結論から言います。
甲種2類の製図試験は、甲種1類の製図をベースにして、泡消火設備ならではの要素が追加される形です。追加される要素は大きく3つ ── 混合装置、泡消火薬剤タンク、泡放出口(フォームヘッド等)です。
つまり、甲1の製図(水源→ポンプ→配管→ヘッド)のうち「配管の途中に混合装置と薬剤タンクが入る」「ヘッドがフォームヘッドに変わる」という2つの変化を理解すれば、甲2の製図は攻略できます。
甲1との製図の違い ── 全体像
まず、甲1(水系)と甲2(泡)の製図で何が同じで何が違うかを整理します。
| 項目 | 甲1(水系) | 甲2(泡) |
|---|---|---|
| 消火剤 | 水 | 泡水溶液 |
| ポンプ | 共通(○にP) | 共通(○にP) |
| 混合装置 | なし | あり(追加) |
| 薬剤タンク | なし | あり(追加) |
| ヘッド | ●閉鎖型SP / ○開放型SP | ○フォームヘッド(開放型) |
| 制御弁 | 流水検知装置(A) | 一斉開放弁(D) |
| 水力計算 | 共通(ハーゼンウィリアムズ式) | 共通(同じ計算方法) |
| 放射量基準 | 設備ごと(SP: 80L/min等) | 6.5 L/min・㎡ |
| 薬剤量計算 | なし | あり(追加) |
泡消火設備の図記号
甲1で学んだ図記号に加えて、泡消火設備で新たに覚えるべき図記号を整理します。
泡消火設備固有の図記号
| 機器名 | 図記号の特徴 | 覚え方 |
|---|---|---|
| フォームヘッド | ○(白丸) | 開放型なので白丸 |
| 一斉開放弁 | 丸の中にDの文字 | Deluge弁のD |
| 泡消火薬剤タンク | 四角の中に「薬」または「F」 | Foam(泡)のF |
| 混合装置 | 配管上の記号(方式により異なる) | 配管の途中に入る |
| 高発泡用泡放出口 | ○に「H」の文字 | High expansion のH |
| 泡消火栓(移動式) | ◎(二重丸)に「F」 | 消火栓の二重丸+FoamのF |
甲1と共通の図記号
以下の図記号は甲1と同じです。
- ポンプ ── ○にP
- 水源(水槽) ── 四角にW(Water)
- 送水口 ── ○にS
- 仕切弁 ── 蝶ネクタイ型
- 逆止弁 ── 三角と縦線
- 配管 ── 実線(口径を数字で記載)
フォームヘッドが「白丸」の理由
「水系消火設備の製図の基礎」で学んだルールを思い出してください。●(黒丸)=閉鎖型、○(白丸)=開放型です。
フォームヘッドは「泡消火設備の構造と機能」で解説したとおり開放型です。常時開放していて、一斉開放弁が開くと全ヘッドから一斉に泡が放射されます。だから図記号は○(白丸)になります。
泡消火設備の系統図
系統図は、水源からヘッドまでの設備構成を模式的に描いた図です。甲1の系統図との違いを見てみましょう。
甲1(スプリンクラー)の系統図
甲2(泡・フォームヘッド方式)の系統図
甲1との違いは赤字の3箇所です。
- 混合装置+薬剤タンク ── ポンプの2次側(吐出し側)に追加。ポンプが送り出した水に薬剤を混ぜて泡水溶液を作る
- 一斉開放弁(D) ── 流水検知装置(A)の代わりに使用。火災感知で弁が開き、区域内の全ヘッドに泡水溶液を送る
- フォームヘッド(○) ── 閉鎖型SPヘッド(●)の代わり。開放型で、一斉開放弁の開放により一斉放射
系統図で描くべき要素
製図試験で泡消火設備の系統図を描く場合、以下の要素をすべて含める必要があります。
| 要素 | 図記号 |
|---|---|
| 水源 | □にW |
| 加圧送水装置(ポンプ) | ○にP |
| 呼水槽 | 小さい□ |
| 泡消火薬剤タンク | □にF |
| 混合装置 | 配管上の記号 |
| 一斉開放弁 | ○にD |
| フォームヘッド | ○(白丸) |
| 送水口 | ○にS |
| 仕切弁・逆止弁 | 甲1と同じ |
平面図の描き方 ── フォームヘッドの配置
平面図は、建物の各階にフォームヘッドや配管をどう配置するかを示す図です。
フォームヘッドの配置ルール
「泡消火設備の設置義務と技術基準」で学んだとおり、フォームヘッド方式の放射量は防護面積1㎡あたり6.5 L/min以上です。ヘッドの配置は、この放射量を満たすように決定します。
- 防護対象物の各部分が、ヘッドの有効放射範囲に収まるよう配置する
- ヘッド同士の間隔は、防護面積を隙間なくカバーできる距離とする
- 壁際・柱の影など「死角」ができないよう注意する
放射区域の分割
泡消火設備は一斉開放弁ごとに放射区域を分けます。1つの一斉開放弁が1つの放射区域を担当し、その区域内の全フォームヘッドから同時に泡を放射します。
