甲種2類/乙種2類

甲種2類の製図対策|泡消火設備の図面と計算の読み方

甲種2類の製図対策で最初に行うことは、図記号を一律に暗記することではなく、問題文の条件と凡例を先に読むことです。

消防試験研究センターが現在公開している甲種の例題では、第2類の製図として、指定可燃物を貯蔵する倉庫の全域放出方式・高発泡用泡消火設備を扱っています。図面から寸法を読み、泡放出口の個数、冠泡体積、泡水溶液の最少放出量を順に求める内容です。

この記事の範囲
公式の公開問題と消防法施行規則第18条を手がかりに、甲種2類の製図で条件を読み取る手順を解説します。公開問題の図や設問は転載せず、計算例は独自の数値で作成しています。実際の設計・施工では、最新法令、認定・型式、設計図書、所轄消防機関の運用を確認してください。

甲種2類の実技試験と公開問題

消防試験研究センターの試験科目表では、甲種の実技試験は鑑別等5問・製図2問です。乙種は鑑別等5問で、製図はありません。また、同センターは、公開している問題が過去に出題した問題の一部であり、学習の目安であると案内しています。

現在の甲種公開問題にある第2類の製図例から確認できる学習要素は、次の3点です。

設問の種類 読み取るもの 処理
泡放出口の個数 防護区画の床面積 1個が受け持てる面積で割り、端数を切り上げる
冠泡体積 床面積と防護対象物の最高位 問題条件に従って泡で満たす体積を求める
最少放出量 冠泡体積と単位体積当たりの放出量 両者を掛け、L/minで示す

この公開例は高発泡の計算です。「甲種1類の系統図に混合装置を足すだけ」「フォームヘッドの記号を覚えればよい」と範囲を固定すると、公開例の中心を外してしまいます。

製図問題は4段階で読む

1. 設備方式と対象を特定する

まず、低発泡か高発泡か、固定式か移動式か、全域放出方式か局所放出方式かを確認します。次に、駐車部分、道路、自動車修理・整備部分、航空機格納庫、指定可燃物など、対象を特定します。

同じ泡消火設備でも、放出口、放射量、計算対象区域、放射時間は方式と対象で異なります。設備名だけを見て一つの公式へ当てはめないことが重要です。

2. 問題文の条件を数式の横に書く

図面を計算し始める前に、次の条件を抜き出します。

  • 防護区画の縦・横・高さ
  • 防護対象物の最高位
  • 開口部と自動閉鎖装置の有無
  • 単位面積または単位体積当たりの放出量
  • 放射時間と同時放射範囲
  • 配管内を満たす泡水溶液量を含めるか
  • 泡消火薬剤の種類と希釈容量濃度

たとえば「配管内の量は考慮しない」と条件にあれば加算しません。記載がなければ、法令上の水源・薬剤量を検討する際に配管充水分を落とさないようにします。

3. 図面の寸法と凡例を対応させる

平面図は床面積、立面図は高さや最高位を読むために使います。図記号は、その問題に示された凡例や機器名を優先します。白丸・黒丸、P・D・F・Hなどを、すべての図面で共通する記号として決めつけることはできません。

4. 単位と端数処理を確認する

面積は㎡、体積はm³、放出量はL/min、薬剤量はLなど、求められた単位にそろえます。個数は割り切れない場合に不足が出ないよう切り上げます。途中式にも単位を付けると、面積と体積の取り違えに気づきやすくなります。

高発泡・全域放出方式の計算

泡放出口の個数

現在の公式公開例では、高発泡用泡放出口を防護区画の床面積500㎡当たり1個以上として計算しています。したがって、問題で同じ条件が与えられた場合は次の形です。

泡放出口数 = 防護区画の床面積 ÷ 500㎡
端数は切り上げる

この500㎡をフォームヘッドの配置や別方式の放出口へそのまま流用してはいけません。方式と問題条件を先に確認します。

冠泡体積

冠泡体積は、全域放出方式の高発泡で、泡により防護対象物を覆うための体積です。公開例のような直方体の防護区画では、床面積と、防護対象物の最高位に0.5mを加えた高さから計算します。

