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特定防火対象物と非特定防火対象物の違いをわかりやすく解説

「特定防火対象物」と「非特定防火対象物」って何?

消防法の勉強をしていると、「特定防火対象物」という言葉がやたらと出てきます。これ、試験でもめちゃくちゃ聞かれるポイントです。

結論から言います。

  • 特定防火対象物 = 施行令別表第一のうち、(一)〜(四)、(五)イ、(六)、(九)イ、(十六)イ、(十六の二)、(十六の三)に当たるもの
  • 非特定防火対象物 = 上の特定防火対象物に入らない防火対象物。共同住宅、学校、図書館、駅、事務所、工場、倉庫など

大まかな傾向として、特定防火対象物には「不特定多数が利用する施設」や「避難に配慮が必要な人がいる施設」が多く含まれます。ただし、図書館や駅のように不特定多数が利用しても非特定に分類される用途があります。試験では印象だけで決めず、最後は別表第一の項番号で確認します。

この違いで何が変わるかというと、特定防火対象物側は消防設備点検報告防火管理者などで厳しい扱いを受ける場面が多いという点です。ただし、防火管理者の選任基準は一律30人ではなく、用途によって10人・30人・50人に分かれます。

では、具体的にどの建物が特定で、どの建物が非特定なのか。法律の根拠と一緒に見ていきましょう。設備の設置義務の全体像は「消防用設備等の設置及び維持」でも解説しています。なお、「防火対象物」や「関係者」などの基本用語は「消防法令上の定義」で解説しています。

特定防火対象物 と 非特定防火対象物
判断の考え方
まず別表第一の項番号を見る
特定防火対象物

(一)〜(四)、(五)イ、(六)、(九)イ
などの列挙対象


🎬 劇場・映画館・集会場 (一)

🎵 カラオケ・ゲームセンター (二)

🍔 飲食店・料理店 (三)

🛍 デパート・モール (四)

🏨 ホテル・旅館 (五)イ

🏥 病院・老人ホーム・保育所 (六)

♨ サウナ (九)イ / 地下街

基準が厳しい場面が多い
点検報告1年 / 防火管理者10・30人〜
非特定防火対象物

特定に列挙されない用途
(不特定多数が来る例もある)


🏫 学校(小中高大) (七)

📚 図書館・博物館 (八)

🏭 工場・作業場 (十二)

🏢 事務所・オフィス (十五)

🏠 共同住宅・寄宿舎 (五)ロ

⛪ 神社・寺院・教会 (十一)

🛗 倉庫 (十四) / 駐車場 (十三)

特定側とは別基準
点検報告3年 / 防火管理者50人〜

法律上の根拠

消防法第17条の2の5 第2項第4号

消防法17条の2の5第2項第4号では、百貨店、旅館、病院、地下街、複合用途防火対象物など、多数の者が出入りするものとして政令で定めるものを「特定防火対象物」と呼ぶ趣旨が示されています。

現代語にすると?

消防法は「多数の者が出入りするものとして政令で定めるもの」を特定防火対象物と呼び、その具体的な範囲は施行令別表第一の項番号で決まります。ざっくり言うと、以下の用途です。

  • (一)〜(四) → 劇場・キャバレー・飲食店・デパートなど、お客さんが自由に出入りする商業施設
  • (五)イ → ホテル・旅館など、初めて来る人が泊まる場所
  • (六) → 病院・老人ホーム・保育所・幼稚園など、自力で逃げにくい人がいる施設
  • (九)イ → サウナなど、高温で判断力が下がりやすい場所
  • (十六)イ → 上記の用途が入った複合ビル
  • (十六の二)(十六の三) → 地下街・準地下街(煙が逃げにくく避難が難しい)

これに当てはまらない建物が「非特定防火対象物」です。法律に「非特定防火対象物」という用語は直接出てきませんが、特定防火対象物ではない防火対象物を指す言葉として定着しています。


