甲種4類

ガス漏れ火災警報設備の構造と機能|検知器・受信機・表示灯をわかりやすく解説

結論:ガス漏れ火災警報設備は、可燃性ガスの漏れを検知して警報を出す設備

結論から言います。

ガス漏れ火災警報設備は、都市ガスやLPガスなどの可燃性ガスが漏れたことを自動で検知し、建物内の人に警報を出すとともに、建物の外にもガス漏れを知らせる設備です。

自火報(自動火災報知設備)が「火災」を検知する設備なら、ガス漏れ火災警報設備は「ガス漏れ」という火災の一歩手前を検知する設備です。

ガス漏れ火災警報設備の構成
検知器
ガスを検知
半導体式など
中継器
信号を中継
受信機へ伝送
受信機
信号を受信・表示
GP型・GR型
警報・表示
音響で館内警報
表示灯で外部通知

甲種4類の試験では、検知器の検知原理都市ガスとLPガスによる設置位置の違いガス漏れ表示灯の役割が頻出です。

自火報との違い ― 「火災」ではなく「ガス漏れ」を検知する

自火報とガス漏れ火災警報設備は構成がよく似ています。どちらも「検知→中継→受信→警報」の流れですが、何を検知するかが根本的に違います。

項目 自火報 ガス漏れ火災警報設備
検知対象 熱・煙・炎 可燃性ガス
検知する機器 感知器 検知器
受信機 P型・R型 GP型・GR型

名前も「感知器」と「検知器」で微妙に違います。試験では混同させる問題が出るので注意してください。

なぜガス漏れの段階で警報するのか?

可燃性ガスが漏れて空気中に一定濃度以上溜まると、小さな火花でも爆発的に燃え上がる危険があります。火がついてからでは手遅れなので、ガスが漏れた時点で検知して、火災になる前に対処するのがこの設備の目的です。

検知器 ― ガスを検知するセンサー

検知器は、空気中に漏れ出した可燃性ガスを自動的に検知する装置です。主に2つの方式があります。

半導体式検知器

最も一般的な方式です。

半導体式検知器のしくみ
検知素子:酸化スズ(SnO₂)などの金属酸化物半導体

原理:
① 半導体をヒーターで加熱状態にしておく
 ▼
② 可燃性ガスが半導体の表面に接触する
 ▼
③ ガスと酸素が反応 → 半導体の電気抵抗が変化する
 ▼
④ 抵抗値の変化を電気信号に変換 → ガス漏れを検出!

ガスがない通常時は半導体の抵抗値が安定しています。ガスが接触すると抵抗値が急激に下がるため、その変化をとらえてガス漏れを検知します。家庭用のガス警報器にも広く使われている方式です。

接触燃焼式検知器

もう一つの代表的な方式です。

接触燃焼式検知器のしくみ
検知素子:白金コイル(触媒付き)

原理:
① 白金コイルを加熱状態にしておく
 ▼
② 可燃性ガスがコイル表面の触媒に接触する
 ▼
③ ガスが触媒の表面で接触燃焼する(炎は出ない)
 ▼
④ 燃焼熱で温度上昇 → 白金コイルの電気抵抗が上昇
 ▼
⑤ ブリッジ回路で抵抗変化を検出 → ガス漏れを検出!

「接触燃焼」とは、触媒の表面でガスがゆっくり酸化(燃焼)する反応です。炎が出るわけではないので安全です。半導体式と違い、ガスの燃焼熱を直接利用するのが特徴です。

2つの方式の比較

項目 半導体式 接触燃焼式
検知素子 金属酸化物半導体 白金コイル+触媒
検知原理 抵抗値の低下 燃焼熱による抵抗上昇
特徴 高感度・広範囲検知 安定性が高い

都市ガスとLPガス ― ガスの比重で設置位置が変わる

ここが試験の超頻出ポイントです。

検知器は「ガスが溜まる場所」に設置しなければ意味がありません。そしてガスが溜まる場所は、ガスの比重(空気と比べた重さ)で決まります。

ガスの比重と検知器の設置位置
都市ガス(メタン主成分)
空気より軽い(比重 約0.55)
 ↓ 漏れると上に昇る

検知器は天井面付近
天井面の下方0.3m以内に設置

LPガス(プロパン主成分)
空気より重い(比重 約1.56)
 ↓ 漏れると下に溜まる

検知器は床面付近
床面の上方0.3m以内に設置

覚え方:都市ガスは「都(と)=上(とう)」で天井側、LPガスは「L=Low(低い)」で床側――こう覚えると間違えません。

どちらも「0.3m以内」という距離は同じです。天井や床にぴったりではなく少し離すのは、検知器のメンテナンスのしやすさを考慮しているためです。

検知器からガス燃焼機器までの水平距離

検知器は、ガス漏れが発生する可能性が高い場所、つまりガス燃焼機器(ガスコンロ・ガス給湯器等)の付近に設置します。水平距離の基準は次のとおりです。

  • 都市ガス(空気より軽い):燃焼機器から水平距離8m以内
  • LPガス(空気より重い):燃焼機器から水平距離4m以内

なぜLPガスのほうが距離が短い?