駐車場を例にすると、大きな駐車場の場合は複数の放射区域に分割し、火災が発生した区域の一斉開放弁だけが開放される仕組みです。
泡消火設備の計算 ── 甲1との違い
甲2の製図試験では、甲1と共通の水力計算に加えて、泡消火設備固有の計算が出題されます。
水力計算(甲1と共通)
配管口径の選定、摩擦損失の計算(ハーゼンウィリアムズ式)、全揚程の算定は甲1と同じ方法です。ただし、流量として「水」ではなく「泡水溶液」の量を使う点だけ注意してください。
詳しい計算方法は「製図の実践|水力計算・口径選定・全揚程算定」を参照してください。
泡水溶液量の計算(泡固有)
泡消火設備では、最大放射区域に必要な泡水溶液の量を計算します。
防護区域の面積:200㎡
放射量:200 × 6.5 = 1,300 L/min
泡水溶液の必要量:1,300 × 10 = 13,000 L
水源の容量
水源の容量は、泡水溶液の必要量から薬剤分を除いた水の量です。
泡水溶液量:13,000 L
水源 = 13,000 × 0.97 = 12,610 L
実際には混合比率が小さい(3%や6%)ため、水源の容量は泡水溶液量とほぼ同じ値になります。
泡消火薬剤の必要量(泡固有)
これが甲2の製図試験で最も特徴的な計算です。
泡水溶液量:13,000 L
薬剤量 = 13,000 × 0.03 = 390 L
薬剤タンクには最低でもこの量を貯蔵しておく必要があります。
ポンプの吐出量
ポンプの吐出量は、最大放射区域の泡水溶液の放射量以上が必要です。
放射量:1,300 L/min
ポンプ吐出量 ≧ 1,300 L/min
製図試験の出題パターン
甲2の製図試験で出題されるパターンを整理します。
パターン1:系統図の完成
不完全な系統図が示され、空欄の機器名や図記号を記入する問題です。
- 混合装置と薬剤タンクの位置(ポンプの2次側)
- 一斉開放弁の位置と図記号(D)
- フォームヘッドの図記号(○)
- 弁類・配管の接続関係
パターン2:計算問題
防護面積や薬剤の混合比率が与えられ、計算を求められる問題です。
- 泡水溶液の放射量(防護面積 × 6.5 L/min・㎡)
- 水源の容量(放射量 × 10分)
- 薬剤の必要量(泡水溶液量 × 混合比率)
- ポンプの吐出量・全揚程
パターン3:平面図へのヘッド配置
駐車場の平面図が示され、フォームヘッドの配置や放射区域の分割を求められる問題です。
- 放射区域の設定
- フォームヘッドの配置と個数
- 一斉開放弁の位置
- 配管ルートの作図
製図で間違えやすいポイント
甲2の製図試験で特に注意すべきミスを整理します。
| 間違い | 正しい内容 |
|---|---|
| フォームヘッドを●(黒丸)で描く | ○(白丸)── 開放型 |
| 流水検知装置(A)を使う | 一斉開放弁(D)── フォームヘッドは開放型なので一斉開放弁で制御 |
| 混合装置をポンプの1次側に描く | ポンプの2次側(吐出し側)── 加圧された水に薬剤を混ぜる |
| 薬剤量の計算を忘れる | 泡水溶液量 × 混合比率で必ず計算する |
| 水源に泡水溶液量をそのまま書く | 水源 = 泡水溶液量 ×(1−混合比率)── 薬剤分を引く |
総合計算例
実際の製図試験に近い形で、一連の計算をまとめて練習しましょう。
・最大放射区域の防護面積:150㎡
・泡消火薬剤:水成膜泡(混合比率 3%)
・放射時間:10分
① 泡水溶液の放射量
② 泡水溶液の必要量(水源計算用)
③ 水源の容量
④ 泡消火薬剤の必要量
⑤ ポンプの吐出量
このように、甲1の計算に「薬剤量」の計算がプラスされるだけです。
まとめ問題
【問題1】泡消火設備の系統図において、混合装置と泡消火薬剤タンクを設置する位置として正しいものはどれか。
(1)水源とポンプの間(ポンプの1次側)
(2)ポンプと一斉開放弁の間(ポンプの2次側)
(3)一斉開放弁とフォームヘッドの間
(4)フォームヘッドの直前
【問題2】フォームヘッドの図記号として正しいものはどれか。
(1)●(黒丸) ── 閉鎖型と同じ記号
(2)○(白丸) ── 開放型の記号
(3)○にF ── 泡専用の記号
(4)◎(二重丸) ── 消火栓と同じ記号
【問題3】防護面積100㎡、混合比率3%のフォームヘッド方式泡消火設備で、泡消火薬剤の必要量として最も近いものはどれか。放射時間は10分とする。
(1)19.5 L
(2)65 L
(3)195 L
(4)6,500 L
【問題4】泡消火設備の製図について、甲1(水系)と異なる点として誤っているものはどれか。
(1)流水検知装置の代わりに一斉開放弁を使用する
(2)ポンプの2次側に混合装置と薬剤タンクが追加される
(3)水力計算の方法(ハーゼンウィリアムズ式)が泡消火設備専用の式に変わる
(4)泡消火薬剤の必要量を計算する工程が追加される