甲種4類/乙種4類

電磁気の基礎|磁界・電磁誘導・変圧器・コンデンサ

電磁気の問題は、現象を次の3つに分けると整理できます。

  1. 電流が磁界を作る:右ねじの法則、コイル、電磁石
  2. 磁界中の電流が力を受ける:フレミング左手の法則
  3. 磁束の変化が起電力を作る:電磁誘導、レンツの法則、変圧器

コンデンサは電荷を蓄える素子で、電磁誘導とは別の章です。本記事では磁界・電磁力・電磁誘導・変圧器・コンデンサを、式の意味と単位まで順番に解説します。

電圧・電流・抵抗を先に復習したい方は「オームの法則と合成抵抗」を参照してください。

磁界・磁束・磁束密度

磁界は、磁気の力が働く空間です。磁界の向きは、その場所に置いた小さな磁針のN極が向く方向で表します。

記号 単位 意味
磁束 Φ Wb(ウェーバ) ある面を貫く磁界をまとめて表す量
磁束密度 B T(テスラ) 磁界の強さと向きを表すベクトル量
インダクタンス L H(ヘンリー) 電流変化に対して誘導起電力が生じる度合い

一様な磁束密度Bの中に面積Aの面を置いたとき、面に垂直な方向と磁界のなす角をθとすると、磁束は次式で表せます。

Φ = BA cosθ
磁束〔Wb〕= 磁束密度〔T〕× 面積〔m²〕× cosθ

面が磁界に対して垂直ならθ=0°で磁束はBA、面が磁界と平行ならθ=90°で磁束は0です。

電流が作る磁界

直線導体と右ねじの法則

導線に電流を流すと、導線の周囲に同心円状の磁界ができます。右手の親指を電流の向きに向けたとき、ほかの4本の指が曲がる向きが磁界の向きです。

右ねじの法則とフレミング右手の法則は別物です。
右ねじの法則は「電流が作る磁界の向き」、フレミング右手は「導体を動かしたときに生じる起電力の向き」を求めます。

コイルと電磁石

導線を巻いたコイルに電流を流すと、それぞれの巻線が作る磁界が重なります。コイルに右手の4本指を電流の向きに沿わせると、親指がコイル内部の磁界とN極の向きを示します。

一般に、電流を大きくする、巻数を増やす、適切な鉄心を入れると磁界を強くできます。ただし、実際の磁気回路では寸法、材質、磁気飽和なども関係します。

磁界中の電流が受ける力

磁束密度Bの一様な磁界中で、長さlの直線導体に電流Iを流すと、導体は力を受けます。電流と磁界のなす角をθとすると、大きさは次式です。

F = BIl sinθ
力〔N〕= 磁束密度〔T〕× 電流〔A〕× 長さ〔m〕× sinθ

導体が磁界に垂直ならsin90°=1なので、F=BIlです。平行ならsin0°=0で力は生じません。

フレミング左手の法則

左手の3本指を互いに直角に開きます。

  • 人差し指:磁界の向き
  • 中指:電流の向き
  • 親指:力・運動の向き

左手は、電流と磁界から力の向きを求めるときに使います。電動機はこの電磁力を利用します。

計算例

磁束密度0.4Tの磁界に対して垂直に、長さ0.3mの導体を置き、2Aの電流を流します。

F=0.4×2×0.3=0.24N

「垂直」の条件があるためsinθを省略できます。角度が示されている問題では、sinθを忘れないようにします。

電磁誘導とレンツの法則

コイルを貫く磁束が変化すると、コイルに起電力が生じます。これが電磁誘導です。磁石やコイルが止まっていて磁束が変化しなければ、誘導起電力は生じません。

ファラデーの電磁誘導の法則

e = −N × ΔΦ ÷ Δt
平均誘導起電力〔V〕= −巻数×磁束の変化量〔Wb〕÷変化時間〔s〕

絶対値は、巻数が多いほど、また同じ磁束変化が短時間で起きるほど大きくなります。負号は、誘導起電力が磁束の変化を妨げる向きに生じることを示します。これがレンツの法則です。

フレミング右手の法則

磁界中で導体を動かす場合、右手の3本指で誘導起電力の向きを確認できます。

  • 人差し指:磁界の向き
  • 親指:導体の運動方向
  • 中指:誘導起電力・電流の向き
法則 入力 求めるもの 代表例
フレミング左手 電流+磁界 力の向き 電動機
フレミング右手 運動+磁界 起電力の向き 発電機

