結論:消防機関へ通報する火災報知設備は、火災を消防機関へ知らせる設備
消防機関へ通報する火災報知設備は、火災が発生したときに、消防機関へ通報するための設備です。消防法施行令第23条で設置対象が定められ、消防法施行規則第25条で設備の種別や設置場所、火災通報装置の細目が整理されています。
甲種4類・乙種4類では、自動火災報知設備と混同しやすいところです。自火報は建物内の受信機や在館者へ火災を知らせる設備、消防機関へ通報する火災報知設備は消防機関への通報に関係する設備として分けて覚えます。
条文上の2つの種別
消防法施行規則第25条では、消防機関へ通報する火災報知設備を、火災通報装置と、それ以外の発信機に分けて扱っています。
| 種別 | 条文上の整理 | 設置場所 |
|---|---|---|
| 火災通報装置 | 一の押しボタンの操作等により消防機関に通報できる装置。電話回線を使用するもの。 | 防災センター等 |
| 火災通報装置を除く発信機 | 消防機関へ通報する火災報知設備の発信機。 | 多数の者の目にふれやすく、火災時にすみやかに操作できる箇所、および防災センター等 |
普段の学習では「火災通報装置」という言葉が中心になりますが、施行規則では発信機の区分も出てきます。自火報の発信機と同じものとして丸めず、消防機関へ通報する火災報知設備の文脈で読むことが大切です。
火災通報装置で押さえること
火災通報装置は、押しボタンの操作等により消防機関へ通報できる装置です。一般には119番通報につながる装置として理解されますが、公開記事では条文どおり「消防機関へ通報する」と表現しておくほうが安全です。
通信:火災通報装置の機能に支障を生ずるおそれのない電話回線を使用する
接続:他の機器等の通信の影響で支障が出ない部分に接続する
電源:蓄電池または交流低圧屋内幹線から他の配線を分岐させずに取る
表示:電源の開閉器などに火災通報装置用である旨を表示する
電話回線については、回線種別を単純に決め打ちせず、施行規則第25条のとおり、機能に支障を生ずるおそれのない電話回線を使用し、他の機器等の通信の影響を受けにくい部分に接続するという形で整理します。具体的な接続方法は、設計図書、機器仕様、所轄消防との協議で確認します。
自火報との連動が必要になる場合
火災通報装置は、すべての建物で一律に自火報連動になるわけではありません。消防法施行規則第25条第3項第5号では、一定の用途に設ける火災通報装置について、自動火災報知設備の感知器の作動と連動して起動することが示されています。
例:令別表第一(六)項イ(1)・(2)や(六)項ロ、(十六)項イ、(十六の二)項、(十六の三)項など、病院・診療所系や福祉施設系を含む用途で連動が論点になります。複合用途では、該当用途の部分があるかを合わせて確認します。
ただし、自動火災報知設備の受信機と火災通報装置が、常時人がいる防災センターに設置される場合には、連動しないことができる例外もあります。したがって、「火災通報装置は常に自火報連動」と覚えるのではなく、用途と設置場所を見て判断します。
発信機の場合の基準
火災通報装置を除く発信機については、施行規則第25条第4項に細目があります。ここは自火報の発信機と似た数値も出るため、混同しやすい部分です。
| 項目 | 整理 |
|---|---|
| 配線 | 自動火災報知設備の配線の設置の例により設ける。 |
| 押しボタン高さ | 床面または地盤面から0.8m以上1.5m以下。 |
| 標識 | 見やすい箇所に標識を設ける。 |
| 誤表示防止 | 断線、地絡、短絡、振動などで受信機に火災発生表示をしないようにする。 |
「発信機」とだけ見ると自火報のP型発信機を思い浮かべがちですが、ここでは消防機関へ通報する火災報知設備の発信機として読んでください。
設置対象は施行令第23条で確認する
消防機関へ通報する火災報知設備の設置対象は、消防法施行令第23条にまとまっています。用途と延べ面積で対象が変わります。
| 区分 | 設置対象の概要 |
|---|---|