特定防火対象物を一覧で確認

施行令別表第一の中から、特定防火対象物に該当するものを赤色で示します。

用途 特定?
(一)イ・ロ 劇場・映画館・公会堂・集会場 ⭕ 特定
(二)イ〜ニ キャバレー・遊技場・カラオケボックスなど ⭕ 特定
(三)イ・ロ 料理店・飲食店 ⭕ 特定
(四) 百貨店・物品販売店舗 ⭕ 特定
(五)イ 旅館・ホテル ⭕ 特定
(五)ロ 共同住宅・寄宿舎 ❌ 非特定
(六)イ〜ニ 病院・老人ホーム・保育所・幼稚園 ⭕ 特定
(七) 学校(小中高大) ❌ 非特定
(八) 図書館・博物館 ❌ 非特定
(九)イ サウナ・蒸気浴場 ⭕ 特定
(九)ロ 一般の銭湯 ❌ 非特定
(十) 駅・空港ターミナル ❌ 非特定
(十一) 神社・寺院・教会 ❌ 非特定
(十二)イ・ロ 工場・スタジオ ❌ 非特定
(十三)イ・ロ 駐車場・格納庫 ❌ 非特定
(十四) 倉庫 ❌ 非特定
(十五) 事務所など ❌ 非特定
(十六)イ 特定用途を含む複合用途ビル ⭕ 特定
(十六)ロ 非特定のみの複合用途ビル ❌ 非特定
(十六の二) 地下街 ⭕ 特定
(十六の三) 準地下街 ⭕ 特定

特定か非特定か、判断のポイント

最初に見るのは、施行令別表第一の項番号です。「不特定多数」「自力避難が難しい人」という考え方は理解の助けになりますが、それだけで判定すると図書館・駅・共同住宅などで間違えます。

確認する順番 見るところ
1. 用途の項番号 (一)〜(四)、(五)イ、(六)、(九)イ、(十六)イ、(十六の二)、(十六の三)なら特定
2. イ・ロの違い 旅館・ホテルは(五)イで特定、共同住宅・寄宿舎は(五)ロで非特定。蒸気浴場は(九)イで特定、一般浴場は(九)ロで非特定
3. 複合用途 特定用途を含む複合用途は(十六)イ、非特定用途だけの複合用途は(十六)ロ

間違えやすいポイント

以下は試験で引っかけに使われやすい「非特定」の建物です。

建物 押さえ方
学校(小中高大) (七)なので非特定。ただし幼稚園は(六)ニ側で特定に入る
図書館・博物館 (八)なので非特定。不特定多数が利用することだけで特定とは判断しない
共同住宅 (五)ロなので非特定。ホテル・旅館の(五)イと分ける
駅・空港 (十)なので非特定。人の出入りが多くても、特定防火対象物の列挙には入らない
一般の銭湯 (九)ロなので非特定。蒸気浴場・熱気浴場の(九)イだけが特定

なぜ「特定」と「非特定」を分けるの?

消防法17条の2の5では、既存の消防用設備等に新しい技術基準を遡って適用しない原則を置きつつ、特定防火対象物などは例外的に扱う仕組みがあります。つまり、特定防火対象物は「分類名」だけでなく、設備の設置・維持や遡及適用を考えるときの重要な線引きです。

学習上は、危険度が高い用途ほど特定側に入りやすい、と理解すると覚えやすくなります。ただし、分類そのものは理由づけではなく、法令上どの項に列挙されているかで決まります。


具体的に何が変わるの?

項目 特定防火対象物側 非特定防火対象物側
消防用設備等の設置基準 設備ごとに、用途・面積・階数などで厳しい基準になる場面が多い 用途・面積・階数などに応じて個別に判断する
点検結果の報告頻度 1年に1回、消防長または消防署長へ報告 3年に1回、消防長または消防署長へ報告
防火管理者の選任 (六)ロ等は10人以上、その他の主な特定用途は30人以上 共同住宅・学校・図書館・駅・事務所などは原則50人以上
消防法令の遡及適用 消防法17条の2の5で、特定防火対象物は例外的に新基準適用の対象になり得る 用途や設備ごとの経過措置・例外を個別に確認する

