甲種4類/乙種4類

電気計測器の基礎|電圧計・電流計・回路計・絶縁抵抗計をわかりやすく解説

結論:計測器は「何を・どうつなぐか」がすべて

結論から言います。

電気計測器で最も大切なのは、「何を測るか」と「どうつなぐか」の2つです。

電圧計
測るもの:電圧〔V〕
つなぎ方:並列(回路に横から触れる)
内部抵抗:大きい
電流計
測るもの:電流〔A〕
つなぎ方:直列(回路の中に割り込む)
内部抵抗:小さい

この「並列か直列か」「内部抵抗は大きいか小さいか」のセットは、試験でそのまま出題されます。さらに甲種4類では、絶縁抵抗計(メガー)回路計(テスター)の使い方もよく問われます。

ひとつずつ見ていきましょう。

試験での出題パターン

・甲種4類の筆記で毎回2〜3問出題される重要テーマ
・「電圧計=並列・内部抵抗大 / 電流計=直列・内部抵抗小」のセット問題が定番
・「倍率器の公式」と「分流器の公式」の計算問題が毎回出る
実技(鑑別)ではテスター・メガー・クランプメーターの写真を見て名称・用途を答える
引っかけ:「絶縁抵抗計は通電中に使用できる」→ ×(正しくはクランプメーター)

電圧計のしくみ

なぜ「並列」につなぐのか?

電圧とは、回路の2点間の電位差(電気的な高さの差)です。2点間の差を測るわけですから、回路を切断せずに横から2点に触れるのが自然です。これが並列接続です。

なぜ内部抵抗が「大きい」のか?

もし電圧計の内部抵抗が小さいと、電圧計自身に大きな電流が流れ込んでしまいます。すると回路の状態が変わり、正確な電圧が測れなくなるのです。

内部抵抗を大きくすることで、電圧計にはほとんど電流が流れず、回路に影響を与えずに測定できます。

覚え方:電圧計は「見るだけ」の計器。回路に手を出さない(電流を奪わない)から、内部抵抗は大きい。

倍率器 — 測定範囲を広げる

電圧計には測定できる上限があります。これを超える電圧を測りたいとき、電圧計に直列に抵抗をつなぐことで測定範囲を広げます。この抵抗を倍率器(ばいりつき)といいます。

倍率器の抵抗 = r ×(n − 1)
r:電圧計の内部抵抗 n:倍率(測定範囲を何倍にしたいか)

例:内部抵抗 10kΩ の電圧計で、測定範囲を3倍にしたい場合
倍率器の抵抗 = 10kΩ ×(3 − 1)= 20kΩ

電流計のしくみ

なぜ「直列」につなぐのか?

電流とは、回路を流れる電気の量です。流れの量を測るには、水道メーターのように流れの中に割り込んで通過量を計るしかありません。だから直列接続です。

なぜ内部抵抗が「小さい」のか?

電流計を回路に直列につなぐということは、電流計自体が回路の一部になるということです。もし内部抵抗が大きいと、そこで電圧降下が起きて回路全体の電流が減ってしまい、正確に測れません。

内部抵抗を小さくすることで、電流計があってもなくても回路の状態がほとんど変わらず、正しい電流値が測れます。

覚え方:電流計は「流れの中に入る」計器。流れを邪魔しない(電圧を奪わない)から、内部抵抗は小さい。

分流器 — 測定範囲を広げる

大きな電流を測りたいとき、電流計に並列に抵抗をつなぐことで測定範囲を広げます。この抵抗を分流器(ぶんりゅうき)といいます。

電流の一部を分流器に逃がして、電流計に流れる量を減らすイメージです。

分流器の抵抗 = r ÷(n − 1)
r:電流計の内部抵抗 n:倍率(測定範囲を何倍にしたいか)

例:内部抵抗 5Ω の電流計で、測定範囲を10倍にしたい場合
分流器の抵抗 = 5Ω ÷(10 − 1)≒ 0.56Ω

倍率器と分流器の比較

項目 倍率器 分流器
用途 電圧計の範囲拡大 電流計の範囲拡大
つなぎ方 電圧計に直列 電流計に並列
公式 r ×(n − 1) r ÷(n − 1)

「倍率器は掛け算(直列 → 抵抗が増える方向)」「分流器は割り算(並列 → 抵抗が減る方向)」と覚えると混同しにくくなります。

回路計(テスター)

回路計とは、1台で電圧・電流・抵抗を測定できる万能計測器です。現場ではテスターまたはマルチメーターとも呼ばれます。

回路計の種類

種類 特徴
アナログ式 針が振れて値を示す。可動コイル型が一般的
デジタル式 数値で表示。読み取りミスが少ない

回路計で測れるもの

測定項目 つなぎ方
直流電圧(DCV) 測定箇所に並列
交流電圧(ACV) 測定箇所に並列
直流電流(DCA) 測定箇所に直列
抵抗(Ω) 回路の電源を切って測定

