甲種4類

電力・電力量・ジュール熱|公式の使い分けと計算をわかりやすく解説

結論:電力は「電圧×電流」、電力量は「電力×時間」

結論から言います。

電力とは、電気が1秒間にする仕事の大きさです。そして電力量とは、電力を時間ぶん積み重ねた合計のエネルギーです。

電力 P = V × I 〔W(ワット)〕
電力量 W = P × t 〔J(ジュール)〕

甲種4類の電気基礎では、この2つの公式を使った計算が頻出します。前回学んだオームの法則(V=IR)と組み合わせると、さらに強力な計算ツールになります。

電力とは?

電力(でんりょく)とは、電気が1秒間にどれだけの仕事をするかを表す量です。単位はW(ワット)

身近な例で考えてみましょう。

機器 消費電力の目安
LED電球 約10W
ドライヤー 約1,200W
エアコン 約500〜2,000W

ドライヤーが熱くなるのは、たくさんの電力を消費しているからです。

電力の公式と3つの変形

基本形は P = V × I ですが、オームの法則(V=IR)を代入すると、さらに2つの式が導けます。

電力の公式3パターン
公式 使う場面
P = V × I 電圧と電流がわかっているとき
P = I² × R 電流と抵抗がわかっているとき
P = V² ÷ R 電圧と抵抗がわかっているとき

なぜ3パターンあるの?

問題によって与えられる情報が違うからです。電圧と電流しかわからなければ P=VI、電流と抵抗しかわからなければ P=I²R、というように使い分けます。

導き方(参考)

難しく考える必要はありません。オームの法則の式を代入するだけです。

P = I²R の導き方
P = V × I に V=IR を代入 → P = (IR) × I = I²R

P = V²÷R の導き方
P = V × I に I=V÷R を代入 → P = V × (V÷R) = V²÷R

電力の計算例

問題:100V の電圧をかけたとき、2A の電流が流れた。消費電力はいくらか?

P = V × I = 100 × 2 = 200W

問題:抵抗 50Ω に 3A の電流が流れている。消費電力はいくらか?

P = I² × R = 3² × 50 = 9 × 50 = 450W

電力量とは?

電力量(でんりょくりょう)とは、電力を時間ぶん使ったときのエネルギーの合計です。

電力が「1秒あたりの仕事」なら、電力量は「何秒使ったか」を掛けた仕事の総量です。

W = P × t 〔J(ジュール)〕
電力量〔J〕 = 電力〔W〕 × 時間〔s〕

単位に注意!

単位 読み方 使い分け
J(ジュール) ジュール 試験問題ではこちらが基本
Wh(ワット時) ワットアワー 電気料金などの実務向け

1Wh = 1W × 3,600秒 = 3,600J です。試験ではJ(ジュール)で計算するのが基本なので、時間は「秒」に変換してから計算しましょう。

電力量の変形公式

P = VI なので、電力量の式にも代入できます。

公式 使う場面
W = P × t 電力がわかっているとき
W = V × I × t 電圧・電流・時間がわかっているとき
W = I² × R × t 電流・抵抗・時間がわかっているとき
W = (V² ÷ R) × t 電圧・抵抗・時間がわかっているとき

電力量の計算例

問題:500W のヒーターを 2分間 使った。消費した電力量は何Jか?

まず時間を秒に変換します。2分 = 120秒

W = P × t = 500 × 120 = 60,000J(60kJ)

ジュール熱とは?

電流が抵抗を通ると、電気エネルギーの一部がに変わります。これがジュール熱です。

たとえば、電気ストーブが暖かいのも、ドライヤーから温風が出るのも、すべてジュール熱のおかげです。

ジュール熱の公式

ジュール熱の量は、電力量とまったく同じ式で求められます。

Q = I² × R × t 〔J〕
発熱量〔J〕 = 電流²〔A²〕 × 抵抗〔Ω〕 × 時間〔s〕

「電力量=ジュール熱」なの?と思うかもしれません。抵抗だけの回路(ヒーターや電熱線など)では、消費した電気エネルギーがすべて熱に変わるので、電力量とジュール熱は同じ値になります。

カロリーへの変換(参考)

試験ではまれに、熱量をcal(カロリー)で求めさせる問題が出ることがあります。

1cal = 約 4.2J
Q〔cal〕= 0.24 × I² × R × t

「0.24」は 1÷4.2 ≒ 0.24 から来ています。J(ジュール)で求めた値に 0.24 を掛ければ cal に変換できます。

ジュール熱の計算例

問題:抵抗 20Ω に 5A の電流を 30秒間 流した。発生するジュール熱は何Jか?

Q = I² × R × t = 5² × 20 × 30 = 25 × 20 × 30 = 15,000J(15kJ)

3つの公式の関係を整理

ここまでの公式は、すべてつながっています

公式の関係マップ
オームの法則 V=IR

▼ 代入

電力 P=VI = I²R = V²÷R

▼ ×時間

電力量=ジュール熱 W=Pt = I²Rt

つまり、オームの法則が土台で、そこに「掛け算」を重ねていくだけです。

消防設備との関わり

電力・電力量・ジュール熱は、自動火災報知設備の世界でも密接に関わっています。

場面 関係する知識
配線の発熱と安全設計 ジュール熱(電流が大きいと発熱→火災リスク)
予備電源の容量計算 電力量(蓄電池が何時間もつか)
感知器の消費電流 電力(回路全体の消費電力を設計)
電線の許容電流 ジュール熱(電線の太さと発熱の関係)

とくに予備電源(蓄電池)の容量は、「消費電力 × 必要時間」で決まります。電力量の計算そのものですね。

まとめ

項目 公式 単位
電力 P = VI = I²R = V²÷R W(ワット)
電力量 W = Pt(時間は秒で計算) J(ジュール)
ジュール熱 Q = I²Rt J(ジュール)
cal変換 Q〔cal〕= 0.24 × Q〔J〕 cal

理解度チェック問題

問題1. 100V の電源に 20Ω の抵抗を接続した。消費電力はいくらか。
(1)5W
(2)200W
(3)500W
(4)2,000W

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正解:(3)500W
電圧と抵抗がわかっているので P = V²÷R を使います。P = 100²÷20 = 10,000÷20 = 500W。

問題2. 200W の電熱器を 5分間 使用した。消費した電力量は何Jか。
(1)1,000J
(2)40,000J
(3)60,000J
(4)600,000J

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正解:(3)60,000J
時間を秒に変換します。5分 = 300秒。W = P × t = 200 × 300 = 60,000J。「分」のまま計算すると間違えるので、必ず「秒」に直しましょう。

問題3. 抵抗 10Ω に 4A の電流を 1分間 流した。発生するジュール熱は何Jか。
(1)40J
(2)160J
(3)2,400J
(4)9,600J

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正解:(4)9,600J
1分 = 60秒。Q = I²×R×t = 4²×10×60 = 16×10×60 = 9,600J。I²の計算を忘れずに(4²=16)。

問題4. ある抵抗に電流を流したところ、10秒間で 4,200J の熱が発生した。この熱量は何calか。ただし、1cal = 4.2J とする。
(1)100cal
(2)420cal
(3)1,000cal
(4)17,640cal

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正解:(3)1,000cal
Q〔cal〕= Q〔J〕÷ 4.2 = 4,200 ÷ 4.2 = 1,000cal。J→calの変換は「4.2で割る」(または「0.24を掛ける」)と覚えましょう。

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