全類共通

消防用設備等の種類について

消防法17条1項が求める「消防用設備等」の全体像

消防用設備等とは(消防法17条1項の)

消防用設備等とは政令で定める消防の用に供する設備、消防用水及び消火活動上必要な施設をいう。
②政令で定める消防の用に供する設備とは、消火設備、警報設備及び避難装備とする(消防法施行令7条1項)


消火設備(消防法施行令7条2項)

水その他消火剤を使用して消火を行う機械器具又は設備であって次に掲げるものとする。

  1. 消火器及び次に掲げる簡易消火設備
    イ.水バケツ ロ.水槽 ハ.乾燥砂 ニ.膨張ヒル石又は膨張真珠岩
  2. 屋内消火栓設備
  3. スプリンクラー設備
  4. 水噴霧消火設備
  5. 泡消火設備
  6. 不活性ガス消火設備
  7. ハロゲン化物消火設備
  8. 粉末消火設備
  9. 屋外消火栓設備
  10. 動力消防ポンプ設備

警報設備とは(消防法施行令7条3項)

火災の発生を報知する機械器具又は設備であって次に掲げるもの

  1. 自動火災報知設備
    1の2.ガス漏れ火災警報設備
  2. 漏電火災警報器
  3. 消防機関へ通報する火災報知設備
  4. 警鐘・携帯用覚醒器・手動式サイレンその他の非常警報器具及び次に掲げる非常警報設備
    イ.非常ベル ロ.自動式サイレン ハ.放送設備

避難設備とは(消防法施行令7条4項)

火災が発生した場合において非難するために用意る機会器具又は設備であって次に掲げるものとする

  1. 滑り台・避難はしご・救助袋・緩降機・避難橋その他の避難器具
  2. 誘導灯及び誘導標識

消防用水(消防法施行令7条5項)

消防法17条1項の政令で定める消防用水は、防火水槽又はこれに代わる貯水池その他の用水とする

消防用水とは?

ひと言でいうと: ――消防隊が“すぐに大量の水”を取れるストック。
消火栓では足りない/水道が止まる恐れがある――そんな場面でも確実に放水できるよう、あらかじめ確保・表示しておく水利を指します(消防法施行令7条5項)。



具体例でイメージする消防用水

種別どんな形?容量のめやすよくある設置場所・例
防火水槽(地下タンク)地下に埋設したコンクリート槽。地上に赤い吸管口・標識柱「防火水槽」。40 m³(中規模街区)〜100 m³(木造密集地域)住宅街の公園・駐車場の下/商業施設の歩道下
簡易防火水槽FRP製の円筒タンクを地表に設置。フタ付き。10〜20 m³山間部の集会所前/農村集落の道路脇
専用貯水池工場・物流倉庫の敷地内に掘られた池。波除柵+取水デッキ。数百 m³石油化学コンビナート/大型倉庫団地
河川・用水路消防署が「水利」として指定。取水点に黄色杭+「取水口」の標識。―(自然水)中小河川の橋脚付近/用水路の広い地点
ため池・農業用貯水池農地用の池を兼用。舟形のフロート取水口を設けることも。数千 m³農村部、ゴルフ場の調整池
池・噴水・親水公園景観水面だが、水深1 m以上+吸管口を設ければ指定可。50 m³〜大規模マンションの中庭池/都市公園の池
遊泳プール25mプール=約350 m³、50mプール=約1,300 m³学校・スポーツ施設・ホテルリゾート
雨水貯留槽(兼用)地下ピットに雨水をため、通常は散水利用。満水時は消防水利。30〜100 m³新築マンション・公共施設(雨水活用型)
井戸・深井戸口径100 mm以上+消防ポンプで揚水。電動ポンプ非常電源要。揚水量 600 L/min 以上が目安地下水豊富な地域の寺院・古民家
貯水タンク車(移動水利)イベント時などに待機させる大型水タンク車(10 m³)。10〜13 m³花火大会・山岳集落の防災訓練

消火活動上必要な施設

消防法17条1項の政令で定める消火活動上必要な施設は、排煙設備、連結散水設備、連結送水管、非常コンセント設備及び無線通信補助設備とする(消防法施行令7条6項)

排煙設備が「現場でどう使われているか」を思い浮かべやすい具体例

シーン排煙のしくみ・ポイント
① アトリウムを持つ大型ショッピングモール吹抜け空間の最上部に自動開放窓(ルーバー)を多数配置。火災感知器が作動するとルーバーが電動で一斉に開き、煙を屋外へ自然排出。- 自然排煙方式- 吹抜け最頂部+外気に面した位置が定番。- 開口面積の計算が消防同意時の審査ポイント。
② 地下駐車場(機械排煙)駐車フロアの天井ダクトと大容量排煙ファンを設置。火災時にシャッターが閉鎖して区画を区切り、ファンが高温煙をダクトから地上へ強制排出。- 機械排煙方式- 排煙風量=毎分60 m³×床面積が目安(地下用途でよく使う算定式)。- 非常用電源で停電時も駆動。
③ 高層マンションの共用廊下・階段各階共用廊下の天井に排煙口(電動シャッター付)を配置。避難階段最上部に排煙窓を設け、シャフト(竪穴)を通して煙を排出。- 竪穴排煙方式(廊下→縦ダクト→屋上)- 廊下側は感知器と連動してシャッター開放。- 屋上窓は風雨侵入を防ぐオーバーハング構造が多い。

連結散水設備とは?

