甲種3類/乙種3類

甲種3類の製図対策|粉末消火設備の必要量計算

消防設備士甲種3類の製図では、図に示された条件を読み、設備に必要な消火剤量などを計算する力が問われます。現在、消防試験研究センターが公開している第3類の製図は、全域放出方式の粉末消火設備が題材です。

この記事では、公開問題を転載せず、出題内容から確認できる計算の順序を、別の数値を使ったオリジナル例題で解説します。基準は消防法施行規則第21条、問題数は消防試験研究センターの案内に沿って確認します。

最初に押さえる5段階

  1. 防護区画の用途から粉末の種別を決める
  2. 平面寸法と天井高から防護区画の体積を出す
  3. 自動閉鎖装置のない開口部だけを合計する
  4. 体積分と開口部分を足して消火剤貯蔵量を求める
  5. 消火剤量から加圧用ガス量を求め、放射時間を確認する

甲種3類の製図は2問

消防試験研究センターの「試験科目及び問題数」では、特類を除く甲種の実技試験は鑑別等5問、製図2問です。製図では、公式や数値だけでなく、図面の条件を計算式へ正しく移すことが重要です。

現在の公式公開問題の第3類製図では、地下駐車場に設ける全域放出方式の粉末消火設備について、次の内容が問われています。

  • 駐車場に適応する粉末消火剤の種別
  • 防護区画1m³当たりの消火剤量
  • 自動閉鎖装置のない開口部の扱い
  • 必要な消火剤貯蔵量
  • 加圧用窒素ガスの必要量
  • 噴射ヘッドから放射する時間

公開問題は必ず公式PDFで確認

公開問題の図、数値、文章には消防試験研究センターの著作権があります。当サイトでは問題を転載せず、解くための考え方だけを整理します。実際の図面と最新の出題例は、記事末尾の公式リンクから確認してください。

計算を始める前に条件を仕分ける

問題文を読んだら、すぐに掛け算を始めず、条件を4つに分けます。

分類 確認する内容 計算での役割
用途 駐車場、通信機器室など 使用できる設備・消火剤を判定
寸法 縦、横、天井高 防護区画の体積を算出
開口部 面積と自動閉鎖装置の有無 加算対象となる面積を選別
指定条件 柱・はり等の控除、ガスの状態換算 問題固有の計算条件を反映

特に注意したいのが開口部です。全域放出方式の粉末消火設備では、自動閉鎖装置のない開口部が加算対象です。図面にあるすべての開口部を合計するわけではありません。

粉末消火剤の種別を決める

消防法施行規則第21条は、粉末消火剤を第一種から第四種までに分けています。現在の公式公開問題と同じく、駐車の用に供される部分に全域放出方式または局所放出方式を設ける場合は、第三種粉末を使用します。

種別 主成分による法令上の区分 全域放出の体積係数 開口部の加算係数
第一種 炭酸水素ナトリウムを主成分 0.60kg/m³ 4.5kg/m²
第二種 炭酸水素カリウムを主成分 0.36kg/m³ 2.7kg/m²
第三種 りん酸塩類等を主成分 0.36kg/m³ 2.7kg/m²
第四種 炭酸水素カリウムと尿素との反応物 0.24kg/m³ 1.8kg/m²

表の体積係数と開口部の加算係数は、全域放出方式の計算に使います。局所放出方式は別の計算方法なので、この表をそのまま流用しません。

消火剤貯蔵量の計算

全域放出方式の粉末消火設備は、体積分と開口部分を分けて計算し、最後に合計します。

全域放出方式の基本式

防護区画の体積 V = 縦 × 横 × 高さ
体積分 = V × 粉末種別ごとの体積係数
開口部分 = 自動閉鎖装置のない開口面積の合計 A × 加算係数
必要消火剤量 W = 体積分 + 開口部分

手順1:防護区画の体積

平面図の縦と横に、問題文または立面図の天井高を掛けます。柱、はり、壁などの体積を差し引くかどうかは、問題文の指示に従います。「考慮しなくてよい」とある場合は、単純な直方体として計算します。

