消防設備士試験では、消防設備士免状、電気工事士免状、電気主任技術者免状などを持つ人が、受験申請時に手続きすることで試験科目の一部免除を受けられます。
ただし、免除範囲は「保有資格」だけでは決まりません。受験する甲種・乙種と類、複数資格の組合せによって、免除される問題、残る問題、試験時間が変わります。甲種特類には科目免除がありません。
先に押さえるポイント
- 資格を持っているだけでは自動的に免除されない。
- 受験申請時に免除を選び、必要な証明書類を提出する。
- 電気工事士の免除がすべての類で同じように使えるわけではない。
- 問題数と試験時間は、公式の甲種用・乙種用一覧表で確認する。
- 合格基準は、免除された問題を除いた残りの問題に対して適用される。
消防設備士の科目免除とは
科目免除は、既に取得した資格や業務経験と重なる知識について、消防設備士試験の一部を受けなくてよい制度です。消防試験研究センターは、資格と受験種類ごとに「一部免除・試験時間・試験問題数一覧表」を公開しています。
一般受験者の問題数は次のとおりです。
| 受験区分 | 筆記 | 実技 | 免除なしの試験時間 |
|---|---|---|---|
| 甲種特類 | 45問 | なし | 2時間45分 |
| 甲種第1~5類 | 45問 | 鑑別等5問・製図2問 | 3時間15分 |
| 乙種第1~7類 | 30問 | 鑑別等5問 | 1時間45分 |
免除が認められると、該当する問題が出題されず、問題数に応じて試験時間も短くなります。どの欄が免除になるかは、受験する類の表を横にたどって確認します。
免除の対象になる主な資格
| 資格・要件 | 免除の考え方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 他の消防設備士免状 | 消防関係法令の共通部分が中心。受験類との関係によって基礎的知識や構造・機能等も免除される場合がある。 | 「どの免状でも同じ範囲」ではない。 |
| 第一種・第二種電気工事士免状 | 電気の基礎的知識、構造・機能等の電気部分が中心。第4類や乙種第7類では実技にも免除がある。 | 第5類や乙種第6類など、問題数・時間が減らない受験区分もある。 |
| 第一~第三種電気主任技術者免状 | 電気分野の筆記が中心。 | 電気工事士と実技免除の扱いが異なる場合がある。 |
| 技術士 | 機械、化学、電気電子、衛生工学など、受験類に対応する部門によって免除範囲が決まる。 | 対象部門と受験類の対応を公式表で確認する。 |
| 特定の消防団員 | 乙種第5類・第6類で一部免除の対象になる。 | 5年以上の消防団員勤務と、消防学校の専科教育「機関科」修了の両方が必要。 |
| 日本消防検定協会・指定検定機関の対象職員 | 所定業務への従事により、基礎的知識や構造・機能等が免除される場合がある。 | 対象業務と従事期間の証明が必要。 |
上表は対象資格の全体像です。実際の免除問題数は、消防試験研究センターの試験科目及び問題数から、甲種用または乙種用の一覧表を開いて確認してください。
電気工事士免状による免除
第一種または第二種電気工事士免状を持つ人は、受験種類に応じて電気分野の免除を申請できます。「電気工事士を持っていれば全類で大幅に減る」という制度ではありません。
甲種第4類の例
甲種第4類の一般受験者は、筆記45問、実技7問、試験時間3時間15分です。電気工事士免状による免除を申請すると、次が免除対象になります。
- 基礎的知識の電気:10問
- 構造・機能・工事・整備の電気:12問
- 実技の鑑別等:1問
したがって、残るのは筆記23問、実技6問で、試験時間は2時間30分です。旧本文の「筆記45問から32問」という説明は、現行の公式表と一致しません。
| 甲種第4類 | 筆記 | 実技 | 試験時間 |
|---|---|---|---|
| 免除なし | 45問 | 7問 | 3時間15分 |
| 電気工事士免状 | 23問 | 6問 | 2時間30分 |
| 他の甲種第1~3・5類 | 37問 | 7問 | 3時間 |
| 他の甲種第1~3・5類+電気工事士 | 15問 | 6問 | 1時間45分 |
複数の免除資格を持つ場合は、免除が組み合わされます。単独資格の行を足し算して推測せず、公式表の「複数の免除資格所持者」の行を確認してください。
乙種第7類の例
乙種第7類では、電気工事士免状による免除が大きく、電気の筆記14問と実技の鑑別等5問が免除対象です。
| 乙種第7類 | 筆記 | 実技 | 試験時間 |
|---|---|---|---|
| 免除なし | 30問 | 5問 | 1時間45分 |
| 電気工事士免状 | 16問 | 免除 | 1時間 |
一方、乙種第6類では、電気工事士または電気主任技術者免状だけでは問題数と試験時間は減りません。資格名だけで判断せず、受験類の行を見る必要があります。
他の類の消防設備士免状による免除
既に消防設備士免状を持つ人は、新たな類を受験するときに消防関係法令の共通部分が免除対象になります。さらに、受験する類と既得免状が機械系・電気系のどちらに関係するかによって、基礎的知識や構造・機能等にも免除が広がる場合があります。
たとえば甲種第4類を受験する人が甲種第1~3類または第5類の免状を持つ場合、法令共通8問が免除され、試験時間は3時間になります。乙種では既得免状の甲乙や類の組合せがさらに細かいため、一覧表で該当行を確認してください。
