甲種4類

受信機の点検と試験|同時作動試験・予備電源試験をわかりやすく解説

結論:受信機の点検・試験は7項目をおさえれば完璧

結論から言います。

受信機が正常に動作するかを確認する点検・試験は、大きく分けて7つの項目があります。

受信機の点検・試験 ― 7項目
機能試験(操作して確認)
① 火災表示試験 — 回線ごとに正しく表示されるか
② 回路導通試験 — 感知器回線がつながっているか
③ 同時作動試験 — 2回線同時に処理できるか
④ 予備電源試験 — 停電時でも動くか
⑤ 火災復旧試験 — 復旧操作で正常に戻るか
⑥ 地区音響装置試験 — ベルが正しく鳴るか
⑦ スイッチ注意灯試験 — 切り忘れを警告するか

試験のほとんどは受信機のスイッチやボタンを操作して、正しく反応するか確認するというシンプルなものです。ただし、P型1級とP型2級で試験項目に差があったり、同時作動試験には独特のルールがあったりするので、1つずつ見ていきましょう。

外観点検 ― まずは目で見て異常を見つける

機能試験の前に、まずは外観点検を行います。電源を入れる前に目で見て触って確認する項目です。

外観点検のチェックポイント

項目 確認内容
外形 変形・損傷・腐食・脱落がないか
表示 銘板が貼られ、記載内容が正確か
スイッチ類 破損・変形がなく正常位置にあるか
ヒューズ 所定の種類・容量のものが使われているか
結線接続 端子の緩み・断線・脱落がないか
接地 接地線が確実に接続されているか
予備品等 予備ヒューズ・回路図・取扱説明書が備えてあるか

地味ですが、端子の緩みやヒューズの劣化は試験では見つけにくいので、外観点検が意外と重要です。特に「予備ヒューズが備えてあるか」は見落とされがちなポイントです。

① 火災表示試験 ― 各回線が正しく表示されるか

火災表示試験は、受信機の点検の中で最も基本的な試験です。

試験の方法

感知器回線の末端(終端器の部分)に試験器を接続するか、受信機の試験装置を使って各回線に火災信号を送ります。そして、以下の項目が正常に動作するか確認します。

火災表示試験の確認項目
火災灯(赤色ランプ)が点灯するか
地区表示装置が正しい回線番号を表示するか
主音響装置(受信機本体のブザー)が鳴動するか
地区音響装置(ベル・サイレン等)が鳴動するか

要するに、「1本の回線に火災信号を入れて、受信機がちゃんとフル反応するか」を全回線分チェックする――それが火災表示試験です。

P型1級では応答確認灯(発信機のランプ)の点灯も確認します。

② 回路導通試験 ― 感知器回線がつながっているか

回路導通試験は、受信機から感知器までの回線が断線していないかを確認する試験です。

なぜ導通試験が必要?

感知器回線の末端には終端抵抗が接続されています。受信機は常にこの終端抵抗を通して微小な電流(監視電流)を流しています。もし途中で断線すると電流が流れなくなり、受信機が「断線」を検出する仕組みです。

回路導通試験では、この監視電流が正常に流れているかを確認します。

試験の方法

回路導通試験の流れ
受信機の「導通試験スイッチ」を操作する
各回線を1本ずつ選択する
導通表示灯が点灯するか確認
点灯 → 回線正常(電流が流れている)
不点 → 回線に断線の疑い

P型1級受信機には導通試験装置が内蔵されています。受信機のスイッチを操作するだけで各回線の導通を確認できます。

P型2級受信機には導通試験装置がないため、回路計(テスター)を使って各回線の終端抵抗値を直接測定します。

③ 同時作動試験 ― 2回線同時でも正常に処理できるか

同時作動試験は、受信機の点検の中でも特に試験に出やすい重要な試験です。

試験の目的

実際の火災では、1つの区域だけでなく複数の区域で同時に感知器が作動することがあります。たとえば、火災が急速に広がって隣の区域にも煙が流れたとき。このとき受信機は複数の信号を同時に受け取って正しく処理しなければなりません。

同時作動試験は、この「複数回線が同時に発報した状況」を人工的に再現して、受信機が正しく対応できるか確認する試験です。

試験の方法

同時作動試験の手順
受信機を試験状態にする
任意の2回線を選んで同時に火災信号を入れる
火災灯が点灯し、2つの地区表示が正しく表示されるか確認
主音響装置・地区音響装置が鳴動するか確認
復旧操作を行い、正常に戻るか確認

試験のルール

  • 同時に作動させるのは2回線(全回線を同時に作動させるわけではない)
  • 2つの地区表示が両方とも正しく表示されなければならない(片方だけでは不合格)
  • P型1級では、受信機に内蔵された試験装置を使って行う

なぜ「2回線」なのか?