LPガスは空気より重いため、漏れると床面に沿って広がりにくく、燃焼機器の近くに溜まりやすい性質があります。一方、都市ガスは軽いため天井に沿って広く拡散します。だからLPガスのほうがより近くに検知器を置く必要があるのです。

受信機 ― GP型・GR型でガス漏れに対応

ガス漏れ火災警報設備の受信機は、受信機の記事で紹介したGP型またはGR型を使用します。

  • GP型=P型受信機にガス漏れ受信機能を追加したもの
  • GR型=R型受信機にガス漏れ受信機能を追加したもの

つまり、1台の受信機で自火報とガス漏れ警報の両方を兼用できるのが特徴です。「G」はGas(ガス)の頭文字です。

受信機がガス漏れ信号を受けると、以下の動作をします。

  • ガス漏れ灯(黄色)の点灯 ― 火災灯(赤色)とは別の色で区別
  • 地区表示 ― どの検知区域でガスが漏れたかを表示
  • 音響装置の鳴動 ― 建物内に警報音を出す
  • ガス漏れ表示灯の点灯 ― 建物外部に知らせる

重要:火災信号は赤色灯、ガス漏れ信号は黄色灯で表示します。この色の違いは試験で問われます。

ガス漏れ表示灯 ― 建物の外から確認できる赤いランプ

ガス漏れ表示灯は、ガス漏れが検知されたことを建物の外部に知らせるためのランプです。

なぜ外部に知らせる必要があるのか?

消防隊が現場に到着したとき、建物の中に入る前にガス漏れが発生しているかどうかを外から確認できることが重要です。ガスが充満している建物に不用意に入ると爆発の危険があるからです。

ガス漏れ表示灯が点灯していれば、消防隊は「この建物はガスが漏れている」と事前に把握でき、適切な安全措置(換気・ガス遮断など)をとった上で進入できます。

ガス漏れ表示灯の基準

  • 設置場所:建物の出入口付近の外部(消防隊が確認できる位置)
  • :赤色
  • 動作:ガス漏れ検知時に点滅

発信機の表示灯(常時点灯)と違い、ガス漏れ表示灯はガス漏れ時にだけ点滅します。常時点灯ではないので、ランプが光っていれば「今まさにガスが漏れている」という緊急事態を意味します。

検知区域 ― ガス漏れの監視範囲

自火報の「警戒区域」に相当するのが、ガス漏れ火災警報設備の「検知区域」です。

検知区域は、ガス漏れの発生を有効に検知できるよう、次のように設定します。

  • 防火対象物の2以上の階にわたらないこと(各階ごとに区切る)
  • 1つの検知区域の面積は600㎡以下とすること

これは自火報の警戒区域の設定基準と基本的に同じ考え方です。ガス漏れがどの範囲で起きているかを素早く特定するために、区域を適切な大きさに分けます。

信号の流れ ― 検知から警報までの全体フロー

ガス漏れ火災警報設備の信号フロー
① ガスが漏れる
→ ガス燃焼機器や配管からガスが漏出
 ▼
② 検知器がガスを検知
→ 半導体式 or 接触燃焼式で検知 → 電気信号に変換
 ▼
③ 中継器が信号を中継
→ 検知器の信号を受信機に伝送
 ▼
④ 受信機(GP型/GR型)が受信
ガス漏れ灯(黄色)点灯+地区表示+主音響鳴動
 ▼
⑤ 館内に警報
→ 音響装置でガス漏れを建物内に周知
 ▼
⑥ ガス漏れ表示灯が点滅
→ 建物外部に赤色点滅で消防隊に知らせる

自火報と同じ「検知→中継→受信→警報」の流れですが、最後に建物の外にも知らせるのがガス漏れ火災警報設備の特徴です。ガス漏れは爆発の危険があるため、消防隊への外部通知が不可欠なのです。

