乙種6類

消火器の設置義務と設置対象|施行令第10条をわかりやすく解説

消火器の設置義務は、消防法施行令第10条が定める「消火器具」の設置対象から確認します。判定に使うのは、特定・非特定という大分類だけではなく、令別表第一の用途、延べ面積、危険物の取扱い、階の条件などです。

最初に押さえる6点

  • 用途だけで面積を問わず対象となる防火対象物がある
  • 用途別の延べ面積基準には150㎡と300㎡がある
  • 飲食店は、火を使用する設備・器具と防火措置の有無でも対象になる
  • 少量危険物・指定可燃物の貯蔵・取扱いは別の判定条件
  • 地階・無窓階・3階以上の50㎡基準は「前各号に該当しないもの」が対象
  • 複合用途は、一用途が入っただけで建物全体を150㎡基準にしない

この記事は国の基準を整理したものです。消防法第17条第2項に基づく市町村条例で基準が付加される場合があるため、実際の建物は所轄消防署や有資格者へ確認してください。

「消火器」ではなく「消火器具」の基準

施行令第10条の正式な対象は、消火器または簡易消火用具を合わせた「消火器具」です。第1項は設置対象を定め、第2項以降と消防法施行規則第6条などが、適応する種類、能力単位、配置などを定めています。

したがって、設置義務の確認は次の二段階に分けます。

  1. 施行令第10条第1項:その防火対象物・部分が消火器具の設置対象か
  2. 施行規則第6条など:どの種類を、どれだけ、どこへ置くか

施行令第10条第1項の5類型

主な条件 見る数値
第1号 用途だけで対象となるもの、および一定の飲食店 面積を問わない
第2号 指定された用途 延べ面積150㎡以上
第3号 学校・図書館・事務所など 延べ面積300㎡以上
第4号 前3号以外で、少量危険物・指定可燃物を貯蔵または取り扱うもの 物品と数量
第5号 前各号以外の建築物の地階・無窓階・3階以上の階 その階の床面積50㎡以上

50㎡基準は「用途を問わず一律」ではない
第5号の条文は「前各号に掲げる防火対象物以外」としています。第1号から第4号ですでに対象となる建物へ、別の独立条件として重ねる説明ではありません。

第1号:面積を問わず対象となる用途

次の防火対象物は、令別表第一の用途に該当することで消火器具の設置対象になります。

別表第一 主な用途
(一)項イ 劇場、映画館、演芸場、観覧場
(二)項 キャバレー、遊技場、性風俗関連店舗、カラオケボックス等
(六)項イ(1)〜(3) 入院施設のある病院・診療所など、条文で指定された医療施設
(六)項ロ 自力避難が困難な者を主として入所させる社会福祉施設など
(十六の二)項 地下街
(十六の三)項 準地下街
(十七)項 重要文化財等
(二十)項 舟車

用途の詳細な定義は、令別表第一の本文で確認します。「病院」「福祉施設」といった日常語だけで項を決めず、入院・入所の形態などの区分まで確認してください。

火を使用する飲食店

第1号ロは、別表第一(三)項の飲食店等で、火を使用する設備または器具を設けたものを対象とします。ただし、調理油過熱防止装置、自動消火装置など、総務省令で定める防火上有効な措置が講じられたものは除かれます。

これは小規模飲食店にも関係する基準です。単に「火を使う場所は、用途を問わずすべて無条件」と広げてはいけません。飲食店以外の多量の火気を使う場所については、すでに設置対象となる防火対象物へ能力単位を追加する施行規則第6条第5項も確認します。

第2号:延べ面積150㎡以上

別表第一 主な用途
(一)項ロ 公会堂・集会場
(三)項 飲食店等(第1号ロの対象を除く)
(四)項 物品販売店舗・展示場等
(五)項 旅館・ホテル、共同住宅・寄宿舎等
(六)項イ(4)、ハ、ニ 条文で指定された診療所、福祉施設、幼稚園等
(九)項 公衆浴場
(十二)〜(十四)項 工場・作業場、駐車場・格納庫、倉庫

このグループには特定防火対象物と非特定防火対象物の両方が含まれます。共同住宅、工場、倉庫が150㎡基準であることからも、「特定は150㎡、非特定は300㎡」という二分法が成立しないことが分かります。

第3号:延べ面積300㎡以上

別表第一 主な用途
(七)項 学校
(八)項 図書館・博物館・美術館等
(十)項 車両の停車場・船舶や航空機の発着場
(十一)項 神社・寺院・教会等
(十五)項 事務所など、他の項に該当しない事業場

面積は防火対象物の延べ面積で判定します。用途判定や面積の算入方法に迷う場合は、建物名称だけで決めず、確認申請図書、用途部分、増築履歴などを所轄消防署と確認します。

第4号:少量危険物・指定可燃物

第1号から第3号に該当しない別表第一の建築物その他の工作物でも、次の物品を貯蔵・取り扱う場合は設置対象になります。

  • 少量危険物:危険物の指定数量の5分の1以上、指定数量未満
  • 指定可燃物:危険物の規制に関する政令別表第四の品名と数量に該当するもの

施行規則第6条第3項は、建築物に対する能力単位とは別に、貯蔵・取扱数量に応じた消火器具も求めています。物品名だけでなく、種類ごとの数量と適応する消火器具を確認します。

第5号:地階・無窓階・3階以上の階

第1号から第4号に該当しない令別表第一の建築物でも、次の階の床面積が50㎡以上であれば、その部分が設置対象になります。

  • 地階(地下建築物では各階)
  • 無窓階
  • 3階以上の階

ここで使うのは建物全体の延べ面積ではなく、該当する階の床面積です。また「無窓階」は日常語の「窓がない階」ではなく、避難上・消火活動上有効な開口部について総務省令で定める法令用語です。