手順2:加算する開口部

各開口部について自動閉鎖装置の有無を確認します。自動閉鎖装置がある開口部は加算対象から外し、ない開口部の面積だけを合計します。同じ面積の開口部が2か所なら、「1か所の面積×2」としても構いません。

手順3:体積分と開口部分を合計

第三種粉末なら、体積1m³当たり0.36kg、対象開口部1m²当たり2.7kgを使います。単位を式に残しておくと、どの数値を掛けたか確認しやすくなります。

オリジナル例題で計算

条件

  • 地下駐車場に全域放出方式の粉末消火設備を設ける
  • 防護区画は縦18m、横15m、天井高3m
  • 自動閉鎖装置のない開口部は4m²と6m²
  • 柱、はり、壁の体積は考慮しない
  • 加圧式とし、加圧用ガスには窒素を使う

1. 粉末の種別

駐車の用に供される部分なので、使用する消火剤は第三種粉末です。

2. 防護区画の体積

18m × 15m × 3m = 810m³

3. 体積分

810m³ × 0.36kg/m³ = 291.6kg

4. 開口部分

自動閉鎖装置のない開口面積は、4m²+6m²=10m²です。

10m² × 2.7kg/m² = 27.0kg

5. 必要消火剤量

291.6kg+27.0kg=318.6kg以上

ここで求めたのは必要な消火剤貯蔵量です。容器の本数まで問われる場合は、問題文で指定された1本当たりの充てん量などを使います。問題にない容器仕様を独自に固定して計算してはいけません。

加圧用窒素ガス量の計算

加圧式の粉末消火設備で窒素ガスを使う場合、消防法施行規則第21条は、35℃・1気圧の状態に換算した体積として、消火剤1kg当たり40L以上を定めています。

例題の加圧用窒素ガス量

318.6kg × 40L/kg = 12,744L以上
m³へ直すと、12,744L ÷ 1,000 = 12.744m³以上です。

問題文がLで答えるよう求めているなら、途中でm³へ変換する必要はありません。解答欄の単位を先に確認すると、最後の換算ミスを防げます。

噴射ヘッドの放射時間

全域放出方式と局所放出方式の粉末消火設備では、必要な消火剤量を30秒以内に放射できる噴射ヘッドを設けます。

この30秒は、粉末消火設備についての基準です。不活性ガス消火設備やハロゲン化物消火設備まで同じ時間とするものではありません。また、起動から放出弁が開くまでの遅延時間とは別の基準です。

系統を読むときの基本

現在の公式公開問題は平面図と計算が中心ですが、設備の系統を理解しておくと、各数値の意味を整理しやすくなります。加圧式粉末消火設備の代表的な流れは次のとおりです。

加圧用ガス容器圧力調整器粉末の貯蔵容器等定圧作動装置・放出弁配管噴射ヘッド

※複数の防護区画で貯蔵容器等を共用する設備では選択弁を設けます。実際の構成は問題文と図の条件を優先します。

  • 圧力調整器:加圧用ガスの圧力を所定の範囲へ調整する
  • 定圧作動装置:貯蔵容器等が設定圧力に達したとき、放出弁を開放させる
  • 選択弁:共用する容器群から、対象となる防護区画への系統を選ぶ
  • クリーニング装置:放射後に配管内へ残る粉末を処理するために設ける

図記号は、問題に示された凡例を使います。「選択弁はS」「制御盤はG」「噴射ヘッドは白丸」など、出典のない独自記号を全問題共通のルールとして覚えないようにしてください。

旧原稿で誤りやすかった点

他の消火剤を一律の係数で計算しない

不活性ガス消火設備は消防法施行規則第19条、ハロゲン化物消火設備は第20条、粉末消火設備は第21条に、それぞれ異なる計算条件があります。「ガス系は体積に一つの消火濃度を掛ければよい」という整理はできません。

局所放出方式に全域放出の式を使わない

粉末消火設備の局所放出方式は、燃焼面が一面に限定される場合の表面積式と、それ以外の場合のQ式に分かれ、算出量へ1.1を乗じます。対象物の各面に一定距離を加えた直方体だけで、一律に求める方式ではありません。

