甲種1類/乙種1類

スプリンクラーヘッドの種類と機能|閉鎖型・開放型・標示温度を解説

結論:スプリンクラーヘッドは「閉鎖型」と「開放型」を分けて覚える

スプリンクラーヘッドは、スプリンクラー設備の配管末端に取り付けられる放水部です。試験対策では、まず閉鎖型スプリンクラーヘッド開放型スプリンクラーヘッドの違いを押さえると整理しやすくなります。

閉鎖型は、平常時には感熱体などで放水口が閉じられており、火災時に熱を受けたヘッドが個別に開放します。開放型は、ヘッド自体に感熱体がなく、配管側の弁の作動によって放水します。

スプリンクラーヘッドの大分類

分類 平常時 作動の考え方
閉鎖型ヘッド 放水口が閉じている 熱を受けたヘッドが個別に開放する
開放型ヘッド 放水口が開いている 一斉開放弁などの作動で放水する

この記事の位置づけ

水系消火設備の全体像」→「SP設備の全体像と方式」の次に読む記事です。この記事では、ヘッドの構造、標示温度、感度種別、取付方向、デフレクターを試験で確認しやすい形に整理します。

閉鎖型ヘッドのしくみ

閉鎖型ヘッドは、平常時には感熱体などによって放水口が閉じられています。火災で熱を受けると感熱体が破壊または変形し、閉じていた部分が外れて放水します。

このため、閉鎖型では熱を受けたヘッドから順に作動するのが基本です。すべてのヘッドが常に同時に開くわけではありません。

感熱体の種類

閉鎖型スプリンクラーヘッドの規格省令では、感熱体としてヒュージブルリンクグラスバルブが定義されています。

感熱体 規格上の考え方 覚え方
ヒュージブルリンク 易融性金属などで組み立てられ、火熱で一定温度に達すると破壊または変形する感熱体 熱で金属部分が外れるタイプ
グラスバルブ ガラス球の中に液体等を封入した感熱体 熱でガラス球が破れて作動するタイプ

標示温度と最高周囲温度

標示温度は、ヘッドが作動する温度、またはカバー付ヘッドのカバーが離脱する温度として、あらかじめヘッドやカバーに表示された温度です。

規格省令では、標示温度に応じて最高周囲温度を考えます。標示温度が75度未満のものは最高周囲温度を39度として扱い、それ以上のものは次の式で求めます。

最高周囲温度 = 0.9 × ヘッドの標示温度 - 27.3

試験では、標示温度を単なる丸暗記にせず、取付場所の温度条件に合うヘッドを選ぶという意味で理解しておくと混乱しにくくなります。

標示温度の色別表示

閉鎖型スプリンクラーヘッドの規格省令では、標示温度の区分に応じて色別を表示することが定められています。色は「グラスバルブの液体色」だけで覚えるより、規格上の標示温度区分として押さえる方が安全です。

標示温度の区分 色別
60度未満
60度以上75度未満
75度以上121度未満
121度以上162度未満
162度以上200度未満
200度以上260度未満
260度以上

注意点

市販資料では、海外規格や製品説明に由来するグラスバルブ液色の表が出ることがあります。この記事では、消防設備士試験で法令・規格として確認しやすいよう、閉鎖型スプリンクラーヘッド規格省令の色別表示を基準に整理しています。

感度種別と高感度型ヘッド

閉鎖型スプリンクラーヘッドの規格省令では、感度試験に関して一種二種の種別が出てきます。表示事項として、一種のものには「①」または「QR」を表示することも定められています。

消防法施行規則では、高感度型ヘッドを「閉鎖型スプリンクラーヘッドのうち、標準型ヘッドで感度種別が一種であり、かつ、有効散水半径が2.6以上であるもの」と定義しています。

用語 試験での押さえ方
一種 感度種別の一つ。表示は「①」または「QR」。
高感度型ヘッド 標準型ヘッド + 感度種別一種 + 有効散水半径2.6以上。

「QR」という表示だけを見て高感度型と決めつけるのではなく、試験では感度種別と有効散水半径をセットで確認すると安全です。

ヘッドの取付方向

ヘッドは取付方向でも分類できます。実務上の呼び方として、下向き型、上向き型、側壁型を区別しておくと、写真問題でも見分けやすくなります。

取付方向 見分け方 補足
下向き型 天井側から下向きに取り付ける ペンダント型と呼ばれることがある
上向き型 配管の上側に上向きに取り付ける 乾式・予作動式の二次側では、デフレクターが取付部より上方になるヘッドが原則
側壁型 壁面に取り付ける 規格省令では、加圧水を半円上に均一に分散するヘッドと定義される

