甲種3類/乙種3類

甲種3類の必要量計算|第三種粉末と加圧用ガス

消防設備士甲種3類の必要量計算は、消火剤と放出方式を先に特定し、該当する法令の表・式を選ぶことから始まります。二酸化炭素、ハロゲン化物、粉末を、すべて同じ「体積×共通係数+開口部」の式で計算することはできません。

この記事では、現在の甲種第3類公式公開問題で扱われている全域放出方式の第三種粉末を中心に、消火剤貯蔵量、加圧用窒素ガス量、容器数、局所放出方式の式を整理します。問題図は転載せず、数値を変えたオリジナル例で計算します。

先に結論
全域放出方式の第三種粉末は、防護区画体積×0.36kg/m³に、自動閉鎖装置のない開口面積×2.7kg/m²を加えます。加圧用ガスに窒素を使う場合は、35℃・1気圧換算で消火剤1kgにつき40L以上です。

現在の公式公開問題で確認する範囲

消防試験研究センターが現在公開している甲種第3類の製図は、地下駐車場に設ける全域放出方式の粉末消火設備です。設問では、次の項目を図と条件から確認します。

  • 駐車場に適応する粉末消火剤の種別
  • 防護区画1m³当たりの消火剤量
  • 自動閉鎖装置のない開口部の加算
  • 必要な消火剤貯蔵量
  • 加圧用窒素ガスの必要量
  • 必要量を放射する時間

公式解答で確認できる基準値は、第三種粉末、0.36kg/m³、2.7kg/m²、窒素40L/kg、30秒です。公開問題は出題例の一部であり、毎回同じ設備・数値が出ることを示すものではありません。実際の図と設問は消防試験研究センター「過去に出題された問題」から甲種PDFを開いて確認してください。

計算前に決める4項目

  1. 消火剤:不活性ガス、ハロゲン化物、粉末のどれか。粉末なら第何種か。
  2. 放出方式:全域放出、局所放出、移動式のどれか。
  3. 防護対象:防護区画の全体か、限定された燃焼面か、その他の立体的な対象か。
  4. 問題条件:寸法、除外する体積、開口部、自動閉鎖装置、容器仕様、加圧方式。

消防法施行規則は、防護区画の体積について、不燃材料で造られ固定された気密構造体がある場合は、その体積を減じる定義を置いています。一方、公式公開問題では柱・はり・壁等の体積を考慮しなくてよいという個別条件があります。室内の物体を常に引かない、または常に引くという一律ルールにはせず、法令の定義と問題文を優先します。

全域放出方式の粉末消火剤量

消防法施行規則第21条第3項第1号は、全域放出方式の粉末消火設備について、体積分を計算し、自動閉鎖装置のない開口部がある場合は開口部分を加える方法を定めています。

防護区画体積 V = 長さ × 幅 × 高さ
体積分 = V × 粉末種別ごとの体積係数
開口部分 = 自動閉鎖装置のない開口面積 A × 加算係数
必要消火剤量 W = 体積分 + 開口部分
粉末の種別 防護区画1m³当たり 閉鎖されない開口部1m²当たり
第一種粉末 0.60kg 4.5kg
第二種・第三種粉末 0.36kg 2.7kg
第四種粉末 0.24kg 1.8kg

駐車の用に供される部分に設ける粉末消火設備には第三種粉末を使用します。したがって、現在の公式公開問題と同じ条件なら、第二種・第三種粉末の行を使います。

オリジナル例|第三種粉末の必要量

次の条件で計算します。

  • 全域放出方式の粉末消火設備
  • 防護区画:長さ12m、幅9m、高さ3m
  • 第三種粉末を使用
  • 自動閉鎖装置のない開口部:2m²と1m²
  • その他の開口部には自動閉鎖装置がある
  • 柱・はり等の体積は考慮しない

1. 防護区画の体積

12m × 9m × 3m = 324m³

2. 体積分

324m³ × 0.36kg/m³ = 116.64kg

3. 開口部分

自動閉鎖装置のない開口面積は、2m²+1m²=3m²です。

3m² × 2.7kg/m² = 8.1kg

4. 必要消火剤量

116.64kg + 8.1kg = 124.74kg以上

「以上」を落とさず、式には単位を残します。問題が小数処理を指定している場合だけ、その指示に従って丸めます。

加圧用ガス量の計算

加圧式の粉末消火設備で窒素ガスを使う場合、消防法施行規則第21条第4項第6号は、温度35℃・1気圧の状態に換算した体積として、消火剤1kgにつき40L以上と定めています。

加圧用窒素ガス量 = 必要消火剤量 × 40L/kg

先ほどの124.74kgに必要な窒素ガス量は、次のとおりです。

124.74kg × 40L/kg = 4,989.6L以上

m³で答える場合は1,000で割ります。

4,989.6L ÷ 1,000 = 4.9896m³以上

加圧用ガスに二酸化炭素を使う場合や、蓄圧式の場合は基準が異なります。加圧用窒素の40L/kgを、そのまま全方式へ使ってはいけません。クリーニング用ガスも別容器に貯蔵する規定があります。

容器数は問題条件があるときだけ計算する

消防法令は粉末消火剤の必要量や充てん比を定めていますが、「すべて20kg容器」「CO₂はすべて45kg容器」のような共通の固定本数を定めているわけではありません。容器数を問われた場合は、問題文や図面で示された1容器当たりの充てん量・設備仕様を使います。