全体のまとめ

ガス漏れ火災警報設備 チェックリスト
目的:可燃性ガスの漏れを検知し、火災になる前に警報を出す
構成:検知器→中継器→受信機(GP型/GR型)→警報装置+ガス漏れ表示灯
半導体式:酸化スズの電気抵抗変化でガスを検知(最も一般的)
接触燃焼式:白金コイル上の接触燃焼による温度上昇で検知
都市ガス:空気より軽い → 検知器は天井面の下方0.3m以内・水平距離8m以内
LPガス:空気より重い → 検知器は床面の上方0.3m以内・水平距離4m以内
受信機の表示:火災=赤色灯、ガス漏れ=黄色灯
ガス漏れ表示灯:建物出入口外部に設置、ガス漏れ時に赤色点滅
検知区域:2以上の階にわたらない・600㎡以下

まとめ問題

問題1:ガス漏れ火災警報設備の検知器に関する記述のうち、正しいものはどれか。

(1)半導体式検知器は、可燃性ガスとの接触で半導体の電気抵抗が上昇することを利用している
(2)接触燃焼式検知器は、白金コイルの表面でガスが接触燃焼し、温度上昇による電気抵抗の変化を利用している
(3)半導体式検知器の検知素子には白金コイルが使用されている
(4)接触燃焼式検知器は、ガスとの接触で半導体の電気抵抗が低下することを利用している

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正解:(2)
接触燃焼式検知器は、白金コイル表面の触媒でガスが接触燃焼し、温度上昇によるコイルの電気抵抗変化をブリッジ回路で検出する方式です。(1)は逆で、半導体式はガスとの接触で抵抗が「低下」します。(3)の白金コイルは接触燃焼式の素子です。(4)は半導体式と接触燃焼式の説明が入れ替わっています。

問題2:ガス漏れ検知器の設置位置に関する記述のうち、正しいものはどれか。

(1)都市ガス用の検知器は、床面の上方0.3m以内に設置する
(2)LPガス用の検知器は、天井面の下方0.3m以内に設置する
(3)都市ガス用の検知器は、天井面の下方0.3m以内に設置する
(4)LPガス用の検知器は、床面の上方1.0m以内に設置する

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正解:(3)
都市ガス(メタン主成分)は空気より軽いため、漏れると上に昇ります。だから検知器は天井面の下方0.3m以内に設置します。LPガス(プロパン主成分)は空気より重いため床面付近に溜まるので、床面の上方0.3m以内に設置します。(1)と(2)はガスの性質と設置位置が逆です。

問題3:ガス漏れ火災警報設備の受信機に関する記述のうち、正しいものはどれか。

(1)ガス漏れ信号を受信すると赤色のガス漏れ灯が点灯する
(2)ガス漏れの受信機にはP型またはR型受信機を使用する
(3)ガス漏れ信号を受信すると黄色のガス漏れ灯が点灯する
(4)GP型受信機はガス漏れ専用であり、火災信号の受信はできない

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正解:(3)
ガス漏れ信号を受信すると黄色のガス漏れ灯が点灯します。火災信号の赤色灯とは色で区別されています。(1)の赤色は火災灯です。(2)のP型・R型はガス漏れ受信機能を持たないため、GP型またはGR型を使用します。(4)のGP型は「P型+ガス漏れ」の兼用受信機なので、火災信号の受信も可能です。

問題4:ガス漏れ表示灯に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)建物の出入口付近の外部に設置する
(2)ガス漏れが検知されると赤色で点滅する
(3)消防隊が建物外からガス漏れの有無を確認するためのものである
(4)ガス漏れの有無にかかわらず常時点灯している

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正解:(4)
ガス漏れ表示灯はガス漏れが検知されたときにだけ点滅する装置であり、常時点灯ではありません。自火報の表示灯(発信機の位置を示す赤ランプ)は常時点灯ですが、ガス漏れ表示灯は「今まさにガスが漏れている」ことを示す緊急表示なので、平常時は消灯しています。

問題5(応用):地下街の飲食店エリアに都市ガスを使用するガスコンロが設置されている。このエリアにガス漏れ検知器を設置する場合、設置位置として最も適切なものはどれか。

(1)ガスコンロから水平距離4m以内の床面上方0.3m以内
(2)ガスコンロから水平距離8m以内の天井面下方0.3m以内
(3)ガスコンロから水平距離8m以内の床面上方0.3m以内
(4)ガスコンロから水平距離4m以内の天井面下方0.3m以内

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正解:(2)
都市ガスは空気より軽いため、漏れると天井付近に溜まります。したがって検知器は天井面の下方0.3m以内に設置します。また、都市ガスの水平距離の基準は8m以内です(LPガスの場合は4m以内)。(1)と(4)の水平距離4mはLPガスの基準、(3)は床面付近なのでLPガス用の設置位置です。ポイントは「都市ガス=軽い=天井=8m」「LPガス=重い=床=4m」の組み合わせを正確に覚えることです。

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