回路計の使い方で注意すべきポイント

1. 抵抗測定は必ず電源OFF

電源が入ったまま抵抗を測ると、回路計の内蔵電池と外部電源が干渉して回路計が壊れる可能性があります。抵抗測定(Ωレンジ)は必ず電源を切ってから行います。

2. 測定レンジの選択

予想される値より大きいレンジから測定を始めます。いきなり小さいレンジで大きな電圧や電流を測ると、針が振り切れたり、回路計が破損する危険があります。

3. 0Ω調整(アナログ式のみ)

抵抗測定の前に、2本のテストリードを短絡(ショート)させて針がちょうど0Ωを指すように調整します。内蔵電池の消耗で0点がずれるためです。

絶縁抵抗計(メガー)

絶縁抵抗計は、電線と電線の間や、電線と大地(アース)の間の絶縁状態を確認する計器です。通称「メガー」と呼ばれます(MΩ=メガオームを測ることから)。

なぜ絶縁抵抗を測るのか?

電線の被覆(ひふく)が劣化すると、本来流れるべきでない経路に電流が漏れ出します。これが漏電(ろうでん)です。漏電は感電事故や火災の原因になります。

消防設備は火災時に確実に動かなければなりません。絶縁不良があると、火災報知設備が誤動作したり、いざというときに動かない可能性があります。だから絶縁抵抗の測定は、消防設備の点検で非常に重要なのです。

絶縁抵抗計の基準値

電気設備技術基準では、使用電圧の区分ごとに最低限の絶縁抵抗値が定められています。

電路の使用電圧 絶縁抵抗値
300V以下(対地電圧150V以下) 0.1MΩ以上
300V以下(その他) 0.2MΩ以上
300Vを超えるもの 0.4MΩ以上

消防設備の電路は一般的に対地電圧150V以下なので、0.1MΩ以上が基準になることが多いです。

絶縁抵抗計の使い方

1. 必ず電源を切る

通電中に絶縁抵抗計を使うと、測定用の高電圧で機器を壊すおそれがあります。必ず電源OFFで測定します。

2. 測定電圧の選択

電路の使用電圧 測定電圧
300V以下 500Vメガー
300V超〜600V以下 500Vメガー
600V超 1000Vメガー

3. 測定の種類

線間絶縁抵抗
電線と電線の間を測定
L端子→一方の電線
E端子→もう一方の電線
対地絶縁抵抗
電線と大地(アース)の間を測定
L端子→電線
E端子→接地(アース)

接地抵抗計

接地抵抗計は、接地(アース)工事が正しくできているかを確認する計器です。

なぜ接地が必要なのか?

接地とは、機器の金属部分を地面に導体で接続することです。万が一漏電が起きたとき、漏れた電流を大地に逃がして感電を防ぐためです。

接地抵抗が大きいと、漏電しても電流がうまく大地に流れず、感電の危険が増します。だから接地抵抗は規定値以下であることが求められます。

接地工事の種類と抵抗値

種類 接地抵抗
A種接地工事 10Ω以下
B種接地工事 計算で決まる
C種接地工事 10Ω以下(緩和500Ω)
D種接地工事 100Ω以下(緩和500Ω)

消防設備の自火報(自動火災報知設備)では、受信機の外箱にD種接地工事が必要です。

測定の方法

接地抵抗計は、被測定接地極のほかに補助接地極を2本(電圧極P・電流極C)地面に打ち込んで測定します。3本の極を一直線に、それぞれ10m以上離して配置するのが基本です。

クランプメーター

クランプメーターは、電線を切断せずに電線を挟むだけで電流を測定できる計器です。

原理

電線に電流が流れると、その周りに磁界が発生します。クランプメーターはこの磁界を検出して電流値に変換します。電磁誘導の原理を利用した計器です。

特徴

クランプメーターの特徴
・回路を切断しないで測定可能
活線状態(通電中)で測定できる
・主に交流電流の測定に使用
・漏れ電流の測定にも使える

消防設備の点検では、通電中の回路の電流を確認する場面で活躍します。回路を切断して電流計を入れるのは現場では手間がかかるため、クランプメーターが便利です。

鑑別問題ではこう出る!

