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統括防火管理者とは?消防法第8条の2をわかりやすく解説

この記事の要点

統括防火管理者は、管理権原が分かれている防火対象物で、建物全体の防火管理をまとめる役割です。消防法8条の2、消防法施行令3条の3・4条・4条の2、消防法施行規則4条を中心に、選任対象、資格要件、全体消防計画、届出、防火管理者との違いを整理します。

統括防火管理者とは

統括防火管理者とは、管理について権原が分かれている防火対象物で、建物全体の防火管理上必要な業務を統括する防火管理者です。

テナントビルや複合用途の建物では、各テナントの防火管理者だけでは、廊下、階段、避難口などの共用部分や、建物全体の訓練・連絡体制が抜け落ちるおそれがあります。そこで、個別部分ではなく防火対象物全体を見て調整する役割が必要になります。

根拠条文

中心になる条文は、消防法第8条の2です。条文では、対象となる防火対象物の管理について権原を有する者が、政令で定める資格を有する者のうちから、統括防火管理者を協議して定めることを求めています。

統括防火管理者は、全体についての消防計画、消火・通報・避難訓練、廊下・階段・避難口など避難上必要な施設の管理などを行います。

※ 条文全文は e-Gov法令検索(消防法)、対象や資格は e-Gov法令検索(消防法施行令)、全体消防計画は e-Gov法令検索(消防法施行規則) で確認できます。

選任が必要になる主な防火対象物

統括防火管理者は、単に「テナントがある建物なら全部必要」という制度ではありません。まず管理について権原が分かれていることが前提です。そのうえで、消防法8条の2と消防法施行令3条の3に該当するかを確認します。

区分 対象の考え方 確認ポイント
高層建築物 高さ31mを超える建築物 用途よりも高さと管理権原の分かれ方を見る
福祉施設系 別表第一(6)項ロなどで、地階を除く階数3以上かつ収容人員10人以上 自力避難が難しい利用者がいる用途は人数基準が小さい
特定防火対象物系 劇場、飲食店、物販、旅館、病院等の一定用途で、地階を除く階数3以上かつ収容人員30人以上 用途項目と収容人員をセットで見る
複合用途の非特定系 別表第一(16)項ロで、地階を除く階数5以上かつ収容人員50人以上 単なる事務所単体ではなく、(16)項ロ該当性を確認する
地下街 管理権原が分かれており、消防長又は消防署長が指定するもの 地下街は指定の有無も確認する

試験では、「管理権原が分かれているか」「用途項目」「階数」「収容人員」を順に確認すると判断しやすくなります。

資格要件は防火対象物の区分で変わる

統括防火管理者の資格は、消防法施行令4条で定められています。大きくは、対象となる防火対象物の区分に応じて、施行令3条1項1号または2号に定める防火管理者資格者を基礎にします。

したがって、どの建物でも同じ資格でよい、またはどの建物でも乙種でよいという覚え方は危険です。高層・大規模・特定用途などでは、甲種防火管理講習修了者等として整理するのが基本です。一方で、施行令4条には小規模区分の扱いもあるため、条文上は対象区分ごとの確認が必要です。

見方 内容
大規模・高層・主要な対象 施行令3条1項1号に定める者を基礎に整理する
一定の小規模区分 施行令3条1項2号に定める者が出てくる場合がある
共通条件 防火対象物全体の防火管理上必要な業務を適切に遂行するための権限と知識が必要

統括防火管理者の主な職務

消防法8条の2、消防法施行令4条の2、消防法施行規則4条を合わせると、統括防火管理者の職務は次のように整理できます。

  • 防火対象物全体についての消防計画を作成し、届け出る
  • 全体消防計画に基づき、消火、通報、避難の訓練を実施する
  • 廊下、階段、避難口など避難上必要な施設を管理する
  • 火災時の通報連絡、避難誘導、消防隊への情報提供を整理する
  • 必要に応じて、各部分の防火管理者に必要な措置を指示する