| 面積にかかわらず対象になる用途 | (六)項イ(1)から(3)まで、(六)項ロ、(十六の二)項、(十六の三)項 |
| 延べ面積500㎡以上 | (一)項、(二)項、(四)項、(五)項イ、(六)項イ(4)・ハ・ニ、(十二)項、(十七)項 |
| 延べ面積1000㎡以上 | (三)項、(五)項ロ、(七)項から(十一)項まで、(十三)項から(十五)項まで |
また、一定の防火対象物では、消防機関へ常時通報できる電話を設置した場合に、消防機関へ通報する火災報知設備を設置しないことができる場合があります。ただし、病院・診療所系や福祉施設系などでは除外される用途もあるため、詳細は「通報設備の設置基準」で確認します。
自火報・発信機との違い
消防設備士の学習では、「感知器」「発信機」「火災通報装置」が近いところに出てきます。誰に、何を知らせるのかで分けると整理できます。
| 設備 | 主な役割 | 通報先・信号先 |
|---|---|---|
| 感知器 | 熱・煙・炎などを感知する | 自火報の受信機 |
| 自火報の発信機 | 人が火災信号を手動で送る | 自火報の受信機 |
| 地区音響装置 | 建物内へ火災を知らせる | 在館者 |
| 火災通報装置 | 押しボタンの操作等で消防機関へ通報する | 消防機関 |
参考にした公的資料
- e-Gov 法令検索「消防法施行令」:第23条(設置対象、常時通報できる電話による例外)
- e-Gov 法令検索「消防法施行規則」:第25条(種別、設置場所、火災通報装置の細目)
全体のまとめ
火災通報装置:一の押しボタンの操作等で消防機関へ通報できる電話回線使用の装置
設置場所:火災通報装置は防災センター等に設ける
電話回線:機能に支障を生ずるおそれのない回線・接続部分を使う
電源:蓄電池または交流低圧屋内幹線から他配線を分岐させずに取る
自火報連動:一定用途では感知器の作動と連動して起動する。常時人がいる防災センターの例外あり
発信機:火災通報装置を除く発信機は0.8m以上1.5m以下、標識、誤表示防止などが論点
次のステップ
火災通報装置を確認したら、次は自動火災報知設備の設置義務を確認します。警報設備は、構造だけでなく「どの用途・面積で必要になるか」とセットで整理します。
まとめ問題
問題1:火災通報装置の定義として、消防法施行規則第25条の整理に近いものはどれか。
(1)熱や煙を感知して受信機へ火災信号を送る装置
(2)一の押しボタンの操作等により、電話回線を使用して消防機関へ通報できる装置
(3)建物内にベルやサイレンを鳴らす装置
(4)ガス漏れ表示灯を点灯させる装置
問題2:火災通報装置の設置場所として正しいものはどれか。
(1)防災センター等
(2)すべての客席
(3)屋外消火栓箱の内部
(4)避難器具の降下空間
問題3:火災通報装置の電話回線と電源に関する記述として正しいものはどれか。
(1)他の機器の通信で支障が出ても、どの電話回線でもよい
(2)電源は、蓄電池または交流低圧屋内幹線から他配線を分岐させずに取る
(3)電源の開閉器に火災通報装置用である旨の表示は不要である
(4)電話回線を使用する装置は火災通報装置に含まれない
問題4:火災通報装置の自火報連動に関する記述として適切なものはどれか。
(1)すべての建物で、自火報の感知器と連動させる必要がある
(2)一定の用途では、自火報の感知器の作動と連動して起動することが示されている
(3)自火報と連動する場合、火災通報装置は防災センター等に設けてはならない
(4)常時人がいる防災センターに設置される場合でも、例外は一切ない
問題5:消防機関へ通報する火災報知設備の発信機について、正しいものはどれか。
(1)押しボタンは床面または地盤面から0.8m以上1.5m以下に設ける
(2)押しボタンは床面から2.5m以上に設ける
(3)標識は設けない
(4)配線の断線や地絡があるとき、受信機に火災発生表示を出すようにする
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