甲種4類/乙種4類

【甲種4類】電気計算の完全攻略|5パターンの公式と解き方を総まとめ

甲4の計算問題は「5パターン」に集約できる

結論から言います。

甲種4類の筆記試験で出る計算問題は、突き詰めるとたった5パターンしかありません。

甲4 計算問題の5パターン
① 合成抵抗
直列・並列回路
混合回路の計算
② 電力・発熱量
P = VI、Q = Pt
ジュール熱の変換
③ 交流回路
インピーダンス
力率の計算
④ 電圧降下
配線長と電圧低下
感知器の動作条件
⑤ 末端抵抗
監視電流の計算
断線監視のしくみ

どのパターンも使う公式は1〜2個だけ。あとは「どの値を求めるか」を見抜いて数値を当てはめるだけです。

理論の詳しい解説は「オームの法則・直列並列回路・合成抵抗」や「自火報の回路計算|末端抵抗・電圧降下・共通線」に譲り、この記事では「試験で解けるようになる」ことだけに集中します。各パターンの公式→解き方→練習問題を1セットで攻略しましょう。

パターン① 合成抵抗の計算(直列・並列回路)

使う公式

接続方法 公式
直列 R = R₁ + R₂ + R₃ + …
並列(2本) R = (R₁ × R₂) ÷ (R₁ + R₂)
並列(同じ値n本) R = R₁ ÷ n

解き方のコツ

混合回路(直列と並列が組み合わさったもの)が出たら、まず並列部分だけ先に計算して1つの抵抗にまとめます。そのあと直列として足し算するだけです。

イメージとしては、受信機から感知器への配線ルートに抵抗が何本か入っている回路図を想像してください。枝分かれしている部分(並列)を先に処理すれば、シンプルな1本道(直列)に変換できます。

練習問題①

【問題】10Ωと30Ωの抵抗が並列に接続されている。さらに、その並列回路に20Ωの抵抗が直列に接続されているとき、回路全体の合成抵抗は何Ωか。

解答を見る

正解:27.5Ω

Step 1:並列部分を計算する
R = (10 × 30) ÷ (10 + 30) = 300 ÷ 40 = 7.5Ω

Step 2:直列部分を足す
R = 7.5 + 20 = 27.5Ω

並列部分を先に1つにまとめるのがポイントです。

練習問題②

【問題】15Ωの抵抗が3本、並列に接続されている。合成抵抗は何Ωか。

解答を見る

正解:5Ω

同じ値の抵抗がn本並列のとき → R = R₁ ÷ n
R = 15 ÷ 3 =

同じ抵抗が並列なら「÷ 本数」で一発です。

パターン② 電力・発熱量の計算

使う公式

求めるもの 公式
電力 P P = V × I = I²R = V²÷R [W]
発熱量 Q Q = P × t = V × I × t [J]
単位変換 1 cal ≒ 4.2 J

解き方のコツ

電力の3つの公式(P = VI、I²R、V²÷R)は、問題文で与えられている値が何かで使い分けます。電圧Vと電流Iが両方わかっていればP = VI、電流Iと抵抗Rならi²R、という具合です。

たとえば、受信機の消費電力を計算するとき。電源電圧24Vで回路電流が2A流れていれば P = 24 × 2 = 48W――これが受信機が常時消費している電力です。

発熱量の問題では時間の単位に注意。問題文が「10分間」なら600秒に換算してから計算します。

練習問題③

【問題】抵抗50Ωに電圧100Vを加えた。5分間に発生する熱量は何kJか。

解答を見る

正解:60kJ

Step 1:電力を求める
P = V² ÷ R = 100² ÷ 50 = 10000 ÷ 50 = 200W

Step 2:時間を秒に変換
5分 = 5 × 60 = 300秒

Step 3:発熱量を求める
Q = P × t = 200 × 300 = 60,000J = 60kJ

パターン③ 交流回路の計算(インピーダンス・力率)

