結論:電磁気は「電気と磁気のキャッチボール」
結論から言います。
電磁気の世界では、電気が磁気を作り、磁気が電気を作るという関係が成り立っています。この相互作用が、モーター・発電機・変圧器――そして火災報知設備のベル・リレー・変圧器すべての動作原理です。
甲種4類の試験では、フレミングの法則・電磁誘導・コンデンサがよく出題されます。順番に見ていきましょう。
磁気の基本
磁力線とは?
磁石のN極からS極に向かって出ている目に見えない線を磁力線といいます。磁力線には4つの性質があります。
| 性質 | 意味 |
|---|---|
| N極から出てS極に入る | 方向が決まっている |
| 途中で交わらない | 同じ場所に2方向の磁界はない |
| 密なほど磁界が強い | 磁力線の間隔=磁界の強さ |
| ゴムひものように縮もうとする | N極とS極が引き合う理由 |
磁束と磁束密度
| 用語 | 意味 | 単位 |
|---|---|---|
| 磁束(Φ) | ある面を貫く磁力線の総量 | Wb(ウェーバ) |
| 磁束密度(B) | 1㎡あたりの磁束の量 | T(テスラ) |
透磁率
透磁率(とうじりつ)μとは、磁力線の通りやすさを表す数値です。
鉄やニッケルは透磁率が非常に高く、磁力線を集めやすい性質があります。だからモーターや変圧器の芯(鉄心)に鉄が使われるのです。一方、銅やアルミは透磁率が低く、磁力線をほとんど集めません。
電流が作る磁界
右ねじの法則(アンペアの法則)
導線に電流を流すと、その周りに磁界が発生します。磁界の向きは右ねじの法則で決まります。
つまり、電流の向きに右手の親指を立てると、残りの4本の指が磁界の回る方向を示します。
コイルが作る磁界
導線をぐるぐる巻いたものがコイルです。コイルに電流を流すと、内部に強い磁界ができます。
コイルの磁界の向きは、右ねじの法則の応用で決まります。右手の4本指を電流の方向に巻きつけると、親指の方向がN極(磁界の向き)です。
火災報知設備のベルやリレー(継電器)は、この電磁石の原理で動作します。電流を流すと鉄片を引きつけ、切ると離す――これがリレーの開閉動作です。
電磁力とフレミング左手の法則
電磁力とは?
磁界の中に置かれた導線に電流を流すと、導線に力が加わります。これが電磁力です。モーターはこの力を利用して回転しています。
フレミング左手の法則
電磁力の方向は、フレミング左手の法則で求められます。
・人差し指 → 磁界の方向(N→S)
・中指 → 電流の方向
・親指 → 力(運動)の方向
覚え方:「左手=力(モーター)」です。電流と磁界から「力」を求めるときは左手。モーターは電気で物を動かす装置なので「力」側=左手、と覚えましょう。
電磁誘導とフレミング右手の法則
電磁誘導とは?
コイルを貫く磁束が変化すると、コイルに電圧(起電力)が発生します。これが電磁誘導です。発電機はこの現象を利用して電気を作っています。
ファラデーの法則
電磁誘導で発生する起電力の大きさは、磁束の変化が速いほど、またコイルの巻数が多いほど大きくなります。
レンツの法則
電磁誘導で発生する電流は、磁束の変化を妨げる方向に流れます。これがレンツの法則です。
たとえばコイルに磁石のN極を近づけると、コイルは「磁束が増えるのを嫌がって」N極側にN極を作るような電流を流します。結果、磁石を押し返す方向に力が働きます。
フレミング右手の法則
磁界の中で導線を動かしたとき、発生する起電力の方向はフレミング右手の法則で求められます。
・人差し指 → 磁界の方向(N→S)
・親指 → 導体の運動方向
・中指 → 起電力(電流)の方向
左手と右手の使い分け
| 法則 | 使う場面 | 覚え方 |
|---|---|---|
| 左手の法則 | 電流+磁界 → 力を求める | モーター(電気→動き) |
| 右手の法則 | 運動+磁界 → 起電力を求める | 発電機(動き→電気) |
「左手=モーター、右手=発電機」。これだけ覚えておけば混同しません。
自己誘導と相互誘導
自己誘導
コイルに流れる電流が変化すると、コイル自身が作る磁束も変化します。すると電磁誘導によって、コイル自身に起電力が発生します。これが自己誘導です。
この起電力は、レンツの法則に従って電流の変化を妨げる方向に発生します。つまり、電流が増えようとすれば減らす方向に、減ろうとすれば維持する方向に働きます。
自己インダクタンス(L)は、コイルが「電流の変化を嫌がる度合い」を表す値です。Lが大きいコイルほど、電流の変化に対して大きな起電力を発生させます。
相互誘導
2つのコイルを近くに置いたとき、一方のコイルの電流が変化すると、もう一方のコイルに起電力が発生します。これが相互誘導です。
変圧器(トランス)は、相互誘導の原理を利用した装置です。1次コイルに交流を流すと、鉄心を通じて2次コイルに電圧が誘導されます。巻数の比で電圧を自由に変えられるため、火災報知設備の受信機内部の変圧器にも使われています。
コンデンサ
コンデンサとは?