各テナント側の防火管理者が作る消防計画も、統括防火管理者が作る全体消防計画に適合している必要があります。

届出で押さえること

場面 届出の考え方
統括防火管理者を定めたとき 管理について権原を有する者が、遅滞なく所轄消防長又は消防署長へ届け出る
統括防火管理者を解任したとき 選任時と同じく、遅滞なく届け出る
全体消防計画を作成・変更するとき 統括防火管理者が、管理権原者の確認を受けて届け出る

防火管理者との違い

項目 防火管理者 統括防火管理者
根拠 消防法8条 消防法8条の2
見る範囲 管理権原が及ぶ個別部分 防火対象物全体
選任の考え方 管理権原者が定める 管理権原者が協議して定める
消防計画 個別部分の消防計画 全体についての消防計画
指示関係 自分の管理範囲を管理する 必要に応じて各部分の防火管理者へ措置を指示できる

選任されていない場合や業務不履行の場合

消防長又は消防署長は、対象となる防火対象物について統括防火管理者が定められていないと認める場合、管理について権原を有する者に対し、統括防火管理者を定めるべきことを命ずることができます。

また、統括防火管理者が行うべき防火管理上必要な業務が、法令や全体消防計画に従って行われていないと認める場合には、必要な措置を講ずべきことを命ずることができます。この命令については、標識の設置などによる公示の規定も準用されます。

罰則は違反の内容や根拠条文によって異なります。試験では、金額を丸暗記するよりも、まず「選任義務」「届出」「全体消防計画」「命令と公示」を分けて押さえる方が安全です。

試験で狙われるポイント

  • 管理権原が分かれていることが前提になる
  • 統括防火管理者は、建物全体の防火管理を扱う
  • 全体消防計画は、統括防火管理者が作成し届け出る
  • 各部分の消防計画は、全体消防計画に適合する必要がある
  • 対象建物は、消防法8条の2と消防法施行令3条の3で確認する
  • 資格要件は、消防法施行令4条で防火対象物の区分ごとに確認する
  • 地下街は、管理権原の分かれ方に加えて指定の有無も見る

関連する条文・制度をセットで学ぼう

統括防火管理者は、防火管理制度の中で「個別部分」と「建物全体」をつなぐテーマです。次の記事と合わせて読むと整理しやすくなります。

理解度チェック

Q1. 統括防火管理者の選任方法

統括防火管理者の選任方法として正しいものはどれか。

A)消防署長が統括防火管理者を直接指名する
B)管理について権原を有する者が協議して定める
C)各テナントの防火管理者が多数決で定める
D)建物所有者だけが単独で定め、他の管理権原者の協議は不要である

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正解:B)管理について権原を有する者が協議して定める

消防法8条の2は、管理について権原を有する者が、統括防火管理者を協議して定める構造です。消防署長が直接指名する制度ではありません。

Q2. 対象判断

管理について権原が分かれている場合、統括防火管理者の選任対象としてまず確認すべきものはどれか。

A)高さ31mを超える建築物
B)地上2階建て・収容人員20人の飲食店だけで構成される建物
C)管理権原が分かれていない単独所有の小規模事務所
D)用途や階数に関係なく、テナントが1つでも入れば必ず対象

解答を見る

正解:A)高さ31mを超える建築物

消防法8条の2では、高層建築物を対象の一つにしています。ただし、管理権原が分かれていることが前提です。Bは階数・収容人員の条件を満たしません。Cは管理権原が分かれていません。Dのような一律判断ではありません。

Q3. 統括防火管理者の職務

統括防火管理者の職務として適切なものはどれか。

A)各テナントの営業内容を決定する
B)全体消防計画を作成し、全体の訓練や避難施設の管理を行う
C)消防用設備等の検定を行う
D)建築確認の同意を行う

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正解:B)全体消防計画を作成し、全体の訓練や避難施設の管理を行う

統括防火管理者は、防火対象物全体の消防計画、訓練、避難上必要な施設の管理などを担います。検定制度や消防同意とは別の制度です。

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