甲4の計算問題は「5パターン」に集約できる
結論から言います。
甲種4類の筆記試験で出る計算問題は、突き詰めるとたった5パターンしかありません。
どのパターンも使う公式は1〜2個だけ。あとは「どの値を求めるか」を見抜いて数値を当てはめるだけです。
理論の詳しい解説は「オームの法則・直列並列回路・合成抵抗」や「自火報の回路計算|末端抵抗・電圧降下・共通線」に譲り、この記事では「試験で解けるようになる」ことだけに集中します。各パターンの公式→解き方→練習問題を1セットで攻略しましょう。
パターン① 合成抵抗の計算(直列・並列回路)
使う公式
| 接続方法 | 公式 |
|---|---|
| 直列 | R = R₁ + R₂ + R₃ + … |
| 並列(2本) | R = (R₁ × R₂) ÷ (R₁ + R₂) |
| 並列(同じ値n本) | R = R₁ ÷ n |
解き方のコツ
混合回路(直列と並列が組み合わさったもの)が出たら、まず並列部分だけ先に計算して1つの抵抗にまとめます。そのあと直列として足し算するだけです。
イメージとしては、受信機から感知器への配線ルートに抵抗が何本か入っている回路図を想像してください。枝分かれしている部分(並列)を先に処理すれば、シンプルな1本道(直列)に変換できます。
練習問題①
【問題】10Ωと30Ωの抵抗が並列に接続されている。さらに、その並列回路に20Ωの抵抗が直列に接続されているとき、回路全体の合成抵抗は何Ωか。
練習問題②
【問題】15Ωの抵抗が3本、並列に接続されている。合成抵抗は何Ωか。
パターン② 電力・発熱量の計算
使う公式
| 求めるもの | 公式 |
|---|---|
| 電力 P | P = V × I = I²R = V²÷R [W] |
| 発熱量 Q | Q = P × t = V × I × t [J] |
| 単位変換 | 1 cal ≒ 4.2 J |
解き方のコツ
電力の3つの公式(P = VI、I²R、V²÷R)は、問題文で与えられている値が何かで使い分けます。電圧Vと電流Iが両方わかっていればP = VI、電流Iと抵抗Rならi²R、という具合です。
たとえば、受信機の消費電力を計算するとき。電源電圧24Vで回路電流が2A流れていれば P = 24 × 2 = 48W――これが受信機が常時消費している電力です。
発熱量の問題では時間の単位に注意。問題文が「10分間」なら600秒に換算してから計算します。
練習問題③
【問題】抵抗50Ωに電圧100Vを加えた。5分間に発生する熱量は何kJか。
パターン③ 交流回路の計算(インピーダンス・力率)
使う公式
| 求めるもの | 公式 |
|---|---|
| インピーダンス Z | Z = √(R² + (XL − XC)²) |
| 力率 cosθ | cosθ = R ÷ Z |
| 電流 I | I = V ÷ Z |
XLは誘導リアクタンス(コイル成分)、XCは容量リアクタンス(コンデンサ成分)です。XCがない回路なら、Z = √(R² + XL²) とシンプルになります。
解き方のコツ
ビルのコンセントに来ている100Vの交流。蛍光灯やモーターにはコイル成分があるので、直流のように「V÷R」では電流を求められません。交流では抵抗Rの代わりにインピーダンスZで割ります。
計算のカギは「3:4:5」「5:12:13」「8:15:17」などのピタゴラス数です。試験ではこれらの比になる数値が出ることが多いので、電卓なしでもルートが外せます。
練習問題④
【問題】抵抗R = 30Ωと誘導リアクタンスXL = 40Ωが直列に接続された交流回路がある。インピーダンスZと力率cosθを求めよ。
練習問題⑤
【問題】抵抗R = 40Ω、誘導リアクタンスXL = 50Ω、容量リアクタンスXC = 20Ωの直列回路に、交流電圧100Vを加えた。回路に流れる電流は何Aか。
パターン④ 電圧降下の計算
使う公式
電圧降下の公式
電圧降下 = 2 × r × L × I
r:電線1mあたりの抵抗値[Ω/m]