必要容器数 = 必要消火剤量 ÷ 1容器当たりの充てん量
端数が出た場合の処理は、問題文の指示と必要量以上を満たす条件に従う

例として「1容器に20kgを充てんする」と問題条件で与えられた場合、124.74÷20=6.237なので7容器です。7容器なら140kgとなり、124.74kg以上を満たします。この20kgは説明用の問題条件であり、全設備共通の容器仕様ではありません。

局所放出方式は全域放出方式と式が違う

粉末消火設備の局所放出方式は、燃焼面が一面に限定される場合と、それ以外の場合に分かれます。どちらも算出した量へ1.1を乗じた量以上とします。

燃焼面が一面に限定される場合

粉末の種別 防護対象物の表面積1m²当たり
第一種粉末 8.8kg
第二種・第三種粉末 5.2kg
第四種粉末 3.6kg

第三種粉末で表面積6m²なら、6×5.2×1.1=34.32kg以上です。防護対象物の一辺が0.6m以下の場合は、その辺を0.6mとして表面積を計算する規定にも注意します。

一面燃焼以外の場合

単位体積当たりの消火剤量Qを、壁面積の割合から求めます。

Q = X - Y(a ÷ A)
必要量 = Q × 防護空間の体積 × 1.1
  • a:実際に設けられた壁の面積合計
  • A:壁がない部分も壁があると仮定した、防護空間の壁面積合計
  • 第一種粉末:X=5.2、Y=3.9
  • 第二種・第三種粉末:X=3.2、Y=2.4
  • 第四種粉末:X=2.0、Y=1.5

通信機器室は、Qと防護空間体積を乗じた量へ0.7を乗じる規定があります。全域放出方式の0.36kg/m³や開口部2.7kg/m²を、この局所放出方式へ流用しません。

複数区画の共用と移動式

貯蔵容器等を複数区画で共用する場合

同じ防火対象物に防護区画または防護対象物が複数あり、貯蔵容器等を共用する場合は、それぞれについて計算した量のうち最大の量以上を貯蔵します。各区画の必要量を無条件に合計する計算ではありません。

移動式の必要量

移動式は体積式ではなく、一つのノズルにつき、第一種粉末50kg以上、第二種・第三種粉末30kg以上、第四種粉末20kg以上です。さらにノズルの毎分放射量にも別の基準があります。

CO₂・ハロゲン化物を同じ式にしない

不活性ガス消火設備は消防法施行規則第19条、ハロゲン化物消火設備は第20条、粉末消火設備は第21条に、それぞれ必要量の表と式があります。

  • CO₂は用途、全域・局所、表面火災・深部火災などで計算条件が分かれる。
  • 窒素、IG-55、IG-541はCO₂と同じ質量係数を使う計算ではない。
  • ハロゲン化物は消火剤と放出方式により体積当たりの量や局所放出の式が異なる。
  • 粉末も全域、局所、移動式で計算方法が異なる。

CO₂の計算条件は「不活性ガス消火設備の構造と機能」、ハロゲン化物は「ハロゲン化物消火設備の構造と機能」、粉末全体は「粉末消火設備の構造と機能」で確認できます。

オリジナル確認問題

以下は計算手順を確認するためのオリジナル問題で、公式問題の再現ではありません。

問題1|全域放出方式

第三種粉末を使用する。防護区画は10m×8m×3m、自動閉鎖装置のない開口部は2m²である。必要消火剤量を求めなさい。柱等の体積は考慮しない。

解答を見る

体積は240m³。体積分は240×0.36=86.4kg、開口部分は2×2.7=5.4kg。合計は91.8kg以上です。

問題2|加圧用窒素

問題1の設備を窒素ガスによる加圧式とする。必要な加圧用窒素ガス量を、35℃・1気圧換算で求めなさい。

解答を見る

91.8×40=3,672L以上です。

問題3|局所放出方式

燃焼面が一面に限定され、可燃物が飛散するおそれがない防護対象物に、第三種粉末の局所放出方式を設ける。表面積が4m²のとき、必要量を求めなさい。

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4×5.2×1.1=22.88kg以上です。

問題4|複数区画の共用

共用する貯蔵容器等について、区画Aの必要量が120kg、区画Bが155kg、区画Cが90kgである。法令上必要な貯蔵量の下限を答えなさい。

解答を見る

各区画の計算量のうち最大となる155kg以上です。

答案チェック

  • 消火剤の種別と放出方式を最初に書いたか。
  • 問題文が除外・考慮不要とした体積を確認したか。
  • 自動閉鎖装置のない開口部だけを加算したか。
  • kg/m³、kg/m²、L/kgを式の中で区別したか。
  • 加圧式と蓄圧式、窒素とCO₂を取り違えていないか。
  • 局所放出方式で1.1を乗じたか。
  • 容器仕様や丸め方を問題にない固定値で補っていないか。
  • 答えに「kg以上」「L以上」など必要な単位と下限表現を付けたか。

まとめ

甲種3類の計算は、すべて同じ4ステップではありません。まず消火剤と放出方式を決め、消防法施行規則第19条・第20条・第21条のうち、該当する表・式を選びます。

現在の公式公開問題と同じ全域放出方式の第三種粉末なら、体積分は0.36kg/m³、閉鎖されない開口部分は2.7kg/m²、加圧用窒素は40L/kg、放射は30秒以内です。局所放出方式や移動式、CO₂・ハロゲン化物には別の式と基準を使います。

製図全体の条件整理と図面の読み方は「甲種3類の製図対策」、学習順は「甲種3類ロードマップ」で確認してください。

公式情報

※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。図や画像だけで機器を判断せず、製品表示・取扱説明書・公式資料を確認してください。

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