結論:感知器の設置基準は「高さ」「面積」「位置」の3つで決まる
結論から言います。
感知器をどこに・何個つけるかは、施行規則第23条で定められています。判断の柱は3つです。
① 取付面の高さ ― 天井の高さによって、使える感知器の種類が制限される
② 感知区域の面積 ― 1個の感知器がカバーできる面積が決まっている → 必要個数がわかる
③ 設置位置のルール ― 換気口からの距離など、具体的な取付位置が決まっている
甲種4類の試験では、この3つから「どの感知器を何個設置するか」「この天井高に設置できる感知器はどれか」といった問題が非常によく出ます。順番に見ていきましょう。
取付面の高さと感知器の関係 ― 高い天井ほど選択肢が減る
「取付面」とは、感知器を取り付ける天井面のことです。
天井が高いほど、火災の熱や煙が届くまでに時間がかかり、拡散して薄まるため、使える感知器が制限されます。
| 取付面の高さ | 使える感知器 |
|---|---|
| 4m未満 | すべての感知器が使える 熱(差動式・定温式・補償式)、煙(1種〜3種)、炎 |
| 4m以上 8m未満 |
熱:差動式(1種・2種)、定温式(特種・1種のみ)、補償式 煙:1種・2種 炎:○ |
| 8m以上 15m未満 |
熱感知器は使えない 煙:1種・2種 炎:○ |
| 15m以上 20m未満 |
煙:1種のみ 炎:○ |
| 20m以上 | 炎感知器のみ |
この表のポイントは3つです。
- 熱感知器は8m未満まで ― 熱は上昇しながら拡散するため、8m以上では天井に届く頃に温度変化が小さすぎて検知できない
- 煙感知器は20m未満まで ― 煙は熱より広がりやすいが、20mを超えると薄まりすぎる。15m以上は1種(最高感度)のみ
- 炎感知器は高さ制限なし ― 炎が発する赤外線・紫外線は光なので、距離に関係なく届く
定温式2種だけ注意! 定温式の2種は4m未満限定です。定温式は「一定温度に達したら作動」する方式なので、感度が低い2種は天井が少し高いだけで温度が足りず反応できません。4m以上では特種か1種を使います。
感知区域とは ― 梁と壁で区切られた「検知エリア」
感知区域とは、壁または梁(はり)で区切られた天井面の区画のことです。警戒区域が「受信機で管理するエリア」なのに対し、感知区域は「1個の感知器がカバーする範囲の単位」です。
ここで重要なのが梁の突出量です。天井から下に突き出た梁があると、熱や煙の流れが遮られるため、感知区域が分かれます。
なぜ煙の方が基準が緩い(0.6m)のか?
煙は熱に比べて粒子が軽いため、多少の梁があっても乗り越えて広がります。0.4m程度の梁なら煙は回り込めるので、煙感知器にとっては同じ感知区域として扱えます。一方、熱い空気は梁で遮られやすいため、0.4mでも別区域になります。
つまり、梁が0.5m突出している場合、熱感知器は「別の感知区域」ですが、煙感知器は「同じ感知区域」です。この違いは試験でよく問われます。
感知面積 ― 1個の感知器がカバーできる範囲
感知器の必要個数を決めるには、感知面積(1個の感知器がカバーできる最大面積)を知る必要があります。感知面積は次の3つの要素で変わります。
- 感知器の種別 ― 1種(高感度)ほど広い面積をカバーできる
- 取付面の高さ ― 天井が高いほど面積が半減する
- 建物の構造 ― 耐火構造の方が面積が大きい(火の広がりが遅いため)
差動式スポット型の感知面積
差動式スポット型は最もよく使われる熱感知器です。補償式スポット型も同じ面積になります。
<取付面の高さ:4m未満>
| 種別 | 耐火構造 | その他構造 |
|---|---|---|
| 1種 | 90㎡ | 50㎡ |
| 2種 | 70㎡ | 40㎡ |
<取付面の高さ:4m以上8m未満>
| 種別 | 耐火構造 | その他構造 |
|---|---|---|
| 1種 | 45㎡ | 30㎡ |
| 2種 | 35㎡ | 25㎡ |
天井が4m以上になると、面積がほぼ半分になっていることがわかります。
定温式スポット型の感知面積
定温式スポット型は「一定温度に達したら作動」する方式です。差動式より感度が低いぶん、感知面積も小さくなります。
<取付面の高さ:4m未満>
| 種別 | 耐火構造 | その他構造 |
|---|---|---|
| 特種 | 70㎡ | 40㎡ |
| 1種 | 60㎡ | 30㎡ |
| 2種 | 20㎡ | 15㎡ |
<取付面の高さ:4m以上8m未満>
| 種別 | 耐火構造 | その他構造 |
|---|---|---|
| 特種 | 35㎡ | 25㎡ |
| 1種 | 30㎡ | 15㎡ |
2種は4m未満でしか使えないため、4m以上の欄にはありません。定温式特種の数値は差動式2種とほぼ同じ ― 覚えるときはセットで比較すると効率的です。
煙感知器(光電式スポット型)の感知面積
煙感知器は熱感知器よりはるかに広い面積をカバーできます。煙は空気中を広がりやすく、少量でも検知できるためです。
また、煙感知器の感知面積は建物の構造(耐火・非耐火)に関係なく同じです。煙の広がり方は壁の材質に左右されないからです。
| 取付面の高さ | 1種・2種 | 3種 |
|---|---|---|
| 4m未満 | 150㎡ | 50㎡ |
| 4m以上 20m未満 |
75㎡ | ― |
煙感知器3種は廊下・通路にしか設置できない特殊な種別です。居室には使えないので注意してください。
