全類共通

消防用設備等の種類について

結論:消防用設備等は「3設備+消防用水+消火活動上必要な施設」

消防用設備等とは、消防法17条1項に定められた、建物に設置が義務づけられる防火・消火・避難のための設備の総称です。

大きく分けると5つのカテゴリに分類されます。

試験での出題頻度

この分類は全類共通の法令問題で必ず出題されます。「消火設備に含まれるものはどれか」「消火活動上必要な施設を全て選べ」といった形式が定番。5分類と各設備の名称を正確に覚えることが合格の第一歩です。

消防用設備等の全体像(施行令7条)
消防の用に供する設備
消火設備(2項)
消火器・屋内消火栓・SP 等

警報設備(3項)
自火報・漏電火災警報器 等

避難設備(4項)
避難器具・誘導灯 等

消防用水
防火水槽
貯水池
その他の用水
(5項)
消火活動上必要な施設
排煙設備
連結散水設備
連結送水管
非常コンセント設備
無線通信補助設備
(6項)

なぜこの5分類なのか?

消防用設備等は「火災のどの段階で使うか」で分類されています。

段階 分類 役割
火を消す 消火設備 初期消火〜本格消火
火災を知らせる 警報設備 発見→通報→避難誘導
人を逃がす 避難設備 安全な場所への避難手段
水を確保する 消防用水 消防隊の放水用ストック
消防隊を支援する 消火活動上必要な施設 プロの消火活動を円滑にする

試験では「消防用水は消火設備に含まれるか?」という引っかけが出ます。答えは含まれません。消防用水は消火設備とは別カテゴリです。

消火設備(施行令7条2項)

水その他消火剤を使用して消火を行う機械器具又は設備です。全部で10種類あります。

番号 設備名 ひとこと
1 消火器・簡易消火設備 水バケツ・水槽・乾燥砂・膨張ひる石も含む
2 屋内消火栓設備 建物内のホース+ノズル
3 スプリンクラー設備 天井から自動散水
4 水噴霧消火設備 霧状の水で冷却・窒息
5 泡消火設備 泡で油火災を覆い消火
6 不活性ガス消火設備 CO₂等で窒息消火
7 ハロゲン化物消火設備 化学反応で消火
8 粉末消火設備 粉末薬剤で消火
9 屋外消火栓設備 建物の外から放水
10 動力消防ポンプ設備 エンジン式のポンプ

覚え方のコツ:「消火器(1番)→ 水系4つ(2〜5番)→ ガス系3つ(6〜8番)→ 屋外系2つ(9〜10番)」とグループ分けすると覚えやすくなります。

警報設備(施行令7条3項)

火災の発生を報知する機械器具又は設備です。

番号 設備名 ひとこと
1 自動火災報知設備 感知器+受信機で自動検知
1の2 ガス漏れ火災警報設備 ガス漏れを検知
2 漏電火災警報器 漏電による火災を防止
3 消防機関へ通報する火災報知設備 119番に自動通報
4 非常警報器具・非常警報設備 警鐘・非常ベル・放送設備等

試験ポイント:「漏電火災警報」は「設備」ではなく「」です。名称の違いがそのまま引っかけ問題になります。

避難設備(施行令7条4項)

火災が発生した場合において避難するために用いる機械器具又は設備です。

番号 設備名 ひとこと
1 避難器具 滑り台・避難はしご・救助袋・緩降機・避難橋等
2 誘導灯・誘導標識 緑色の「EXIT」サイン

試験ポイント:誘導灯は「避難設備」に分類されます。「警報設備」と間違える受験生が多いので注意。光で「ここから逃げろ」と示すのが目的なので、避難設備です。

消防用水(施行令7条5項)

消防用水とは、消防隊がすぐに大量の水を取れるストックです。消火栓では水が足りない場合や、水道が止まる恐れがある場合に備えて、あらかじめ確保・表示しておく水利を指します。

種別 特徴 容量の目安
防火水槽 地下埋設のコンクリート槽。地上に赤い吸管口と「防火水槽」標識。公園・駐車場の地下によくある 40〜100 m³
貯水池・ため池 工場敷地内の専用池や農業用池を兼用。取水デッキを設置 数百〜数千 m³
河川・プール等 消防署が「水利」として指定。プールは25m=約350m³の大容量 ―(自然水/施設)

消火活動上必要な施設(施行令7条6項)