冠泡体積 = 防護区画の床面積 ×(防護対象物の最高位+0.5m)

実際の問題に開口部、段差、複数の高さ、控除条件が示されている場合は、その条件を優先します。

泡水溶液の最少放出量

単位冠泡体積当たりの放出量が与えられた場合は、冠泡体積に掛けます。薬剤の種類や対象物によって条件が変わるため、数値を一律に暗記せず、問題文と適用基準を確認します。

最少放出量 = 冠泡体積 × 単位体積当たりの放出量

独自例題で3段階を確認する

幅18m、奥行20mの防護区画に、最高位3.0mの防護対象物があるとします。泡放出口は床面積500㎡当たり1個以上、放出量は冠泡体積1m³当たり1.25L/min、配管内の量は考慮しないものとします。

  1. 床面積:18m×20m=360㎡
  2. 泡放出口数:360㎡÷500㎡=0.72 → 1個以上
  3. 冠泡体積:360㎡×(3.0m+0.5m)=1,260m³
  4. 最少放出量:1,260m³×1.25L/min・m³=1,575L/min

順序は「面積→個数→冠泡体積→放出量」です。先にすべての条件を数値化すると、500㎡を体積へ掛けるような取り違えを防げます。

低発泡の計算は対象と薬剤から分ける

低発泡のフォームヘッドでは、配置と放射量を別々に確認します。道路、自動車の修理・整備部分、駐車部分では、フォームヘッドを床面積9㎡につき1個以上設けます。航空機格納庫などのフォーム・ウォーター・スプリンクラーヘッドは、床面積8㎡につき1個以上です。

道路、自動車の修理・整備部分、駐車部分に設けるフォームヘッドの通常の放射量は、薬剤の種類で異なります。

泡消火薬剤 床面積1㎡当たりの放射量
たん白泡消火薬剤 6.5L/min
合成界面活性剤泡消火薬剤 8.0L/min
水成膜泡消火薬剤 3.7L/min

指定可燃物を貯蔵・取り扱う部分では、表の3種はいずれも6.5L/min・㎡です。また、2026年3月6日の改正により、駐車部分のフォームヘッドには、消防庁告示第2号の初期抑制性能を満たす設備について、性能確認された設計条件を用いる特例が追加されました。

6.5L/min・㎡に固定しない
対象、薬剤、2026年の性能基準によって適用値が変わります。問題文に「水成膜泡」「駐車部分」などの条件があれば、数値を使う前に組合せを確認します。

水源・泡水溶液・薬剤量を混同しない

施行規則第18条では、方式と対象に応じて、水源が作るべき泡水溶液量の計算範囲を定めています。代表的な範囲は次のとおりです。

  • 道路のフォームヘッド:床面積80㎡の区域にある全ヘッドを10分間放射
  • 駐車部分のフォームヘッド:不燃材料の壁または天井から0.4m以上突き出したはり等で区画された最大区域。該当するはり等がなければ50㎡の区域にある全ヘッドを10分間放射
  • その他のフォームヘッド:床面積が最大となる放射区域の全ヘッドを10分間放射
  • 局所放出方式の高発泡:最大となる放出区域へ20分間放出
  • 移動式:原則2個のノズルを同時使用し、対象に応じた放射量で15分間放射

これに、配管内を満たすための泡水溶液量を加えます。必要な泡消火薬剤量は、必要泡水溶液量に適用する希釈容量濃度を掛けて求めます。

道路・たん白泡の独自計算例

道路のフォームヘッドにたん白泡消火薬剤を用い、配管内を満たす泡水溶液量が300L、希釈容量濃度が3%と与えられた例です。

  1. 放射量:80㎡×6.5L/min・㎡=520L/min
  2. 10分間の泡水溶液量:520L/min×10分=5,200L
  3. 配管充水分を加算:5,200L+300L=5,500L
  4. 薬剤量:5,500L×0.03=165L以上