L:受信機から感知器までの片道距離[m]
I:回路電流[A]
2:往復分(L線とC線の2本分)
末端の電圧 = 供給電圧 − 電圧降下
この末端電圧が感知器の最低動作電圧以上なら正常動作する、という判断をします。
現場でのイメージ
大きなビルで受信機から100m先の感知器まで配線を引くと、電線自体が持つ抵抗で電圧が少しずつ下がっていきます。水道の水圧が長いホースを通ると弱くなるのと同じ現象です。
末端の感知器に十分な電圧が届かないと、火災が起きても感知できなくなります。だから設計段階で電圧降下を計算し、配線の太さ(断面積)を選ぶ必要があるのです。配線が太いほど抵抗が小さく、電圧降下も少なくなります。
練習問題⑥
【問題】受信機の供給電圧が24V、感知器の最低動作電圧が16Vである。配線の抵抗が片道0.04Ω/m、受信機から末端感知器までの距離が80m、回路電流が0.5Aのとき、末端の感知器は正常に動作するか。
パターン⑤ 末端抵抗と監視電流の計算
使う公式
末端抵抗の公式
I = V ÷ R(オームの法則そのまま)
V:監視電圧[V]
R:末端抵抗の値[Ω]
I:監視電流[A]
現場でのイメージ
感知器回線の一番奥にある小さな抵抗器、それが末端抵抗(終端器)です。受信機はここに微弱な電流(数mA程度)を常時流して「回路がつながっている」ことを監視しています。
もしネズミが電線をかじって断線すると、この電流が途絶えます。受信機は「電流が流れなくなった=断線だ」と判断して断線警報を出す――これが末端抵抗による断線監視のしくみです。
練習問題⑦
【問題】受信機の監視電圧が24V、末端抵抗(終端器)の値が12kΩである。このとき回線に流れる監視電流は何mAか。ただし、配線の抵抗は無視する。
公式クイックリファレンス(早見表)
試験直前にサッと確認できるよう、全公式を1か所にまとめました。
| パターン | 公式 |
|---|---|
| 合成抵抗(直列) | R = R₁ + R₂ + … |
| 合成抵抗(並列2本) | R = (R₁×R₂)÷(R₁+R₂) |
| 電力 | P = VI = I²R = V²÷R |
| 発熱量 | Q = Pt [J] ※1cal≒4.2J |
| インピーダンス | Z = √(R²+(XL−XC)²) |
| 力率 | cosθ = R ÷ Z |
| 電圧降下 | e = 2rLI |
| 監視電流 | I = V ÷ R |
理解度チェック
ここまでの内容を4択問題で確認しましょう。
Q1. 合成抵抗
4Ωの抵抗と12Ωの抵抗を並列に接続した。合成抵抗として正しいものはどれか。
(1)2Ω (2)3Ω (3)8Ω (4)16Ω
Q2. 電力
抵抗20Ωに5Aの電流が流れている。消費電力として正しいものはどれか。
(1)100W (2)250W (3)400W (4)500W
Q3. 交流回路
抵抗60Ωと誘導リアクタンス80Ωの直列回路に200Vの交流電圧を加えた。回路に流れる電流として正しいものはどれか。
(1)1A (2)2A (3)2.5A (4)3.3A
Q4. 電圧降下
受信機の供給電圧が24V、配線の往復抵抗の合計が4Ω、回路電流が0.5Aである。末端の電圧として正しいものはどれか。
(1)20V (2)22V (3)23V (4)24V
まとめ
甲種4類の計算問題は、次の5パターンに集約できます。
- 合成抵抗:直列は足し算、並列は「積÷和」
- 電力・発熱量:P = VI(3形態)、Q = Pt、時間は秒に換算
- 交流回路:Z = √(R² + X²)、力率 = R÷Z、ピタゴラス数を活用
- 電圧降下:e = 2rLI、末端電圧≥最低動作電圧を確認
- 末端抵抗:I = V÷R、kΩ→Ωの単位変換に注意
どのパターンも公式自体はシンプルです。あとは練習問題を繰り返して、数値を見た瞬間に「これはパターン③だ」と判断できるようになること。それが得点に直結します。
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