実際の火災では多数の回線が発報することもありますが、試験では最低限の同時作動能力として2回線を確認します。2回線すら正常に処理できない受信機は、実際の火災では役に立たないということです。

④ 予備電源試験 ― 停電時でもシステムが動くか

自火報は停電時でも動作しなければならない設備です。そのため、受信機には常用電源(AC 100V)のほかに予備電源(蓄電池)が内蔵されています。

試験の方法

予備電源試験の流れ
常用電源を遮断する(電源プラグを抜く or ブレーカーを落とす)
自動的に予備電源に切り替わるか確認
切替え後も火災表示や音響が正常に動作するか確認
電圧計で予備電源の電圧を測定し、規定値以上か確認
常用電源を復旧し、自動的に常用電源に戻るか確認

予備電源の基準

項目 基準
監視状態の維持 60分間以上
その後の鳴動 10分間以上

つまり、停電後60分間は監視状態を維持し、さらにその後10分間は火災が起きても警報を鳴らせる能力が必要です。合計で最低70分間は動作する蓄電池容量が求められます。

予備電源の電圧が規定値を下回っていたら、蓄電池の劣化が考えられます。交換が必要です。

⑤ 火災復旧試験 ― 復旧操作で正常に戻るか

受信機には火災復旧スイッチがあり、火災警報を止めてシステムを通常の監視状態に戻すために使います。

試験の方法

火災復旧試験の流れ
火災表示試験の状態(火災灯点灯・ベル鳴動中)にする
火災復旧スイッチを操作する
火災灯が消灯するか確認
地区表示が消灯するか確認
主音響装置・地区音響装置が停止するか確認
受信機が通常の監視状態に戻るか確認

復旧操作をしても火災灯が消えない、ベルが鳴り止まない――そんな受信機では、火災確認後に正常な監視状態に戻せず、次の火災に対応できなくなるおそれがあります。だから復旧試験が重要なのです。

注意:感知器が発報し続けている場合

復旧スイッチを押しても、感知器が発報状態のままだと再び火災表示が出ます。これは受信機の故障ではなく正常な動作です。試験時は感知器を復旧させてから復旧スイッチを操作しましょう。

⑥ 地区音響装置試験 ― ベルが正しく鳴るか

地区音響装置(ベル・サイレン・音声警報等)が正常に鳴動するかを確認する試験です。

確認項目

  • 音圧:取付けられた音響装置の中心から1m離れた位置で90dB以上(音声警報は92dB以上)
  • 区分鳴動:区分鳴動方式の場合、出火階とその直上階のみで鳴動するか確認(その後、一定時間経過で全館一斉鳴動に切り替わるかも確認)
  • 鳴動停止:音響停止スイッチで鳴動を停止し、再び火災信号を受信したら再鳴動するか確認

音響停止後に新たな火災信号が入っても鳴らない受信機は、別の区域で発生した火災を見逃すことになります。「停止しても新たな信号で再鳴動する」ことが重要です。

⑦ スイッチ注意灯試験 ― 切り忘れを警告するか

スイッチ注意灯は黄色のランプで、受信機のスイッチが通常と異なる位置にあるとき(たとえばベルを止めたまま戻し忘れた場合)に点灯して知らせるものです。

試験の方法

  • 音響停止スイッチなどを操作して通常以外の位置にする
  • スイッチ注意灯(黄色)が点灯するか確認
  • スイッチを正常位置に戻すと消灯するか確認

なぜこれが大切かというと、たとえば点検後にベルを止めたまま帰ってしまったら、本番の火災でベルが鳴らないという最悪の事態になります。スイッチ注意灯は「何か元に戻していない操作がありますよ」と管理者に警告する安全装置なのです。

P型1級 vs P型2級 ― 試験項目の違い

P型1級とP型2級では、受信機に内蔵されている試験機能に違いがあります。

P型1級受信機
回路導通試験装置 → 内蔵 ✔
同時作動試験装置 → 内蔵 ✔
火災表示の保持機能 → あり ✔
電話連絡装置 → あり ✔
蓄積機能の切替え → あり ✔
P型2級受信機
回路導通試験装置 → なし ✘
同時作動試験装置 → なし ✘
火災表示の保持機能 → なし ✘
電話連絡装置 → なし ✘
蓄積機能の切替え → なし ✘