甲4の実技(鑑別)では、計測器の写真を見て名称と用途を答える問題が出ます。
・テスター(回路計)の写真 → 「回路計。電圧・電流・抵抗を測定する」
・メガー(絶縁抵抗計)の写真 → 「絶縁抵抗計。電路の絶縁状態を確認する」
・クランプメーターの写真 → 「クランプメーター。回路を切断せずに電流を測定する」
実物を見たことがあると、試験本番で迷いません。点検現場で実際に使われている計測器を、下のリンクで確認してみてください。

計測器の使い分け(まとめ)

消防設備でよく使う計測器
回路計(テスター)
電圧・電流・抵抗
を1台で測定
万能型
絶縁抵抗計
電線の絶縁状態を
確認する
漏電チェック
接地抵抗計
アースの良否を
確認する
感電防止

よくある間違いと試験対策

間違い①:電圧計と電流計のつなぎ方を逆にする
電圧計=並列、電流計=直列。これを逆に覚えると全問落とします。
覚え方:「電圧は横から触れる(並列)、電流は流れに割り込む(直列)」。水道に例えると、水圧計は管の横に付ける(並列)、流量計は管の途中に挟む(直列)です。
間違い②:倍率器と分流器の公式を逆にする
・倍率器(電圧計用):R = r ×(n−1)→ 掛け算
・分流器(電流計用):R = r ÷(n−1)→ 割り算
覚え方:「倍(バイ)率器はバイ(×)」「分(ブン)流器はブン(÷)」。さらに「倍率器は直列(抵抗が増える=掛け算方向)」「分流器は並列(抵抗が減る=割り算方向)」と物理的な意味で確認すると忘れません。
間違い③:メガーとテスターの使い分けを間違える
・テスター(回路計)→ 電圧・電流・抵抗を測定。内蔵電池の低電圧で動作
・メガー(絶縁抵抗計)→ 絶縁抵抗を測定。500V〜1000Vの高電圧を加える
試験では「絶縁抵抗をテスターで測定した」→ ×。テスターの抵抗レンジはMΩレベルの高い値を正確に測れません。絶縁抵抗の測定には必ず専用のメガーを使うのが正解です。

関連記事で理解を深めよう

計測器の知識は、電気基礎の他の分野や消防設備の点検と密接に関わっています。

鑑別問題では計測器の実物写真が出ます。事前に見ておくと試験本番で迷いません。各類の参考書選びはおすすめ参考書と勉強法(4類)を参考にしてください。

鑑別対策に:実物を見ておこう

消防設備の現場で実際に使われている計測器です。鑑別問題で写真を見たとき、「あ、これ知ってる」と即答できるようになります。

「計測器の使い方を動画で確認したい」という方は、通信講座も選択肢のひとつです。

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まとめ問題

問題1:電圧計を回路に接続する方法として、正しいものはどれか。

(1)回路に直列に接続し、内部抵抗は小さいものを用いる
(2)回路に直列に接続し、内部抵抗は大きいものを用いる
(3)回路に並列に接続し、内部抵抗は小さいものを用いる
(4)回路に並列に接続し、内部抵抗は大きいものを用いる

解答を見る

正解:(4)
電圧計は回路の2点間の電位差を測る計器なので、並列に接続します。また、電圧計に電流が流れると回路に影響を与えてしまうため、内部抵抗は大きいものを使います。(1)は電流計の説明、(3)は並列は合っていますが内部抵抗が逆です。

問題2:内部抵抗が 20kΩ の電圧計がある。測定範囲を5倍に拡大するために必要な倍率器の抵抗値として、正しいものはどれか。

(1)4kΩ
(2)20kΩ
(3)80kΩ
(4)100kΩ

解答を見る

正解:(3)
倍率器の公式は R = r ×(n − 1)です。
R = 20kΩ ×(5 − 1)= 20kΩ × 4 = 80kΩ
倍率器は電圧計に直列につなぐ抵抗で、電圧を分担させることで測定範囲を広げます。

問題3:絶縁抵抗計(メガー)に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)電路の絶縁状態を確認するために使用する
(2)測定は電源を切った状態(無通電)で行う
(3)対地電圧150V以下の電路の絶縁抵抗は0.1MΩ以上必要である
(4)通電中の回路の漏れ電流を直接測定できる

解答を見る

正解:(4)
絶縁抵抗計は測定用の高電圧を加えて絶縁抵抗を測る計器であり、必ず電源を切った状態で使用します。通電中に漏れ電流を測るのはクランプメーターの役割です。(1)〜(3)はすべて正しい記述です。

問題4(応用):消防設備の点検において、自動火災報知設備の配線の絶縁抵抗を測定した。回路計(テスター)の抵抗レンジではなく、絶縁抵抗計(メガー)を使うべき理由として、最も適切なものはどれか。

(1)回路計より測定値が正確だから
(2)回路計は高い抵抗値を測定できないから
(3)回路計は交流回路にしか使えないから
(4)絶縁抵抗計のほうが測定時間が短いから

解答を見る

正解:(2)
絶縁抵抗はMΩ(メガオーム)レベルの非常に高い値です。回路計(テスター)の抵抗レンジは内蔵電池(数V)で測定するため、せいぜい数MΩ程度までしか正確に測れません。一方、絶縁抵抗計は500Vや1000Vの高電圧を加えて測定するため、高い絶縁抵抗値を正確に測定できます。これが「絶縁抵抗の測定には専用のメガーを使う」理由です。

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