「特定だから全部同じ基準」と覚えるのではなく、点検報告は1年、防火管理者は10人または30人、非特定側は50人というように、制度ごとに分けて押さえます。


覚え方のコツ

まず、特定防火対象物の列挙を短く覚えます。

(一)〜(四)、(五)イ、(六)、(九)イ、(十六)イ、(十六の二)、(十六の三) が特定側です。

  • (五)はイがホテル・旅館で特定、ロが共同住宅で非特定
  • (九)はイが蒸気浴場・熱気浴場で特定、ロが一般浴場で非特定
  • (十六)はイが特定用途を含む複合用途、ロが非特定用途のみの複合用途
  • 図書館(八)と駅(十)は、不特定多数が利用しても非特定

「不特定多数だから特定」と一発判定せず、最後はこの番号リストに戻るのが安全です。


まとめ

ポイント 内容
特定防火対象物とは (一)〜(四)、(五)イ、(六)、(九)イ、(十六)イ、(十六の二)、(十六の三)の用途
非特定防火対象物とは 特定防火対象物に列挙されない防火対象物。図書館や駅のように不特定多数が利用する例もある
点検報告 特定側は1年に1回、非特定側は3年に1回
防火管理者 (六)ロ等は10人以上、主な特定用途は30人以上、非特定側は50人以上

理解度チェック問題

以下の問題で理解を確認しましょう。すべてオリジナル問題です。

問1

次のうち、特定防火対象物に該当しないものはどれか。

  1. カラオケボックス
  2. 共同住宅
  3. 飲食店
  4. 旅館
解答を見る

正解:2(共同住宅)
共同住宅は(五)ロに該当し、非特定防火対象物です。カラオケボックス(二)ニ、飲食店(三)ロ、旅館(五)イはいずれも特定防火対象物です。

問2

特定防火対象物における消防用設備等の点検結果の報告頻度は、次のうちどれか。

  1. 6か月に1回
  2. 1年に1回
  3. 2年に1回
  4. 3年に1回
解答を見る

正解:2(1年に1回)
特定防火対象物は1年に1回、非特定防火対象物は3年に1回、消防長または消防署長へ点検結果を報告します。

問3

次のうち、特定防火対象物に該当するものはどれか。

  1. 中学校
  2. 市立図書館
  3. 認可保育所
  4. オフィスビル
解答を見る

正解:3(認可保育所)
保育所は(六)ハに該当し、自力避難が難しい園児がいるため特定防火対象物です。中学校(七)、図書館(八)、オフィスビル(十五)はいずれも非特定防火対象物です。

問4

公衆浴場のうち特定防火対象物に該当するのは、次のうちどれか。

  1. 一般的な銭湯
  2. 蒸気浴場(サウナ)
  3. 足湯施設
  4. 露天風呂専門店
解答を見る

正解:2(蒸気浴場(サウナ))
蒸気浴場・熱気浴場は(九)イに該当し、特定防火対象物です。一般的な銭湯は(九)ロで非特定防火対象物になります。

問5

施行令別表第一(六)項ロのうち、避難が困難な要介護者などが入所する施設で、防火管理者の選任が必要となる収容人員の基準は次のうちどれか。

  1. 10人以上
  2. 30人以上
  3. 50人以上
  4. 100人以上
解答を見る

正解:1(10人以上)
施行令1条の2第3項では、(六)項ロなど一定の避難困難者施設は収容人員10人以上で防火管理者の選任対象になります。その他の主な特定用途は30人以上、非特定側は50人以上で整理します。

問6(応用)

図書館には不特定多数の人が出入りするが、非特定防火対象物に分類されている。一方、飲食店も不特定多数の人が出入りするが、こちらは特定防火対象物である。試験で最も確実な判定方法はどれか。

  1. 公共施設か民間施設かで判断する
  2. 営業時間の長さで判断する
  3. 施行令別表第一の項番号を確認し、飲食店は(三)ロ、図書館は(八)として判断する
  4. 入館料や利用料金の有無で判断する
解答を見る

正解:3
試験上は、最終的に施行令別表第一の項番号で判断します。飲食店は(三)ロで特定、図書館は(八)で非特定です。「不特定多数が出入りするか」だけで判定すると、図書館や駅で誤りやすくなります。

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