感知面積の覚え方 ― 3つのパターン
数字がたくさん出てきましたが、次のパターンを押さえると整理しやすくなります。
パターン①:天井が高くなると面積は約半分
差動式1種(耐火): 90㎡ → 45㎡、煙感知器: 150㎡ → 75㎡。取付面が4m以上になると、どの感知器もほぼ半分になります。
パターン②:非耐火構造は耐火の約5〜6割
差動式1種: 90㎡(耐火)→ 50㎡(非耐火)。火が燃え広がりやすい構造は、細かく検知する必要があるため面積が小さくなります。
パターン③:煙感知器は熱感知器の約2倍
熱の最大(差動式1種・耐火)が90㎡に対し、煙は150㎡。煙は早く・広く広がるため、少ない個数でカバーできます。
必要個数の計算 ― 面積÷感知面積を切り上げ
感知器の必要個数は、次の式で求めます。
実際に計算してみましょう。
計算例①
条件:耐火構造、天井高3.5m(4m未満)、部屋の面積150㎡、差動式スポット型1種を設置
差動式スポット型1種の感知面積 = 90㎡(4m未満・耐火構造)
150㎡ ÷ 90㎡ = 1.67 → 切り上げて2個
計算例②
条件:その他構造(非耐火)、天井高3m(4m未満)、部屋の面積80㎡、定温式スポット型1種を設置
定温式スポット型1種の感知面積 = 30㎡(4m未満・その他構造)
80㎡ ÷ 30㎡ = 2.67 → 切り上げて3個
計算例③
条件:耐火構造、天井高6m(4m以上8m未満)、部屋の面積200㎡、光電式スポット型2種を設置
煙感知器2種の感知面積 = 75㎡(4m以上20m未満)
200㎡ ÷ 75㎡ = 2.67 → 切り上げて3個
試験では「この条件で必要な感知器の最低個数は?」という形で出題されます。計算式自体はシンプルなので、感知面積の数値を正確に覚えることがポイントです。
設置位置のルール ― 取付け場所の具体的な規定
感知器は「天井面」に取り付けるのが原則です。これに加えて、以下のルールがあります。
換気口(空気吹出し口)から1.5m以上離す
エアコンや換気扇の吹出し口のそばに感知器をつけると、空気の流れで熱や煙が吹き飛ばされてしまい、正常に検知できません。そのため、吹出し口から1.5m以上離すことが義務づけられています。
天井に設けるのが原則、壁なら天井から0.15m〜0.5m以内
感知器は天井面に直接取り付けるのが基本です。やむを得ず壁に設ける場合は、天井から下方0.15m以上0.5m以内の位置に取り付けます。天井に近すぎると隅に溜まった空気の流れが悪くなり、離れすぎると熱・煙が届かないためです。
感知器と感知器の間隔
同じ感知区域内に複数の感知器を設ける場合は、均等に配置して死角をなくすのが原則です。部屋の端に偏って設置すると、反対側の火災に気づけません。
階段・廊下・エレベーターの特例
居室とは違い、階段・傾斜路・エレベーター昇降路は縦に長い空間です。これらには煙感知器を設けることが義務づけられています(熱感知器は不可)。
なぜ煙感知器なのか? 階段やエレベーターは「煙突効果」で煙が猛スピードで上昇する空間です。煙が一番早く到達する場所なので、煙感知器で検知するのが最も効果的です。
また、煙感知器3種は廊下・通路にのみ使えます。居室や階段には1種または2種を使う必要があります。3種は感度が低く、広い空間では煙を見逃す恐れがあるため、細長い廊下に限定されています。
設置を免除できる場所
以下のような場所は、感知器の設置を免除できる場合があります。
- 主要構造部が耐火構造の建物の浴室・トイレ・洗面所など(面積が小さく、火災リスクが低い)
- 感知器が正常に機能しない環境 ― 常時高温になる場所(ボイラー室等)や多湿な場所では、誤報や故障の原因になるため免除されることがある
ただし、免除はあくまで例外です。免除条件に該当するかどうかは、消防設備士や消防機関が個別に判断します。
全体像のまとめ ― 設置基準の流れ
まとめ問題
理解度をチェックしましょう。
【第1問】
取付面の高さが10mの倉庫に設置できる感知器として、正しいものはどれか。
(1)差動式スポット型1種
(2)定温式スポット型特種
(3)光電式スポット型2種
(4)補償式スポット型1種
【第2問】
天井から下方に0.5m突出した梁がある部屋に感知器を設置する場合、正しい記述はどれか。
(1)熱感知器も煙感知器も、梁の両側は同一の感知区域である
(2)熱感知器は別の感知区域になるが、煙感知器は同一の感知区域である
(3)熱感知器も煙感知器も、梁の両側は別の感知区域である
(4)煙感知器は別の感知区域になるが、熱感知器は同一の感知区域である
【第3問】
耐火構造の建物(天井高3m)で、面積120㎡の部屋に差動式スポット型2種を設置する場合、最低何個必要か。
(1)1個
(2)2個
(3)3個
(4)4個
【第4問】
感知器の設置位置に関する記述として、誤っているものはどれか。
(1)感知器は原則として天井面に設ける
(2)換気口の空気吹出し口から1.5m以上離して設ける
(3)壁に設ける場合は、天井から下方0.15m以上0.5m以内の位置にする
(4)換気口の空気吹出し口から0.5m以上離して設ければよい
【第5問】
階段やエレベーター昇降路に設ける感知器として、最も適切なものはどれか。その理由もあわせて考えなさい。
(1)差動式スポット型 ― 温度変化に敏感だから
(2)定温式スポット型 ― 誤報が少ないから
(3)煙感知器 ― 煙突効果で煙が最も早く上昇するから
(4)炎感知器 ― 高さ制限がないから