消防隊の消火活動を支援するための設備です。5種類あり、全て覚える必要があります。

施設名 役割 具体例
排煙設備 煙を屋外に排出し、視界と呼吸を確保 ショッピングモール吹抜けの自動開放窓、地下駐車場の排煙ファン
連結散水設備 消防車の水を建物内配管に送り、天井のヘッドから散水 地下駐車場・大型倉庫。常時は空管で凍結の心配なし
連結送水管 消防車の水を上階へ送り、放水口からホースで消火 高層ビルの各階にある「放水口」。7階以上の建物に設置義務
非常コンセント設備 消防隊の照明・電動工具用の電源コンセント 11階以上の建物に設置。停電時も非常電源で使用可能
無線通信補助設備 地下で消防無線が届くよう中継する設備 地下街・地下駐車場。漏洩同軸ケーブルで電波を中継

覚え方のコツ:は(排煙)・れ(連結散水)・れ(連結送水管)・ひ(非常コンセント)・む(無線通信)」の頭文字で「ハレレヒム」。語感がユニークなので一度覚えたら忘れません。

連結散水設備と連結送水管の違い

名前が似ていて混同しやすい2つを比較します。

比較項目 連結散水設備 連結送水管
放水方法 天井の散水ヘッドから自動散水 各階の放水口にホースを繋いで手動放水
使う場所 地下駐車場・大型倉庫 高層ビル(7階以上)
誰が操作 消防隊が送水口へ接続 消防隊が放水口にホースを接続

試験では「連結散水設備」と「連結送水管」の違いを問う問題が出ます。散水=ヘッドから自動、送水=ホースで手動、と覚えましょう。

消火活動上必要な施設の登場経緯——なぜこの5つが選ばれたのか

排煙・連結散水・連結送水管・非常コンセント・無線通信補助の5施設は、それぞれ過去の重大火災や都市構造の変化を契機として消防法体系に組み込まれてきました。「なぜこの5つなのか」を歴史的背景で押さえると、設置基準の数値(後述)も腑に落ちます。

施設 法令上の位置づけ強化の契機 背景・解決した課題
排煙設備 1972年大阪・千日デパート火災(118名死亡)後の建築基準法・消防法改正 避難階段が煙突状に煙で満たされ、多数が一酸化炭素中毒で死亡。煙制御の必要性が決定づけられた
連結送水管 1960年代後半〜超高層ビル時代到来期 はしご車が届かない階の消火活動には各階放水口が不可欠。施行令6条→7条体系への発展経緯で位置づけ強化
連結散水設備 1970年代〜地下駐車場・地下街の普及期 地下空間は消防隊の進入が困難。送水口から外部給水→天井ヘッドで散水する仕組みが必要に
非常コンセント設備 1973年熊本・大洋デパート火災(103名死亡)後 高層階での消火活動に投光器・電動工具の電源確保が必須と判明。商用電源停止下でも使える非常コンセントが整備された
無線通信補助設備 1980年代地下街整備+阪神大震災(1995年)地下空間救助活動経験 地下では消防無線が躯体に遮られ届かない。漏洩同軸ケーブルで電波を「漏らす」中継設備の整備が進んだ

受験ポイント:「なぜ消火活動上必要な施設にこれが入っているのか?」を歴史で押さえると、関連条文(消防法施行令28条・29条・29条の2・29条の3)の数値も意味を持って覚えられます。試験で年号自体は出ませんが、「設備が解決した課題」=煙/高層/地下/電源/無線の5キーワードとして整理しておくと、選択肢の引っかけに強くなります。

設置義務基準の数値カード一覧

5施設+消防用水の設置義務階数・面積を1画面で把握できる数値カードです。試験で頻出の数値は、すべて消防法施行令28条/29条/29条の2/29条の3を一次情報としています。試験直前に「数値だけザッと見直したい」とき、ここを開いて30秒で確認できます。

排煙設備
延床1,000㎡以上の特定防火対象物/無窓階/地階・3階以上の階に応じた基準
連結散水設備
地階の床面積合計700㎡以上(特定防火対象物では1,000㎡以上)
連結送水管
7階以上/5階以上で延床6,000㎡以上/地階を含む3階以上で延床1,000㎡以上の特防
非常コンセント設備
11階以上の階すべて/延床1,000㎡以上の地下街
無線通信補助設備
延床1,000㎡以上の地下街
消防用水
敷地面積20,000㎡以上かつ1〜2階建で延床3,000㎡以上等の規模要件