コンデンサは、2枚の金属板(電極)を向かい合わせにして、その間に絶縁体(誘電体)を挟んだ部品です。電荷を蓄えたり放出したりする働きがあります。
交流回路の記事でリアクタンスの話をしましたが、ここではコンデンサ自体の性質を詳しく見ていきます。
静電容量
コンデンサがどれだけ電荷を蓄えられるかを表す値が静電容量(C)です。単位はF(ファラド)。
実際の回路では μF(マイクロファラド=10⁻⁶ F)や pF(ピコファラド=10⁻¹² F)がよく使われます。
静電容量を決める3つの要素
| 要素 | 大きくすると? |
|---|---|
| 電極の面積(A) | 静電容量が大きくなる |
| 電極間の距離(d) | 静電容量が小さくなる |
| 誘電率(ε) | 静電容量が大きくなる |
面積が広いほどたくさん電荷が並べられ、距離が近いほど電荷が引き合って蓄えやすくなる、とイメージすると覚えやすいです。
コンデンサの直列・並列接続
コンデンサの合成は、抵抗の合成と逆になるのが最大のポイントです。
なぜ抵抗と逆なの?
コンデンサを直列につなぐと、極板の間隔が広がるのと同じ効果になり、容量は減ります。並列につなぐと、極板の面積が増えるのと同じ効果になり、容量は増えます。「直列=距離が増える=容量減」「並列=面積が増える=容量増」と考えると理屈が通ります。
コンデンサに蓄えるエネルギー
コンデンサの直流と交流での振る舞い
| 電源 | コンデンサの動作 |
|---|---|
| 直流 | 充電完了後は電流が流れない(絶縁体が間にあるため) |
| 交流 | 充放電を繰り返すため、見かけ上電流が流れる |
この性質は、交流回路の記事で解説した「コンデンサのリアクタンス XC = 1÷(2πfC)」につながります。周波数が高いほど充放電が激しくなり、電流が流れやすくなる(リアクタンスが小さくなる)のです。
まとめ問題
問題1:フレミング左手の法則において、人差し指・中指・親指が示すものの組み合わせとして、正しいものはどれか。
(1)人差し指:電流 中指:磁界 親指:力
(2)人差し指:磁界 中指:電流 親指:力
(3)人差し指:力 中指:磁界 親指:電流
(4)人差し指:磁界 中指:力 親指:電流
問題2:電磁誘導に関する記述のうち、正しいものはどれか。
(1)コイルの中に磁石を入れて静止させると、起電力が発生し続ける
(2)コイルの巻数を増やすと、誘導起電力は小さくなる
(3)磁束の変化が速いほど、誘導起電力は大きくなる
(4)誘導電流は、磁束の変化を助ける方向に流れる
問題3:静電容量が 6μF と 3μF のコンデンサを直列に接続したときの合成静電容量として、正しいものはどれか。
(1)2μF
(2)3μF
(3)6μF
(4)9μF
問題4(応用):変圧器の1次コイルの巻数が 1000回、2次コイルの巻数が 200回である。1次側に 100V の交流電圧を加えたとき、2次側に発生する電圧として、正しいものはどれか。
(1)5V
(2)20V
(3)200V
(4)500V