デフレクターの役割

デフレクターは、放水口から流出する水流を細分させる部品です。一般的には散水板と呼ばれ、ヘッドから出た水を散水パターンに広げる役割を持ちます。

  • 標準型ヘッドは、ヘッドの軸心を中心とした円上に水を分散する。
  • 側壁型ヘッドは、ヘッドの軸心を中心とした半円上に水を分散する。
  • デフレクターの向きや周囲の障害物は、散水の妨げになるため基準上も重要。

カバー付ヘッドと意匠型の考え方

閉鎖型スプリンクラーヘッドの規格省令では、ヘッドにカバーを取り付けたものをカバー付ヘッドと定義しています。カバー付ヘッドでは、カバーがヘッドの作動より早く離脱し、ヘッドの機能に悪影響を及ぼさないことが求められます。

フラッシュ型やコンシールド型のように、天井面で目立ちにくい形状のヘッドもあります。ただし、見た目の名称だけで分類するのではなく、試験では閉鎖型か開放型か、感熱体は何か、カバーの有無はどうかを先に確認しましょう。

開放型ヘッド

開放型ヘッドには、閉鎖型ヘッドのような感熱体がありません。常時放水口が開いているため、放水の開始は一斉開放弁など配管側の装置で制御します。

消防法施行規則では、劇場などの舞台部に設けるものとして開放型スプリンクラーヘッドが出てきます。開放型は「火元のヘッドだけが開く」閉鎖型とは動作の考え方が違う、と押さえてください。

まとめ

  • 閉鎖型ヘッドは、感熱体で閉じられた放水口が熱で開放する。
  • 開放型ヘッドは、感熱体を持たず、弁の作動で放水する。
  • 感熱体には、ヒュージブルリンクとグラスバルブがある。
  • 標示温度は、ヘッドが作動する温度またはカバーが離脱する温度として表示された温度。
  • 高感度型ヘッドは、標準型ヘッド・感度種別一種・有効散水半径2.6以上の組み合わせで定義される。
  • デフレクターは、放水口から流出する水流を細分させる部品。

参考リンク

次に読む記事

ヘッドの種類を理解したら、次は配管系統の要となる流水検知装置に進みましょう。

  1. 次の記事:「流水検知装置と一斉開放弁」 — アラーム弁の仕組み
  2. 設置基準:「スプリンクラー設備の設置義務」 — どんな建物に必要か
  3. 技術基準:「スプリンクラー設備の技術基準」 — ヘッド数・水源量の詳細
  4. 鑑別対策:「甲1/乙1 鑑別問題の攻略法」 — ヘッド・部品の写真で見分けるコツ

学習全体の計画は「【甲種1類】完全ロードマップ」「【乙種1類】完全ロードマップ」で確認できます。

理解度チェック! 練習問題

ここまでの内容を確認しましょう。

【問題1】閉鎖型スプリンクラーヘッドの説明として、正しいものはどれか。

  1. 感熱体がなく、常時放水口が開いている。
  2. 感熱体などで放水口が閉じられており、熱を受けると開放する。
  3. 泡消火設備にだけ使用されるヘッドである。
  4. 水流を検知して警報を出す弁である。
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正解:B

閉鎖型ヘッドは、感熱体などで放水口が閉じられており、火災の熱を受けると開放して放水します。感熱体がなく常時開いているのは開放型ヘッドです。

【問題2】閉鎖型スプリンクラーヘッド規格省令における「標示温度」の説明として、正しいものはどれか。

  1. 配管内の水温として表示された温度
  2. ヘッドが作動する温度またはカバーが離脱する温度として表示された温度
  3. 室内の平均温度
  4. ポンプが起動する温度
解答を見る

正解:B

標示温度は、ヘッドが作動する温度またはカバーが離脱する温度として、あらかじめヘッドまたはカバーに表示された温度です。

【問題3】閉鎖型スプリンクラーヘッドの色別表示で、標示温度が75度以上121度未満の場合の色別はどれか。

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正解:A(白)

規格省令の色別表示では、75度以上121度未満は白です。162度以上200度未満が赤、200度以上260度未満が緑です。

【問題4】消防法施行規則における高感度型ヘッドの説明として、正しいものはどれか。

  1. すべてのグラスバルブ型ヘッドのこと
  2. 標準型ヘッドで感度種別が一種、かつ有効散水半径が2.6以上のもの
  3. 開放型スプリンクラーヘッドのうち舞台部に設けるもの
  4. 標示温度が260度以上のヘッドのこと
解答を見る

正解:B

消防法施行規則では、高感度型ヘッドを「閉鎖型スプリンクラーヘッドのうち標準型ヘッドで感度種別が一種であり、かつ有効散水半径が2.6以上であるもの」としています。

【問題5】デフレクターの役割として、正しいものはどれか。

  1. 放水口から流出する水流を細分させる。
  2. 配管内の水圧を常時記録する。
  3. 火災信号を受信機へ送る。
  4. ポンプを自動停止させる。
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正解:A

デフレクターは、放水口から流出する水流を細分させる部品です。散水板として水を散水パターンに広げる役割を持ちます。

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