水源は、5,500Lの泡水溶液を作るために必要な水量以上とします。「泡水溶液量×(1-希釈容量濃度)」をすべての問題に機械的に当てはめず、法令の表現、問題で指定された計算方法、設備の設計条件を確認します。

系統図は混合方式と凡例を確認する

泡消火設備の系統には、水源、加圧送水装置、泡消火薬剤貯蔵槽、混合装置、弁類、配管、泡放出口、起動・警報に関する機器などが含まれます。ただし、すべての方式が同じ順序で並ぶわけではありません。

泡消火薬剤の混合方式には、ライン・プロポーショナー方式、ポンプ・プロポーショナー方式、プレッシャー・プロポーショナー方式、プレッシャー・サイド・プロポーショナー方式などがあります。薬剤を取り込む位置や圧力の使い方が異なるため、「混合装置は必ずポンプ吐出側のこの位置」と一つの系統へ固定できません。

系統図問題では、次の順に確認します。

  1. 流れ方向の矢印と配管の接続を追う
  2. 問題文・凡例で記号と機器名を対応させる
  3. 混合方式と薬剤槽への接続を確認する
  4. 放射区域、選択弁・一斉開放弁、起動経路を確認する
  5. 問題にない機器や記号を推測だけで追加しない

フォームヘッド、フォーム・ウォーター・スプリンクラーヘッド、高発泡用泡放出口は、適用対象と構造が同じではありません。「フォームヘッドは白丸」「フォーム・ウォーター・スプリンクラーヘッドは黒丸」のような独自の共通ルールではなく、問題の凡例と設計図書を基準にします。

配管の摩擦損失を求めるとき

泡消火設備の配管・加圧送水装置には、施行規則第18条から第12条の基準を準用する部分があります。摩擦損失計算が必要な場合は、消防庁告示第32号に従い、流量、管種、基準内径、直管長、継手・弁類の等価管長を確認します。

問題文が摩擦損失水頭を合計値で与えている場合は、その値を使います。個別の等価管長も与えられている場合に、既に継手・弁を含む合計値へ重ねて加算しないよう注意します。

答案を出す前のチェックリスト

  • 低発泡・高発泡、固定式・移動式、全域・局所を特定したか
  • 対象用途と薬剤の種類を確認したか
  • 平面図から面積、立面図から高さを読んだか
  • 問題文の凡例を使い、独自記号を持ち込んでいないか
  • 計算対象区域と放射時間を一律化していないか
  • 配管内の泡水溶液量を含める条件か確認したか
  • 面積・体積・流量・容量の単位をそろえたか
  • 個数の端数を切り上げたか

オリジナル理解度チェック

問題1

甲種2類の製図で図記号を読む方法として適切なのはどれですか。

(1)白丸・黒丸や英字には全問題共通の意味がある (2)問題文と凡例を優先する (3)凡例があっても暗記した記号を優先する

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正解:(2)

図面ごとに表記方法が異なることがあるため、問題文と凡例を基準にします。

問題2

床面積360㎡、防護対象物の最高位3.0mの直方体の防護区画で、最高位に0.5mを加えて求める冠泡体積はいくらですか。

(1)1,080m³ (2)1,260m³ (3)1,440m³

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正解:(2)

360㎡×(3.0m+0.5m)=1,260m³です。

問題3

道路のフォームヘッドにたん白泡を用いるとき、床面積80㎡に対する通常の放射量はいくらですか。

(1)296L/min (2)520L/min (3)640L/min

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正解:(2)

80㎡×6.5L/min・㎡=520L/minです。薬剤や対象が変われば適用値も変わります。

問題4

必要泡水溶液量5,500L、希釈容量濃度3%のとき、必要な泡消火薬剤量はいくらですか。

(1)55L (2)165L (3)5,335L

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正解:(2)

5,500L×0.03=165L以上です。

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参考資料

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