複合用途は部分ごとに用途を確認する

施行令第9条は、別表第一(十六)項の複合用途防火対象物について、各用途に供される部分を、この節の適用上、その用途の一つの防火対象物とみなすことを原則としています。

特定用途が一つあれば建物全体を150㎡基準、ではない
飲食店、事務所、共同住宅などが混在する建物は、用途部分と共用部分の扱いを含めて確認します。単純に(十六)項イ=150㎡、(十六)項ロ=300㎡と置き換えないでください。

複合用途の判定は、用途部分の区画、共用部分、管理権原などが関係します。実物件では図面を用いて所轄消防署へ確認するのが安全です。

設置対象を確認する順序

  1. 用途を確定:令別表第一のどの項・細項に該当するか確認する
  2. 第1号を確認:面積を問わない用途または一定の飲食店か確認する
  3. 第2号・第3号を確認:用途別の延べ面積150㎡・300㎡基準を確認する
  4. 第4号を確認:少量危険物・指定可燃物の種類と数量を確認する
  5. 第5号を確認:前各号に該当しない場合、地階・無窓階・3階以上の50㎡基準を確認する
  6. 技術基準を確認:能力単位、適応火災、歩行距離、追加設置を施行規則で確認する
  7. 条例を確認:市町村条例による付加基準を確認する

建物の用途判定は「特定防火対象物と非特定防火対象物」、棟や面積の考え方は「防火対象物の数え方」も参考にしてください。

簡易消火用具の上限は能力単位で見る

簡易消火用具には、水バケツ、水槽、乾燥砂、膨張ひる石、膨張真珠岩があります。施行規則第6条は、それぞれを能力単位へ換算して必要量を計算します。

同条第7項では、設置する消火器具の能力単位の合計が2以上となる場合、原則として、簡易消火用具の能力単位Sが、消火器の能力単位Eの2分の1を超えないことを求めています。

式では S ≦ E ÷ 2 です。その結果、簡易消火用具は能力単位合計の3分の1以下になります。ただし、特定の金属粉や禁水性物品に乾燥砂などを設ける場合には例外があります。

「本数の3分の1」ではない
消火器と簡易消火用具では1個あたりの能力単位が異なります。個数ではなく、施行規則が定める能力単位の合計で判定します。

具体例

延べ面積200㎡の物品販売店舗

(四)項は延べ面積150㎡以上で第2号の対象です。200㎡なので、国の基準では消火器具の設置対象になります。

延べ面積250㎡、地上2階の事務所

(十五)項の300㎡基準には達しません。地階・無窓階・3階以上の階、危険物など他の条件がなければ、施行令第10条第1項だけでは対象になりません。ただし、用途の実態と条例を別に確認します。

延べ面積40㎡の飲食店でガスこんろを使用

(三)項で火を使用する設備・器具があり、総務省令で定める防火上有効な措置がなければ、第1号ロの対象です。装置の名称だけでなく、法令上の措置に該当するか確認します。

飲食店と事務所が入る複合用途

飲食店があることだけで建物全体を150㎡基準とはしません。施行令第9条に沿って用途部分を確認し、共用部分を含む実際の算定は所轄消防署と確認します。

オリジナル理解度チェック

問題1

延べ面積200㎡の物品販売店舗について、国の基準上の判断はどれですか。

  1. 150㎡以上なので対象
  2. 300㎡以上でなければ対象外
  3. 面積を問わず対象
  4. 物品販売店舗は令別表第一にない
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1.150㎡以上なので対象。(四)項は第2号の150㎡グループです。

問題2

第5号の「地階・無窓階・3階以上、床面積50㎡以上」の対象として正しい説明はどれですか。

  1. すべての用途へ追加する独立条件
  2. 前各号に掲げる防火対象物以外について確認する条件
  3. 延べ面積で判定する条件
  4. 地下街だけの条件
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2.前各号に掲げる防火対象物以外について確認する条件。判定するのは該当階の床面積です。

問題3

小規模な飲食店が面積を問わず設置対象となる条件はどれですか。

  1. 客席が一つでもある
  2. 火を使用する設備・器具があり、所定の防火上有効な措置がない
  3. 従業員が二人以上いる
  4. 料理を提供していない
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2.火を使用する設備・器具があり、所定の防火上有効な措置がない。第1号ロの条件です。

問題4

複合用途防火対象物の説明として適切なものはどれですか。

  1. 特定用途が一つあれば建物全体を必ず150㎡基準にする
  2. 用途部分を一つの防火対象物とみなす施行令第9条を確認する
  3. 複合用途には消火器具を設置しない
  4. 住宅部分だけで建物全体の用途を決める
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2.用途部分を一つの防火対象物とみなす施行令第9条を確認する。実物件は用途部分と共用部分を図面で確認します。

問題5

簡易消火用具の上限を判断するときに使うものはどれですか。

  1. 容器の色
  2. 購入価格
  3. 能力単位の合計
  4. 設置年月だけ
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3.能力単位の合計。単純な個数比ではありません。

まとめ

  • 施行令第10条第1項は、用途・延べ面積・物品・階を5類型で定める
  • 150㎡・300㎡基準は特定・非特定の二分法ではなく、項ごとに確認する
  • 火を使用する設備による面積不問の基準は、一定の飲食店に関する条件
  • 50㎡の危険階基準は、前各号に該当しない建築物について確認する
  • 複合用途、能力単位、簡易消火用具、条例まで確認して最終判断する

消防用設備等の法体系は「消防用設備等の設置・維持」、設備区分は「消防用設備等の種類」、消火器の種類は「消火器の分類と全体像」も参照してください。

一次情報・公式資料

※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。図や画像だけで機器を判断せず、製品表示・取扱説明書・公式資料を確認してください。

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