同じ「他類免状」でも免除範囲は同じではありません
法令共通だけが免除される組合せと、法令共通に加えて機械・電気分野も免除される組合せがあります。「乙種第6類を持っているから、次は法令と基礎が全部免除」のような一律の覚え方は避けてください。
免除後の合格基準
甲種特類以外の消防設備士試験は、筆記で各科目40%以上かつ全体60%以上、実技で60%以上が合格基準です。科目免除がある場合は、免除された問題以外の残りの問題でこの基準を満たす必要があります。
公式案内は「1問何点」「免除すると1問のダメージが何倍」といった配点を公表していません。また、免除利用者と一般受験者の合格率比較も公表されていません。
そのため、免除を使えば必ず合格しやすい、あるいは使わない方が得意科目で稼げる、と断定することはできません。判断するときは、次の2点を分けて考えます。
- 学習範囲と試験時間:免除を使うと該当分野の出題がなくなり、試験時間も短くなる。
- 残る問題の合格基準:免除後に残る科目・問題数を確認し、その範囲で基準を満たす準備が必要。
申請前に公式表で残る問題を数え、使用する教材が免除後の科目構成に対応しているかを確認してください。
科目免除の申請方法
- 受験する甲種・乙種と類を決める。
- 公式の免除一覧表で、保有資格と受験種類の組合せを確認する。
- 必要な証明書類を用意する。
- 電子申請または書面申請で、科目免除を申請する。
- 申請内容と免除後の試験時間を確認する。
電子申請では、証明書類をJPEGまたはPDF形式でアップロードできます。書面申請は、受験する支部の試験案内に従ってコピー等を提出します。
| 免除資格等 | 公式一覧表に示された証明書類 |
|---|---|
| 消防設備士 | 消防設備士免状のコピー |
| 電気工事士 | 電気工事士免状のコピー |
| 電気主任技術者 | 電気主任技術者免状のコピー |
| 技術士 | 対象試験の合格証明書または技術士登録証のコピー |
| 特定の消防団員 | 5年以上の勤務証明と、消防学校の専科教育「機関科」修了証明の両方 |
| 検定協会等の対象職員 | 型式承認試験の実施業務に関する従事証明書 |
必要書類の画像が不鮮明、資格区分が確認できない、申請した免除と証明書類が一致しない場合は手続きに影響します。不明点は、試験手数料を支払う前に受験予定の支部へ確認してください。
よくある間違い
資格を入力すれば自動で最大免除になる
自動ではありません。受験申請時に該当する免除を申請し、証明書類を提出する必要があります。複数資格を持つ人は、複数資格用の行を確認します。
電気工事士なら、どの類でも電気問題が免除される
受験類によって異なります。第4類や乙種第7類では免除がありますが、第5類や乙種第6類では、電気工事士免状だけによる問題数・試験時間の短縮はありません。
他の消防設備士免状があれば、法令も基礎も全部免除される
誤りです。法令共通だけの組合せもあれば、機械・電気分野まで免除される組合せもあります。
免除前と同じ問題数で合否を計算する
合格基準は、免除された問題を除いた残りの問題に適用されます。受験票や公式表で、実際に受ける科目を確認してください。
よくある質問
科目免除は必ず利用しなければいけませんか
免除は申請により受ける制度です。利用する場合は受験申請時に手続きを行います。利用の有無を決める前に、公式表で残る問題と試験時間を確認してください。
第一種と第二種の電気工事士で免除範囲は違いますか
消防設備士試験の免除一覧表では、第一種電気工事士免状と第二種電気工事士免状をまとめて「電工」としています。
電気工事士の試験合格証だけで申請できますか
公式一覧表が証明書類として示しているのは、電気工事士免状のコピーです。合格後、免状交付前に申し込む場合の扱いは、受験予定の支部へ確認してください。
甲種特類にも科目免除はありますか
ありません。消防試験研究センターは、甲種特類試験には一部免除がないと案内しています。
電子申請でも科目免除を申請できますか
できます。電子申請では、必要な証明書類をJPEGまたはPDF形式でアップロードできます。
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まとめ
- 消防設備士の科目免除は、受験申請時の手続きと証明書類の提出が必要。
- 免除範囲は、保有資格、甲種・乙種、受験する類、複数資格の組合せで変わる。
- 甲種特類には科目免除がない。
- 甲種第4類で電気工事士免状を使う場合、筆記22問と実技1問が免除され、試験時間は2時間30分になる。
- 乙種第7類で電気工事士免状を使う場合、筆記14問と実技5問が免除され、試験時間は1時間になる。
- 合格基準は、免除された問題を除いた残りの問題に適用される。
- 申請前に、公式の甲種用・乙種用一覧表と受験支部の試験案内を確認する。
参照した公式ページ
- 消防試験研究センター「試験科目及び問題数」
- 消防試験研究センター「試験の一部免除・試験時間・試験問題数一覧表(甲種)」
- 消防試験研究センター「試験の一部免除・試験時間・試験問題数一覧表(乙種)」
- 消防試験研究センター「試験の方法・合格基準」
- 消防試験研究センター「受験の申請」
科目免除の対象、問題数、試験時間、必要書類は改定されることがあります。申請時は消防試験研究センターと受験する支部の最新案内を確認してください。
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