容器本数を固定値で決めない

必要量を求めたあと、容器本数を計算する問題もあります。ただし、1本当たりの充てん量は問題条件や設備仕様に従います。特定の充てん量をすべての設備へ当てはめると誤答になります。

開口部を全部加算しない

加算するのは、自動閉鎖装置のない開口部です。面積が図に書かれていても、自動閉鎖装置がある開口部は加算対象から外します。

問題にない図記号を作らない

図を完成させる問題では、問題用紙の凡例、線種、機器名、条件を優先します。設備図の表現を、アルファベットや白丸・黒丸だけで独自に固定しません。

解答欄へ書く前のチェック

  • 駐車部分に使う粉末を第三種と判定したか
  • 縦・横・高さをすべて掛けたか
  • 問題文で除外してよい体積を勝手に引いていないか
  • 自動閉鎖装置のない開口部だけを合計したか
  • 体積分と開口部分を足したか
  • 窒素ガス量は消火剤量に40L/kgを掛けたか
  • Lとm³、kgとkg/m³の単位を確認したか
  • 粉末の放射時間を30秒以内としたか

理解度チェック

以下は当サイト作成のオリジナル問題です。消防試験研究センターの公開問題を転載したものではありません。

問題1 地下駐車場に全域放出方式の粉末消火設備を設ける。使用する粉末として適切なものはどれか。

  1. 第一種粉末
  2. 第二種粉末
  3. 第三種粉末
  4. 第四種粉末
解答を見る

正解:3
駐車の用に供される部分に全域放出方式または局所放出方式を設ける場合は、第三種粉末を使用します。

問題2 第三種粉末を使用する。防護区画は縦12m、横10m、高さ3mで、自動閉鎖装置のない開口部は3m²と2m²である。必要消火剤量はいくらか。

  1. 129.6kg以上
  2. 135.0kg以上
  3. 143.1kg以上
  4. 162.0kg以上
解答を見る

正解:3
体積は12×10×3=360m³。体積分は360×0.36=129.6kg、開口部分は(3+2)×2.7=13.5kgなので、合計143.1kg以上です。

問題3 問題2の設備を加圧式とし、加圧用ガスに窒素を使う。35℃・1気圧換算で必要な窒素ガス量はいくらか。

  1. 1,431L以上
  2. 4,752L以上
  3. 5,724L以上
  4. 14,310L以上
解答を見る

正解:3
143.1kg×40L/kg=5,724L以上です。

問題4 全域放出方式の第三種粉末について、計算へ加える開口部はどれか。

  1. 図面にあるすべての開口部
  2. 自動閉鎖装置がある開口部だけ
  3. 自動閉鎖装置のない開口部だけ
  4. 面積が一定値を超える開口部だけ
解答を見る

正解:3
自動閉鎖装置のない開口部について、面積1m²当たり2.7kgを加算します。

まとめ

  • 甲種の実技試験は鑑別等5問、製図2問
  • 現在の第3類公式公開問題は、全域放出方式の粉末消火設備を扱う
  • 駐車部分に全域放出方式を設ける場合は第三種粉末
  • 必要量は「防護区画体積×0.36+閉鎖されない開口面積×2.7」で整理する
  • 加圧用窒素は35℃・1気圧換算で消火剤1kg当たり40L以上
  • 必要量を30秒以内に放射できる噴射ヘッドを設ける
  • 図記号や容器仕様は独自に固定せず、問題の凡例と条件を優先する

粉末消火設備の構造と、設置・点検基準を確認したい場合は、「粉末消火設備の仕組みと技術基準」「ガス系消火設備の設置基準」「ガス系消火設備の点検」もあわせて確認してください。

公式資料

※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。図や画像だけで機器を判断せず、製品表示・取扱説明書・公式資料を確認してください。

記事、模擬試験、ミニテストは学習の補助を目的としています。試験の申請や実務上の判断では、最新の法令、試験実施機関、所轄消防機関、製品の公式資料等も確認してください。

内容の誤りやお気づきの点は、お問い合わせフォームからご連絡ください。詳しくは免責事項をご確認ください。

-甲種3類/乙種3類