計算例

500回巻きのコイルを貫く磁束が0.1秒で0.002Wb変化したとき、平均誘導起電力の絶対値は次のようになります。

|e|=500×0.002÷0.1=10V

自己誘導・相互誘導・変圧器

自己誘導

コイル自身の電流が変化すると、そのコイルを貫く磁束も変化し、電流変化を妨げる向きに起電力が生じます。

e = −L × ΔI ÷ Δt
L:自己インダクタンス〔H〕

相互誘導と変圧器

一方のコイルの電流変化によって、近くの別のコイルに起電力が生じる現象が相互誘導です。変圧器は、交流によって生じる磁束の変化を鉄心などで2次コイルへ結び付けます。

V₁ ÷ V₂ = N₁ ÷ N₂
理想変圧器では、電圧比=巻数比

1次巻数1000、2次巻数200の理想変圧器へ1次電圧100Vを加えると、2次電圧は20Vです。

直流を加え続けても通常の変圧動作はしません。
電磁誘導には磁束の変化が必要です。また、実際の変圧器には巻線抵抗、漏れ磁束、鉄損などがあるため、理想式どおりにならない場合があります。

コンデンサの基本

コンデンサは、2つの導体の間を誘電体で隔て、電荷を蓄える素子です。静電容量Cの単位はF(ファラド)です。

C = Q ÷ V
静電容量=電荷÷電圧
Q = CV
電荷=静電容量×電圧
W = 1/2 CV²
蓄積エネルギー

平行平板コンデンサの理想式はC=εA/dです。電極面積Aと誘電率εが大きいほど容量は大きく、電極間距離dが大きいほど容量は小さくなります。

直列・並列の合成

接続 合成式 結果の確認
直列 1/C=1/C₁+1/C₂+… 合成容量は最小の容量より小さい
並列 C=C₁+C₂+… 合成容量は各容量の合計

6μFと3μFを直列接続すると、C=6×3÷(6+3)=2μFです。並列接続なら9μFです。

単位換算

  • 1mF=10−3F
  • 1μF=10−6F
  • 1nF=10−9F
  • 1pF=10−12F

交流回路でのコンデンサの働きは「交流回路の基礎」、電力とエネルギーは「ジュール熱・電力・電力量」で解説しています。

消防設備との結び付け方

消防設備にはコイル、リレー、変圧器、コンデンサなどを含む機器があります。ただし、機器名だけから内部回路や部品容量を決めつけることはできません

  • ベルやリレーは、電磁石の作用を理解する例になる。
  • 電源回路では変圧・整流・平滑などの機能が組み合わされることがある。
  • コンデンサの用途・容量・保持時間は製品設計によって異なる。
  • 発信機の押しボタンは機械的なスイッチ操作であり、電磁誘導の例とは限らない。
  • 点検や故障診断では、回路図、仕様書、メーカー資料を確認する。

電気計測器の使い分けは「電気計測器の基礎」、計算演習は「自動火災報知設備の回路計算」を参照してください。

オリジナル理解度チェック

問題1. 直線導体に流れる電流が作る磁界の向きを確認する法則はどれですか。

  1. レンツの法則
  2. 右ねじの法則
  3. フレミング左手の法則
  4. オームの法則
解答を見る
正解:2
右手の親指を電流方向へ向けると、ほかの指が磁界の向きを示します。

問題2. 磁界中の導体に電流を流したとき、力の向きを確認する法則はどれですか。

  1. フレミング左手の法則
  2. フレミング右手の法則
  3. キルヒホッフの法則
  4. ジュールの法則
解答を見る
正解:1
左手は電流と磁界から力・運動方向を求めるときに使います。

問題3. 誘導起電力を大きくする条件として正しいものはどれですか。

  1. 磁束を一定に保つ
  2. 巻数を減らす
  3. 同じ磁束変化をより短時間で起こす
  4. コイルと磁石を完全に静止させる
解答を見る
正解:3
|e|=N|ΔΦ|/Δtなので、同じ磁束変化なら変化時間が短いほど起電力は大きくなります。

問題4. 1次1000回、2次200回の理想変圧器に1次電圧100Vを加えたとき、2次電圧はいくらですか。

  1. 5V
  2. 20V
  3. 100V
  4. 500V
解答を見る
正解:2
V₂=100×200÷1000=20Vです。

問題5. 6μFと3μFのコンデンサを直列接続した合成容量はいくらですか。

  1. 2μF
  2. 3μF
  3. 6μF
  4. 9μF
解答を見る
正解:1
C=6×3÷(6+3)=2μFです。直列合成は最小の3μFより小さくなるため、結果の検算もできます。

まとめ

  • 右ねじの法則は、電流が作る磁界の向きを示す。
  • フレミング左手は電流+磁界から力、右手は運動+磁界から起電力を求める。
  • 電磁誘導は磁束の変化によって起こり、向きはレンツの法則に従う。
  • 理想変圧器では電圧比と巻数比が等しい。
  • コンデンサの直列合成は小さく、並列合成は各容量の合計になる。
  • 消防設備の内部回路・部品容量は、機器名から推測せず仕様書で確認する。

甲種4類の全体順序は「甲種4類の学習ロードマップ」で整理しています。

一次情報・公式資料

式は記号の定義と向きを確認して使用してください。実設備の回路、部品定格、点検方法は、製品仕様書・回路図・メーカー資料を優先します。

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