一言でいうと
消防ポンプ車の水を“建物内配管+散水ヘッド”に瞬時に送り込み、広範囲をシャワー状に放水できる設備
スプリンクラーのように常時配管内に水をためておくのではなく、火災時に消防隊が送水口へホースを接続して“外部から水を供給”する点が特徴です。

どんな時に使う?

  • 地下駐車場・立体駐車場
    車両火災の放射熱や天井面の障害物を一気に冷却。
  • 物流倉庫の大空間・屋根裏
    可燃物が高積みされ、延焼速度が速い場所での一斉放水。
  • 大型店舗のピロティ・下屋空間
    オープンエリアでも水幕を張り延焼拡大を抑制。

連結散水設備の仕組み

  1. 送水口(建物外壁)
    • 赤いフタ付きの金属継手。消防ポンプ車がホースを接続。
  2. 立て管(縦配管)
    • 建物内に立ち上がる太い配管。鋼管または耐火VP。
  3. 横枝管(天井配管)
    • 火災想定エリアの天井に沿って布設。
  4. 散水ヘッド
    • スプリンクラーノズルに似た噴霧口。感熱体はなく、外部から加圧されると即放水。
  5. 消防ポンプ車が加圧送水
    • 通常は空管で凍結の心配なし。出火時のみ大量水を送り込み、ヘッドから雨状に放水。

「消防用設備等の種類について」理解度確認

以下の各問いに2〜3文で簡潔に答えてください。

  1. 消防法17条1項における「消防用設備等」とは、具体的にどのような設備、水、施設を指しますか?
  2. 消火設備には、消火器以外にどのような簡易消火設備が含まれますか?4つ挙げてください。
  3. 「警報設備」の目的は何ですか?また、主な警報設備の種類を2つ挙げてください。
  4. 避難設備は、火災発生時にどのような目的で使用されますか?具体例を2つ挙げてください。
  5. 消防法施行令7条5項で定められる「消防用水」とは、どのような水を指しますか?その主な目的は何ですか?
  6. 防火水槽はどのような場所に設置され、どのような特徴がありますか?容量の目安も合わせて説明してください。
  7. 「消火活動上必要な施設」には、どのようなものがありますか?5つ全て挙げてください。
  8. 排煙設備のうち「自然排煙方式」は、どのような場所でよく用いられますか?その仕組みを簡潔に説明してください。
  9. 連結散水設備は、スプリンクラー設備と比べてどのような特徴がありますか?最も重要な違いを述べてください。
  10. 連結散水設備の「送水口」は、どのような役割を果たす設備ですか?

クイズ解答

  1. 消防法17条1項における「消防用設備等」とは、政令で定める「消防の用に供する設備」(消火設備、警報設備、避難設備)、消防用水、および消火活動上必要な施設を指します。これらは火災時の消火、避難、消防活動を支援するために設置・維持されます。
  2. 消火器以外の簡易消火設備には、水バケツ、水槽、乾燥砂、膨張ヒル石または膨張真珠岩が含まれます。これらは水や消火剤を用いて初期消火を可能にするための簡便な設備です。
  3. 「警報設備」の目的は、火災の発生を早期に報知することです。主な種類としては、自動火災報知設備やガス漏れ火災警報設備、また消防機関へ通報する火災報知設備などがあります。
  4. 避難設備は、火災が発生した場合に安全に避難するために使用される機械器具または設備です。具体例としては、滑り台、避難はしご、救助袋、緩降機、誘導灯、誘導標識などがあります。
  5. 消防法施行令7条5項で定められる「消防用水」は、防火水槽や貯水池、河川などを指します。これは、消防隊が消火栓では水が足りない場合や水道が止まる恐れがある場合でも、確実に大量の水を確保し放水できるようにするためのストックです。
  6. 防火水槽は、住宅街の公園や駐車場の下、商業施設の歩道下など、主に地下に埋設されたコンクリート槽として設置されます。地上には赤い吸管口と標識柱があり、容量は40m³(中規模街区)〜100m³(木造密集地域)が目安です。
  7. 「消火活動上必要な施設」には、排煙設備、連結散水設備、連結送水管、非常コンセント設備、無線通信補助設備の5つがあります。これらは消防隊の消火活動を円滑に進めるために不可欠な施設です。
  8. 排煙設備のうち「自然排煙方式」は、アトリウムを持つ大型ショッピングモールのような吹抜け空間でよく用いられます。火災感知器が作動すると、最上部に設置された自動開放窓(ルーバー)が開き、煙を屋外へ自然に排出する仕組みです。
  9. 連結散水設備は、スプリンクラー設備のように常時配管内に水をためておくのではなく、火災時に消防隊が送水口へホースを接続して“外部から水を供給”する点が最大の特徴です。これにより、広範囲をシャワー状に放水できます。
  10. 連結散水設備の「送水口」は、建物の外壁に設置された赤いフタ付きの金属継手です。この送水口に消防ポンプ車がホースを接続することで、建物内の配管に水を加圧送水し、散水ヘッドから放水することが可能になります。

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