甲種5類/乙種5類

避難器具の種類と使い方|マンション・ビルの設備を解説

結論:避難器具は「階段が使えないとき」の最後の脱出手段

マンションのベランダに金属製のハッチを見たことはありませんか?あれは避難はしごです。

結論から言います――避難器具は、火災で階段が使えなくなったとき、窓やベランダから安全に地上へ降りるための設備です。建物の階数と用途によって、設置すべき器具の種類が法律で決まっています。

この記事では、マンションやビルでよく見る避難器具の種類・仕組み・使い方をわかりやすく解説します。

避難器具の全体像

避難器具は大きく分けて6種類あります。

種類 どんな器具? よく見る場所
避難はしご 金属製のはしごを降ろして降りる マンション・学校
緩降機(かんこうき) ベルトを巻いてゆっくり降下する 雑居ビル・事務所
救助袋 布製の筒の中を滑り降りる 病院・ホテル
すべり台 金属製のすべり台で降りる 幼稚園・保育園
避難ロープ ロープを伝って降りる 小規模な建物
避難橋・避難タラップ 隣の建物や下の階へ渡る 隣接するビル間

それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

マンションでよく見る避難器具

避難はしご――最もポピュラー

マンションのベランダ(バルコニー)に設置されているハッチ型の避難はしごが最も一般的です。

普段はベランダの床に収納されていて、ハッチの蓋を開くと金属製のはしごが下の階まで伸びます。上の階から下の階へ、はしごを使って1階ずつ降りていく仕組みです。

使い方

  1. ハッチの蓋を開ける(ロック解除が必要な場合あり)
  2. はしごが自動で下の階まで展開される
  3. はしごにしっかりつかまり、両手両足を使ってゆっくり降りる
  4. 下の階に到着したら、さらに下のハッチを開けて同様に降りる

注意点:ハッチの上下に物を置かないこと。上にプランターを置いたり、下の階でハッチの真下に物を置くと、いざという時に使えません。マンションの管理規約でもベランダへの物の過剰な設置は禁止されていることが多いです。

緩降機(かんこうき)――1人ずつゆっくり降下

ベルト(安全帯)を体に巻き付け、ロープとリールの仕組みで自動的にゆっくり降下する装置です。自分の体重で降りるので、特別な体力は要りません。

使い方

  1. 窓際やベランダに設置されたアームを引き出す
  2. ベルト(輪になったロープ)を体に通す
  3. 窓の外に体を出し、足から降下する
  4. 降下速度は自動調整(毎秒約0.5〜1.5m)

1人が降りると、反対側のベルトが自動的に上がってきて、次の人が使える仕組みになっています。雑居ビルや事務所ビルでよく設置されています。

緩降機・救助袋の詳しい構造は「緩降機・救助袋の構造と機能」で解説しています。

ビル・施設で使われる避難器具

救助袋――布の筒を滑り降りる

建物の窓から地上まで布製の筒(袋)を展開し、その中を滑り降りて脱出する器具です。外から見えないので、高所恐怖症の方でも比較的使いやすいとされています。

「垂直式」と「斜降式」の2タイプがあります。

  • 垂直式:まっすぐ下に降りる。螺旋(らせん)状に滑り降りるので速度が自然に調整される
  • 斜降式:斜めに滑り降りる。すべり台に近いイメージ

すべり台――園児でも安全に避難

金属製のすべり台で、主に幼稚園や保育園に設置されます。小さな子どもでも安全に避難できるよう、傾斜角度や速度が調整されています。

公園のすべり台と似ていますが、防火対策が施された金属製で、建物の2階から直接地上に降りられるように設計されています。

避難ロープ――最もシンプル

ロープを固定して、つかまりながら降りる最もシンプルな避難器具です。ある程度の腕力が必要なため、使える人が限られるのが難点。設置できる階も低層(主に2〜3階)に限られます。

各器具の詳細は「避難はしご・すべり台・その他」と「避難器具の全体像と分類」で網羅しています。

どんな建物に設置が必要?

避難器具の設置義務は、建物の用途・階数・収容人員によって決まります。

建物の用途 設置が必要な条件
劇場・百貨店・ホテル等 2階以上で収容人員が基準以上
病院・老人ホーム等 2階以上で収容人員20人以上
共同住宅(マンション等) 2階以上で、2方向避難が確保できない場合

ポイントは「避難階段が2方向以上あるかどうか」です。2つ以上の階段や避難経路が確保されていれば、避難器具の設置は免除されることがあります。逆に、避難経路が1方向しかない場合は、別の脱出手段として避難器具が必要になります。

設置基準の詳細は「避難器具の設置義務と技術基準」で解説しています。

避難器具を使う前に知っておくこと

降下空間の確保

避難器具を使うには、器具の下に十分な空間が必要です。これを「降下空間」と言います。降下空間に障害物(看板・室外機・植木など)があると安全に降りられません。

日頃の確認

  • ハッチの上や周辺に物を置かない
  • 器具の設置場所を家族全員で確認しておく
  • マンションの避難訓練に参加して、実際に使ってみる
  • 器具に錆や破損がないかを定期的にチェック

理解度チェック

Q1. マンションのベランダに設置されている最も一般的な避難器具は?

  1. 緩降機
  2. 避難はしご
  3. 救助袋
  4. 避難ロープ
解答を見る

正解:B(避難はしご)
マンションではベランダのハッチに収納された避難はしごが最も一般的です。上の階から下の階へ1階ずつ降りていきます。

Q2. 緩降機で降りるとき、降下速度はどうなる?

  1. 自分で速度を調整する
  2. リールの仕組みで自動的にゆっくり降下する
  3. ブレーキを手で操作して調整する
  4. 一気に落下して底でクッションが受け止める
解答を見る

正解:B(自動でゆっくり降下)
緩降機は調速器(スピードコントローラー)の仕組みで、使用者の体重に関わらず毎秒約0.5〜1.5mの安全な速度で自動降下します。特別な操作は必要ありません。

Q3. 避難器具の設置が免除される場合があるのは、どんなとき?

  1. 建物が耐火構造の場合
  2. 消火器が設置されている場合
  3. 2方向以上の避難経路が確保されている場合
  4. スプリンクラーが設置されている場合
解答を見る

正解:C(2方向避難が確保されている場合)
避難器具は「階段が使えないとき」の代替手段です。2つ以上の独立した避難経路があれば、1つが使えなくなってももう1つで避難できるため、器具の設置が免除される場合があります。

まとめ

  • 避難器具は階段が使えないときの最後の脱出手段
  • 主な種類は避難はしご・緩降機・救助袋・すべり台・避難ロープの6種類
  • マンションではベランダのハッチ型避難はしごが最も一般的
  • 設置義務は建物の用途・階数・避難経路の数で決まる
  • 日頃から設置場所を確認し、ハッチの周辺に物を置かないことが大切

避難器具の構造や設置基準をもっと深く学びたい方は、消防設備士 甲種5類の学習がおすすめです。避難設備の専門家としての知識が体系的に身につきます。

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消防設備士 甲種5類は、避難器具の工事・点検ができる専門資格です。
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