術基準を確認します。
防火区画を配線が貫通する場合も同じです。単に「モルタルで埋めればよい」「PF管は必ず不可」と覚えるのではなく、防火区画の種類、貫通部の認定工法、施工仕様、建築側の確認を合わせて判断します。
まとめ
- 自火報の設置工事は、消防法17条の5、施行令36条の2、施行規則33条の3で工事範囲を確認する。
- 着工届は、工事に着手しようとする日の10日前まで。
- 設置届は、設置工事完了後に検査を受ける場合、完了日から4日以内。
- 施行規則24条では、送り配線、絶縁抵抗、他設備配線との分離、共通線7警戒区域以下、P型・GP型回路50Ω以下を確認する。
- 電線管、接地、防火区画貫通は、消防法令だけでなく電気設備側・建築側の基準も確認する。
次のステップ
工事方法を理解したら、感知器の試験方法と受信機の点検に進みます。
まとめ問題
問題1
自火報の設置工事を行うことができる範囲として、最も適切なものはどれか。
(1)乙種4類で設置工事まで行える
(2)甲種4類は自火報を含む4類設備の工事・整備を行える
(3)電気工事士であれば自火報の消防設備側の設置工事も行える
(4)消防設備士免状がなくても、点検だけでなく整備も自由に行える
問題2
甲種消防設備士が自火報の工事をしようとするとき、着工届はいつまでに届け出るか。
(1)工事に着手しようとする日の10日前まで
(2)工事に着手した日から4日以内
(3)工事が完了した日から10日以内
(4)消防検査の当日
問題3
消防法施行規則24条の自火報配線について、正しいものはどれか。
(1)感知器の信号回路は、原則として送り配線とする
(2)感知器回路と他設備の回路は、常に同一配線を共用できる
(3)共通線は1本につき20警戒区域まで使用できる
(4)P型受信機の感知器回路の電路抵抗に上限はない
問題4
自火報の電源・非常電源について、正しいものはどれか。
(1)電源はどの分岐回路から取ってもよい
(2)電源の開閉器には自動火災報知設備用である旨を表示する
(3)非常電源の蓄電池容量は1分間作動できればよい
(4)非常電源はすべて自家発電設備に限られる
確認メモ:本記事では、消防法、消防法施行令、消防法施行規則で確認できる範囲に絞って整理しています。実際の施工では、電気設備の技術基準、メーカー仕様書、設計図書、自治体の運用も確認してください。
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