P型2級には試験装置が内蔵されていないため、外部の測定器(回路計・テスター等)を使って手動で試験する必要があります。

P型2級の注意点「火災表示の非保持」

P型1級は火災信号を受信すると、復旧操作をするまで火災表示が保持されます。しかしP型2級は感知器が復旧すると自動的に火災表示が消えてしまう(非保持)。

試験のとき、P型2級で火災信号を入れてすぐに止めると表示が消えてしまうので、信号を入れている間に確認作業を完了する必要があります。

全体の点検フロー

受信機の点検は、以下の順番で行うと効率的です。

受信機の点検フロー
STEP 1 外観点検 — 目視で損傷・腐食・端子の緩みを確認

STEP 2 回路導通試験 — 感知器回線が断線していないか確認

STEP 3 火災表示試験 — 全回線を1本ずつ試験

STEP 4 同時作動試験 — 2回線同時に発報させる

STEP 5 火災復旧試験 — 復旧スイッチで正常に戻るか

STEP 6 予備電源試験 — 停電時の動作を確認

STEP 7 各部動作確認 — 音響装置・注意灯・電話装置(P型1級)

先に回路導通を確認しておくことで、断線している回線を事前に見つけておけます。断線したまま火災表示試験をしても正確な結果が得られないので、導通 → 火災表示の順番が合理的です。

全体のまとめ

この記事のポイント
受信機の点検は外観点検+機能試験7項目
同時作動試験は2回線を同時に発報させる
予備電源は監視60分+鳴動10分の容量が必要
P型1級は試験装置内蔵、P型2級は外部計器が必要
P型2級は火災表示が非保持(信号がなくなると消える)
音響停止後も新たな信号で再鳴動することを確認
スイッチ注意灯はスイッチの戻し忘れ防止の安全装置

まとめ問題

理解度チェックとして、4問出題します。

第1問

受信機の同時作動試験では、同時にいくつの回線を作動させて確認するか。次のうち正しいものを1つ選べ。

(1)全回線を同時に作動させる
(2)回線数の半分を同時に作動させる
(3)任意の2回線を同時に作動させる
(4)任意の3回線を同時に作動させる

解答を見る

正解:(3)任意の2回線を同時に作動させる
同時作動試験は、任意の2回線に同時に火災信号を入力し、両方の地区表示が正しく表示されるかを確認する試験です。全回線や3回線ではなく、2回線が基準です。

第2問

P型2級受信機の特徴として、誤っているものを1つ選べ。

(1)回路導通試験装置が内蔵されていない
(2)火災表示が保持される
(3)電話連絡装置がない
(4)同時作動試験装置が内蔵されていない

解答を見る

正解:(2)火災表示が保持される
P型2級受信機は火災表示が「非保持」です。感知器が復旧すると火災表示も自動的に消えてしまいます。火災表示を保持する(復旧操作をするまで表示が残る)のはP型1級受信機の機能です。

第3問

受信機に内蔵された予備電源(蓄電池)の容量基準として、正しいものを1つ選べ。

(1)監視状態を30分間、その後の鳴動を10分間維持できること
(2)監視状態を60分間、その後の鳴動を10分間維持できること
(3)監視状態を60分間、その後の鳴動を30分間維持できること
(4)監視状態を120分間、その後の鳴動を10分間維持できること

解答を見る

正解:(2)監視状態を60分間、その後の鳴動を10分間維持できること
予備電源は、停電後に監視状態を60分間維持し、さらにその後10分間は警報を鳴らし続けられる容量が必要です。合計70分間以上の動作能力が求められます。

第4問

受信機の音響停止スイッチでベルの鳴動を停止した後、別の回線で新たに火災信号を受信した場合、正常な受信機はどう動作するか。次のうち正しいものを1つ選べ。

(1)新たな信号を受信しても、音響停止中はベルは鳴動しない
(2)新たな信号を受信すると、再びベルが鳴動する
(3)新たな信号を受信すると、スイッチ注意灯のみ点灯する
(4)新たな信号を受信すると、火災灯のみ点灯しベルは鳴動しない

解答を見る

正解:(2)新たな信号を受信すると、再びベルが鳴動する
音響停止スイッチで鳴動を停止しても、新たな回線から火災信号を受信した場合は再び鳴動しなければなりません。もし鳴動しなければ、別の区域の火災を見逃すことになるからです。これは地区音響装置の試験で必ず確認するポイントです。

-甲種4類