暗記のコツ:まず覚えるのは 1,000㎡/7階/11階/20,000㎡ の4つだけ。後から例外を肉付けするほうが効率的です。「7階=送水管/11階=コンセント/20,000㎡=消防用水」を語呂で押し込みましょう(送(おくる)はナナ・コンセントはトオ(10)の上=十一・消防用水は二万(ふたまん))。

現場で見る消火活動施設——実務目線の見え方

「設備名は覚えたけど実物を見たことがないからピンとこない」――鑑別問題でつまずく受験生に共通する悩みです。点検員・ビル管理者の目線で実機がどう見えるかを3点だけ押さえておくと、見た目から設備名を逆引きする問題で迷いません。

非常コンセント設備

オフィスビルの階段付近に、赤い蓋の差込口として設置されている。蓋を開けると100V/15A程度の専用コンセントが現れる。点検は月1回のプラグインテストで電圧と接地を確認。停電時に消防隊が照明・破壊器具を使うための専用電源であり、一般機器の電源用途には使ってはならない。

無線通信補助設備

地下街の天井裏に、電波を「漏らす」専用ケーブル(漏洩同軸ケーブル=LCXケーブル)が30〜50mピッチで延びている。地下空間では消防無線が建物の躯体に遮断されるため、このケーブルが電波を中継して指揮系統の通信を維持する。点検は無線端末で受信レベルを実測し、規定値を下回っていれば増設・調整する。

連結送水管放水口

高層階の階段室付近に、白い丸プレート+ホース接続口として設置されている。素人が見ると屋内消火栓と紛らわしいが、放水口の表示と「送水口は1階の屋外側に対になって存在する」のセット関係を見れば判別できる。3年に1回の総合点検では、送水口から実際に加圧して各階で放水試験を行い、規定の放水圧・放水量が出ることを確認する。

試験への接続:鑑別問題では「赤い蓋の差込口の設備名」「LCXケーブルの用途」「白丸プレート+ホース接続口の設備名」のように、写真や図から設備を特定する形式が問われます。見た目の特徴 → 設備名 → 設置基準(上の数値カード参照)の3点セットで覚えるのが最短ルートです。

まとめ

分類 内容
消火設備 消火器・屋内外消火栓・SP・水噴霧・泡・ガス系・粉末・動力消防ポンプ(10種)
警報設備 自火報・ガス漏れ・漏電火災警報器・通報・非常警報(5種)
避難設備 避難器具・誘導灯/標識(2種)
消防用水 防火水槽・貯水池等
消火活動上必要な施設 排煙・連結散水・連結送水管・非常コンセント・無線通信(5種)

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理解度チェック問題

問題1. 消防法施行令7条に定める「消防の用に供する設備」に含まれないものはどれか。
(1)消火設備
(2)警報設備
(3)避難設備
(4)消防用水

解答を見る

正解:(4)消防用水
「消防の用に供する設備」は消火設備・警報設備・避難設備の3つです。消防用水は別カテゴリであり、含まれません。これは頻出の引っかけ問題です。

問題2. 次のうち、消火設備に含まれないものはどれか。
(1)屋内消火栓設備
(2)自動火災報知設備
(3)泡消火設備
(4)動力消防ポンプ設備

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正解:(2)自動火災報知設備
自動火災報知設備は「警報設備」です。名前に「火災」が入っていますが、消火ではなく報知(知らせること)が目的です。

問題3. 次のうち、消火活動上必要な施設に含まれないものはどれか。
(1)排煙設備
(2)連結送水管
(3)誘導灯
(4)無線通信補助設備

解答を見る

正解:(3)誘導灯
誘導灯は「避難設備」に分類されます。消火活動上必要な施設は、排煙設備・連結散水設備・連結送水管・非常コンセント設備・無線通信補助設備の5つです。

問題4. 連結散水設備の説明として正しいものはどれか。
(1)常時配管内に水が充填されており、感熱体が作動すると自動で散水する
(2)消防ポンプ車が送水口に接続して外部から水を供給し、散水ヘッドから放水する
(3)各階に設置された放水口にホースを接続して手動で放水する
(4)建物内に設置された消防用ポンプで加圧して放水する

解答を見る

正解:(2)
連結散水設備は、常時は配管内が空(乾式)で、火災時に消防車が送水口へ接続して水を送ります。(1)はスプリンクラー設備、(3)は連結送水管の説明です。

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