使う公式

求めるもの 公式
インピーダンス Z Z = √(R² + (XL − XC)²)
力率 cosθ cosθ = R ÷ Z
電流 I I = V ÷ Z

XLは誘導リアクタンス(コイル成分)、XCは容量リアクタンス(コンデンサ成分)です。XCがない回路なら、Z = √(R² + XL²) とシンプルになります。

解き方のコツ

ビルのコンセントに来ている100Vの交流。蛍光灯やモーターにはコイル成分があるので、直流のように「V÷R」では電流を求められません。交流では抵抗Rの代わりにインピーダンスZで割ります。

計算のカギは「3:4:5」「5:12:13」「8:15:17」などのピタゴラス数です。試験ではこれらの比になる数値が出ることが多いので、電卓なしでもルートが外せます。

練習問題④

【問題】抵抗R = 30Ωと誘導リアクタンスXL = 40Ωが直列に接続された交流回路がある。インピーダンスZと力率cosθを求めよ。

解答を見る

正解:Z = 50Ω、cosθ = 0.6(60%)

Step 1:インピーダンスを求める
Z = √(30² + 40²) = √(900 + 1600) = √2500 = 50Ω
※ 3:4:5の比になっている(30:40:50)

Step 2:力率を求める
cosθ = R ÷ Z = 30 ÷ 50 = 0.6(60%)

練習問題⑤

【問題】抵抗R = 40Ω、誘導リアクタンスXL = 50Ω、容量リアクタンスXC = 20Ωの直列回路に、交流電圧100Vを加えた。回路に流れる電流は何Aか。

解答を見る

正解:2A

Step 1:リアクタンスの差を求める
XL − XC = 50 − 20 = 30Ω

Step 2:インピーダンスを求める
Z = √(40² + 30²) = √(1600 + 900) = √2500 = 50Ω
※ またしても3:4:5の比(30:40:50)

Step 3:電流を求める
I = V ÷ Z = 100 ÷ 50 = 2A

パターン④ 電圧降下の計算

使う公式

電圧降下の公式

電圧降下 = 2 × r × L × I

r:電線1mあたりの抵抗値[Ω/m]
L:受信機から感知器までの片道距離[m]
I:回路電流[A]
2:往復分(L線とC線の2本分)

末端の電圧 = 供給電圧 − 電圧降下

この末端電圧が感知器の最低動作電圧以上なら正常動作する、という判断をします。

現場でのイメージ

大きなビルで受信機から100m先の感知器まで配線を引くと、電線自体が持つ抵抗で電圧が少しずつ下がっていきます。水道の水圧が長いホースを通ると弱くなるのと同じ現象です。

末端の感知器に十分な電圧が届かないと、火災が起きても感知できなくなります。だから設計段階で電圧降下を計算し、配線の太さ(断面積)を選ぶ必要があるのです。配線が太いほど抵抗が小さく、電圧降下も少なくなります。

練習問題⑥

【問題】受信機の供給電圧が24V、感知器の最低動作電圧が16Vである。配線の抵抗が片道0.04Ω/m、受信機から末端感知器までの距離が80m、回路電流が0.5Aのとき、末端の感知器は正常に動作するか。

解答を見る

正解:正常に動作する(末端電圧20.8V ≥ 最低動作電圧16V)

Step 1:電圧降下を求める
電圧降下 = 2 × 0.04 × 80 × 0.5 = 3.2V

Step 2:末端電圧を求める
末端電圧 = 24 − 3.2 = 20.8V

Step 3:判定
20.8V ≥ 16V → 正常に動作する

もし距離が倍の160mだったら、電圧降下は6.4V、末端電圧は17.6V。まだギリギリOKですが、余裕がかなり減ります。

パターン⑤ 末端抵抗と監視電流の計算

使う公式

末端抵抗の公式

I = V ÷ R(オームの法則そのまま)

V:監視電圧[V]
R:末端抵抗の値[Ω]
I:監視電流[A]

現場でのイメージ

感知器回線の一番奥にある小さな抵抗器、それが末端抵抗(終端器)です。受信機はここに微弱な電流(数mA程度)を常時流して「回路がつながっている」ことを監視しています。

