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検定制度とは?消防法第21条の2をわかりやすく解説

結論から言います

検定制度とは、消防用設備に使われる機械器具について、国が品質を審査して"合格"のお墨付きを出す仕組みのことです。

消火器やスプリンクラーヘッド、火災感知器など――火災のとき人の命を守る設備が"不良品"だったら、考えただけでゾッとしますよね。そうならないように、一定の品質基準をクリアした製品だけが販売・設置できるルールになっています。これが検定制度です。

この記事では、検定の仕組み(2段階の審査プロセス)、検定対象機械器具等(12品目)、自主表示制度との違いまで、試験に出るポイントをまとめました。

なぜ検定制度があるの?

消防用設備は、普段は"ただ置いてあるだけ"です。消火器もスプリンクラーも、毎日使うものではありません。

でも、いざ火災が起きたとき――そのたった1回で確実に動かなければなりません。

しかも、使うのはパニック状態の一般市民です。「この消火器、ちゃんと動くかな?」なんて悠長に考えている暇はないですよね。

ここが普通の家電と決定的に違うポイントです。テレビが壊れても命に関わりませんが、消火器が壊れていたら命に関わります

だからこそ、"売った後に不良品が発覚"では遅い。市場に出る前に国が品質をチェックする――これが検定制度の存在理由です。

根拠条文(消防法第21条の2)

消防の用に供する機械器具等のうち、一定の形状等を有しないときは火災の予防若しくは警戒、消火又は人命の救助等のために重大な支障を生ずるおそれのあるものであつて、政令で定めるもの(以下「検定対象機械器具等」という。)について(中略)型式についての承認(以下「型式承認」という。)を受けることができる。
――消防法 第21条の2 第1項

現代語訳

消防で使う機械器具のうち、ちゃんとした形・性能でないと火災予防・消火・人命救助に重大な問題が起きるものは、政令(施行令)で指定して、国が型式(かたしき)を審査・承認できるようにします――ということです。

ポイントは「重大な支障を生ずるおそれ」という表現。命に直結する機器だからこそ、国が審査するわけですね。

検定の2ステップ――型式承認と型式適合検定

検定は2段階で行われます。ここは試験でもよく問われるポイントです。

検定の2ステップ
ステップ① 型式承認
設計図の審査
総務大臣が型式(設計)を承認
ステップ② 型式適合検定
完成品の検査
製造した実物を個別にチェック
合格表示 → 販売・設置OK!

ステップ① 型式承認(消防法21条の3)

メーカーが「こういう設計の消火器を作りたいです」と申請し、総務大臣が設計(型式)を審査して承認します。

これは"設計図の審査"のイメージです。「この設計なら技術上の基準を満たしているからOK」という判断ですね。

実際の試験業務は日本消防検定協会(または登録検定機関)が、総務大臣の委託を受けて実施しています。

ステップ② 型式適合検定(消防法21条の4)

型式承認をもらった設計に基づいて実際に製造した製品を、個別に検査します。

型式承認が"設計図の審査"なら、型式適合検定は"完成品の検査"です。

「設計は良くても、実際に作ったら基準を満たしていなかった」――そんなことがないように、実物をチェックするわけですね。

合格表示と販売規制(消防法21条の5・21条の9)

型式適合検定に合格すると、製品に「合格の表示」(検定マーク)が付けられます。

そしてここが重要なルールです。

検定対象機械器具等で(中略)表示が付されていないものは、販売し又は販売の目的で陳列してはならず、また、(中略)設置、変更又は修理の請負に係る工事に使用してはならない。
――消防法 第21条の9(要約)

つまり、合格表示がない製品は「売ること」も「設置工事に使うこと」もできないということです。

消防設備士として工事をするときも、検定マーク付きの製品を使わなければなりません。ここは実務でも試験でも重要なポイントです。

検定対象機械器具等(12品目)

どの機器が検定の対象になるかは、施行令第37条で定められています。現在の検定対象は以下の12品目です。分野ごとに整理しました。

検定対象機械器具等 12品目(施行令37条)
消火系(4品目)
① 消火器
② 消火器用消火薬剤
③ 泡消火薬剤
④ 閉鎖型スプリンクラーヘッド
警報系(4品目)
⑤ 感知器又は発信機
⑥ 中継器
⑦ 受信機
⑧ 住宅用防災警報器
避難系(2品目)
⑨ 金属製避難はしご
⑩ 緩降機(かんこうき)
水系制御(2品目)
⑪ 流水検知装置
⑫ 一斉開放弁