もしネズミが電線をかじって断線すると、この電流が途絶えます。受信機は「電流が流れなくなった=断線だ」と判断して断線警報を出す――これが末端抵抗による断線監視のしくみです。

練習問題⑦

【問題】受信機の監視電圧が24V、末端抵抗(終端器)の値が12kΩである。このとき回線に流れる監視電流は何mAか。ただし、配線の抵抗は無視する。

解答を見る

正解:2mA

I = V ÷ R = 24 ÷ 12,000 = 0.002A = 2mA

kΩ → Ωの変換を忘れないこと。12kΩ = 12,000Ω です。監視電流は数mAと非常に小さい値になるのが特徴です。

公式クイックリファレンス(早見表)

試験直前にサッと確認できるよう、全公式を1か所にまとめました。

パターン 公式
合成抵抗(直列) R = R₁ + R₂ + …
合成抵抗(並列2本) R = (R₁×R₂)÷(R₁+R₂)
電力 P = VI = I²R = V²÷R
発熱量 Q = Pt [J] ※1cal≒4.2J
インピーダンス Z = √(R²+(XL−XC)²)
力率 cosθ = R ÷ Z
電圧降下 e = 2rLI
監視電流 I = V ÷ R

理解度チェック

ここまでの内容を4択問題で確認しましょう。

Q1. 合成抵抗

4Ωの抵抗と12Ωの抵抗を並列に接続した。合成抵抗として正しいものはどれか。

(1)2Ω (2)3Ω (3)8Ω (4)16Ω

解答を見る

正解:(2)3Ω

R = (4 × 12) ÷ (4 + 12) = 48 ÷ 16 =

並列の合成抵抗は、必ず個々の抵抗より小さくなります。4Ωより大きい(3)(4)はこの時点で消去できます。

Q2. 電力

抵抗20Ωに5Aの電流が流れている。消費電力として正しいものはどれか。

(1)100W (2)250W (3)400W (4)500W

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正解:(4)500W

P = I²R = 5² × 20 = 25 × 20 = 500W

電流Iと抵抗Rが与えられているので、P = I²R を使います。P = VIでは電圧Vがわからないので使えません。「与えられた値」から公式を選ぶのがコツです。

Q3. 交流回路

抵抗60Ωと誘導リアクタンス80Ωの直列回路に200Vの交流電圧を加えた。回路に流れる電流として正しいものはどれか。

(1)1A (2)2A (3)2.5A (4)3.3A

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正解:(2)2A

Z = √(60² + 80²) = √(3600 + 6400) = √10000 = 100Ω
I = V ÷ Z = 200 ÷ 100 = 2A

60:80は3:4の比。3:4:5なのでZ = 100(×20倍)とすぐにわかります。

Q4. 電圧降下

受信機の供給電圧が24V、配線の往復抵抗の合計が4Ω、回路電流が0.5Aである。末端の電圧として正しいものはどれか。

(1)20V (2)22V (3)23V (4)24V

解答を見る

正解:(2)22V

電圧降下 = 往復抵抗 × 電流 = 4 × 0.5 = 2V
末端電圧 = 24 − 2 = 22V

「往復抵抗の合計」が直接与えられている場合は、2×r×Lの計算は不要。そのままI×Rで電圧降下を求められます。

まとめ

甲種4類の計算問題は、次の5パターンに集約できます。

  • 合成抵抗:直列は足し算、並列は「積÷和」
  • 電力・発熱量:P = VI(3形態)、Q = Pt、時間は秒に換算
  • 交流回路:Z = √(R² + X²)、力率 = R÷Z、ピタゴラス数を活用
  • 電圧降下:e = 2rLI、末端電圧≥最低動作電圧を確認
  • 末端抵抗:I = V÷R、kΩ→Ωの単位変換に注意

どのパターンも公式自体はシンプルです。あとは練習問題を繰り返して、数値を見た瞬間に「これはパターン③だ」と判断できるようになること。それが得点に直結します。

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甲種4類の学習ロードマップ

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