覚え方のコツ

検定対象は「火災時に直接作動して命を守る"最前線"の機器」と考えると整理しやすいです。

  • 消す → 消火器・消火薬剤・泡消火薬剤・スプリンクラーヘッド
  • 見つける → 感知器・発信機・中継器・受信機・住宅用防災警報器
  • 逃げる → 金属製避難はしご・緩降機
  • 水を制御 → 流水検知装置・一斉開放弁

いずれも「動かなかったら人が死ぬ」レベルの機器ですね。だから国が厳しく検定するのです。

自主表示制度との違い(消防法21条の16の2)

検定制度とセットで覚えたいのが自主表示制度です。両者の違いを整理しましょう。

検定制度 自主表示制度
根拠法 法21条の2 法21条の16の2
審査する人 日本消防検定協会等 製造者自身
品目リスト 施行令37条(12品目) 施行令41条
イメージ 国のお墨付き メーカーの自己証明

自主表示制度は、「国の検定は不要だが、メーカーが自ら試験して基準適合を確認し、表示を付す」という制度です。

国の検定ほど厳格ではないけれど、メーカーの自己申告だけでもない――その中間的な位置づけですね。

自主表示対象機械器具等(施行令41条)

自主表示の対象となる主な品目は以下のとおりです。

  • 動力消防ポンプ
  • 消防用ホース
  • 消防用吸管(きゅうかん)
  • 結合金具
  • 漏電火災警報器

検定対象と比べると、主に消防隊が使う機器が多いのが特徴です。

なぜ2つの制度に分かれているの?

理由はシンプルで、機器ごとに求められる品質保証のレベルが違うからです。

消火器や感知器は、火災時に最初に作動する"最前線"の機器です。使うのは一般市民であり、不良品だった場合に自分で判断・対処ができません。
→ だから国が厳しく検定する

一方、動力消防ポンプや消防用ホースは、主に消防隊(プロ)が使う機器です。使用前に状態確認ができるし、現場で予備の機材によるバックアップもできます。
→ だからメーカーの自主検査でも品質を担保できる

この"リスクの大きさに応じた規制の強弱"が、2つの制度を分けている理由です。

まとめ

  • 検定制度は、消防用機械器具の品質を国が事前に審査する仕組み(消防法21条の2)
  • 検定は2段階:①型式承認(設計審査)→ ②型式適合検定(完成品検査)
  • 合格表示がない製品は販売も設置工事への使用も禁止(法21条の9)
  • 検定対象は12品目(施行令37条)――命に直結する"最前線"の機器
  • 自主表示制度(法21条の16の2)は、メーカーが自ら検査して表示を付す制度
  • 2つの制度の違いは「リスクの大きさに応じた規制の強弱

理解度チェック!まとめ問題

Q1. 検定の手順

検定制度における2段階の審査の正しい順序はどれか。

A)型式適合検定 → 型式承認
B)型式承認 → 型式適合検定
C)自主表示 → 型式承認
D)型式適合検定 → 自主表示

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正解:B)型式承認 → 型式適合検定

まずステップ①として型式承認(設計図の審査)を受け、次にステップ②として型式適合検定(完成品の検査)を受けます。設計をチェックしてから実物をチェックする――この順番がポイントです。

Q2. 検定対象の判別

次のうち、検定対象機械器具等に該当しないものはどれか。

A)閉鎖型スプリンクラーヘッド
B)住宅用防災警報器
C)動力消防ポンプ
D)緩降機

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正解:C)動力消防ポンプ

動力消防ポンプは「自主表示対象機械器具等」であり、検定対象ではありません。消防隊が使うプロ用の機器なので、使用前に状態確認ができることから、メーカーの自主検査で品質を担保できると考えられています。

Q3. 制度の本質を考える(応用問題)

消火器は「検定対象」、消防用ホースは「自主表示対象」である。この分類の違いの理由として最も適切なものはどれか。

A)消火器は製造コストが高く、品質のばらつきが大きいから
B)消防用ホースは耐用年数が短く、頻繁に交換されるから
C)消火器は一般市民が使う機器であり不良品を見抜けないが、消防用ホースはプロが使用前に状態確認できるから
D)消防用ホースは海外製品が多く、国の検定が難しいから

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正解:C)消火器は一般市民が使う機器であり不良品を見抜けないが、消防用ホースはプロが使用前に状態確認できるから

検定対象と自主表示対象を分ける基準は「使用者がリスクを自分で管理できるか」です。消火器は一般市民がパニック状態で使う機器であり、不良品かどうかを見抜くことができません。一方、消防用ホースは消防隊というプロが使い、使用前の点検や予備機材でのバックアップが可能です。製造コストや耐用年数は、検定対象かどうかの判断基準ではありません。

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